ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought
提供:MTG Wiki
アーティファクト クリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ドレッドノート(Dreadnought)
トランプル
ファイレクシアン・ドレッドノートが戦場に出たとき、パワーの合計が12以上になるように好きな数のクリーチャーを生け贄に捧げないかぎり、これを生け贄に捧げる。
12/12でトランプルを持つ非常に巨大なアーティファクト・クリーチャー。マナ・コストは1マナと非常に軽いが、戦場に出た際に相当数のクリーチャーを生け贄に捧げなければならないペナルティ能力があるので、普通の手段では使いにくい。大抵はコンボで利用される。(→#利用と実績、#主な活用手段・デッキ参照)
- Magic Onlineでのミラージュのリリースに伴う2005年9月のオラクル更新でドレッドノートのクリーチャー・タイプを獲得した。アヴァシンの帰還現在、これ専用のクリーチャー・タイプである。
- レギオンでクローサの雲掻き獣/Krosan Cloudscraperが出るまでは、登場以来長らく、マジックで最大のパワーとタフネスを誇るクリーチャーだった。
利用と実績
パッと見こそ派手だが、普通の戦闘要員としては頼りない。というのも、
- これを戦場に出した前と後でパワー合計は結局変わらず、戦力増強にならない。そもそも合計パワー12もクリーチャーがいるなら、それらで殴るほうが早く、あまり意味がない。
- 除去耐性がない。当時は白デッキなら当然のように解呪/Disenchantが入っていた時代であり、割られる可能性が非常に高い。
などの弱点のほうが目立つためである。ファッティ大好きティミーたちの心はくすぐったものの、見かけ倒しのカスレア的存在とされていた。
しかし、このペナルティ能力が追加コストでもなければ置換効果でもなく、CIP能力である点がポイント。「戦場に出す」だけならば(即墓地送りになるものの)生け贄に捧げるクリーチャーがいなくてもできてしまう。登場当初はその性質を生かすカードには恵まれていなかったが、後々、その点を悪用したコンボデッキが数多く開発されることになる。
エクソダスで登場した伏魔殿/Pandemoniumと組み合わせ、わずか1マナで12点火力を飛ばすコンボを軸にしたパンデモノートというデッキは、アジア太平洋選手権98で準優勝を果たすまでに至った。第6版ルール施行後には、これが戦場に出た後、CIP能力の解決前に幻視の魔除け/Vision Charmなどでフェイズ・アウトさせてペナルティをやり過ごすことができるようになった。また、もみ消し/Stifleなどの誘発型能力を打ち消すことができるカードも登場。これらの方法でCIP能力を踏み倒すデッキはスタイフルノートと呼ばれている。
あまりの暴れぶりに、一時期はエラッタによってペナルティ能力を置換効果に変更されており、その間は上記のコンボは利用できなかった。現在は当初のテキスト通り、CIP能力に戻っている(#エラッタ参照)。エターナルではスタイフルノートコンボを組み込んだデッキがしばしば活躍している。
その他の利用法としては、強化呪文や歩く火力などの一時的なパワー増大を生け贄にする、自然の反乱/Nature's Revoltでクリーチャー化した土地を生け贄にする、などが挙げられる。後者の方法で、ペンドレルリボルトにおいて、相手がロックから抜け出す前に決着をつけるフィニッシャーとなった実績がある。
主な活用手段・デッキ
- 伏魔殿/Pandemoniumで対戦相手にダメージ。→パンデモノート
- もみ消し/Stifleで打ち消したり、幻視の魔除け/Vision Charmでフェイズ・アウトさせたりして踏み倒す。→スタイフルノート・ドレッドスティル
- Illusionary Maskで裏向きにして戦場に出すことで踏み倒す。→マスク・ドレッド
- 戦場に出ないクリーチャー扱いで、高パワーを参照するカードとコンボ。→例:縫合グール/Sutured Ghoul
- 苔汁の橋/Mosswort Bridgeの条件を簡単に満たす。戦場に出してCIP能力が誘発したら、それの解決前に秘匿能力を起動すればよい。→Show and Tell
エラッタ
前述のように、パンデモノートのコンボがあまりにも簡単に決まってしまうことから1999年7月にエラッタが適用され、戦場に出る前に生け贄に捧げるようになった。その時のルール文章は以下の通り。
旧オラクル
ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought (1)アーティファクト クリーチャー
トランプル
ファイレクシアン・ドレッドノートが場に出るとき、代わりにパワーの合計が12以上になるような、任意の数のクリーチャーを生け贄に捧げる。生け贄に捧げた場合、ファイレクシアン・ドレッドノートを場に出す。生け贄に捧げなかった場合、ファイレクシアン・ドレッドノートをそのオーナーの墓地に置く。
このテキストであっても、Illusionary Maskを使って戦場に出す場合はクリーチャーを生け贄に捧げる必要が無い。そのため、レガシーでIllusionary Maskは禁止カードに指定され(後に解除)、ヴィンテージにおいては、このシナジーを前提として使用され続けていた実績がある(→マスク・ドレッド)。
その後、2007年7月のオラクル更新により、元々のテキストに戻った。これによりパンデモノートコンボが再び可能になった。
イラスト
イラストではほとんど判別がつかないが、ファイレクシアン・ドレッドノートに立ち向かう人物が右下に描かれている。これがどれだけでかいのかがよく分かる(→拡大されたイラスト)。
- しかしB.F.M.と比べたらイモ虫同然である(B.F.M.の右イラストでは角に引っかかっている)。上には上がいる。
Duelist誌13号の記事によると、ファイレクシア風の外見が好みだというピート・ヴェンタースは、「ファイレクシアの化け物はねじくれた非人間的な美的感覚の産物で、それはH.R.ギーガーの生化学的作風を思わせるものだが、錆付いた歯車やギア、ピストンのおかげでスチームパンクの雰囲気も漂わせている。だからファイレクシア生物は奇怪な部分の集合体だ。」とした上で、ドレッドノートは大半を普通とあべこべの向きに描くようにしたと語る。また、右下隅の人物は巨大感を示すために加えたもので、その正体はプレインズウォーカー/Planeswalkerのテイザー/Taysirである。彼はドレッドノートを近寄らせまいとしている。
ストーリー
ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnoughtは途轍もなく巨大でムカデのように長いファイレクシア/Phyrexiaの機械生物(イラスト)。上述の通り、カードイラストの右下隅の人物はプレインズウォーカー/Planeswalkerのテイザー/Taysirである。
4205AR、ファイレクシアに攻め込んだテイザーらナイン・タイタンズは第二球層においてこのドレッドノートに遭遇している。また、同第二球層でクリスティナ/Kristinaを襲ったthe thousand-legged giant millipede(千本足の巨大ヤスデ)の描写はドレッドノートによく似ている。
登場作品
- Planeshift(小説)
参考
- Art Close-Up: Phyrexian Dreadnought (拡大されたイラスト。WotC, 英語)
- ファイレクシア/Phyrexia(背景世界/ストーリー用語)
- 再録禁止カード一覧(再録禁止カード)
- カード個別評価:ミラージュ - レア