スライ

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2013年5月6日 (月) 13:22時点におけるSk (トーク | 投稿記録)による版
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スライ(Sligh)は、を中心とした、マナカーブダメージ効率を重視した超速攻ウィニーデッキ。または、赤を中心としたビートダウン系デッキの総称。デッキ名はPaul Sligh(ポール・スライ)のラストネームに由来する。

目次

概要

軽量クリーチャーと数種類の火力が主戦力で、無色ダメージソースとして呪われた巻物/Cursed Scrollなども使用される。5ターン以内に決められるかどうかが勝負の分かれ目となる。

もともとのスライはJay Schneiderの唱えた「そのターンに出し得るマナをムダなく使うにはどうしたらいいか?」という理論のもと生み出されたデッキ。特定のマナカーブ(スライカーブ)に基づいて構築されており、元来は土地23枚に対して1マナ13枚、2マナ9枚、3マナ5枚、4マナ3枚を目安にクリーチャーが投入されており、火力呪文などは別途で計算されていた。

Paul Slighが使用したPTQで2位に入ったことで、以後“スライ”というニックネームがつけられることになった。当時は2位でもPT枠に入れたので、インターネット上における若干の誇大宣伝もあって、この名前が定着してしまった。実際、このデッキ(またの名を“ギーバ”や“オークの司書デッキ”)は、今日においても偉大なデッキビルダーであるJay Schneiderのデザインによるものであるが、スライに比べてその名はここ数年ほとんど表に出てこない。

近年、スライと呼ばれているデッキのほとんどがデッドガイレッド(又はバーン)に近い。エクステンデッドでは土地破壊要素も入り、赤単色の高速デッキ全体がRDW(レッドデックウィンズ)と呼ばれることが多い。

イニストラード・ブロック+ラヴニカへの回帰ブロック期

ローテーションにより環境が一新され、しばらく姿を消していた赤単スライが復権。良質な火力の不足、スラーグ牙/Thragtuskスフィンクスの啓示/Sphinx's Revelationに代表されるライフゲイン側の強さから、クリーチャーを中心とした構成が基本となっている。



マナカーブは1マナウィニーから5マナの雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkiteにまで連なる独特なもの。序盤は流城の貴族/Stromkirk Noble灰の盲信者/Ash Zealotを並べ、最後は紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf地獄乗り/Hellriderで押し切る方針を取る。

また、ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocratなどのためにタッチした亜種も存在する。詳細は黒赤ビートダウンを参照。

サンプルレシピ

Mono Red [1]
土地 (23)
2 ヘリオンのるつぼ/Hellion Crucible
21 山/Mountain
クリーチャー (28)
4 灰の盲信者/Ash Zealot
4 地獄乗り/Hellrider
4 稲妻のやっかいもの/Lightning Mauler
4 紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf
4 ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler
2 石大工/Stonewright
4 流城の貴族/Stromkirk Noble
2 雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite
呪文 (9)
2 硫黄の流弾/Brimstone Volley
3 火柱/Pillar of Flame
4 灼熱の槍/Searing Spear
サイドボード (15)
2 大翼のドラゴン/Archwing Dragon
1 魂の洞窟/Cavern of Souls
1 凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird
4 ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars
1 火柱/Pillar of Flame
4 無謀な浮浪者/Reckless Waif
2 火山の力/Volcanic Strength


ミラディンの傷跡ブロック+イニストラード・ブロック期

稲妻/Lightning Boltゴブリンの先達/Goblin Guideを初めとした多数のクリーチャー火力ローテーション落ちにより大きく弱体化したものの、環境の一角として生き残った。



火力も駆使してうまく攻撃を通すことで、新鋭の流城の貴族/Stromkirk Nobleや主戦力に昇格した嵐血の狂戦士/Stormblood Berserker能力を活かし、更なるダメージを稼いでいくのが基本の動き。最後は前環境同様、槌のコス/Koth of the Hammer燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rageによって勝負を決める。

良質な火力は少ないが、タフネス1対策の霊炎/Geistflameはらわた撃ち/Gut Shot、上段の4枚と相性の良い電位の負荷/Volt Chargeなどの工夫ある採用により、これをカバーしている。

イニストラード参入直後の環境初期に活躍するもその後衰退し、闇の隆盛参入後にはほとんど見かけなくなってしまった。

サンプルレシピ

RDW [2]
土地 (22)
22 山/Mountain
クリーチャー (18)
4 無謀な浮浪者/Reckless Waif
4 流城の貴族/Stromkirk Noble
3 渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
4 嵐血の狂戦士/Stormblood Berserker
3 チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix
呪文 (20)
4 感電破/Galvanic Blast
3 ショック/Shock
4 火葬/Incinerate
4 燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rage
3 硫黄の流弾/Brimstone Volley
2 槌のコス/Koth of the Hammer
サイドボード (15)
4 ヴァルショクの難民/Vulshok Refugee
3 躁の蛮人/Manic Vandal
2 オキシド峠の英雄/Hero of Oxid Ridge
2 電弧の痕跡/Arc Trail
2 裏切りの血/Traitorous Blood
2 戦争と平和の剣/Sword of War and Peace


  • 1マナ域18枚・槌のコス2枚と、かなり軽さを重視した構成。

ゼンディカー・ブロック+ミラディンの傷跡ブロック期

ローテーションにより各種歩く火力を失うも、基本セット2011で続けて再録された稲妻/Lightning Boltゼンディカー・ブロックの優秀な火力により、依然健在である。



ゴブリンの先達/Goblin Guideなどのウィニークリーチャーを火力でバックアップする基本方針は変わらない。ミラディンの傷跡からほぼ共通して採用されるのは、重いが強力な槌のコス/Koth of the Hammer

ミラディン包囲戦後は大きく2つのタイプに分岐する。1つはクリーチャー数を抑え、火力を優先するバーン型。もう1つは採用されるクリーチャーにゴブリンが多いことから、ゴブリンの酋長/Goblin Chieftainゴブリンの戦煽り/Goblin Wardriverなどの全体強化クリーチャーを加え、ビートダウン色を増したゴブリン型。それぞれ弱点が異なり、一長一短である。

新たなるファイレクシアでは燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rageによりバーン型が強化される。また新機軸として、焼身の魂喰い/Immolating Souleater投げ飛ばし/Flingを投入したタイプも登場。

基本セット2012でも、渋面の溶岩使い/Grim Lavamancerゴブリンの手投げ弾/Goblin Grenadeといった往年の名カードの再録により、さらなる強化を受けた。

サンプルレシピ1

Mono-Red [3]
土地 (25)
12 山/Mountain
4 乾燥台地/Arid Mesa
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
4 ぐらつく峰/Teetering Peaks
1 くすぶる尖塔/Smoldering Spires
クリーチャー (13)
4 ゴブリンの先達/Goblin Guide
4 板金鎧の土百足/Plated Geopede
3 カルガの竜王/Kargan Dragonlord
2 ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker
呪文 (22)
4 稲妻/Lightning Bolt
4 噴出の稲妻/Burst Lightning
4 焼尽の猛火/Searing Blaze
2 よろめきショック/Staggershock
3 反逆の印/Mark of Mutiny
1 電弧の痕跡/Arc Trail
4 槌のコス/Koth of the Hammer
サイドボード (15)
1 電弧の痕跡/Arc Trail
2 転倒の磁石/Tumble Magnet
3 漸増爆弾/Ratchet Bomb
2 チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar
3 跳ね返りの罠/Ricochet Trap
3 壊滅的な召喚/Devastating Summons
1 ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker


  • バーン型。

サンプルレシピ2

赤単スライ [4]
土地 (23)
4 乾燥台地/Arid Mesa
11 山/Mountain
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
4 ぐらつく峰/Teetering Peaks
クリーチャー (17)
4 チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix
4 ゴブリンの先達/Goblin Guide
4 渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
2 オキシド峠の英雄/Hero of Oxid Ridge
1 カルガの竜王/Kargan Dragonlord
2 板金鎧の土百足/Plated Geopede
呪文 (20)
2 噴出の稲妻/Burst Lightning
1 槌のコス/Koth of the Hammer
4 稲妻/Lightning Bolt
4 焼尽の猛火/Searing Blaze
4 燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rage
4 よろめきショック/Staggershock
1 戦争と平和の剣/Sword of War and Peace
サイドボード (15)
3 攻撃的な行動/Act of Aggression
2 焼却/Combust
2 電弧の痕跡/Arc Trail
2 四肢切断/Dismember
2 魔力のとげ/Manabarbs
3 躁の蛮人/Manic Vandal
1 ヴァルショクの難民/Vulshok Refugee


ゼンディカー=エルドラージ覚醒・ブロック構築

優秀なクリーチャー火力の存在により、ゼンディカー=エルドラージ覚醒・ブロック構築でも成立する。



フェッチランドを使用して土地の枚数を縛り、板金鎧の土百足/Plated Geopedeなどの上陸持ちカードカルガの竜王/Kargan Dragonlordなどの優良クリーチャーを展開、火力でサポートする。

特に壊滅的な召喚/Devastating Summonsを採用したバージョンはDevastating Redと呼ばれている。

サンプルレシピ

Devastating Red [5]
土地 (24)
4 乾燥台地/Arid Mesa
11 山/Mountain
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
1 くすぶる尖塔/Smoldering Spires
4 ぐらつく峰/Teetering Peaks
クリーチャー (16)
4 ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker
4 ゴブリンの先達/Goblin Guide
4 カルガの竜王/Kargan Dragonlord
4 板金鎧の土百足/Plated Geopede
呪文 (20)
4 噴出の稲妻/Burst Lightning
4 壊滅的な召喚/Devastating Summons
4 焼尽の猛火/Searing Blaze
4 よろめきショック/Staggershock
4 ゼクター祭殿の探検/Zektar Shrine Expedition
サイドボード (15)
4 ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster
2 帆凧/Kitesail
1 反逆の印/Mark of Mutiny
4 罰する火/Punishing Fire
4 探検家タクタク/Tuktuk the Explorer


アラーラの断片ブロック+ゼンディカー・ブロック期

古の名火力稲妻/Lightning Boltボール・ライトニング/Ball Lightningが復活。アラーラの断片ブロックゼンディカー・ブロック期のスタンダードでは、ライフをより高速に削れることから、メタの中心にいるジャンドアンチデッキとして台頭した。



動きは赤白上陸に近く、板金鎧の土百足/Plated Geopedeなどの上陸持ちウィニーや、歩く火力展開し火力で補助して一気に押し切る。

赤白上陸と比較するとスピードはこちらに分があるがイーオスのレインジャー/Ranger of Eosなどのアドバンテージ源を持たないため息切れしやすい。そのため蘇生持ちの歩く火力を採用して息切れを防ぐ場合が多い。

サンプルレシピ

スライ(ALA+ZEN) [6]
土地 (24)
12 山/Mountain
4 ぐらつく峰/Teetering Peaks
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
4 乾燥台地/Arid Mesa
クリーチャー (20)
4 ゴブリンの先達/Goblin Guide
4 板金鎧の土百足/Plated Geopede
4 地獄火花の精霊/Hellspark Elemental
4 地獄の雷/Hell's Thunder
4 ボール・ライトニング/Ball Lightning
呪文 (16)
4 稲妻/Lightning Bolt
4 噴出の稲妻/Burst Lightning
4 地震/Earthquake
4 消しえる火/Quenchable Fire
サイドボード (15)
1 火山の流弾/Volcanic Fallout
2 マグマのしぶき/Magma Spray
4 マグマの裂け目/Magma Rift
4 魔力のとげ/Manabarbs
4 ドラゴンの爪/Dragon's Claw


ローウィン=シャドウムーア・ブロック構築

ローウィン=シャドウムーア・ブロック構築では、復讐の亜神/Demigod of Revenge運命の大立者/Figure of Destinyを主力にしたビートダウンデッキが活躍した。



カード・プールの狭さからデッキパワースタンダードそれにはさすがに劣るものの、個々のカードはそれなりに優秀。また、の性質からメタゲームの中心にあるフェアリーヴィヴィッドランドを多用するクイックントーストにも優位に立つことが出来る。

反面キスキンには(特にブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tenderの存在から)分が悪い為、サイドボードを混ぜるなどの対策が必要となる。

サンプルレシピ

Rb Aggro [7]
土地 (24)
4 婆のあばら家/Auntie's Hovel
4 偶像の石塚/Graven Cairns
12 山/Mountain
4 反射池/Reflecting Pool
クリーチャー (20)
1 巡礼者アシュリング/Ashling the Pilgrim
4 ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang
4 復讐の亜神/Demigod of Revenge
4 運命の大立者/Figure of Destiny
4 斑点の殴打者/Stigma Lasher
3 難問の鎮め屋/Vexing Shusher
呪文 (16)
4 炎の投げ槍/Flame Javelin
4 つっかかり/Lash Out
4 穿刺破/Puncture Blast
4 タール火/Tarfire
サイドボード (15)
4 膿絡み/Festercreep
3 魂を吹き消すもの/Soul Snuffers
4 アッシェンムーアの抉り出し/Ashenmoor Gouger
2 災難の大神/Deus of Calamity
2 炎渦竜巻/Firespout


時のらせんブロック+ローウィン=シャドウムーア・ブロック期

時のらせんブロックローウィン=シャドウムーア・ブロック期のスタンダードにも存在する。

モーニングタイド以降、青黒フェアリーに対抗するために単デッキバーンタイプのものが主流となっていたが、シャドウムーア復讐の亜神/Demigod of Revengeが登場したことにより、ビートダウンデッキが増加する。



その勢いは運命の大立者/Figure of Destinyの登場によって絶対的なものになり、環境のビートダウンデッキ最右翼としてメタゲームの頂点に君臨することになる。

ビートダウン型の赤としては珍しいマナカーブを描いているのが特徴で、前半戦の打点を稼ぎつつパワータフネス能力によって中~後半においても無駄にならないカードが多数選択されている。主力となる運命の大立者や血騎士/Blood Knightアッシェンムーアの抉り出し/Ashenmoor Gougerは同マナ域ののクリーチャーにも劣らないサイズであり、ビートダウンの天敵である台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finksを踏み越えていくパワフルなアタッカーとして対戦相手ライフを速やかに削り取る。そして最終的には復讐の亜神のカードパワーで一気にフィニッシュする。

特にこの環境のスタンダードはカードプールの広さから異様なまでのカードパワーの高まりを見せ、後期型では最強の1マナ・クリーチャーとも謳われたモグの狂信者/Mogg Fanaticすらデッキに入らない場合がある。

また火力にも特色が出ており、環境に多数存在するカメレオンの巨像/Chameleon Colossus霧縛りの徒党/Mistbind Clique、また同系の「タフネス4」に対応するために、プレイヤーにはダメージが入らない雪崩し/Skredを採用している。

ボードコントロールに弱いのはビートダウンの宿命だが、そのようなデッキは多色地形を多用するため、隙を突いて月の大魔術師/Magus of the Moonを通すとあっという間に手詰まりになることが多い。しかし、このカードは同系に対して非常に弱いため、メタゲームが赤単に寄り過ぎている場合はサイドボードに回すこともある。

非常に色拘束が強いデッキであるため、神の怒り/Wrath of Godに強いアタッカーこと変わり谷/Mutavaultは不採用。しかし、1枚1枚のカードパワーがかつてないほどに高く、全体除去後も脅威を連発するためそこまで大きなデメリットではないとされる。

サンプルレシピ

スライ(TSP+LRW) [8]
土地 (24)
2 ケルドの巨石/Keldon Megaliths
22 冠雪の山/Snow-Covered Mountain
クリーチャー (24)
4 アッシェンムーアの抉り出し/Ashenmoor Gouger
4 血騎士/Blood Knight
4 復讐の亜神/Demigod of Revenge
4 運命の大立者/Figure of Destiny
4 月の大魔術師/Magus of the Moon
4 巻物の大魔術師/Magus of the Scroll
呪文 (12)
4 炎の投げ槍/Flame Javelin
4 火葬/Incinerate
4 雪崩し/Skred
サイドボード (15)
3 恒久の拷問/Everlasting Torment
2 フェアリーの忌み者/Faerie Macabre
3 残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap
1 粉々/Smash to Smithereens
4 恨み唸り/Spitebellows
2 硫黄破/Sulfurous Blast


  • 1マナ域8枚、2マナ域4枚、3マナ域8枚、5マナ域4枚というマナカーブだが、これでも最もスタンダードなレシピである。
  • 土地が24枚であるが、これだと復讐の亜神/Demigod of Revengeが5ターン目に出せることは少ない。それでも惜しげもなく4枚採用という辺りにこのカードのパワーが窺える。

時のらせんブロック構築

時のらせんブロック構築では、血騎士/Blood Knight裂け目の稲妻/Rift Boltなどの優秀カードの登場で注目を集める。



赤のビートダウンとしては珍しく土地が24枚程度のものが多い。

タッチして嵐の束縛/Stormbindを足し息切れしにくくしたものや、をタッチして優良火力心霊破/Psionic Blastデッキの対応力を増させるヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifterを投入したものも存在する。

未来予知以降は月の大魔術師/Magus of the Moonを得たことで、コントロールに対する耐性を増した。

ラヴニカ・ブロック+時のらせんブロック期

ラヴニカ・ブロック時のらせんブロック期のスタンダードでは、時のらせんブロックで登場した血騎士/Blood Knight硫黄の精霊/Sulfur Elementalなどの優秀カードに加え、第10版火葬/Incinerateモグの狂信者/Mogg Fanatic再録され、一躍メタゲームの中心に上りあがる。



純粋なスライのほか、を加えて闇の腹心/Dark Confidantを投入したラクドス・アグロや、タッチタルモゴイフ/Tarmogoyfを加えるタルモバーン大いなるガルガドン/Greater Gargadonシナジーを意識したグレーター・ゴイフなど、いくつかの亜種も存在する。

ミラディン・ブロック期

ミラディン・ブロック初期のスタンダードにおける単色デッキは、ビッグ・レッドなどの中低速コントロールデッキが主体であった。これは赤が対親和に有利である反面、親和にスピード勝負を挑むのは分が悪いという判断からである。

だが、親和の主要パーツが禁止され、ウルザトロンヴィダルケンの枷などが台頭してくると、スピードを持ち味にしたスライが登場することとなった。

凍らし/Frostlingなどをはじめとして高速にまとめたものや、ビッグ・レッドアーティファクト除去や一部火力などの要素をクリーチャー装備品に置き換えた中速のものなどが存在した。



メタゲームの中心にあるウルザトロンに対抗するため、サイドボードには土地破壊が投入される場合がほとんど。日本選手権05ではベスト8に2人を送り込んだ。

サンプルレシピ

スライ(MRD+CHK) [9]
土地 (20)
4 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus
16 山/Mountain
クリーチャー (22)
4 炎歩スリス/Slith Firewalker
3 かまどの神/Hearth Kami
4 凍らし/Frostling
4 罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher
3 ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer
4 弧炎撒き/Arc-Slogger
呪文 (18)
4 金属モックス/Chrome Mox
4 マグマの噴流/Magma Jet
3 尖塔の源獣/Genju of the Spires
3 煮えたぎる歌/Seething Song
2 爆片破/Shrapnel Blast
2 火と氷の剣/Sword of Fire and Ice
サイドボード (15)
4 溶鉄の雨/Molten Rain
3 静電気の稲妻/Electrostatic Bolt
3 粉砕/Shatter
3 真髄の針/Pithing Needle
1 火と氷の剣/Sword of Fire and Ice
1 尖塔の源獣/Genju of the Spires


オンスロート・ブロック期

オンスロート・ブロック期のスタンダードでは、オンスロート部族シナジーを活用したゴブリンデッキが登場。



初期は軽いゴブリンを主体にした速攻デッキであったことから、ゴブリンスライの名で呼ばれていた。しかし、火花鍛冶/Sparksmith宝石の手の焼却者/Gempalm Incineratorの存在が火力の必要性を薄れさせ、次第にゴブリンによる純粋なビートダウンへと変化した。とくにスカージ以降はその傾向が強い。

マスクス・ブロック+インベイジョン・ブロック期

マスクス・ブロックインベイジョン・ブロック期のスタンダードでは、強力なウルザ・ブロックが抜けたことで消滅も囁かれたが、プレーンシフト火炎舌のカヴー/Flametongue Kavuを得たことで復活した。



弱体化されたクリーチャーの質を補うため、精力的なレインジャー/Firebrand Rangerなどのバニラ同然の2マナ2/1クリーチャーもが採用される。詳細はスペッド・レッドを参照のこと。

マスクス・ブロック構築

マスクス・ブロック構築では、コントロールメタ土地破壊にシフトしたタイプのデッキが登場した。



地盤の亀裂/Tectonic Break黄塵地帯/Dust Bowlで互いの土地を封じ、キマイラ像/Chimeric Idolで自分の土地をフルタップすることで老練の喧嘩屋/Veteran Brawlers岩滓の猫/Scoria Cat能力を活用する。自分はピッチスペル炎の印章/Seal of Fireなどによりその影響を最小限に抑えることができる。

サンプルレシピ

スライ(MMQ) [10]
土地 (24)
20 山/Mountain
2 ラースの果て/Rath's Edge
2 黄塵地帯/Dust Bowl
クリーチャー (9)
3 老練の喧嘩屋/Veteran Brawlers
2 岩滓の猫/Scoria Cat
4 溶岩渡り/Lava Runner
呪文 (27)
4 キマイラ像/Chimeric Idol
4 カイレンのオモチャ/Kyren Toy
3 落盤/Cave-In
2 流動石の山崩れ/Flowstone Slide
3 地盤の亀裂/Tectonic Break
4 雷音/Thunderclap
4 炎の印章/Seal of Fire
3 一芸魔道師の集会/Task Mage Assembly
サイドボード (15)
1 岩滓の猫/Scoria Cat
2 古代のハイドラ/Ancient Hydra
3 レイモスの心臓/Heart of Ramos
1 落盤/Cave-In
4 石の雨/Stone Rain
1 地盤の亀裂/Tectonic Break
3 モグの分捕り/Mogg Salvage


ウルザ・ブロック+マスクス・ブロック期

ウルザ・ブロックマスクス・ブロック期のスタンダードでは、強力なテンペスト・ブロックの退場で大きく弱体化したが、それでもなんとかネメシス炎の印章/Seal of Fireを得て命脈を保つ。



メタゲームの中心にあるトリニティ系デッキのマナ・クリーチャーを殺しやすい火力の価値が上がったことも幸いした。

サンプルレシピ

Sligh [11]
土地 (21)
20 山/Mountain
1 シヴの地溝/Shivan Gorge
クリーチャー (20)
4 ゴブリン巡視部隊/Goblin Patrol
4 怒り狂うゴブリン/Raging Goblin
4 クリスの魔道士/Kris Mage
4 ゴブリンの石工/Goblin Masons
4 ケルドのチャンピオン/Keldon Champion
呪文 (19)
4 ショック/Shock
4 炎の印章/Seal of Fire
4 火炎の裂け目/Flame Rift
4 命知らず/Reckless Abandon
3 ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan
サイドボード (15)
2 山/Mountain
2 粉みじん/Pulverize
2 無秩序/Disorder
1 呪われたトーテム像/Cursed Totem
4 弧状の稲妻/Arc Lightning
4 ケルドの蛮人/Keldon Vandals


ウルザ・ブロック構築

ウルザ・ブロック構築では、ラッキースライの一種、ゴブリン・バーンが組まれた。



デッキを超軽量ゴブリン火力で仕上げ、倒壊/Raze土地を縛る。

テンペスト・ブロック+ウルザ・ブロック期

テンペスト・ブロックウルザ・ブロック期のスタンダードでは、基本セット第5版から第6版に移行したことで多くの火力を失い、大幅に弱体化。非常に強力なマスティコア/Masticoreなどの存在も逆風となる。

また、ゴブリンの従僕/Goblin Lackeyを使用したラッキースライも登場したが、本格的な始動はエクステンデッドオンスロートが登場してからである。


サンプルレシピ

スライ(TSP+USG) [12]
土地 (18)
17 山/Mountain
1 シヴの地溝/Shivan Gorge
クリーチャー (22)
4 ジャッカルの仔/Jackal Pup
4 モグの狂信者/Mogg Fanatic
3 モグの徴集兵部隊/Mogg Conscripts
3 投火師/Fireslinger
2 ゴブリン巡視部隊/Goblin Patrol
2 モグの下働き/Mogg Flunkies
2 ヴィーアシーノの砂漠の斥候/Viashino Sandscout
1 モグの略奪者/Mogg Raider
1 ラースのスターク/Starke of Rath
呪文 (20)
4 ショック/Shock
4 音波の炸裂/Sonic Burst
1 乾燥/Parch
2 湯焼/Scald
2 狂った怒り/Maniacal Rage
2 巨人の力/Giant Strength
1 血の狂乱/Consuming Ferocity
1 ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment
3 呪われた巻物/Cursed Scroll
サイドボード (15)
3 大荒れ/Havoc
2 スランのレンズ/Thran Lens
2 ボトルのノーム/Bottle Gnomes
2 占有の兜/Helm of Possession
1 呪われた巻物/Cursed Scroll
1 ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment
1 湯焼/Scald
1 ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor
1 弧状の稲妻/Arc Lightning
1 ヴィーアシーノの異端者/Viashino Heretic


テンペスト・ブロック期

テンペスト・ブロック期のスタンダードで、スライの黄金時代とも言われる比類なき強力なデッキとなる。



に匹敵するほどにコスト・パフォーマンスの高いウィニークリーチャー、高効率の火力無色ダメージ源であり息切れ防止にも役立つ呪われた巻物/Cursed Scrollまでも存在する。が群を抜いて強い当時の環境を表したデッキであり、後の環境で再現することは難しい。

チーム・「デッドガイ」の構築したデッドガイレッドテンペスト・ブロック構築スタンダードともに大きな成果を上げた。

だが、あまりにも強力すぎたため、テンペスト・ブロック構築では呪われた巻物は禁止カードに指定されてしまった。

ミラージュ・ブロック期

ミラージュ・ブロック期のスタンダードでは、火葬/Incinerate火炎破/Fireblastなどのトーナメント・レベルのカードが数多く収録されていたため、一躍人気デッキに。同時期のスタンダードミラージュ・ブロック構築で活躍した。



次のテンペスト・ブロックでも優秀カードが数多く採用されたため、スライは黄金時代を迎える。

サンプルレシピ

スライ(MIR) [13]
土地 (23)
19 山/Mountain
4 流砂/Quicksand
クリーチャー (21)
3 ゴブリンの占い屋/Goblin Soothsayer
4 クークズの番人/Keeper of Kookus
3 ゴブリン修繕屋/Goblin Tinkerer
2 ドワーフ鉱夫/Dwarven Miner
4 スークアタの槍騎兵/Suq'Ata Lancer
1 灼熱の槍のアスカーリ/Searing Spear Askari
3 ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker
1 タールルーム・ミノタウルス/Talruum Minotaur
呪文 (16)
4 火葬/Incinerate
4 火炎破/Fireblast
4 ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan
3 ケアヴェクの火吹き/Kaervek's Torch
1 最後の賭け/Final Fortune
サイドボード (15)
4 ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary
2 地の底の精霊/Subterranean Spirit
2 ボガーダン・フェニックス/Bogardan Phoenix
2 砂のゴーレム/Sand Golem
2 否定のワンド/Wand of Denial
2 微震/Tremor
1 工匠の破滅/Builder's Bane


アイスエイジ・ブロック期

アイスエイジ・ブロック期のスタンダードでは、Jay Schneiderの考案したデッキPaul SlighによりPTQを抜けたことで一躍有名になる。



オークの司書/Orcish Librarianによるデッキ圧縮が特徴のため「オークの司書」デッキの名で呼ばれる。詳しくは下記のデッキリストを参照のこと。

サンプルレシピ

スライ(初期型) [14]
土地 (23)
13 山/Mountain
4 ミシュラの工廠/Mishra's Factory
4 露天鉱床/Strip Mine
2 ドワーフ都市の廃墟/Dwarven Ruins
クリーチャー (25)
2 フラーグのゴブリン/Goblins of the Flarg
2 Dwarven Trader
4 鉄爪のオーク/Ironclaw Orcs
2 オークの司書/Orcish Librarian
3 Dwarven Lieutenant
2 火の兄弟/Brothers of Fire
2 オーク弩弓隊/Orcish Artillery
2 Orcish Cannoneers
2 チビ・ドラゴン/Dragon Whelp
4 真鍮人間/Brass Man
呪文 (13)
4 稲妻/Lightning Bolt
1 粉砕/Shatter
4 火葬/Incinerate
1 爆破/Detonate
1 火の玉/Fireball
1 炎の供犠/Immolation
1 黒の万力/Black Vise
サイドボード (15)
3 活火山/Active Volcano
1 粉砕/Shatter
1 爆破/Detonate
1 火の玉/Fireball
4 魔力のとげ/Manabarbs
1 An-Zerrin Ruins
1 ズアーの宝珠/Zuran Orb
1 弱者の石/Meekstone
2 鋸刃の矢/Serrated Arrows


エクステンデッド(オンスロート後)

ローテーション後のエクステンデッドにおけるスライは、土地破壊の要素を組み込み、特にRDWの名で呼ばれることが多い。



優秀なウィニークリーチャー火力に加え、リシャーダの港/Rishadan Port不毛の大地/Wastelandマナを縛り、対戦相手の動きを封じる。また、オンスロートフェッチランドライブラリー圧縮しつつ、終盤の無駄な土地ドローを減らしてくれる。

要となるテンペスト・ブロックローテーションで退場してしまったが、速攻+土地破壊という動きはBDWにも受け継がれている。

オンスロート以降は強力なゴブリンの登場を受けてラッキースライも強化されたが、ゴブヴァンテージに取って代わられてしまい、その後のゴブリンもスライとは動きが異なる。

エクステンデッド(デュアルランド期)

スライはテンペスト・ブロック以降エクステンデッドでも有力なアーキタイプになった。



基本的にはテンペスト期のものと同じで、軽量クリーチャー火力対戦相手ライフ削る。ただし、デュアルランドなど凶悪な特殊地形が蔓延する環境であるため、定番の不毛の大地/Wastelandに加えて発展の代価/Price of Progressも多く採用される。

デッキの性質上遅いコントロールネクロなどには強いが、メタゲームの中心にあったドネイトにはIllusions of Grandeurから苦戦を強いられる。そのため、活躍の度合いはメタによるところが大きい。

サンプルレシピ

Sligh [15]
土地 (22)
18 山/Mountain
4 不毛の大地/Wasteland
クリーチャー (19)
4 ジャッカルの仔/Jackal Pup
4 モグの狂信者/Mogg Fanatic
4 ゴブリン巡視部隊/Goblin Patrol
3 投火師/Fireslinger
4 ボール・ライトニング/Ball Lightning
呪文 (19)
4 呪われた巻物/Cursed Scroll
4 ショック/Shock
4 火葬/Incinerate
4 火炎破/Fireblast
3 ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan
サイドボード (15)
4 紅蓮破/Pyroblast
4 混沌の魔除け/Chaos Charm
3 Anarchy
2 ボトルのノーム/Bottle Gnomes
2 破壊的脈動/Shattering Pulse


レガシー

レガシーでも散見されるアーキタイプである。



レガシーの赤単といえば、ゴブリンデッキが主流であるが、純粋なスライタイプも少なくない。

構成としては、旧エクステンデッドのものを基盤とし、加えて、中盤以降の活躍が期待できる渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer運命の大立者/Figure of Destinyなどが採用される。

強力な特殊地形が蔓延する環境であるため、火力発展の代価/Price of Progressが標準装備である。また、別な特殊地形対策として破滅/Ruinationを使用することもある。

最近では、タッチして闇の腹心/Dark Confidantを採用したり、をタッチしてタルモゴイフ/Tarmogoyfを採用するなどの構成も多く見られる。色が増えるとZooに近い構成をとることが多い。

また、火力が十分に充実している環境であるため、モグの狂信者/Mogg Fanatic以外のクリーチャーを外し、バーン寄りの構成を取るタイプも多い。

サンプルレシピ

スライ(レガシー) [16]
土地 (17)
17 山/Mountain
クリーチャー (24)
4 ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder
4 モグの狂信者/Mogg Fanatic
4 ジャッカルの仔/Jackal Pup
2 モグの下働き/Mogg Flunkies
2 蛮行ゴブリン/Goblin Vandal
4 炎歩スリス/Slith Firewalker
4 ボール・ライトニング/Ball Lightning
呪文 (19)
4 稲妻/Lightning Bolt
4 マグマの噴流/Magma Jet
4 火葬/Incinerate
4 火炎破/Fireblast
3 呪われた巻物/Cursed Scroll
サイドボード (15)
1 破滅/Ruination
2 血染めの月/Blood Moon
2 Anarchy
3 赤霊破/Red Elemental Blast
1 紅蓮破/Pyroblast
2 蛮行ゴブリン/Goblin Vandal
1 呪われた巻物/Cursed Scroll
2 ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary
1 溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge


参考

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