唱える

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2022年5月12日 (木) 22:53時点における053 (トーク | 投稿記録)による版
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唱える/Castは、キーワード処理の1つ。呪文を使うときに行われる処理である。

目次

定義

呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、その呪文を現在ある場所からスタックに置き、コスト支払うことを意味する。呪文を唱えるためには、以下の一連の手順を踏む必要がある。手順を完了できない場合、それは不正な処理として巻き戻される

  1. 呪文を唱えることを宣言し、カードを元ある領域からスタックの一番上に乗せる。
    • 適正に唱えることができない呪文はこの手順を開始できない。ただし後述の条件に該当する場合は例外であり、手順を開始することができる。
  2. その呪文がモードを持つ場合、そのモードの選択を宣言する。代替コスト追加コストなどを持つ場合、どれを支払うのかを宣言する。マナ・コストXを含んでいるなど可変のコストを持つ場合、その値を宣言する。混成マナ・シンボルファイレクシア・マナ・シンボルを持つ場合、どのように支払うかを宣言する。
  3. 対象の数を宣言したのち、対象を宣言する。
  4. 対象への割り振りがある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。
  5. ここまでの宣言や選択を考慮し、呪文が適正に唱えられるかどうか判定する。不正であった場合は唱えることを宣言する直前まで巻き戻される。
  6. 総コストが決定される。これ以降、総コストは固定される。
  7. 総コストにマナの支払いが含まれる場合、マナ能力を起動する機会を得る。
  8. すべてのコストを好きな順で支払う。

これらの手順を完了することで、呪文は唱えられたことになる。この条件で誘発する能力はその時点で誘発する。

手順1における唱え始めることができる例外とは以下のものである。

  • 効果によって特定の性質を持つ呪文を唱えることが禁止されている場合でも、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより唱えることが禁止されなくなるなら、唱え始めることができる。
  • 効果によって瞬速を持つかのように特定の性質を持つ呪文を唱えることが認められている場合、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより効果が適用されるようになるなら、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
  • 効果によって、プレイヤーが代替コスト追加コストを支払った場合に瞬速を持つかのように呪文を唱えることが認められている場合、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
    • 例:総くずれ/Routは、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。これは、総くずれの効果が、追加コストを支払えば瞬速を持つかのように唱えることを認めているからである。
  • 呪文が特定の条件を満たした時にのみ瞬速を持つ場合、その条件を満たしているなら瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
  • ルールや効果が、カードやカードのコピーを唱えるのが適正かどうかを判断するのに代替の特性群あるいは特性群の一部だけを参照するという場合、そのプレイヤーが唱え始められるようになる前にそれらの代替の特性でそのオブジェクトの特性を置き換える。
  • 追放領域にある裏向きのカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えることを許可する効果が存在する。プレイヤーは、追放領域にあるその裏向きのカードを見ることができる場合にのみ、その種の呪文を唱え始めることができる。

解説

基本セット2010で制定されたキーワード処理であり、以前(第6版から)は、土地プレイ起動型能力起動を含めてすべて「プレイ」と呼んでいた。

Castという概念は、リミテッド・エディションから存在したものの、第6版でプレイに統合されたため、長年の間廃語となっていた。なお、その時の日本語訳は「かける」であった。

唱える領域やタイミング

通常、いつ、どこから呪文を唱えられるかはカード・タイプごとにルールによって許可されている。

  • インスタントは、優先権を持っていれば手札から唱えることができる。
  • ソーサリークリーチャーアーティファクトエンチャントプレインズウォーカーは、優先権を持っており、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間に手札から唱えることができる。
    • インスタントとソーサリー他の違いを説明するために「自分のメイン・フェイズ中でスタックが空で無いと唱えることができない」という表現が使われることが多いが、厳密にはタイミングが異なるだけでどちらも唱えることを「できる」とするルールである。
  • 土地は他のカード・タイプを持っていても、呪文として唱えることはできない(CR:300.2a)。例として、ドライアドの東屋/Dryad Arborマナ・コストを支払うことなく唱える効果でも唱えることはできない。生けるものの洞窟/Zoetic Cavernは、変異で土地でなくなるため唱えることができる。
  • 定義において列挙されている例外を除いて、適正に唱えられない呪文は唱え始めることができない。例外の部分が結果的に適正であるかどうかは#定義の手順5でチェックされる。
    • 分割カード融合せず唱える場合は、スタックに置く前に唱える側を決定する。呪文を唱えることを許可したり制限したりする効果の影響は、この時決定した側の特性のみをチェックする。
    • 変異はまずカードを裏向きにし、ルール文章カード名クリーチャー・タイプマナ・コストを持たない、2/2の裏向きのクリーチャー・カードにする。呪文を唱えることを許可したり制限したりする効果の影響は、この特性のみをチェックする。
    • 授与を持つカードはクリーチャー・カードだが、#定義の手順3で授与コストを支払うことを選ぶとオーラ・エンチャント呪文に変化する。呪文を唱えることを許可したり制限したりする効果の影響は、この特性のみをチェックする。
    • 当事者カードは、クリーチャーとして唱えるのならばクリーチャーの側の特性のみをチェックし、出来事として唱えるのならば出来事の側の特性のみをチェックする。

唱える領域やタイミングの拡張

効果によって、手札以外の領域から呪文を唱えたり、優先権が無い呪文や能力の解決中に呪文を唱えることを許可されたりする。

  • キーワード能力瞬速を持つカードは、インスタントでなくても優先権を持っていれば唱えることができる。
  • キーワード能力のフラッシュバック回顧などは、カードを手札ではなく墓地から唱えることを許可する。
  • キーワード能力のマッドネス続唱他、一部の呪文や能力はその解決中に呪文を唱えるよう指示する(CR:608.2g)。それらの呪文はスタックで解決中の呪文や能力の上に置かれ、#定義に従って通常と同じように唱えられる。ただし、唱え終わった後にプレイヤーが優先権を得ることはない。唱え終わった後は、現在解決中の呪文や能力の解決を続ける。ここに、これと同様に他の呪文を唱えることが含まれることもありうる。通常、解決中にはそれ以外の呪文を唱えたり能力を起動したりはできない。
    • 「唱えてもよい」と書かれた効果でも、それが未来予知/Future Sightのように常在型能力によるものであったり、「このターン」「このカードが追放されている限り」など期間が設けられているなら、それは呪文や能力の解決中に唱えることを指示しているわけではない。それらは通常のカード・タイプによる許可に従って唱える必要がある。
  • マジックの黄金律に従い、その呪文を唱えることが「できない」効果があるなら「唱えてもよい」という効果でも唱えることはできない。

その他のルール

  • 必要なコストが支払える限り、1ターンに唱えることができる呪文の数にルール上の制限はない。
  • たとえその呪文の解決時に効果が発揮されないことになるとしても、適切な対象を取りコストを支払えるなら、呪文を唱えることはルール上適正である。
    • 例:「クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。」という効果を持つ圧点/Pressure Pointを既にタップ状態のクリーチャーに唱えてもよいし、「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。」という効果を持つ精神腐敗/Mind Rotを手札が1枚以下の対戦相手に唱えてもよい。
  • 呪文を唱える一連の手順の間に優先権は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力に限り#定義の手順6で唱えるプレイヤーのみが起動できる。
  • CR601.2の手順を踏まずにスタックや戦場に置かれたものは「唱えられた」とは言わない。
  • 「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。

ルールの変遷

ある呪文が唱え始めることができるかの判定について、何度かルールが変更されている。

  • マジック2010で制定された当時は「601.5. プレイヤーは、唱えることが禁止されている呪文を唱え始めることはできない。」によって唱え始める前(上記定義の1の前)にのみチェックしていた。裏向きの呪文のみ例外がかけられていた。
  • テーロスで唱えている間にカード・タイプが変りうる授与が登場したことによりその扱いに問題が生じた。そのため2015年7月の総合ルール更新で旧601.5を廃止し、呪文を唱えることが適正かどうかを現在の#定義の手順5のみでチェックするように変更された[1]
  • だがこれにより、例えば「対戦相手のライブラリーの上から4枚目を唱える宣言をしてスタックに置き内容を確認する(その後、唱えることが不可能なので巻き戻される)」といった行動も許容することになってしまった。そこで、2015年10月に、プレイヤーは適正な方法に従って呪文を唱え始めなければならないが「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」は無視できる(それは手順5の段階でのみチェックされる)というルールに変更された[2]
  • 追加コストを支払うことで瞬速を持つかのように唱えられる呪文や、シガルダの助け/Sigarda's Aidの下で授与を適用して唱える場合など、実際に唱えられるかどうかは唱え始めた後に適正になる場合の矛盾を解消するために2016年7月に現在のCR:601.3が追加された[3]
  • イクサランの束縛/Ixalan's Binding不死身、スクイー/Squee, the Immortalスタンダードで同居したことで、イクサランの束縛と追放領域から唱えられるカードとの相互作用とその裁定が話題になった。イクサランの束縛でスクイーを追放しても、イクサランの束縛の効果は「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」なので唱え始めることができ、スクイーが追放領域からスタックに移動するため手順5のチェックでイクサランの束縛の唱えられなくする能力の適用外になる。これは奇妙で直感に反し、ルール的に意図したものでも無かったため、2018年6月に改めて「ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。」とした上で601.3でそれを回避できる条件を明記するルールとなり、スクイーはこの例外に当てはまらないため唱えられなくなった[4]

その他

  • スタックに乗る時点を勘違いしやすいため、注意が必要。
  • ソーサリー呪文またはインスタント呪文を唱えることを、俗に「(呪文を)撃つ」とも表現する。

脚注

  1. Magic Origins Update Bulletin—Comprehensive Rules Change(Daily MTG 2015年7月16日)
  2. Battle for Zendikar Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Daily MTG 2015年10月9日)
  3. Eldritch Moon Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Daily MTG 2016年7月28日)
  4. Core Set 2019 Comprehensive Rules Changes(Daily MTG 2018年7月6日) - 特殊セット発売時の総合ルール更新は記事にされないため基本セット2019発売に合わせた発表になっている

参考

引用:総合ルール 20231117.0

引用:総合ルール 20231117.0

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