タルモゴイフ/Tarmogoyf
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クリーチャー — ルアゴイフ(Lhurgoyf)
タルモゴイフのパワーは、すべての墓地にあるカードのカード・タイプの数に等しく、タフネスはその点数に1を加えた点数に等しい。
*/1+*未来予知で登場した緑のルアゴイフ。他のルアゴイフ同様、墓地にあるカードを参照するが、これはそのカード・タイプの「種類数」によってサイズが決定される。そのため、理論上無制限に強化できる他のルアゴイフとは異なり、サイズに限界(現在は8/9)が存在する。
登場した当初はあまり注目されていなかったが、トーナメントの結果などからそのコスト・パフォーマンスと汎用性の高さが広く認知されるようになり、現在ではフォーマットを問わず多くのデッキに投入されている。名実ともに、未来予知のトップレアである。
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特徴
他のルアゴイフと違い、特定タイプのカードを大量に用意せずとも1枚でも落ちていればよいため、相手のデッキを問わず、また特に自分のデッキ構成を工夫しなくても、ある程度サイズを上げることができる。一般に、インスタントとソーサリー、戦闘や除去によって死亡する機会が多いクリーチャーの3種類、環境によってはフェッチランドによる土地も加えた4種類が、特に工夫をせずとも自然に満たすことができる「基準値」とされる。つまり、2マナ3/4ないし4/5が標準サイズというわけで、見た目の奇抜さとは裏腹に安定して高いコスト・パフォーマンスを発揮する、扱いやすいクリーチャーである。当然、効率よく墓地を肥やすようにデッキ構成を工夫すれば、さらに強化の速度・効率を上げることができる。
マナ・コストが低く、ゲームの極めて早い段階から唱えることができる上、その能力によってターンが進行するにつれてサイズが上がるため、終盤になってもフィニッシャーとして使うことができ、腐ることが少ない。
緑単色デッキよりも、ソーサリーやインスタントを多用する別の色と組むことで効率よく強化することができるので、多色デッキでの利用がほとんど。タルモゴイフ自身の色拘束が弱いためタッチでも使いやすく、実際これを投入するためだけに「タッチ・タルモ」と称して緑にタッチする他色のデッキも少なくない。
しかし、簡単に土地を墓地に送り込めるフェッチランドを使用できないスタンダードやブロック構築では、相手のデッキにも依存するとはいえ、ただデッキに入れるだけでは中途半端な大きさにしかならないことも多く、特にビートダウン同士の対決ではそれが顕著に見られた。
他のルアゴイフに比べて墓地対策に強いのも特徴である。すべての墓地を参照するためトーモッドの墓所/Tormod's Cryptや虚空の力線/Leyline of the Voidなどの効果が低く、また一時的に墓地を一掃されてもタフネスが1残るため、その後継続的に墓地のカードを消されない限りは、いずれ元のサイズに戻すことができる。
利用
スタンダード
コールドスナップ+時のらせんブロック+ローウィン・ブロック期
ローウィンでプレインズウォーカーが登場したためサイズの限界が8/9に上がり、未来予知で登場した部族カードも大きく増加したことにより、さらにサイズを上げやすくなった。
当初は、クリーチャーデッキにおいて序盤サイズが上がりづらいことから2、3枚に抑えられる事も多かったが、最終的には気にせず4枚投入されていた。
ラヴニカ・ブロック+コールドスナップ+時のらせんブロック期
小悪疫/Smallpoxとのシナジーを利用したタルモポックスで活躍。またグルール・ビートにこれを投入した物も登場するなど、幅広い活躍を見せた。
時のらせんブロック構築
カードプールが狭いブロック構築でも、緑白ゴイフがグランプリモントリオール07を制するなど、大きな存在感を見せた。
エクステンデッド、モダン、エターナル
フェッチランドや軽い呪文が多用されるため、スタンダード以上に序盤からの強化を見込むことができ、非常に強力である。スタンダード同様、緑を含む多くのデッキに投入されている。
その他のフォーマット
その他、どのようなフォーマットにおいても2マナの戦闘要員としては水準以上。リミテッドのようにデッキの自由度が低い場合でも、前述した「基準値」である3/4程度ならまず満たしてくれるため、色が合っていれば適当に採用しても十分に有用。
- ただし、唯一モミール・ベーシックでは最大でも1/2にしか成長できず、灰色熊/Grizzly Bears以下の存在と化す。
対抗策
上述の通り、他のルアゴイフに比べて中途半端な墓地対策では対策になりえない。大祖始の遺産/Relic of Progenitusや安らかなる眠り/Rest in Peaceほどの大規模墓地対策なら有効だが、これらは自分の墓地利用を制限することにも繋がるためデッキを選ぶ。
しかしマナレシオがよいとはいえ、言わば「それだけ」であり、被覆などの特殊な能力を持っているわけではないので、恐怖/Terrorのような通常のクリーチャー対策が有効。実際に燻し/Smotherや不忠の糸/Threads of Disloyalty、さらにレガシーなどでは精神支配/Mind Harnessなども対策として使われている。
- 火力やコンバット・トリックなど、ダメージによる破壊を試みる場合には注意が必要である。状況起因処理のチェックは呪文の解決後(呪文が墓地に置かれたあと)に行われるため、例えば、墓地が空のときに0/1のタルモゴイフを対象としてタール火/Tarfire(部族インスタント)を唱えても、状況起因処理がチェックされる段階でタルモゴイフのタフネスは(タール火が墓地に置かれたことで)3になっているため、破壊することができない。
消極的な対抗策としては、「自分のデッキにもタルモゴイフを投入する」というものが挙げられる。これは、能力の性質上、すべてのタルモゴイフのサイズが一致し、またパワーよりもタフネスの方が高いため、強化されたり自分のタルモゴイフが除去されたりしないかぎり、対戦相手のタルモゴイフをブロックし続けることで「タルモゴイフ同士の睨み合い」を作り出すことができるためである。これを踏まえて、アラーラの断片以降では賛美を利用して睨み合いを打破するという対策への対策テクニックが広まっている。
ストーリー
タルモゴイフ/Tarmogoyfは非常に腹を空かせた野獣(beast)であり、生物ばかりでなく様々なエネルギーを貪り食う、雑食性ルアゴイフ(イラストを見ると人間は好物のようだが)。魔法でも摂取・代謝が可能で、違う種類のエネルギーを平らげるごとに、筋組織は成長し、より強力になっていく。
棲息地は吹雪の極地世界。そこは通常のマジックとは別の世界とされる。例えば、1つの可能性として再び氷河期が到来した未来のドミナリア/Dominaria、あるいは、全く別の次元/Planeなどが示唆されている。
その他
- ルアゴイフの中で、本家同様タフネスが「パワー+1」なのはこれだけ。
- サイズを決定する方法が変則的であるため混乱を招きやすい。トラブルを避けるためにも、墓地に落ちたカード・タイプを逐一メモするなど、わかりやすくする工夫をしたほうがよい。
- ただし、それらのメモなどには、ルール上の意味は何もない。それらの工夫を間違えた結果何らかの勘違いがおきてもゲーム上は何の保証もされないため、重要な局面では必ず墓地をきちんとチェックしよう。
- カウンターの要領でダイスを置いて目印とする人もいるが、人間の心理上、目印を置いたことで安心してそれ以降の注意を払わなくなり、サイズが変わった際に目印を変更し忘れるミスを招きやすく、推奨されない行為とされている。
- 2013年4月27日〜28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、2007年を代表するカードとして展示された。[3]
カード制作・収録
- このカードはフューチャーシフトとして収録された。それは、注釈文に、未来予知が発売された時点では存在しなかったカード・タイプであるプレインズウォーカー(初出はローウィン)の名が記されていたためである。2007年7月のオラクル変更で、カード・タイプに関する注釈文を持つ他のカードとともに注釈文が削除されたが、2008年4月のオラクル変更で再び注釈文がついた。しかし、Modern Mastersでの再録時には再び注釈文は削除されている。
- 後にMark Rosewaterのブログで、彼がマナ・コスト(2)(緑)とパワーとタフネスの初期値が0でデザインした初期案が、リード・デベロッパーのMike Turianによって(1)(緑)、タフネス+1にする変更をされたことが明かされた[4][5]。
- (逆)再録を望む声が多く、開発部も何度となく通常セットでの再録を検討したが、強力すぎてスタンダードのバランスを崩すことから見送られてきた。
- スタンダードに影響のない特殊セットであるModern Mastersにて、通常のマジックの枠と新規イラストで再録される。なお、レアリティがレアから神話レアに引き上げ、削除された注釈文の代わりに新たにフレイバー・テキストが追加されている。神話レアに格上げされたことにより、Modern Mastersでもトップレアの1つとなっている。
- その後モダンマスターズ2015やモダンマスターズ2017でも再録。またアルティメットマスターズでは通常版に加えて拡張アート版が収録されるなど、マスターズ・シリーズでは定番の目玉カードとなっている。
市場評価(性能・取引価格)
- サイカトグ/Psychatogと並ぶ、「公開当初は全く注目されていなかったが、後に大きく高騰したカード」の代名詞的存在。現在はとても高額なカードであるが、登場当初は紙レアと一緒に数百円で大量入手できた時期もあったという。
- 注釈文の「プレインズウォーカー」のインパクトが強かったところも大きい。「プレインズウォーカーって何?」とからくりなどと一緒に笑い話にされてしまい、実際に試してみる人が少なかったのである。
- マジックの世界観、そして未来予知というエキスパンションの特殊性もあり、プレインズウォーカーは名前だけで実装されないカード・タイプとして考えているプレイヤーも多かった。
- ちなみに、元々プレインズウォーカーは未来予知の時点で実装されるはずのカード・タイプだった。
- 他にも「単純に強そうに見えなかった」「未来予知の他のインパクトのあるカードに目を奪われた」(当時はエターナルでハルクフラッシュが大暴れしており、それと相性のいい契約サイクルが特に注目を集めた)という点もこのカードの影を薄くしていた。
- 軽いカードを使い能動的に墓地を肥やす、という発想も初期には無かった面もある。特に土地は特殊な戦略でないとそうそう墓地に置かれないという認識であった。
- 注釈文の「プレインズウォーカー」のインパクトが強かったところも大きい。「プレインズウォーカーって何?」とからくりなどと一緒に笑い話にされてしまい、実際に試してみる人が少なかったのである。
- 時のらせんブロック+ローウィン・ブロック期のスタンダードにおける強力な緑のカード群として、獣群の呼び声/Call of the Herdまたはカメレオンの巨像/Chameleon Colossus、野生語りのガラク/Garruk Wildspeakerと合わせてTCGと呼ばれていた。
- 癖が無く単体で使いやすく「最強の2マナクリーチャー」と言うプレイヤーも多いが、プロなどの評価では石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticがこれを超えるという声も多い(参考)。
- さらに瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage、闇の腹心/Dark Confidant、若き紅蓮術士/Young Pyromancerと並べて、各色の代表的2マナクリーチャーと評されることもある。
- それらに比べタルモゴイフは実質バニラであり、カード・アドバンテージに貢献しない点をもって一段低く評価されることがある。致命的な一押し/Fatal Pushの登場以降は特にその傾向が強い。
- 取引価格の高騰ぶりで知られた。特にModern Masters発売前後のモダンプレイヤー人口の増加による需要増大によって、(Modern Mastersによって市場流通量が増えたはずなのに)値段がうなぎ上りに跳ね上がっていった様は、もはや伝説の域。
- モダンマスターズ2015のリミテッドで行われたグランプリラスベガス15の決勝ドラフトの中において、Pascal Maynardがタルモゴイフのプレミアム・カードを引き当て話題を集めた。そのカードはネットオークションに懸けられ、14,900ドルで落札された[6]。
参考
- ↑ Putting the Tarmo in your Goyf(Arcana 2007年9月18日)
- ↑ Ask Wizards - September, 2008(2008年9月10日)
- ↑ マジック日本公式facebook
- ↑ Blogatog(2018年8月23日)
- ↑ Blogatog(2018年8月24日)
- ↑ 個人サイト「イゼ速」
- 壁紙 (Modern Masters) (Daily MTG)
- 開発部の黒歴史・パート3(Latest Developments 2014年8月22日)
- 世界を変えたカード(Beyond Basic 2017年3月2日)
- ルアゴイフ
- カード個別評価:未来予知 / タイムシフト - レア
- カード個別評価:アルティメットマスターズ - 神話レア
- カード個別評価:モダンマスターズ2017 - 神話レア
- カード個別評価:モダンマスターズ2015 - 神話レア
- カード個別評価:Modern Masters - 神話レア