神話レア

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'''神話レア'''''Mythic rare'')は[[アラーラの断片]]以降、最も高い[[稀少度]]、またその稀少度に属する[[カード]]のことである。基本的に15枚入りの[[ブースターパック]]1つに1/8の確率で[[レア]]の代わりに1枚封入されており、[[エキスパンション・シンボル]]の色は赤みがかったオレンジ。[[プレミアム・カード]]を示す語ではない。
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'''神話レア'''(''Mythic Rare'')とは、[[アラーラの断片]]以降において最も高い[[稀少度]]、またその稀少度に属する[[カード]]のことである。
  
== 概要 ==
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==概要==
稀少度が高いからといって強いかというとそういうことではなく、[[構築]]への影響に配慮して、主に[[背景世界/ストーリー用語|ストーリーにおける重要な人物や物]]であるカードなどが多く入る予定であり、また、[[ペインランド]]に代表される優秀な土地、[[黒焦げ/Char]]のような実用的・汎用的な機能を持つカードは入らない予定である。
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[[エキスパンション・シンボル]]の色は{{Gatherer|id=490670|赤橙}}。[[新枠#基本セット2015以降のカード枠|基本セット2015以降のカード枠]]における稀少度の略号は「M」。原則として、14枚入りのプレイ・ブースター1つにつき、一定の確率で[[レア]]の代わりに1枚封入される(→[[#出現頻度]])。15枚入りの[[ドラフト・ブースター]]でも同様の封入方式であった。
  
同セットのレアに比べて7倍の出にくさであるが、アラーラの断片で収録される予定のレアは53枚、神話レアは15枚であり、神話レアの1種類あたりの出にくさはレアと比べ約2倍程度である(レア:神話レア=53×(8÷7):15×8≒60.57:120≒1:2)。また、121枚ある[[第10版]]のレアと比べると、1種類あたりの出にくさはほぼ同じとなっている。
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神話レアの導入は、稀少度の種類を[[トレーディングカードゲーム|TCG]]の業界標準に合わせて増やすことで、新規プレイヤー獲得を図ったためとされる。ユーザーを考慮した慎重な調整が行われており、結果として、稀少度は4種類に増えると共にセットのカード収録総数は減ることになった。収録数が減ったことにより、神話レアの出にくさは過去のレア並に落ち着き、通常のレアカードの入手率上昇にも成功している。
== 参考 ==
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*[[コモン]]
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*[[プレミアム・カード]]を示す語ではない。
*[[アンコモン]]
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*[[レア]]
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===神話レアのカード===
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神話レアのカテゴリーには「特別」と感じさせるカードが選ばれる。これがレアと神話レアの境界線となっている。
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したがって、神話レアのカードには次のようなものが多い。
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*[[プレインズウォーカー]]。
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*[[伝説のパーマネント]]。特に、ストーリー上で重要な役割を果たすものや、その[[次元/Plane]]を象徴するようなもの([[神]]など)。
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*滅多に使われない特殊な効果処理を行うカード。[[追加のターン]]を得る、[[ターンを終了する]]、[[他のプレイヤーをコントロールする]]など。
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*そのセット固有のメカニズムの中で、最も複雑、最も派手な能力を持つカード。
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*過去の有名カード・強力カード([[パワー9]]など)の[[リメイク]]。
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*まったく前例のない能力や条件を持つカード。
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反対に、神話レアとしない種類のカードも決められている。その中でも最大のカテゴリーは多目的カード(utility cards: ある種の汎用的機能を備えたカードと定義)とされる。例えば、[[2色土地]]の[[サイクル]]や[[変わり谷/Mutavault]]、[[黒焦げ/Char]]が多目的カードである。つまり、低い稀少度で定番となっている単純で平凡なものを、より軽く、より強力にしただけのカードを神話レアにしないということである(例えば、[[緑]]1[[マナ]]版の[[帰化/Naturalize]]といった神話レアは作られない)。
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また、神話レアであることと[[カードパワー]]の強さには直接的な関連性は(違和感を覚える人も多いだろうが公式的には)ない。強力なだけで神話レアになることはなく、カード・セットでは強力なカードが各稀少度にほぼ均等に割り振られるように意図を持って制作されている。
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ただし、[[マスターズ・シリーズ]]などの[[再録]]カード中心の[[サプリメント・セット]]では、過去の活躍(=カードパワー)を評価して「特別」とみなすようで、過去に活躍した[[パワーカード]]は神話レアに設定されることが多い([[意志の力/Force of Will]]や[[マナ吸収/Mana Drain]]、[[魂の洞窟/Cavern of Souls]]、[[瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage]]等)。逆にレアに格下げされているパターンもあり([[水蓮のコブラ/Lotus Cobra]]等)、これらは相対的なカードパワー差に基づいての稀少度設定が行われていると思われる。また、一度神話レアに格上げされたカードは[[本流のセット]]で再録されたときもそのまま神話レアになるパターンも多い。
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もっとも、レアと神話レアを区別する厳密な分類方法は存在していない。以上のような指針に従い、[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]を改善する方向性の元でユーザーの反応なども取り入れた討論や見直しが行われ、神話レアは決定されている。
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===出現頻度===
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神話レアは[[ドラフト・ブースター]]1つに一定確率でレアの代わりに1枚封入されている。確率は、[[ダブルマスターズ]]までは1/8、[[ゼンディカーの夜明け]]以降は1/7.4<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/set-boosters-2020-07-25 Set Boosters]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0034191/ セット・ブースター]([[Making Magic]] [[2020年]]7月25日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>となっている。神話レア自体は同セットのレアに比べておおむね7倍の出にくさである。しかし、カード1種類当たりで見ると、神話レアはレアの2倍程度の出にくさになるように種類数が設定されている。神話レアの出現頻度は以前の[[基本セット]]や大型[[エキスパンション]]のレア相当、レアの出現頻度は以前の小型エキスパンションのレア相当という位置づけになっている。
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*アラーラの断片ではレア53枚に対し神話レアは15枚。レアの出やすさは、60種類ある[[イーブンタイド]]のレアとほぼ同等、神話レアの出やすさは、121種類ある[[第10版]]のレアとほぼ同等である(レア:神話レア=(53×8÷7):(15×8)≒60.57:120≒1:2)
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*[[コンフラックス]]ではレア35枚に対し神話レアは10枚。レアの出やすさは、40種類ある[[コールドスナップ]]のレアと同等、神話レアの出やすさは、80種類ある[[シャドウムーア]]のレアと同等である(レア:神話レア=(35×8÷7):(10×8)=40:80=1:2)。
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*[[ゼンディカーの夜明け]]ではレア64枚に対し神話レアは20枚。(レア:神話レア=(64×7.4÷6.4):(20×7.4)=74:148=1:2)。
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*他の稀少度のカードと比べ、[[プレミアム・カード]]が出る確率がわずかに高いとされる。
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==その他==
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神話レア導入に際して[[Mark Rosewater]]は公式コラム「変化の年<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/year-living-changerously-2008-06-02 The Year of Living Changerously]/[https://magic.wizards.com/ja/news/making-magic/year-living-changerously-2008-06-02 変化の年](Making Magic [[2008年]]6月2日 Mark Rosewater著)</ref>」においてその時点での考え方と指針を表明した。しかし、神話レアのラインナップに不満を持った者によってこの記事が引用されるなど、記事内容を誤読・曲解して批判する者が多かったことから、Rosewaterは「Hundred and Counting<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/four-hundred-and-counting-2009-09-28 Four Hundred and Counting](Feature [[2009年]]9月28日 Mark Rosewater著)</ref>」で再び神話レアについて、それまでの反応やユーザー意見などもフィードバックした上での補足説明を行った。誤解・曲解の例は、「神話レアは強力ではない、トーナメントでの使用に耐えられない、低マナ・コストにはしない」といったものである。「変化の年」原文は元々このような読み間違いがないように丁寧に書かれているが、その一方で、日本語訳は誤解が生じても仕方の無い文章であり、誤訳も含まれている。
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*「レアを超える稀少度」という概念は[[アンヒンジド]]で[[Super Secret Tech]]として登場していた。
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*[[From the Vault]]シリーズは「貴重品保管庫」の名の通り、すべてが貴重品ということで、元のカードの稀少度にかかわらず一番貴重な稀少度=神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかった[[From the Vault:Dragons]]は除く)。
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*[[デュエルデッキ]]シリーズの各デッキの看板カードは、元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかった[[エルフvsゴブリン]]は除く)。
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*[[Vintage Masters]]の[[パワー9]]では、神話レアを超える稀少度として[[スペシャル]]で収録されている。色は神話レアと同じ赤橙色だが、放射状のエフェクトが加えられている。
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*[[Zendikar Expeditions]]は元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている。
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*[[Kaladesh Inventions]]のエキスパンション・シンボルの色は神話レアと同じ赤橙色だが、(これ以降の各[[Masterpiece Series]]も含め)スペシャルでの収録となっている。
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==脚注==
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<references/>
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==参考==
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*[[稀少度]]
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**[[コモン]]
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**[[アンコモン]]
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**[[レア]]

2024年3月17日 (日) 00:19時点における最新版

神話レア(Mythic Rare)とは、アラーラの断片以降において最も高い稀少度、またその稀少度に属するカードのことである。

目次

[編集] 概要

エキスパンション・シンボルの色は赤橙基本セット2015以降のカード枠における稀少度の略号は「M」。原則として、14枚入りのプレイ・ブースター1つにつき、一定の確率でレアの代わりに1枚封入される(→#出現頻度)。15枚入りのドラフト・ブースターでも同様の封入方式であった。

神話レアの導入は、稀少度の種類をTCGの業界標準に合わせて増やすことで、新規プレイヤー獲得を図ったためとされる。ユーザーを考慮した慎重な調整が行われており、結果として、稀少度は4種類に増えると共にセットのカード収録総数は減ることになった。収録数が減ったことにより、神話レアの出にくさは過去のレア並に落ち着き、通常のレアカードの入手率上昇にも成功している。

[編集] 神話レアのカード

神話レアのカテゴリーには「特別」と感じさせるカードが選ばれる。これがレアと神話レアの境界線となっている。

したがって、神話レアのカードには次のようなものが多い。

反対に、神話レアとしない種類のカードも決められている。その中でも最大のカテゴリーは多目的カード(utility cards: ある種の汎用的機能を備えたカードと定義)とされる。例えば、2色土地サイクル変わり谷/Mutavault黒焦げ/Charが多目的カードである。つまり、低い稀少度で定番となっている単純で平凡なものを、より軽く、より強力にしただけのカードを神話レアにしないということである(例えば、1マナ版の帰化/Naturalizeといった神話レアは作られない)。

また、神話レアであることとカードパワーの強さには直接的な関連性は(違和感を覚える人も多いだろうが公式的には)ない。強力なだけで神話レアになることはなく、カード・セットでは強力なカードが各稀少度にほぼ均等に割り振られるように意図を持って制作されている。

ただし、マスターズ・シリーズなどの再録カード中心のサプリメント・セットでは、過去の活躍(=カードパワー)を評価して「特別」とみなすようで、過去に活躍したパワーカードは神話レアに設定されることが多い(意志の力/Force of Willマナ吸収/Mana Drain魂の洞窟/Cavern of Souls瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage等)。逆にレアに格下げされているパターンもあり(水蓮のコブラ/Lotus Cobra等)、これらは相対的なカードパワー差に基づいての稀少度設定が行われていると思われる。また、一度神話レアに格上げされたカードは本流のセットで再録されたときもそのまま神話レアになるパターンも多い。

もっとも、レアと神話レアを区別する厳密な分類方法は存在していない。以上のような指針に従い、マジックを改善する方向性の元でユーザーの反応なども取り入れた討論や見直しが行われ、神話レアは決定されている。

[編集] 出現頻度

神話レアはドラフト・ブースター1つに一定確率でレアの代わりに1枚封入されている。確率は、ダブルマスターズまでは1/8、ゼンディカーの夜明け以降は1/7.4[1]となっている。神話レア自体は同セットのレアに比べておおむね7倍の出にくさである。しかし、カード1種類当たりで見ると、神話レアはレアの2倍程度の出にくさになるように種類数が設定されている。神話レアの出現頻度は以前の基本セットや大型エキスパンションのレア相当、レアの出現頻度は以前の小型エキスパンションのレア相当という位置づけになっている。

  • アラーラの断片ではレア53枚に対し神話レアは15枚。レアの出やすさは、60種類あるイーブンタイドのレアとほぼ同等、神話レアの出やすさは、121種類ある第10版のレアとほぼ同等である(レア:神話レア=(53×8÷7):(15×8)≒60.57:120≒1:2)。
  • コンフラックスではレア35枚に対し神話レアは10枚。レアの出やすさは、40種類あるコールドスナップのレアと同等、神話レアの出やすさは、80種類あるシャドウムーアのレアと同等である(レア:神話レア=(35×8÷7):(10×8)=40:80=1:2)。
  • ゼンディカーの夜明けではレア64枚に対し神話レアは20枚。(レア:神話レア=(64×7.4÷6.4):(20×7.4)=74:148=1:2)。
  • 他の稀少度のカードと比べ、プレミアム・カードが出る確率がわずかに高いとされる。

[編集] その他

神話レア導入に際してMark Rosewaterは公式コラム「変化の年[2]」においてその時点での考え方と指針を表明した。しかし、神話レアのラインナップに不満を持った者によってこの記事が引用されるなど、記事内容を誤読・曲解して批判する者が多かったことから、Rosewaterは「Hundred and Counting[3]」で再び神話レアについて、それまでの反応やユーザー意見などもフィードバックした上での補足説明を行った。誤解・曲解の例は、「神話レアは強力ではない、トーナメントでの使用に耐えられない、低マナ・コストにはしない」といったものである。「変化の年」原文は元々このような読み間違いがないように丁寧に書かれているが、その一方で、日本語訳は誤解が生じても仕方の無い文章であり、誤訳も含まれている。

  • 「レアを超える稀少度」という概念はアンヒンジドSuper Secret Techとして登場していた。
  • From the Vaultシリーズは「貴重品保管庫」の名の通り、すべてが貴重品ということで、元のカードの稀少度にかかわらず一番貴重な稀少度=神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかったFrom the Vault:Dragonsは除く)。
  • デュエルデッキシリーズの各デッキの看板カードは、元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかったエルフvsゴブリンは除く)。
  • Vintage Mastersパワー9では、神話レアを超える稀少度としてスペシャルで収録されている。色は神話レアと同じ赤橙色だが、放射状のエフェクトが加えられている。
  • Zendikar Expeditionsは元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている。
  • Kaladesh Inventionsのエキスパンション・シンボルの色は神話レアと同じ赤橙色だが、(これ以降の各Masterpiece Seriesも含め)スペシャルでの収録となっている。

[編集] 脚注

  1. Set Boosters/セット・ブースターMaking Magic 2020年7月25日 Mark Rosewater著)
  2. The Year of Living Changerously/変化の年(Making Magic 2008年6月2日 Mark Rosewater著)
  3. Four Hundred and Counting(Feature 2009年9月28日 Mark Rosewater著)

[編集] 参考

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