バーン
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バーン(Burn)は、赤の直接ダメージ呪文(火力)を主体に構成されたデッキ。クリーチャーをいっさい投入しないノンクリーチャー・タイプも珍しくない。
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概要
ライフ20点を削りきることを基準としているため赤の防御円/Circle of Protection: Redなどの軽減や回復に非常に弱いが、一度突っ走ると圧倒的な攻撃力を発揮する魅力的なデッキである。山/Mountain2枚から10点ダメージが飛び出したり、1ターン目からライフをそこそこ削ることができる。
火力を使うためクリーチャーなどと違い対応策が少ないことが最大の利点である。クリーチャーはブロックをされたり攻撃することを阻害される、除去されるなど対応策が豊富であるが、火力は「軽減、打ち消し、手札や土地の破壊などによるプレイの阻害」以外では対応がしにくい。
なおこの火力の対応策はクリーチャーにも使えるため、それだけ火力の”通りやすさ”がわかると思われる。また、召喚酔いが無いことや、同コストのクリーチャーのパワーよりダメージが大きいことによるスピードも大きな利点である。そのため、クリーチャーでも上に挙げたボール・ライトニング/Ball Lightningの様な、いわゆる歩く火力は使われたりする。
ただし、一点突破主義的なデッキのためにいろいろな対策カード1枚であっさり完封されてしまったりする欠点も併せ持つ。メタをしやすすぎるのが難点であるが、メタられなければそれなりに強い。わりと昔から存在しており、白ウィニーなどと同じく愛好者は多い。
また、バーンというと超速攻デッキに始終するという認識もあるが、必ずしもそうでは無い。アドバンテージを得ながら確実にライフを削っていくタイプもあるし、黎明期には壁を投入して防御に気を配ったものもあった。
デッキ構築
ショック/Shockなどに代表される優良な火力系呪文は、コモン・アンコモンに設定されていることが多く、初心者プレイヤーでも手を出しやすいデッキであり、それなりに強い。ミラージュ~テンペスト期のバーンの隆盛を考慮してか一時期火力の性能は著しく落ちたが、近年は再び質が向上しつつある。
ただし、デッキ構築やプレイングは相当難しい。ただ「土地と火力でデッキを組んで全部対戦相手に撃ち込めばいい」というものではない。そんな事をしていたら、よほど優秀な火力呪文が無い限り、相手のライフを削りきる前にクリーチャーに殴り殺されてしまう。かと言って火力で正直にクリーチャーを除去していたら、対戦相手に撃つ分が足りなくなって息切れしてしまう。無視すべきか焼き落とすか、その判断を常に計算しなければならないが、クリーチャー同士の殴り合いと違い、目に見える状況は相手だけなので読み切る力の難しさはパーミッションをも遥かに凌ぐ。
さらに、単純に焼けばいいという話ではなく、1ターンにどれだけ大きなダメージを与えられるか、ということを数ターンを見越して考えなくてはならない。コンボデッキほどではなくとも、結構頭を使うデッキタイプである。
火力
1・2マナの扱いやすいカードが主力だが、効率的なダメージを念頭に置くなら、火炎破/Fireblastや音波の炸裂/Sonic Burstのように使いどころが難しいが強力なカードを使う必要が出てくる。柔軟なプレイを考えるならば、インスタントとソーサリーの比率も考えなくてはならない。
呪われた巻物/Cursed Scrollなどの恒久火力も息切れを防いでくれる重要なカードである。
クリーチャー
いかに火力が優秀であるとしても、クリーチャーのダメージ効率の優秀さを捨て置くことはできない。
火力とクリーチャーのコンビネーションによる攻撃を突き詰めるとスライに分類されるデッキに近くなるが、バーン戦略でも採用されるクリーチャーという物は存在する。1つはボール・ライトニングに代表される歩く火力。次にモグの狂信者/Mogg Fanaticなどの火力内蔵クリーチャーである。前者は同じマナ域の呪文としてダメージ効率が高いことが多く、ソーサリーによる干渉が無い。後者は除去の損失を最低限に抑えつつ本体への直接ダメージ能力もあり、火力とクリーチャーの長所を併せ持つ。
特にアドバンテージを重視しつつ敵を焼ききるタイプのデッキでは、後者に加えてミシュラランドを投入する事がある。
補助
効率良くカードを使っていくために、火力以外の補助カード(等時の王笏/Isochron Scepterや吠えたける鉱山/Howling Mineなど)も入れる必要がある。それらの補助カードが手札に来なければ無意味なので、相応の枚数は必要だが、入れすぎると肝心の火力が減ってしまって本末転倒になるというもどかしさがある。
手札と自分のライフを唯一の資源とする(パーマネントを展開しない)ことから、息切れを防ぐためにカードドローも重要。単色では怒鳴りつけ/Browbeatや生体融合帽/Grafted Skullcapが一般的だが、他の色を混ぜて嘘か真か/Fact or Fictionや夜の囁き/Night's Whisper、闇の腹心/Dark Confidantなどを採用するケースも見られる。
また、火力だけではクリーチャーへの対応が厳しい場合は、他のパーマネント除去などを採用する場合もある。
マナカーブ
マナカーブも非常に重視される。基本的に1〜3マナ圏のカードのみにしたいが、スタンダード程度のカード・プールではそうは言ってられず、決め手となるカードを入れなければならない。その決め手となるカードのマナ・コストにも悩まされる。扱いの非常に難しいデッキである。
時のらせんブロック+ローウィン=シャドウムーア・ブロック期
火葬/Incinerate・裂け目の稲妻/Rift Boltを始めとした優良火力呪文と、モグの狂信者/Mogg Fanaticなどの高性能な歩く火力の存在、それにミシュラランドが加わったことで赤単バーンが復権を果たす。
特にモーニングタイドで変わり谷/Mutavaultが加わったことでデッキの完成度が高まった。これとギトゥの宿営地/Ghitu Encampmentでビートしつつ火力でサポートする。
グランプリ静岡08の直前に話題になり、実際にグランプリ本戦で初日全勝者を輩出している。
が、シャドウムーア、イーブンタイドでは復讐の亜神/Demigod of Revengeなどのビートダウン向けカードが増え、赤単デッキはスライのほうが主流になった。
- 同時期にはバーンと背骨岩の小山/Spinerock Knollの相性を生かしたバーン系ストーム・コンボデッキも存在した。→ドラゴンストーム、刈り痕ストーム
サンプルレシピ
Mono-Red Burn [1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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神河ブロック+ラヴニカ・ブロック期
同時期にバーンの天敵梅澤の十手/Umezawa's Jitteが存在する逆境の時代。そんな中、ラヴニカ・ブロックの多色推奨の流れに沿い他の色を加えて生き残りを図るデッキが存在した。
白を加え神の怒り/Wrath of Godを搭載した赤白のボロスバーン、黒をタッチし闇の腹心/Dark Confidantで息切れを防ぐ黒赤のラクドスバーンなどが代表例。
火力には炎の印章/Seal of Fireや黒焦げ/Charなどが用いられた。
ミラディン・ブロック期
もとはミラディン・ブロック構築で親和対策のアーティファクト破壊を投入しやすい赤に注目が集まったのが始まり。
デッキパワーが高く、同時期のスタンダードでも活躍している。
弧炎撒き/Arc-Sloggerや溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forgeなど単体のカードパワーが高いのも特徴。
ウルザ・ブロック+マスクス・ブロック期
超強力なテンペスト・ブロックが抜け、火力では対処のしづらいマスティコア/Masticoreなどが跋扈する逆境の時代。しかし、メタの中心にあるトリニティ系デッキに対抗するべく火力を搭載したバーンデッキが存在した。
クリーチャーの枚数を削り、マナ・クリーチャーを殺しやすい弧状の稲妻/Arc Lightningや地震/Earthquakeを採用。略奪/Pillageを入れてマスティコアに対抗する。単色デッキのためリシャーダの港/Rishadan Portももちろんフル投入する。
サンプルレシピ
MonoRed Burn [2] | |||||||||||||||||||
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ミラージュ・ブロック+テンペスト・ブロック期
優秀な赤のカードがこの時期に結集し、バーンは黄金期を迎える。
火葬/Incinerate、火炎破/Fireblast、音波の炸裂/Sonic Burstなどの粒揃いの火力。
クリーチャーには、歩く火力のモグの狂信者/Mogg Fanaticとボール・ライトニング/Ball Lightning。
それに再利用可能な無色ダメージ源である呪われた巻物/Cursed Scrollまで加わり、バーンは一大勢力を築くにいたった。
黎明期
稲妻/Lightning Bolt・火葬/Incinerate・火の玉/Fireballの火力三枚看板を擁し、バーンは黎明期から人気が高かった。
驚異的なダメージ効率を誇る黒の万力/Black Viseも大きい。
サンプルレシピ
- 備考
- 戦績:世界選手権95 ベスト8
- 使用者:Andrea Redi
- スタンダード(第4版+フォールン・エンパイア+アイスエイジ)
メインデッキ (60) | |
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クリーチャー (11) | |
2 | オークのスパイ/Orcish Spy |
4 | ウスデン・トロール/Uthden Troll |
2 | ゴブリン気球部隊/Goblin Balloon Brigade |
1 | ゴブリンの突然変異/Goblin Mutant |
2 | オーグ/Orgg |
呪文 (27) | |
4 | 稲妻/Lightning Bolt |
4 | 石の雨/Stone Rain |
1 | 石臼/Millstone |
1 | 道化の帽子/Jester's Cap |
1 | 氷の干渉器/Icy Manipulator |
3 | ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk |
1 | ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome |
4 | 火葬/Incinerate |
1 | 爆破/Detonate |
1 | 火の玉/Fireball |
2 | 分解/Disintegrate |
4 | 黒の万力/Black Vise |
土地 (22) | |
17 | 山/Mountain |
4 | 露天鉱床/Strip Mine |
1 | ドワーフ都市の廃墟/Dwarven Ruins |
サイドボード | |
1 | ドワーフの砦/Dwarven Hold |
1 | Zuran Orb |
2 | 鉄の星/Iron Star |
1 | 紅蓮地獄/Pyroclasm |
2 | Anarchy |
2 | 野火/Flashfires |
2 | 粉砕/Shatter |
4 | 赤霊破/Red Elemental Blast |
エクステンデッド(デュアルランド期)
初期のエクステンデッドでは、ネクロやPoxに対抗しやすいフルバーンデッキが存在した。
特に、燃えがらの匂い/Scent of Cinderまで投入したタイプは匂いバーンと呼ばれる。
レガシー
過去の優良火力が自由に使えるエターナル(特にレガシー)ではそれなりの勢力を誇る。主力火力に禁止や制限がかけられていないのも重要。
稲妻/Lightning Bolt、Chain Lightning、溶岩の撃ち込み/Lava Spike、裂け目の稲妻/Rift Boltによる1マナ3点火力16枚がよく用いられるが、虚空の杯/Chalice of the Voidの存在によりフル投入しないデッキも存在する。この他に、往年の名火力である火葬/Incinerate、火炎破/Fireblastなどがメインで、マグマの噴流/Magma Jetも安定性を増すために好んで採用される。いかにバーンと言えど、ただ早く勝つ事だけを考えていてはエターナルでは生き残れないということである。
デュアルランドの蔓延するレガシーを強烈にメタる発展の代価/Price of Progressを躊躇無く採用できる点も大きい。これの存在が、レガシーの単色デッキとして一定の地位を獲得せしめているといえる。
デュアルランド同様に、フェッチランドの蔓延する環境をメタるミシュラのアンク/Ankh of Mishraが採用される場合があり、アンク・バーンとも呼ばれる。このようなアーティファクトを多めに投入し、爆片破/Shrapnel Blastを使えるようにする場合もある。
息切れ対策としては、怒鳴りつけ/Browbeatの採用や、単純なドロー以外にも渋面の溶岩使い/Grim Lavamancerや呪われた巻物/Cursed Scrollなどを投入して、デッキ自体を息切れしづらくしていることが多い。
また、軽くて強力な呪文が横行するエターナル環境に対する紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar、コントロールデッキに対しての硫黄の渦/Sulfuric Vortexなど、エンチャントからのダメージ源が採用されることも多い。
レガシーにしては比較的安い資産で構築可能であることも有名である。そのため、レガシーの「貧乏デッキ」といえばバーンがイメージされることも多い。「貧乏デッキ」とはいえ、一瞬で焼き殺すことのできる爆発力を持つため油断は禁物である。