カルドハイム/Kaldheim
提供:MTG Wiki
カルドハイム/Kaldheimは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。プレインチェイスで初登場し、カルドハイムの舞台となった。
目次 |
世界観
カルドハイムは多数の個別の領界/Realmから成る巨大な次元/Planeである。領界とは小さな次元であり、いずれも自分たちを生み出した宇宙的構造物と繋がっており、その周りを予測不能の軌道で周回している。領界の民は、この構造物を巨大な生きた樹――世界樹/The World Treeであると見なしている。そしてそれはすべての生命の起源であり、広大な無の中に生えているのだと。領界内では、世界樹は物理的な樹として現れ、その枝は空に見ることができる。
シュタルンハイムの光/The Light of Starnheim
カルドハイムには太陽も月もない。だがすべての領界から戦乙女の聖堂/The Hall of Valkyriesを見ることができ、その姿は太陽から離れた位置に光が見える現象、幻日によく似ている。これは「シュタルンハイムの光/The Light of Starnheim」として知られており、住民たちはそれを表すシンボルを用いる。
星界/The Cosmos
領界と領界の間は、オーロラのように移り変わる光で満たされた不明瞭な空間であり、星界/The Cosmosとして知られている。ある領界の住民が星界を渡って別の領界に達することは、困難ではあるが不可能ではない。
星界の怪物
星界の怪物として知られる魔法生物は、領界間の空間に棲み、栄えている。それらのほとんどは狼や鷲などの見覚えのある動物に似ているが、桁外れの大きさに育っており、神秘的な能力と超自然的な知識で増強されている。星界の怪物たちが生まれた際、世界のあらゆる秘密が――まだ起こってない出来事も含めて――その精神の内に封じられた、カルドハイムの民はそう信じている。多くの領界における魔道士が、そして神でさえもが、その秘密を解き明かすことに生涯を捧げてきた。
これらの怪物は信じられないほど古い存在だ。それらは世界樹の最初の「果実」であると言われており、現在は世界樹の守護者として働き、次元自体と領界の構造を保っている。星界の怪物のほとんどは領界間を自由に移動でき、領界に入り込んだ際には破壊と混乱をもたらすこともしばしばである。
星界の怪物たちに、星界に棲むこと以外の共通点はほとんどない。その大きさは、想像を絶するほど巨大な星界の大蛇コーマ/Komaから、神エシカ/Esikaの掌に乗るほど小さなリスのトスキ/Toskiまで様々だ。星界の怪物の多くはよく知られており、多数の英雄譚に登場するが、一方で誰も見たことのない、生態不明の怪物もいる。中には世界樹より大きな怪物もいるかもしれない――それは神の心にさえも恐怖を呼び起こす考えだ。
星界渡り
普通の人間が適切な魔法を用いずに星界に足を踏み入れれば、まず方向感覚を失い、次に恐怖し、すぐに狂気に屈するだろう。星界の怪物は不運な旅人に引き寄せられ、速やかに貪り喰らうだろう。彼らがたまたま怪物を回避できたとしても、食料も水もなく、星界を移動するのはほぼ不可能だ。しかし、適切な類の魔法――特別な呪文、神の武器、強力なルーンが刻まれた船――があれば、星界を渡り、ある領界から別の領界へと旅することができる。
領界路/Omenpath
領界が世界樹上を移動すると、領界間に領界路/Omenpathと呼ばれる通路が開くことがある。ある領界の住民は、領界路を使って別の領界に辿り着くことができる。これは、風景にきらめく光を歩いて通り抜けるくらい簡単なこともあるが、中にはもっと危険な領界路もあり、揺れ動くトンネルを這って進んだすえ、見知らぬ領界の山頂に思いがけず躍り出ることもある。ひとたび領界間に領界路が開けば、一部の強大な魔道士はそれを意のままに閉じたり、再び開いたりすることができる。領界路が開くのは、多くの場合、暴力的なドゥームスカール/Doomskarとして二つの領界が重なり合う前兆だ。
その他の渡り
神を神たらしめる星界の霊薬/The Cosmos Elixirのおかげで、神々は星界の方向感覚を失わせる効果に耐性があり、他の種族よりも容易に領界間を渡ることができる。それでもなお小次元間を単に渡るのは困難な旅となるため、彼らは多くの場合、領界路を開く魔法物を使用する。珍しい例だが、直接領界間を渡れる魔法物を使うこともある。
多相の戦士の姿を変える能力や、領界路探し/The Omenseekersのルーンで強化された長船も、領界間を通行することを可能にしている。
領界/Realm
十の領界が知られている。それら以外にも領界はあるが、詳細は語られていない。
ブレタガルド/Bretagard
人間の領界。対立する五つの人間氏族が住まう。広大な平原が広がる一つの大陸と、それを取り囲む嵐の海から成る。
詳細はブレタガルド/Bretagardを参照。
アクスガルド/Axgard
ドワーフの領界。
スケムファー/Skemfar
エルフ/Elfの領界。
セルトランド/Surtland
巨人の領界。
シュタルンハイム/Starnheim
戦乙女/Valkyrieの領界。
リトヤラ/Littjara
多相の戦士の領界。
イストフェル/Istfell
スピリットの領界。
Karfell
Draugrの領界。
イマースターム/Immersturm
デーモンの領界。
ノットヴォルド/Gnottvold
トロールの領界。
ドゥームスカール/Doomskar
各領界は独立しているが、それらはすべて世界樹の周りを絶えず移動しており、時に重なり合うことがある。このような重なり合いはドゥームスカール/Doomskarと呼ばれている。それは世界を変えるほどの地震と地質学的な不安定化を特徴とする、暴力的で爆発的な出来事だ。必然的に、重なり合う領界の住民同士は衝突する。
スコーティ/The Skoti
現在支配的な神の家門であるスコーティ/The Skotiは、数世紀前に古きアイニール/The Einirに取って代わった。アイニールの子孫はエルフ/Elfであるが、その力は大幅に低下している。
神々の「家門」は複数存在するが、それらはすべて世界樹の精髄と宇宙的な繋がりを持っている。アイニールはコーマとの繋がりを通して世界樹と交信していたとエルフは信じている。一方で、スコーティは世界樹の神エシカが作り出した魔法的な「星界の霊薬/The Cosmos Elixir」を飲む。星界の霊薬はまた、スコーティの老化を遅らせ、超自然的な力を保たせている。
スコーティは信じられないほど強大だが、同時に自己中心的で、とかく争いがちで、常に領界内でトラブルを引き起こしている。彼らは極めて強いか速いか機敏であることに加え、それぞれの神が自身の影響範囲に関連した特別な力と能力を持っている。神々は強い個性を持っており、それぞれが同胞との複雑な関係網に絡んでいる。神々は個々に強大だが、彼ら同士の対立はこの次元にとってますます問題になっている。
タイライト/Tyrite
神々は世界樹の「樹液」に由来する極めて魔法的な物質を使用する。タイライト/Tyriteはまるで、星界のオーロラ状の光が固体の形を取ったもののように見える。神々はそれを安全に扱うことができるが、定命の者がタイライトに直接触れるのは極めて危険だ。
世界樹の神エシカはタイライトから星界の霊薬を作るため、スコーティの肌やその他の外面には、仄かに(時にはそれほど仄かでなく)オーロラ光の影響が表れる。
種族
- 神/God
- 人間/Human
- ドワーフ/Dwarf
- エルフ/Elf
- 巨人/Giant
- 戦乙女/Valkyrie
- 多相の戦士/Shapeshifter
- スピリット/Spirit
- Draugr
- デーモン/Demon
- トロール/Troll
キャラクター
- カルドハイム出身者
- タイヴァー・ケル/Tyvar Kell - エルフの戦士。男性。自然の物質を、近くにある別の自然素材に変える能力を持つ。
- 他次元からの訪問者
- ケイヤ/Kaya - Tolvada出身者。女性。かつては幽霊暗殺者として活動していた。
- ティボルト/Tibalt - イニストラード/Innistrad出身の半人間・半小悪魔。男性。
- ニコ・アリス/Niko Aris - テーロス/Theros出身者。ノンバイナリー。鏡の破片のような武器に触れた生物を一時的に閉じ込める能力を持つ。
- チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar - カラデシュ/Kaladesh出身の人間の紅蓮術師。女性。ラマーズを追ってカルドハイムに辿り着く。
- ラマーズ/Ramaz - 詳細不明の自然魔道士。男性。カルドハイムでチャンドラと激突する。
- アングラス/Angrath - 赤熱する鎖を操るミノタウルス/Minotaur。男性。ファートリに異世界たるカルドハイムを見せる。
- ファートリ/Huatli - イクサラン/Ixalan出身の人間の恐竜騎士。女性。カルドハイムの風景を垣間見るも、不滅の太陽/The Immortal Sunに引き戻されてしまう。
- カルドハイムの住人
- スコーティ(神)
- アールンド/Alrund - 知恵の神。男性。星界の怪物と戦って莫大な知識を得た。
- レーデイン/Reidane - 正義の神。若く傲慢、熱狂的で、大義のために尽力する。
- ハルヴァール/Halvar - 戦闘の神。無私で断固としていて動じない、最も分別ある神。
- イーガン/Egon - 死の神。男性。神の中でも最年長の部類だが、年を取るほど若返るため、外見は十代。
- トラルフ/Toralf - 雷霆の神。恐れ知らずの勝負師で、野生的な偉業と英雄譚に値する冒険への情熱を持つ。
- ビルギ/Birgi - 自慢の神。女性。カリスマ的で楽しみを愛し、領界を渡りながら常に注目の的となる。
- コシマ/Cosima - 海の神。女性。極めて好奇心旺盛かつ激情的。星界の怪物として生まれた。
- ターグリッド/Tergrid - 恐怖の神。熟練の戦士で、その影はそれ自身の生を持つ。
- ヴァルキー/Valki - 嘘の神。男性。虚栄心が強く利己的で、常に他の神とトラブルを起こしている。
- エシカ/Esika - 世界樹の神。女性。神々の超自然的な力の源である星界の霊薬を作り出す。
- コルヴォーリ/Kolvori - 種族の神。女性。お喋りかつ元気一杯で、家族たる神々の命運を気にかけている。
- ヨーン/Jorn - 気候の神。男性。優れた追跡者で、あらゆる領界内と領界間の最も早く安全な道を知っている。
- 人間
- インガ/Inga - 領界路探しの長。女性。盲目だが、実際には常人を超えた視界を持つ。氏族が集めたすべての知識を保有する。
- 星界の怪物
- コーマ/Koma - 星界の大蛇。自身をいくつもの小さな断片に分割できる。エルフに崇拝されている。
- サルーフ/Sarulf - 領界喰らいと呼ばれる狼。世界の誕生とともに生まれたとされる。
- トスキ/Toski - 悪戯好きなリス。神々の伝令として世界樹の枝を跳ね回り、あちこちの領界に報せを届ける。
- ファイレクシアン
登場
登場カード
登場作品・登場記事
- The Planes of Planechase(Savor the Flavor 2009年9月2日 Doug Beyer著)
- マジック2014―デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ(コンピューターゲーム)
- Glimpse the Far Side of the Sun/太陽の向こう側(Magic Story 2018年1月17日 R&D Narrative Team著)
- Episode 1: Travelers/メインストーリー第1話:旅人たち(Magic Story 2021年1月7日 Roy Graham著)
- PLANESWALKER'S GUIDE TO KALDHEIM, PART 1/プレインズウォーカーのためのカルドハイム案内 その1(Magic Story 2021年1月8日 Ari Zirulnik著)
- Know Which Way the Wind Is Blowing/サイドストーリー第1話:風は何処へ吹いている(Magic Story 2021年1月8日 Setsu Uzume著)
その他
- 初出はプレインチェイスの次元カードで、その際は猛吹雪と極寒の山地帯スカイブリーン/Skybreen(イラスト)が存在し、そこには原始的で野蛮な種族が住んでいるとされた。その後マジック2014―デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズにて、ラスボスのラマーズ/Ramazがいる次元として登場。さらにイクサラン・ブロックのストーリーにて、アングラス/Angrathとファートリ/Huatliが一瞬だけ訪れた極寒の次元として登場した。そしてプレインチェイス発売から11年以上が経ったカルドハイムで満を持してセットの舞台となり、詳細な設定が与えられた。
- モチーフは北欧神話とヴァイキング。北欧神話では、世界樹ユグドラシルで繋がれた九つの世界があるとされる。
- 「北欧神話をモチーフとした世界」は、かねてよりユーザーからのリクエストが特に多かったものの一つである[1]。
- 類似の文化モチーフ(北欧、ヴァイキング、巨人族)を持つ地域としては、ドミナリア/Dominariaのハンマーハイム/Hammerheimも存在する。
- kaldとheimはいくつかのゲルマン語派に存在する単語で、それぞれ英語のcoldとhomeに相当する。heimには「家」以外に「世界」の意味もあり、したがってカルドハイムは「寒冷な世界」といった意味合いとなる。北欧神話では、世界の名前の多くが古ノルド語でheimに相当するheimrで結ばれており(ニヴルヘイムなど)、カルドハイムの命名時点で北欧神話をモチーフにする構想はあったものと思われる。
- 公式記事「Kaldheim Product Overview/『カルドハイム』製品紹介」では没となった領界の案が紹介されているが、その内容は「揉め事が議論ではなくマジック:ザ・ギャザリングと呼ばれるカードゲームで解決される領界」「エムラクール/Emrakulが触手を伸ばしてリラックスしたい時に訪れた場所」など突拍子もないものばかりであり、ジョークと見て間違いないだろう。