意志の力/Force of Will

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アライアンスを代表するメカニズム、ピッチスペルの1つ。

マジック史上最強クラスの打ち消し呪文であり、ピッチスペルの代表的存在。効果マナ・コストだけ見れば重い対抗呪文/Counterspellだが、1点のライフカード1枚という代替コストを持つ。

目次

[編集] 解説

マナ支払うことなく打ち消し呪文を撃てるというのはこの上なく強力である。まず、戦場に関係なく(フルタップ状態でも)手札2枚だけでブラフになるため、環境に存在するだけで大きな意味を持つ。また、タイム・アドバンテージテンポ・アドバンテージの観点でも極めて優秀であり、隙を作らない、展開を阻害しないという強い長所から、パーミッションだけでなくコンボデッキビートダウンでも大いに使われる。まさに当時の青を最強のたらしめたカードである。

また、後攻の場合に1ターンキルされるのを防ぐ手段の一つとして重宝され、エターナル環境の青絡みのデッキでの採用率は非常に高い。意志の力の存在が青を使う理由になるくらいである。

ただし、代替コストで唱えると2対1交換になるためカード・アドバンテージを失ってしまうのには留意が必要である。上記のように対コンボデッキカードとして優秀であるためメインデッキに多く採用されるものの、特定のキーカードを持たないデッキに対してはサイドアウトされることも多い。また、他の選択肢が存在する場合は採用が控えられることもあり、実際精神的つまづき/Mental Misstep禁止カード指定される前に行われたグランプリプロビデンス11では、意志の力が採用されていないNo-Force Bantが優勝を飾った。

  • ゲーム中盤以降、魔力の乱れ/Force Spikeマナ漏出/Mana Leakをエサにして撃つとちょうどよい。もしくはデッキによっては、メインデッキから採用している特定の対策カード(基本に帰れ/Back to Basicsなど)が腐ってしまった場合の処理手段になる。また、マナが余り始めた頃には普通に5マナ支払って生撃ちすることも多い。
  • 1点のライフロスは些細なデメリットであり問題視されることはほとんどない。むしろ些細すぎてライフを支払い忘れることが非常に多く、そちらの方が問題になるくらいである。使い始めのうちは特に注意したい。
  • ピッチコストの都合上、このカードを安定してピッチで使うためにはデッキ内に一定量の青いカードが必要となる。この枚数は通称「ブルーカウント」と呼ばれる。

[編集] 開発秘話

このカードは「Stop Spell」の仮称で青の呪文として開発されていた。しかし、アーティストTerese Nielsenは、このイラストを「Stop Spell」という名前のの呪文を想定して、赤い背景に炎を描いたと述べている。開発部はアート部門かマジック・コンティニュイティの誰かが間違った色の指示を出したのだろうと考えている[1]

マジック・コンティニュイティが知性を持つゴリラ種族をストーリーに登場させる決定を下した際(アライアンス参照)、デザイン・チームはこのカードの開発名を「Gorilla, Gorilla, Gorilla, Gorilla, Gorilla, Stop That!」に変更した[2]

一方、アライアンスのデザイン・チームのJim Linによる記事[3]では、このカードの開発(ゴリラ)名は「Monkey in the Middle」であり、「Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla (Stop That)」はTidal Controlの開発名だと記されている。

[編集] 逸話

非常に強力なカードであり、様々な逸話があげられる。

  • このカードのおかげでエターナルでは「青のカードである」ことが、このカードのピッチコストにできるというだけで一つのメリットとして扱われる。あるカードの実質下位互換が青のカードであることを理由に使われたり、上記の魔力の乱れ、基本に帰れのような、特定のタイミングやデッキには有効だがそれ以外では腐りやすいカードも青であれば重大なデメリットでないなどという評価が真面目にされたりする。
    • 2017年8月の禁止改定において、ヴィンテージで意外な授かり物/Windfallが制限解除されなかった理由の1つに「意志の力の弾になる」ことがあげられている[4]
  • エターナルにおいては、他の打ち消し系カードはこれを温存するために存在するとすら言われている。意志の力を使わないデッキがコンボデッキと戦う助けになることを目標としていたはずの精神的つまづき/Mental Misstepも、青いデッキで意志の力温存のために使われて青いデッキを強化してしまい、レガシーで禁止カードに指定されてしまった[5]
  • エクステンデッドで青いデッキを作る場合にはまず4枚積みされたカードであり、その汎用性から「監視カードリスト」に常駐していた。「いつ禁止になるか」という話題には事欠かなかったが、エクステンデッドのローテーション制度が導入されたため、禁止されることがないままローテーション落ちを迎えた。

[編集] 再録

エターナルでの使用頻度が高いにもかかわらず、その強力さゆえに初出以来長らく再録されていなかった。ただし、初出時の稀少度はアンコモン2である為再録禁止カードリストに載っていない。現在では通常のカードセットではないものの、以下のように再録が行われている。

「私の運命は私が決める。」
(出典:通常版)
「へたくそ。」
(出典:ボーダーレス版)

通常のカードセットでの再録が行われていないため、シングルカード取引価格アンコモンの中ではマナ吸収/Mana Drainともどもトップクラス。

[編集] その他

  • サイクル中、唯一クリーチャー対象に取らない。
  • 俗称は頭文字をとってFoW、または単にウィル。日本語版が存在しなかった頃は、英語名の聞き間違いから高層ビルとも呼ばれた。
  • レガシー選手権11では、優勝者Jared Kohlerに新規描き下ろしイラストの意志の力の額が贈られた[7][8]。この際のイラストはジャッジ褒賞でも用いられている。
  • 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1996年を代表するカードとして展示された[9]
  • マジック関連書籍や公式記事の一部を手掛けているWill McDermott氏はDuelist誌上で同名のコラム連載を持っていた。

[編集] 関連カード

[編集] サイクル

アライアンスピッチスペル手札から同じカード追放することで、マナ・コストを支払わずに唱えることができる(意志の力/Force of WillContagionは1点のライフも要求する)。

[編集] 脚注

  1. Behind the Canvas: Terese Nielsen(Feature 2002年4月24日 Toby Wachter著)
  2. More tales from the R&D gang Take This Job and Love ItMaking Magic 2002年10月28日 Mark Rosewater著)
  3. Do You Know Your Gorillas?Duelist11号掲載)
  4. August 28, 2017 Banned and Restricted Announcement/2017年8月28日 禁止制限告知(News 2017年8月27日 Ian Duke著)
  5. レガシーと《精神的つまづき》(黒田正城の「エターナルへの招待」 2011年10月26日 黒田正城著)
  6. Announcing Eternal Masters/『エターナルマスターズ』 発表(News 2016年2月15日 WotC著)
  7. 2011 US National Championship - Day 2 Blog(Event Coverage 2011年8月6日 WotC著)
  8. 2011 Vintage Championship Award(Arcana 2011年7月28日 Monty Ashley著)
  9. ニコニコ超会議2 マジック:ザ・ギャザリング展示ブース(マジック日本公式Facebook)

[編集] 参考

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