待機
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待機/Suspend | |
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種別 | 常在型能力、誘発型能力 |
登場セット | 多数 |
CR | CR:702.62 |
待機(たいき)/Suspendはキーワード能力の1つ。待機を持つカードが手札にある際に機能する常在型能力と、追放領域に待機している際に機能する2つの誘発型能力からなる。
クリーチャー — ビースト(Beast)
待機5 ― (緑)(このカードをあなたの手札から唱えるのではなく、(緑)を支払うとともにそれを時間(time)カウンターが5個置かれた状態で追放する。あなたのアップキープの開始時に、時間カウンターを1個取り除く。最後の1個を取り除いたとき、それをそのマナ・コストを支払うことなく唱える。それは速攻を持つ。)
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定義
待機 N ― [コスト]/Suspend N - [コスト]は以下の3つの能力からなる。
- あなたがこのカードを手札からスタックに置くことで唱え始められる場合、あなたは[コスト]を支払って、このカードをN個の時間カウンターを置いた状態で追放してもよい。この処理は特別な処理であり、スタックを使わない。(常在型能力)
- あなたのアップキープの開始時に、このカードが待機状態である場合、それの上から時間カウンターを1個取り除く。(誘発型能力)
- このカードから最後の時間カウンターが取り除かれたとき、それが追放領域にある場合、それをマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。そうしない場合、それは追放領域に残る。これによりそれを唱え、なおかつそれがクリーチャーである場合、それはあなたがその呪文またはその呪文がなったパーマネントのコントロールを失うまで速攻を持つ。(誘発型能力)
解説
呪文の提示と、それを実際に唱えるまでの間に時間のずれが発生するメカニズム。時のらせんで初登場し、時のらせんブロック、モダンホライゾン、統率者2021、モダンホライゾン2、ニューカペナの街角統率者デッキ、統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い統率者デッキ、指輪物語:中つ国の伝承統率者デッキ、ドクター・フー統率者デッキ、カルロフ邸殺人事件統率者デッキで再登場した。
唱えるまでに時間がかかってしまうが、代わりに本来のマナ・コストより低いコストで使えたり、待機状態である間に何らかのボーナスをもたらしたり、解決に際してもう一度待機状態に戻る呪文などが登場した。一部にはマナ・コストがなく待機を経由してしか唱えられないものもある。マナ・コストの無いカードの記事を参照。
コストの「先払い」ができることから、他のカードと合わせて1ターンに複数枚のカードを唱えやすくなる。その点で、打ち消し呪文全般には効果的な能力ともいえる。また、唱えた呪文の回数を数える能力(例えばストームなど)との相性もよい。
時のらせんブロックでは全色とアーティファクトに存在し、ほぼ全てが単色で、高位の秘儀術師、イス/Ith, High Arcanistのみ唯一の多色の(および唯一の伝説の)カード。
ドクター・フー統率者デッキではタイミーワイミー/Timey-Wimey(青赤白)にテーマの1つとして採用され、タイムトラベルと共に待機を持つカードや待機を与えるカードが数多く登場した。
自身に待機を与えるカードとして時代寄生機/Epochrasiteとローリー・ウィリアムズ/Rory Williamsが存在する。自身以外に待機を与えるカードには遅延/Delay、ギトゥのジョイラ/Jhoira of the Ghitu、悪意あるコンシェルジュ/Sinister Concierge、Gandalf of the Secret Fire、リヴァー・ソングの結婚式/The Wedding of River Song、わかれ道/The Parting of the Ways、神秘的な預言者/Sibylline Soothsayer、11代目ドクター/The Eleventh Doctor、10代目ドクター/The Tenth Doctorに加え、次元カードとして鉤爪の門/Talon Gatesとエイミーの家/Amy's Homeが存在する。
ルール
待機開始の常在型能力
- 待機コストを支払って追放領域に待機させる行為は特別な処理であり、スタックを用いない。
- 「あなたがこのカードを手札からスタックに置くことで唱え始められる場合」とは、その呪文のカード・タイプによる通常の制限、および瞬速や歴伝・翻弄する魔道士/Meddling Mageなどの効果の影響を加味する(CR:601.3)。
- 例えば、それがクリーチャー・カードであるならば、いわゆるソーサリー・タイミング(あなたのメイン・フェイズであり、あなたが優先権を持ち、かつスタックが空である場合)のみ待機させることができる。しかしヴィダルケンの宇宙儀/Vedalken Orreryの影響下であれば瞬速を持つかのように唱えられるため、同様にインスタント・タイミングで待機させることができる。
- 唱える手順を完了できる状態である必要はない。唱える#1.呪文をスタックに置くが可能ならば手順2以降が不可能でも待機することはできる。
- 例1:遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeronを待機させたい場合、通常のマナ・コストの7マナが出せる状況である必要はない。
- 例2:戦場に対象として適正なクリーチャーが存在しなくても循環進化/Cyclical Evolutionを待機することはできる。
- 待機を開始する時点では、対象やモードなどを選ぶ必要はない。それらは実際に唱える際に選ぶ。
待機状態
- あるカードが「待機状態/suspended」であるとは、それが追放領域にあり、待機を持ち、時間カウンターが1個以上乗っている状態を意味する。
- 待機を持っているが時間カウンターがない状態、あるいは時間カウンターはあるが待機を持っていない状態は、待機状態ではない。
- 追放領域にある、待機状態ではない待機呪文に時間カウンターが乗せられれば、そのカードは待機状態となる。
待機終了の誘発型能力
- 最後の時間カウンターを取り除いたとき、プレイすることを許可する誘発型能力が誘発する。
- 能力が解決中に呪文を唱えるよう指示している(CR:608.2g)ため、通常の唱えるタイミングとは関係なく唱える事ができる。また、この能力がマナ・コストを支払うことなくプレイするという代替コストを定義しているため、マナ・コストの無いカードもプレイすることができる。
- 通常、待機した呪文はあなたのアップキープにプレイすることになるが、憤怒の魔除け/Fury Charmなどを用いれば異なるタイミングで誘発させることも可能。
- この誘発型能力を打ち消すことで、プレイすることを防ぐことができる。時間カウンターがすでに乗っていないため、待機状態ではなく単純に追放領域に置かれていることになる。
- カードをプレイするのは任意である。プレイしなかった場合、それは追放領域に置かれたままになるが待機状態ではなくなる。
- 必然的に、追放領域からプレイすることになるし、またマナ・コストを支払わずにプレイすることになる。一部の呪文や能力との相性に注意。
- 注釈文では「マナ・コストを支払うことなく唱える」となっているが、実際のルールは#定義の通り「マナ・コストを支払うことなくプレイする」である点に注意。
- 例えば遅延/Delayによって絡みつく花面晶体/Tangled Florahedronが待機を得た場合、最後の時間カウンターが取り除かれた時に、土地である第2面の絡み谷/Tangled Valeとしてプレイすることもできる(「マナ・コストを支払うことなく唱える」だと、絡み谷としてプレイすることはできない)。
- 唱えたのがクリーチャーである場合、それはあなたがコントロールを失うまで速攻を持つ。注釈文では「それは速攻を持つ」とだけ書かれているが、実際のルールは#定義の通りである点に注意。
- コントロールを失わない限りを速攻を持ち続けるため、胆力の道/Path of Mettleなど速攻を参照するカードに影響があることに注意。
旧ルール
- カルロフ邸殺人事件で総合ルールが更新させる以前は、待機の誘発型能力でプレイすることは強制であった。
- 追加コストを支払えない、適正な対象が存在しない、および翻弄する魔道士/Meddling Mageによって唱えることを禁止されているなど、不可能な場合を除き、必ずプレイしなければならなかった。
- 変更理由としては、呪文を「必ず唱えなければならない」という指示がルール上複雑であること(上記のマナの支払いなど)、特殊な事例において止められない無限ループを引き起こしかねないこと、それらの存在が待機をデジタルゲームで実装するうえで問題になることの3点が挙げられている[1]。
- 2つ目のループの例としては、戦場のクリーチャーがあなたの弾けるドレイク/Crackling Drakeのみであり、追放領域にあるあなたのカードがインスタント3枚と何らかの効果で待機状態になった刃による払拭/Blade Banish1枚のみである場合が挙げられている。旧ルールの場合、刃による払拭の最後の時間カウンターが取り除かれると、それがスタックに移動することで弾けるドレイクのパワーが3になり、唯一の対象が対象不適正になったことで巻き戻しが起こる。しかし強制効果ゆえにまた刃による払拭を唱えようとするので、ルールに厳密に則ると選択肢のない無限ループとなる。
その他
- 待機より前に登場したアーテイのおせっかい/Ertai's Meddlingは、スタック上の呪文を擬似的な待機状態にする。
- 時のらせんブロックの待機を持つカードではイラストに水色の「時間の波」が描かれており[2]、また多くのものでは「境界を越える」ことをイメージさせる描写がなされている。
- 「青緑色の霊気/Aetherのゼリーに閉じ込められていた別時間の呪文やクリーチャーが現在に出現する」というコンセプトであり、アメリカ合衆国で放映されていたSFテレビドラマ「トワイライト・ゾーン」の1エピソードから着想を得ている[3]。
- 注釈文が非常に長い。ルール的にも複雑であり、そのためストーム値も高くなっている。
- モダンホライゾン2では同名のカードが登場した(→待機/Suspend)。
- 待機状態を参照するキーワード処理としてタイムトラベルがある。
開発秘話
- 唱えるために数ターンを要する「伝説の呪文」を表現するために神河救済で用意されていたメカニズムであったが、実際の「伝説の呪文」には歴伝が割り当てられることとなり、待機は時のらせんまで保留となった[4]。
- 開発当初は待機によって唱えられたクリーチャーが速攻を持つ機能はなかったが、プレイテストの結果プレイヤーは長い時間をかけてようやく手に入れたクリーチャーですぐに攻撃したくなるものだということが分かったという。この本性に逆らうべく様々な手法が試みられたが、最終的には全ての待機クリーチャーに速攻を与えることでプレイヤーが望むように行動できるようにした[5]。
参考
- ↑ @Dunkatog(X/Twitter 2024年1月27日 Jess Dunksによる一連のスレッド)
- ↑ 27 Things You Might Not Have Known About Time Spiral Block/『時のらせん』ブロックについて諸君が知らない27のこと(Making Magic 2021年3月8日 Mark Rosewater著)
- ↑ Act Two of Three/三部作第2部 マジックの風味(Internet Archive)(Feature 2007年2月15日 Jeremy Jarvis著)
- ↑ Time Spiral Q&A(Latest Developments 2006年11月10日)
- ↑ Twenty Years, Twenty Lessons—Part 1 /20の年、20の教訓 その1(Making Magic 2016年5月30日)
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.62 待機/Suspend
- 702.62a 待機は3つの能力を表すキーワードである。1つ目は、待機を持つカードがプレイヤーの手札にある間に機能する常在型能力である。2つ目と3つ目は、追放 領域で機能する誘発型能力である。「待機 N―[[[コスト]]]/Suspend N ─ [cost]」は「あなたがこのカードを手札からスタックに積むことで唱え始められるなら、あなたは[[[コスト]]]を支払って、このカードを時間カウンターN個を置いた状態で追放してもよい。この処理はスタックを使わない。」と「あなたのアップキープの開始時に、このカードが待機状態である場合、これの上から時間カウンター1個を取り除く。」と「このカードから最後の時間カウンターが取り除かれたとき、これが追放されている場合、可能ならこれをマナ・コストを支払うことなくプレイする。そうできないなら、これは追放されたままである。これによりクリーチャー・呪文を唱えたなら、あなたがこの呪文やこの呪文がなったパーマネントのコントロールを失うまで速攻を持つ。」を意味する。
- 702.62b カードが追放 領域にあり、待機を持ち、その上に時間カウンターが置かれている場合、そのカードは「待機状態/suspended」である。
- 702.62c 待機を持つカードを唱え始められるかどうかを決定する場合、そのカードを唱えることを禁止するあらゆる効果を考慮する。
- 702.62d 待機 能力の効果により呪文を唱えることは、rule 601.2b、rule 601.2f-h の代替コストの支払いのルールに従う。
- 702.62 待機/Suspend
- 702 キーワード能力