茨異種/Thornling
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パワーとタフネスを1ずつ上げて、炎異種/Torchlingに引き続き帰ってきた緑版変異種/Morphling。カード名も日本語・英語共に先輩にならっており、同じく5つの起動型能力を持っている。
緑らしく点数で見たマナ・コストはそのままにサイズが+1/+1されており、最大パワー7が仕込みなしで達成できる点も見逃せない。いざという時の自殺がやり難くなったのはご愛嬌。
しかし、パワー・タフネスを変化させる2つの能力こそ共通しているものの、それ以外はほとんど別物と言っていい性能になっている。
まず除去耐性を担う能力が「破壊されない」になった点。 これにより、単体除去のみならず神の怒り/Wrath of Godなどの全体除去にも耐えられるようになっているが、剣を鍬に/Swords to Plowsharesなどの破壊ではない除去やバウンス、コントロール奪取を防げなくなった。悪魔の布告/Diabolic Edictなどの生け贄に捧げさせるタイプの除去に弱いのは同様である。
ただし破壊されなくする能力は直接の除去以外にも戦闘で死ぬことも防げるというメリットが存在する。 特に、基本セット2010発売に伴うルール変更で「パワーを上げた状態で戦闘ダメージをスタックに乗せ、解決する前にタフネスを上げ直してダメージに耐える」という挙動ができなくなったことで先輩達が軒並み弱体化したが、ダメージを耐える部分を破壊されない能力で代替できるため、これだけは以前と同様に最大パワーで遠慮なく突っ込める。むしろ、何度も能力を起動して最大パワーから戻すより「破壊されなくする能力」を1回起動するだけでよくなった分、コスト・パフォーマンスの面でも優れている。
もっとも、破壊されなくする能力があるうえ、基本サイズが大きいためにタフネスを上げる能力の活躍する場面は減ってしまっているが、最後の喘ぎ/Last Gaspなどのマイナス修整に対してはタフネスを上げる能力が有効である。
第2に回避能力を得る能力が異なる点。 元祖である変異種が純粋な回避能力の飛行で、先輩の炎異種は回避能力どころかブロック強制能力だった点を考えれば三者三様と言えるが、苦花/Bitterblossomが環境にあふれておりトランプルが回避能力としてそれなりに有用である点を見ると、炎異種よりは恵まれていると言える。
第3にアンタップする能力がなくなっている点。 先輩2種はどちらも持っていた能力であるため、攻撃しながら防御も行うという挙動ができなくなってしまった点は本家よりも弱体化したといえるだろう。
アンタップの代わりと言ったように速攻を得る能力がついているが、速攻は出したターンにしか意味がない能力であるため、他の能力に比べ繰り返し起動できるメリットは薄いが、マナさえあれば早い段階で攻撃開始出来る強みがあり、誘惑蒔き/Sower of Temptationからコントロールを奪い返したターン中に即攻撃できるなど、ささやかながら効果的に働く状況もある。(ただし相手に緑マナを生み出す手段があれば、コントロールを奪われそのまま攻撃されてしまう可能性もある。)
変異種がコンセプトとしている「マナを使って自分好みのクリーチャーを作る」という点を5マナの速攻無しか、6マナの速攻有りにするかという選択を唱える時に限定した方向性といえるかもしれない。
地味にエレメンタルでもある。原初の彼方/Primal Beyondなどのエレメンタルを参照とするカードと組み合わて使うのも面白いだろう。
- イラストは、名前・能力とは異なり先輩に倣った形(向かい合う2人の人物)を取っていない。炎異種がそうであっただけに、これを残念に思う声も聞かれる。