The Rock
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黒緑のコントロール寄りなグッドスタッフ。 正式にはThe Rock and His Millions(「ロック様とその100万のしもべ」の意)。WWEのスーパースター、ザ・ロックのキメ台詞であり、最初期に入っていたボードコントロールクリーチャーのファイレクシアの疫病王/Phyrexian Plaguelordが、自軍の他のクリーチャーを弾丸として使い、次々に墓地送りにしていった様子と掛けている。
元は旧エクステンデッドに存在した黒緑コントロールを指していたが、最近では、黒緑の色で組まれるグッドスタッフの総称として用いられ、ビートダウン寄りのものも含まれる事が多い。
目次 |
概要
緑に多いアドバンテージクリーチャーと、黒のコントロールカードを主にしたグッドスタッフ。
アドバンテージ面に優れ、さらに強力な手札破壊や、高性能なサーチを使用したシルバーバレット戦略により多分な汎用性を持つ。 強力なコントロール要素を持ったデッキであり、対コントロール・対ビートダウン問わず安定した戦いが見込める。 ただ汎用性の高さ・高い安定感とは決定力に欠けるという弱点の裏返しであり、時に「器用貧乏」と揶揄されることも多い。突破力のあるデッキに最高の回りをされると手も足も出ない、打ち消しを用いないことから、対策を怠ったカード1枚に負けるなどが弱点である。
デュアルランド時代から近年のエクステンデッドまで長期にわたって活躍したデッキである。以下に時期ごとのデッキの変遷を記載する。
ゼンディカー・ブロック期
エクステンデッドのローテーションによりそれまでの主力だったアポカリプスのカードを失う。しかし、そこを他のカードで補ったデッキも登場し、依然健在である。
永遠の証人/Eternal Witnessや台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finksなどの緑のアドバンテージクリーチャーを多用し、デッキ次第では壌土からの生命/Life from the Loamエンジンも組み込まれる。
ソーサリー
あなたの墓地にある土地カードを最大3枚まで対象とし、それをあなたの手札に戻す。
発掘3(あなたがカードを1枚引くなら、代わりにあなたはカードを3枚切削してもよい。そうしたなら、あなたの墓地にあるこのカードをあなたの手札に戻す。)
クリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
永遠の証人が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるカード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。
2/1ゼンディカー後のエクステンデッドでは様々な試行がされ、混沌としている。
2色のものだけを見ても、
- タルモゴイフ/Tarmogoyfや吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk等の優秀な「非アドバンテージクリーチャー」を投入した、ビート・コントロールタイプ
- 墓掘り甲のスカラベ/Grave-Shell Scarabまで採用した低速安定タイプ
- アドバンテージクリーチャーで固め、その場しのぎの人形/Makeshift Mannequinを活用するタイプ
- 上記のハイブリッドデッキ
など多岐に渡り、メタが多様であるのを示すと同時に、The Rockが構築の幅の広いデッキであることも示している。
ローウィン・ブロック期
未来予知の超強力クリーチャー・タルモゴイフ/Tarmogoyfを筆頭に、優良手札破壊の思考囲い/Thoughtseize・強力プレインズウォーカー・野生語りのガラク/Garruk Wildspeakerなどが登場。ショックランドも健在なため、多色化したデッキが主流である。
クリーチャー — ルアゴイフ(Lhurgoyf)
タルモゴイフのパワーは、すべての墓地にあるカードのカード・タイプの数に等しく、タフネスはその点数に1を加えた点数に等しい。
*/1+*ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは手札を公開する。あなたはその中から土地でないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。あなたは2点のライフを失う。
タルモゴイフの追加でビート・コントロールへの傾斜が強まったため、特に白をタッチしたタイプは黒緑白のPT Junkとの境界は曖昧になりつつある。また、同時期のスタンダードで活躍した黒緑エルフ等の黒緑ビートダウンもThe Rockの名で呼ばれることがある。
それとは逆に、追加のリセット手段として死の雲/Death Cloudや滅び/Damnationを採用したデスクラウドも登場した。
サンプルレシピ
- 備考
- グランプリフィラデルフィア08 優勝(参考)
- 使用者:Gerard Fabiano
- フォーマット
メインデッキ (60) | |
---|---|
クリーチャー (18) | |
4 | 永遠の証人/Eternal Witness |
4 | ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch |
2 | 貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth |
4 | 桜族の長老/Sakura-Tribe Elder |
4 | タルモゴイフ/Tarmogoyf |
呪文 (19) | |
2 | 燻し/Smother |
2 | 陰謀団式療法/Cabal Therapy |
1 | 強迫/Duress |
4 | 破滅的な行為/Pernicious Deed |
2 | ジェラードの評決/Gerrard's Verdict |
4 | 名誉回復/Vindicate |
3 | 思考囲い/Thoughtseize |
1 | 師範の占い独楽/Sensei's Divining Top |
土地 (23) | |
2 | 血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire |
3 | 森/Forest |
3 | 神無き祭殿/Godless Shrine |
3 | 草むした墓/Overgrown Tomb |
1 | 平地/Plains |
3 | 沼/Swamp |
1 | 寺院の庭/Temple Garden |
3 | 樹上の村/Treetop Village |
4 | 吹きさらしの荒野/Windswept Heath |
サイドボード | |
2 | クローサの掌握/Krosan Grip |
4 | 虚空の力線/Leyline of the Void |
2 | 滅び/Damnation |
2 | 燻し/Smother |
2 | 頭蓋の摘出/Cranial Extraction |
1 | 強迫/Duress |
2 | 根絶/Extirpate |
ラヴニカ・ブロック期
ローテーション後の開幕戦となったプロツアーロサンゼルス05では振るわなかったが、ショックランドにより多色化が容易となり、黒緑に一つ色をタッチしたデッキが登場。
白をタッチしロクソドンの教主/Loxodon Hierarch等を加えたもの、青を加えてけちな贈り物/Gifts Ungivenを採用したけちマルカ(Gifts Rock)なども登場した。
インスタント
対戦相手1人を対象とする。あなたのライブラリーから異なる名前のカードを最大4枚まで探し、それらを公開する。そのプレイヤーはそれらのカードから2枚を選ぶ。選ばれたカードをあなたの墓地に置き、残りをあなたの手札に加える。その後ライブラリーを切り直す。
神河ブロック期
ミラディン参入前後のエクステンデッドはティンカーやゴブヴァンテージの荒れ狂う超高速環境であり、The Rockの活躍の舞台はなかった。ダークスティールでデッキタイプに噛み合った超強力装備品・頭蓋骨絞め/Skullclampが登場するも、活躍を待たずに禁止カードに。
逆に神河物語では大きな恩恵を受けている。桜族の長老/Sakura-Tribe Elderと木霊の手の内/Kodama's Reachの追加でランドブーストに磨きがかかり、夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Starは新たなフィニッシャーとなった。さらに頭蓋の摘出/Cranial Extractionは対コンボに有効なカードである。
クリーチャー — 蛇(Snake) シャーマン(Shaman)
桜族の長老を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それをタップ状態で戦場に出す。その後ライブラリーを切り直す。
1/1伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon) スピリット(Spirit)
飛行
夜の星、黒瘴が死亡したとき、各対戦相手は5点のライフを失う。あなたは、これにより失われたライフに等しい点数のライフを得る。
しかし、これらの新戦力も器用貧乏というこのデッキの弱点を拭い去ることはできず、プロツアーコロンバス04でベスト8進出者は無し。その後も目立った活躍は見られなかった。
メタゲームの変遷に合わせる形で、野生の雑種犬/Wild Mongrel等の軽量アタッカーや梅澤の十手/Umezawa's Jitte等の装備品を採用し黒緑ビートダウンへとシフトした京都迷宮案内(Macey Rock)も登場した。
オンスロート・ブロック期
エクステンデッドのローテーションでも失ったカードは少なく、逆にジャッジメントで生ける願い/Living Wish・オンスロートで貪欲なるベイロス/Ravenous Balothをそれぞれ獲得。開幕戦となるプロツアーヒューストン02でもベスト8に2人を送り込んだ。→*1
ソーサリー
あなたは、ゲームの外部からあなたがオーナーであるクリーチャー・カード1枚か土地カード1枚を公開し、それをあなたの手札に加えてもよい。生ける願いを追放する。
だが青緑マッドネスの台頭で、3ターン目にでてくる尊大なワーム/Arrogant Wurmによって点数で見たマナ・コストに依存する破滅的な行為の効果が薄くなり、起動した返しに出てくる墓地のワームの咆哮/Roar of the Wurmにも対処しづらかったので、一時期トーナメントシーンから駆逐された時期もあった。 この時期はクリーチャー戦が主体となったため、赤をタッチして終止/Terminateや火炎舌のカヴー/Flametongue Kavuが投入された。 後にサイカトグがマッドネスを食い始めまた復活するなど、興味深いメタの変遷がある。
サンプルレシピ
- 備考
- プロツアーヒューストン02 ベスト4(参考)
- 使用者:Darwin Kastle
- フォーマット
- サイドボードは吸血の教示者/Vampiric Tutorと生ける願い/Living Wishのシルバーバレット用に多く割かれている。
デュアルランド期
The Rockの発祥はデュアルランド時代のエクステンデッドに遡る。特に、アポカリプスで加わった黒緑のパワーカード(特に破滅的な行為/Pernicious Deedと魂売り/Spiritmonger)を主力としている。
エンチャント
(X),破滅的な行為を生け贄に捧げる:マナ総量がX以下の、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
クリーチャー — ビースト(Beast)
魂売りがクリーチャーにダメージを与えるたび、魂売りの上に+1/+1カウンターを1個置く。
(黒):魂売りを再生する。
(緑):魂売りは、ターン終了時まであなたが選んだ1色の色になる。
ただ、全体除去である破滅的な行為と多量のクリーチャーを併用するため、ディスシナジーを形成してしまう。 そのためヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elderなど墓地に行くことでアドバンテージが見込めるカード、花の壁/Wall of Blossomsや永遠の証人/Eternal Witnessなどの187クリーチャー、スパイクの飼育係/Spike Feederのような生け贄能力持ち、魂売りのような再生持ちなど、主に破滅的な行為と相性のいいクリーチャーが採用される。
また、生ける屍/Living Deathを搭載しボードコントロールを強化したタイプはマルカ・デスと呼ばれる。