ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix

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ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix(略称GGP)は、三つの次元/Planeアヴィシュカー/Avishkarアモンケット/Amonkhetムラガンダ/Muraganda)を横断するレース大会。名前はアヴィシュカーの首都ギラプール/Ghirapurに由来する。

以下、特記のないかぎり霊気走破で描かれる第二回大会について扱う。

目次

概要

ギラプール・グランプリはアヴィシュカー/Avishkarで長く続いてきた大会が、領界路/Omenpathの影響を受けて変化した現代版で、これまでギラプール/Ghirapur裏社会の機体レース界に何十年も定着していたものだ。このグランプリが次元/Planeを股にかける大会として開催されるのは今年が二年目であり、合法的に宣伝されるイベントとしても二年目である。ファイレクシア/Phyrexiaの侵略と藍革命/The Indigo Revolutionにおける旧領事府/The Consulateの崩壊以来、グランプリはギラプールの新たな夜の大臣たるゴンティ/Gontiに支持されてきた。ゴンティの監督下で、レースの演出はレベルアップした。これはもはや、ギラプールとその周辺地域を駆ける、無鉄砲で違法で知る人ぞ知る弾丸レースではない。グランプリは今や合法のスポーツイベントだ。もっとも、その運営やルートや参加者の通過後の後処理に関する条件を受け入れるよりも、損害賠償を支払う傾向にあるが。

歴史

ギラプール・グランプリは数十年前に、発明博覧会/The Inventors' Fairとともに併催される非公認で非公式のレース、ギラプール・スプリント/The Ghirapur Sprintとして始まった。このスプリントは夜間に開催され、参加者はギラプールじゅうを巡り、チェックポイントを回ってレースの行程表に印を集めていた。優勝者は印をつけた行程表を持って最終チェックポイントを最初に通過し、各チェックポイントを通過したことを審査員に示した者だ。このイベントは毎年開催され、運び屋、霊気/Aetherの密輸人、キネティック・アーティスト、向こう見ずな技術者、粋な操縦士、その他自分の限界とマシンの限界を試そうとするはみ出し者、革命家、急進派たちを惹きつけた。これらの参加者は一緒になって、新進文化党/The New Culture Collective(略称NCC)を名乗った。

新進文化党は急進的文化思想、芸術思想、学術思想にとっての安息地であるギラプール市で生まれた。無数の革命的イデオロギーの本拠地たるNCCは、領事府が禁止するものこそ我らが追い求めるべきものという立場を広く採用していた。その指導者たちは仮面や偽名の裏から声明、宣言、マニフェストを発し、領事府の執行官から逃れながら、革命熱を煽ってアヴィシュカー(当時の名はカラデシュ/Kaladesh)の学術機関だけでなく、次元の出来事を処理する弾圧的な領事府を攻撃すべく活動していた。新進文化党はレース、ショー、新聞に加え、学生集団、技術者会議、工場の現場でも煽動を行った。しかしながら、彼らに最も人気のある勧誘手段はギラプール・スプリントであった。

ギラプール・スプリントは新進文化党が主催する唯一のレースではなかったが、その中でも最大で、最も人気があり、最も危険なものだった。領事府はスプリントが行われるであろうと知り、多くのリソースを費やして新進文化党への潜入を試み、このレースを中止させ、NCCの指導者、煽動者、宣伝者、活動家を投獄しようとした。彼らは何年間かは成功し、このような逮捕者を領事府の社会統制の証拠として、また反領事府集団との提携がもたらす危険性の証拠として喧伝した。新進文化党とギラプール・スプリントはペテン師、狂人、ギャンブラー、組織的犯罪のための犯罪者集団だと領事府は主張した。彼らはまるっきり間違っていたわけでもない、新進文化党はそのレッテルを剥がさなかったのだから。領事府の敵であることで党員の数は増え、政治的には全く異なっていようとも、同じような目的を持つ資金提供者の目に留まるようになった。

スプリントほど大規模なイベントを開催するには、NCCが保有する以上の資金が必要だった。何千人もの小口寄付者や幾人かの業界スポンサーがついていたにもかかわらず、スプリントは儲かる取り組みではなかった。損害賠償の支払い、賞金の提供、賄賂の補填その他諸々は、参加レーサーが増えれば増えるほどスプリントから流出する金も増えることを意味していた。出場料を上げたくなかった新進文化党は、ギラプールの犯罪組織の裏社会に訴えた。国家が「犯罪者」に分類する者たちが霊気、部品、補償、賞金を喜んで提供してくれるのなら、新進文化党はそれを受け取るつもりだった。資本が注入されれば、自分や仲間たちを絶望から立ち直らせることができるし、国家はすでに彼らに犯罪者のレッテルを貼っていた。提供された資金を受け取り、すでに叛逆している社会の要求から自分たちを解放するために使わない理由があるだろうか?

このいたちごっこは、ファイレクシアによるアヴィシュカー侵略が始まるまで続いた。次元じゅうの空にポータル/Portalが開くと、党は通常の活動と反領事府の立場を棚上げにした。ファイレクシアンを倒すことが最優先だったのだ。新進文化党は党員に、アヴィシュカーの防衛に向かうよう呼びかけた。NCCの指導部は輸送、兵站、避難活動の調整に当たった。アヴィシュカーの都市、相互扶助網、隠れ家、そして機敏で大胆で機知に富む操縦士や技術者の集団に関して党が持つ基礎的知識はかけがえのないものだった。新進文化党は次元の防衛に役立った。

ファイレクシアの侵略が終わると、それに続いて藍革命が起こった。旧改革派/Renegadeの革命家、新進文化党の党員、戦後の不満を持つ大衆の勢いが合わさって、旧領事府は速やかに無血で倒された。次元の統治が根本的に変わったことを記念し、アヴィシュカー議会/The Avishkar Assemblyが着手すると議決した最初の措置の一つは、次元の名を変えることであった。厄介で痛々しい歴史の重荷を背負った古い呼び名であるカラデシュから、次元とその民の前向きな革命精神を反映する名前であるアヴィシュカーへと。カラデシュからアヴィシュカーへと変わって以来、新進文化党は公然と活動する、大っぴらに祝われ認められた政党となり、アヴィシュカー議会でかなりの数の議席を持つようになった。ギラプール・スプリントはギラプール・グランプリに改名され、ギラプールの夜の大臣ことゴンティが監督する独立した運営組織によって管理される、合法のスポーツイベントとなった。

構造

今年のギラプール・グランプリは、このレースが年に一度の次元横断版になってから二回目のものであり、前年の第一回大会から規模も範囲もアップグレードされている。アヴィシュカー議会は最初のGGPの成功を基に、ギラプールとアヴィシュカーの外にまでお祭り騒ぎを広げ、多元宇宙/Multiverseじゅうから出場チームと代表団を招待することを目指している。議会の願いは、GGPが毎年恒例の多元宇宙的な祭典にしてお披露目の場となり、侵略戦争後の、そして藍革命後のアヴィシュカーの素晴らしさを知らしめてくれることだ。現代のグランプリは、もはや反体制的で非公認の路地裏レースではない。次元間の物流、統治、調整、文化的豊かさ、経済力を管理する新政府の能力を示す、極めて重要なデモンストレーションなのだ。そのため、ギラプール・グランプリの運営組織はアヴィシュカーのみならず多元宇宙じゅうで活動し、繋がっている次元に代表者を派遣してGGP式のステージレースの現地版を公認し分類している。これらのレースは、アヴィシュカーじゅうで開催される公認イベントとともに、出場者をギラプール・グランプリに送り込んでいる。

ギラプール・グランプリそのものは、アヴィシュカーの暦で年に一度、一週間にわたって開催される。それはギラプール・スプリントが夜間に始まっていたことに因み、ギラプール中心部で日暮れとともに始まる。準備には数か月かかり、複数の次元にまたがる複数の部署の仕事(交渉、展開、放送、保安など)を組み合わせた、膨大な運営労力を必要とする。そうして観衆のための切れ目のないお祭りの雰囲気と、出場者のための首尾一貫したコースを作り上げるのだ。

グランプリの第一ステージでは、ギラプールの中心部から郊外まで走る。今年の場合、選手たちは安定した領界路を通ってアモンケットへ到り、復興したルクサ川/The Luxa Riverの緑豊かな川岸に沿って走ることになる。そのステージの終点にある領界路を通ると選手たちはムラガンダの荒野へと行き着き、高架の安全なコースから、この原始的な次元の樹冠を探索する。そこからアモンケットに戻り、今度は灼熱の砂漠を駆け抜け、そしてギラプール中心部の最終ステージに帰ってくる。

レースに設けられた各チェックポイントでそこを通過したチームが記録されるため、不正は理論上不可能であると保証されている。勝者は可能なかぎり最もシンプルかつ分かりやすい方法で決められる――最初にゴールラインを通過したチームが優勝だ。

このイベント全体がギラプール・グランプリと呼ばれている。しかしながら知っておくべきなのは、このイベントが複数のレースから成る祭典であり、何千人ものスタッフ、技術者、保安官を雇う巨大事業であり、多元宇宙でも並ぶもののない次元間の取り組みであるということだ。アヴィシュカーじゅうからファンが集まって観戦するイベントはグランプリと呼ばれる。グランプリの出発式に続いて行われる複数の下位部門レースが存在しており、それは一日限りのスプリントレースから全距離レースまで多岐にわたる。種目は以下のとおりで、格の高いものから低いものの順にランクづけされている。

  1. グランプリ/The Grand Prix
  2. GPアスパイア/GP Aspire
  3. トップ部門/Top Division
  4. クラス1/Class 1
  5. クラス2/Class 2
  6. クラス3/Class 3
  7. エキシビション/Exhibition

下位部門

グランプリに出場する十のチームの下には、レースの下位部門に参戦する何十もの小規模チームが存在している。これらのチームは様々な参加者を惹きつける。翌年のGGP出場権を争うセミプロのGPアスパイアのチームから、シングルステージのスプリントレースや、メインレースの出発後に行われるGGPコースの全距離チャレンジで、人生を変えるような賞金を狙う熱狂的なアマチュアに至るまで。エキシビション部門を除き、すべての選手は一つ上の部門への昇格を勝ち取る立場にある。中には、プロモーターの裁量でGPアスパイアに招待され、その資格を放棄するチームもある。

GPアスパイアのレースでは通常、多元宇宙全域から二十のチームが集まり、翌年のグランプリへの出場権を競う。これらのチームのほとんどは、各地の公認レースでの競走を通してGPアスパイアへの出場権を勝ち取っているが、中には招待されたチームや、抽選を通じて出場権を獲得したチーム、アヴィシュカーに独自の資金提供を行って出場を許されたチームなどもある。

霊気灯/The Aetherspark

ギラプール・グランプリの優勝賞品は毎年異なり、かつて旧領事府に差し押さえられ、長年秘蔵されてきた膨大なアーティファクトや財宝の中から選ばれる。今年のそれは、霊気灯/The Aethersparkと呼ばれる素晴らしいアーティファクトだ。

領事府の倉庫の奥深くから回収されたこのアーティファクトに関するメモによると、霊気灯は肉体から分離したプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkの存在と使用を可能にすることを意図した唯一無二の装置であるという。装置を調査したところ、これは灯を保存し、どのような行使者にもその使用を可能にするような仕組みになっていることが示された。装置の使用者は、あたかも内部の灯が自分自身のものであるかのようにプレインズウォークできるはずである。しかしながら、この装置の発明者が制作過程を記録していなかったか、あるいはファイレクシアの侵略の際に設計図が破壊されてしまった。その結果、霊気灯はまだ一度もテストされたことがなく、装置の正確な機能は純粋に理論上のものである。疑問は尽きない――このアーティファクトの中の灯は使用者とともに次元を渡るのだろうか?一度使用したら装置は使い果たされてしまうのだろうか?装置は最初の使用者以外の者にも使用できるのだろうか?そもそも設計されたと見られるとおりに機能するのだろうか?その答えは、勇敢な者によって確かめられるだろう。

領界路の時代である今、アヴィシュカー政府は霊気灯のリバースエンジニアリングに関心を抱いていない。領界路は豊富にあり、それらの安定した経路を通じて大量輸送、貿易、外交を可能にする実証済みの技術が存在する。霊気灯は独特で魅力的なアーティファクトであり、以前であれば戦争の引きがねになったかもしれないが、現在は過ぎ去った時代の遺物に成り下がってしまった。これはグランプリの選手が追い求めるのに完璧なトロフィーであり、威信、多元宇宙、霊気、危険性が組み合わさった、グランプリのあらゆる側面を体現する象徴的な物品である。

出場チーム

アヴィシュカーとアモンケットのホストチーム二つに加え、もう八つのチームがグランプリと下位部門に仲間を派遣している。

大会関係者

エーテルレインジャーズ
チャンピオンズ・オブ・アモンケット
クラウドスパイア・レーシング
  • チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar - アヴィシュカー出身の人間のプレインズウォーカー。ピアの娘。霊気灯を勝ち取るべくこのチームと契約し、共同キャプテンの一人となった。
  • コロディン/Kolodin - 共同キャプテンの一人。優勝した前大会では単独キャプテンだった。
ガイドライト・ボヤージャーズ
スピードデーモンズ
ゴブリン・ロケッティアーズ
アラクリアン・クイックビースト
  • カラドーラ/Caradora - アラクリア出身の乗り手。ラゴリンとともにチームを率いる。
  • ラゴリン/Lagorin - アラクリア出身のクイックビースト。カラドーラとともにチームを率いる。
スピード・ブルード
  • アーチック/Aatchik - 未知の次元出身の乗り手。キャプテンにしてラジアン/Radian(生ける機体となる運命に近づきつつある模範的指導者)。
キールホーラーズ
エンドライダーズ

登場

登場作品・登場記事

参考

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