剣を鍬に/Swords to Plowshares

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Swords to Plowshares / 剣を鍬に (白)
インスタント

クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、そのパワーに等しい点数のライフを得る。


マジック最強のクリーチャー単体除去呪文。たった1マナで無条件にクリーチャーを追放できるのに、その反動がコントローラーに幾らかのライフを与えるだけ。黎明期にはライフ回復が不当に重視されていたことをよく示しているカードである。

使用可能なフォーマットではコントロールデッキに確実に採用されるだけでなく、このカードを入れるために白をタッチすることもあるほど。特にエターナルではその傾向が強く、単体除去の代名詞的存在となっている。

  • 第5版では「カードパワーの割に低コスト」という理由で収録されなかった(Taming the Flames(Duelist誌17号の記事))。
  • 新枠で何度か再録されているものの、スタンダードパイオニアモダンで使用できる形では収録されていない。実績を考慮すると今後もそうなるだろう。
    • 特殊セットでは常連である。エターナル統率者戦で使いたい人には手に入りやすいのがありがたい。
  • 「殺す」のではなく「戦いをやめさせる」という白の除去のイメージを確立したカード。したがって、墓地には行かず、追放されるのである。この追放はカード名イラストから農場送りと呼ばれたりもした。
  • 絶体絶命の状況におけるライフの回復のために、まれに自分のクリーチャーに向かって唱えることがある。実際、プロツアーシカゴ99の決勝戦では、このプレイングによって即死級の生命吸収/Drain Lifeからギリギリで生き残り、勝利を得たマッチがあった。
  • 当時はまだ追放効果が珍しかったこともあり、これで追放したカードを離れた場所に置いておいた結果、ゲーム終了後に戻し忘れてしまうプレイヤーが多かった。マジック日本語版発売開始直後だったこともあり、日本では初心者が多かったのも一因。
  • 最強と謳われているこのカードだが、それゆえ当時ほとんどのプレイヤーが除去をこのカードに頼っていたため、たった一体のプロテクション(白)を処理できずに多くのプレイヤーが敗れ去ったという話も残っている。
  • 俗称は「ソープロ」または「けんすき」。英語の頭文字からStP,StoPなどとも呼ばれる。→カードの俗称

カード名

カード名は、旧約聖書「イザヤ書」2章4節および「ミカ書」4章3節が出典。転じて、「戦いをやめ、農作業など平和への道を歩む」という意味の慣用句である。

公式訳は「つるぎすきに」。しかし「剣」「鍬」はそれぞれ「けん」「くわ」と読めることや上記俗称のために、カード名にふりがなが振られる前は違う読み方をする人も多かった。→変な読み方

また、「鍬」は通常「くわ」と読み、「すき」という読みは、漢和辞典に載ってはいるものの稀である。そのため、漢字表記について議論がある。

  • 日本語の「すき」は刃が柄からまっすぐに伸びているもので、「くわ」はL字に曲がっているもの。日本語では多くの場合、前者に「鋤」、後者に「鍬」の字を充てる。しかし中国語ではその逆である。そのため、漢字を以てどちらが正しいということは難しい。聖書の訳では、「剣を鋤に」「剣を鍬に」どちらも使われているが、「鋤」のほうが優勢である。
  • 英語のplowは、牛やトラクターに引かせるものであり、日中ともに漢字では「犂(すき)」の字が充てられる。簡体字中国語版では「化剑为犁」と「犂」の字が使われている。
  • 本来はplowだけで「すき」を表し、 plowshareは「すきの刃」の意であるが、語呂の良さと聖書の一般的な訳から、「刃」は省略されている。

イラスト、フレイバー・テキスト

リミテッド・エディション第4版

農作業に従事している男性が描かれている(イラスト)。しかし、持っている農具は柄に横に伸びた取っ手があり、斜め下に構えているため「すき」ではない可能性が高い。刃が見えないので断言はできないが、この形状と構え方は草刈り鎌(Scythe)のものである。

"Peace hath her victories
No less renowned than war"

John Milton,
"To the Lord General Cromwell"
平和にも勝利があるのです。その高名さは戦争に劣るものではありません。
ジョン・ミルトン『クロムウェル将軍に宛て』

アイスエイジ

白き盾の騎士団/Order of the White Shieldの持つ剣が犂の刃のように広がり、平和の象徴である鳩に変化する様子が描かれている(イラスト)。フレイバー・テキストは、バルデュヴィアの蛮族/Balduvian Barbariansたちが戦いの強さではなく名誉を重んじることを説明するルシルド・フィクスドッター/Lucilde Fiksdotterの台詞。

いわゆる蛮族というものは、我らの兵としての強さに敬意を表しません ― 我らの名誉に敬意を表するのです。
白き盾の騎士団の団長、ルシルド・フィクスドッター

エルズペスvsテゼレットほか

農業に関するものが全く描かれていないイラスト。戦いに後悔する人間戦士が描かれている。その人物は剣をあたかも農具のように担いでいるが、刃が首や手に触れていても意に介していないようである。

ごく小さい後悔の種が救済の花を咲かせる。

2013年ジャッジ褒賞および統率者レジェンズ

「剣を振りかぶった騎士」から、「くわを振りかざした農民」へトランジションしていくイラスト。フレイバー・テキストはエルズペスvsテゼレット版と変わらず。

Secret Lair Drop Series: Happy Yargle Day!

この呪文を食らったついでだろうか、エルズペスvsテゼレット版の人の格好を真似して、平和について思案/Ponderしてみたアーボーグの暴食、ヤーグル/Yargle, Glutton of Urborgが描かれている(イラスト)。彼に全く似つかわしくないカードだが、フレイバー・テキストを見るにやはり彼に平和を説くのは無駄であったようだ(日本語訳はMTGアリーナより)。

He stood transfixed, able to do nothing but ponder a life of peace and redemption.
It was the worst five minutes of his life.
彼は立ちすくみ、平穏な生活と贖いについて思案することしか出来なくなった。それは彼の生涯における最悪の五分間であった。

関連カード

主な亜種

さすがに強すぎたということで、以後作られた亜種の大半はそれなりに弱められている。特記しない限りの追放インスタント。クリーチャー・トークンを与えるタイプは死後の生命/Afterlifeの項を参照。

参考

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