西風のスピリット/Zephyr Spirit
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マジックの全クリーチャーの中でも最低ランクのカードパワーを持つ青のクリーチャー。
能力を見ると、ブロックに参加するたびに手札に戻る誘発型能力を持つ。戦闘ダメージを受ける前に戻るので戦闘では破壊されにくく、タフネスは6と高いため火力でも焼かれにくい。つまり、手札に戻っても再び戦場に出すことで、死ににくいブロッカー1体を毎ターン確保できるカードということになる。
「6という頑丈なタフネス」「戦闘では不死身」という情報だけを見ると独特の利点と有用性を持っているかのような印象を受けるが、実際にはこれでブロックするのと0/1でブロックするのに大した差はない。これでブロックを繰り返すということはつまり、6マナもかけて0/1(あるいはそれ以下)のクリーチャー・トークンを生成しているようなものであり、コスト・パフォーマンスの悪さは歴然。これより軽いコストで毎ターンチャンプブロッカーを確保できるカード(一例として迷惑エンジン/Nuisance Engineやサーペイディア諸帝国史、第七巻/Sarpadian Empires, Vol. VIIなど)より優れる場面はほとんどない。マナ・コストの重さ以外にも、パワーが0なのでそのままではアタッカーに使えない、飛行などの回避能力持ちを止められない、トランプル持ちをブロックしても戦闘ダメージを防げない、複数の攻撃クリーチャーには対応できない、などなど、デメリットを上げればキリがない。
似たような能力を持つガラクタの壁/Wall of Junkと比較するとカードパワーの低さが顕著になる。そちらはサイズが0/7とほぼ同じにも関わらず2マナと非常に軽く、デッキカラーも選ばない。その軽さから、ゲーム序盤から守りに使え、再び唱えてもテンポを圧迫しない、戦闘ダメージを受けた後に手札に戻るためトランプルも防げる、など使い道がある。
これ自体は防衛など、自身の攻撃を制限する能力は無い。全体強化などでパワーを与えてやれば一応攻撃にも参加できる。とはいえ攻撃時には能力は誘発しないので実質バニラ相当となり、結局マナ・コスト相当の性能は無い。
- これによってブロックされたクリーチャーは、トランプルなどが無い限り戦闘ダメージをどこにも与えることができない。そのため、梅澤の十手/Umezawa's Jitteの蓄積カウンターを乗せる能力や、魂の絆/Spirit Linkなどの能力の誘発を阻止することができる(トランプルを持っていた場合はその戦闘ダメージが全てプレイヤーに通ることになるので意味は無い)。
- クリーチャー・タイプがスピリットである特性を活かすスピリットクラフトと相性は悪くはない。1回につき6マナかかるためコスト・パフォーマンス面とテンポ面で難があるものの、マナ総量を参照するカード(神河救済の麒麟サイクルなど)との併用時には逆に利点となる。
- もっとも、「漠然と使うよりはいくらかマシ」といった程度で、これを積極的に採用する理由には到底なりえないだろう。
ラヴニカ:ギルドの都の最低カード
重さの割りに能力の旨味が少ないことから、しばしば最低のコスト・パフォーマンスといわれるカードであり、公式サイトにおいても話題になったことがある。
Chris MillarはMedium Double-Doubleでラヴニカ:ギルドの都最低のカードとして議事会の祝福/Conclave's Blessingを挙げたが、ユーザーから抗議の声や反対意見が多く寄せられたことにより3週間後にZephyr Say Zephyr Againで最低カードを再考しなくてはならなくなった。そこで最低カード候補とされたのがこの西風のスピリットである。
その記事では、本頁上述のようにスピリットクラフトとの利用や梅澤の十手/Umezawa's Jitteのカウンター増加を防ぎうる点、マナ総量を参照するスカージのカード群(ドラゴンエンチャントなど)との相性のよさ、更にはNow I Know My ABC'sでは議事会の祝福よりアルファベットが多いこちらが有利であること、西風のスピリットを撹乱する群れ/Disrupting Shoalの代替コストにして潮の星、京河/Keiga, the Tide Starを打ち消してやったときの対戦相手の顔が見もの、など様々な長所を(いささか無理矢理に)挙げ、実際にデッキ構築を行った。
一方、海外に限らず日本の掲示板の議論などでも、ラヴニカ・ブロック期(あるいはマジック史上)最低のカードの1つとみなされることが多々あった。青のクリーチャーの分野では、これとサプラーツォの略奪者/Saprazzan Raiderのどちらがより酷いか、と議論が交わされてもいた。しかし、総合的にはマジック史上ワーストワンクリーチャーの座はWood Elementalに譲らざるをえないようである。