マスティコア/Masticore
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アーティファクト クリーチャー — マスティコア(Masticore)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
(2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
(2):マスティコアを再生する。
ウルザ・ブロック当時のスタンダードで大暴れしたアーティファクト・クリーチャー。同環境の変異種/Morphlingと並び「最強のクリーチャー」と謳われた。
解説
アップキープ・コストが課せられているが、マナ・コスト4マナで4/4のサイズに、再生とクリーチャー除去の2種類の能力を持ち、総合的にアーティファクト・クリーチャーとしては非常に高いコスト・パフォーマンスを誇る。
- 基本能力
- マナレシオの面から見ると、このマナ域にしては色を選ばないアーティファクトにもかかわらず、緑を除く4色と比べても高い水準に位置する。そして4/4は対クリーチャー戦でも十分に渡り合うことができフィニッシャーに足る大きさであり、更に再生によって戦闘での生存力を向上させているだけでなく、火力にもアーティファクト除去にも強くなっている。
- 除去能力
- クリーチャー除去能力は、2マナを1点ダメージに変換する能力。マナを費やせばこれ1体で複数のクリーチャーを除去でき、アドバンテージを生む。また、被覆や破壊不能などを持つクリーチャーには無力とはいえ、無色のダメージソースであるためプロテクションには引っかかりにくい利点がある(これに対応しているプロテクション―例えば対アーティファクトや対クリーチャーなど―でトーナメントレベルのものはまずない)。多くのマナを喰う除去能力であるが、環境には極めて優れたマナ生産手段があった(後述)。
- アップキープ・コスト
- アップキープ・コストのデメリットは侮れない。毎ターンカードを1枚失うので何らかの補助がない限り手札のカード総数は増えなくなり、展開が大きく制限されてしまう。そのため、召喚した後はこれ中心に戦わざるを得なくなる。しかし上述の通り他のカードが必要ない程に強力であり、厳しいコストを支払うに値するだけの活躍をすると評価された。
利用
ストンピィのようなビートダウンから青茶単のようなパーミッションまで殆どあらゆるデッキに投入され猛威を振るった。その理由は、これ自身のカードパワーはもとより環境にも恵まれていたからである。
- ストンピィのような超高速ビートダウンにおいて普通4マナのカードは遅すぎるのだが、同ブロックには強烈なマナ加速であるガイアの揺籃の地/Gaea's Cradleがあった。また、除去能力の起動コストの支払いが容易となるだけでなく、マナ・バーン在りし頃の揺籃の地の余剰マナ処理にも充てることができた。
- 青茶単のようなパーミッションデッキでは、手札枚数の保持が重要であるため手札を捨てるデメリットは殊更きついのだが、同ブロックには優秀なドローカード、天才のひらめき/Stroke of Geniusが存在した。
- ティンカーなどの茶単デッキとも相性抜群。修繕/Tinkerのサポートもあり、厳かなモノリス/Grim Monolith・金属細工師/Metalworkerなどの強力なマナ加速によりボードコントロールを確立できる。
- ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobは維持コストを帳消しにできる。この2枚は同環境に存在していたこともあり、特に使いやすかった。
しかし、パワーカードとはいえ手放しで4枚積みして良いというものでもなかった。上記のアップキープ・コストにより、戦場に出すタイミングを計るプレイヤーの技量が問われるカードであるとともに、ノンクリーチャーデッキの多い環境では実質「デメリットつきの4マナ4/4再生」に過ぎず別のクリーチャーの方が有効であるからだ。したがって、環境によってはサイドボードからの投入に留まっている場合もある。
現在ではエターナルでしか使えないが、全盛期ほどの活躍は見せていない。当時と比べてクリーチャーの質が上がっていることもあり、デメリットがある分、睨み合いになると不利になる事が多くなったためである。また、速度に特化したデッキに対しては、マナが多く必要なこれでは追いつかない事も多く、それ程の支配力を持っているわけではない。さらに無のロッド/Null Rodや真髄の針/Pithing Needleが横行しているため、起動型能力を封じられてしまうことも多い。それでも、中盤を乗り切った後、マナに余裕が出てからの制圧能力は健在で、サイドボードからの投入はごくまれにあるようだ。ただし、茶単等のビートダウンでは、1マナ重い代わりにマナを食わない亜種である剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticoreが採用されることも多い。
ルール
- カードを捨てるのはアップキープ・ステップであり、ドロー・ステップより前である。ドロー・ステップで引いたカードを、維持コストに充てるといった使い方はできない。
- 2007年9月サブタイプ変更によりマスティコアのクリーチャー・タイプを獲得。
開発秘話
マスティコアはミシュラの戦争機械/Mishra's War Machineに着想を得て制作されたカードで、開発時に「Mishra's Better War Machine」と呼ばれていた。このカードの開発は、「ミシュラの戦争機械の持つ欠点『アップキープにカードを1枚捨てる』を相殺する」あるいは「同じ欠点を持つカードをプレイに堪えるものにする」を焦点とした試みであった。製品化されたマスティコアは極めて強力で影響力を有するトーナメント常連カードとなった。結果として、ゲームの勝利を確かなものにできるのならば、この欠点はそれほど高くないことが判明した。(→Card of the Day - 2003/11/12(和訳)、Card of the Day - 2004/01/14(和訳)、What Do You Know, Part I参照)
また、マスティコアは「manticore(マンティコア)」と「masticate(食べ物をかむ)」の2語に由来する命名である。ウルザズ・デスティニー版のイラストではマンティコアに似た姿が描かれ、金属の物体を食べている。(→The Lexicon Archive参照)
その他
- 綿密な分析/Deep Analysis(イラスト)やRemodel(イラスト)のカードにも描かれている。綿密な分析が登場した際には、似たようなカードが次に出るのではないかと期待する意見も出た(再録禁止カードであるため直接の復活はありえなかった)。
- ウルザズ・デスティニー版イラストでは口にくわえている金属棒が途中で折れているが、デュエリスト・ジャパンVol.11(99ページ)では完全につながっている絵を見ることができる。Mark RosewaterとJamie Wakefieldによるこのカードに対するコラム(時のらせん/Time Spiral、変異種/Morphlingとともに、予想以上に環境を支配した事による失敗)も載っている。
- コミックでも登場。デュエル・マスターズでは「超凶獣クリーチャー」と呼ばれ来月号への引きに使われた他、主人公を圧倒さえした。一方デュエルファイター刃では手札のない状態で召喚されてしまうお笑い登場となった。
- マスティコアがスタンダードを去った数年後に、マジック最悪のカードであると冗談交じりに紹介されたことがある(参照)。
- From the Vault:RelicsにSteven Belledinによる新規イラストで収録された。
- 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1999年を代表するカードとして展示された。(参考)
関連カード
- 剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore - フィフス・ドーンで登場したリメイク版。
- 溶鉄の尾のマスティコア/Molten-Tail Masticore - ミラディンの傷跡で登場したリメイク版。