呪禁バント
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− | '''呪禁バント | + | '''呪禁バント'''(''Bant Hexproof'')は、[[呪禁]][[クリーチャー]]と[[単体強化]]を中心とする[[緑白青]]の[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウンデッキ]]。[[イニストラード]]参入後の各[[フォーマット]]に存在する。 |
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+ | クリーチャーの[[攻撃]]によって[[ライフ]]を攻めるという点では紛うことなき[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]なのだが、2種類の[[カード]]を揃えることで大きな相乗効果を生み出すという点では[[コンボデッキ]]にも似た性質を持つ(実際、公式記事[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/207 Ah Yes. Very Standard.]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/003700/ まさしくスタンダードだ]における[[アーキタイプ]]論では、このデッキをコンボに分類している)。[[引く|引き]]が噛み合った時の高いクロックの質を大きな強みとする一方で、呪禁クリーチャーか強化手段のどちらかしか引けないと極端に動きが弱くなるという、一種の[[事故]]のリスクを抱えている。 | ||
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− | [[ギルド門侵犯]] | + | [[ローテーション]]直後は比較的マイナーな[[デッキタイプ]]であったが、[[グランプリアトランティックシティ13]]をワンツーフィニッシュしたことでその実力が知れ渡ることとなり、[[メタゲーム|メタ]]の一角として定着。そのひと月後に[[ギルド門侵犯]]が参入し、[[オルゾヴァの贈り物/Gift of Orzhova]]や[[繁殖池/Breeding Pool]]を獲得したことで大きく強化された。[[ドラゴンの迷路]]からも[[ひるまぬ勇気/Unflinching Courage]]や[[復活の声/Voice of Resurgence]]を獲得し、さらに強化されている。 |
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− | [[単体強化]]を軸とした[[緑青]][[タッチ]][[白]]の[[デッキ]] | + | [[単体強化]]を軸とした[[緑青]][[タッチ]][[白]]の[[デッキ]]が存在する。[[魂の洞窟/Cavern of Souls]]の存在から一種の[[部族 (俗称)|部族]]デッキとしての側面があり、[[プロツアー「アヴァシンの帰還」]]の公式カバレージ([http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/ptavr12/welcome 参考]/[http://coverage.mtg-jp.com/ptavr/ 参考])では'''スピリット'''(''Spirits'')や'''Geists'''と表記された。 |
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− | + | [[環境]]初期は決してメジャーな戦略ではなかったが、[[アヴァシンの帰還]]から高い爆発力を持つ[[ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart]]と、聖トラフトの霊・[[絡み根の霊/Strangleroot Geist]]の自然な両立を可能とする魂の洞窟を獲得したことで、[[メタゲーム|メタ]]に食い込めるまでになった。プロツアー「アヴァシンの帰還」では[[StarCityGames.com|Team StarCityGames.com]]のメンバー数名がこれを持ち込み、準優勝を含む大きな成果を上げている。 | |
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==参考== | ==参考== | ||
+ | *[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/deck/932 Spectral Bant]([http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Default.aspx Daily MTG]、Daily Deck List、文:[[Gavin Verhey]]) | ||
+ | *[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpatl13/day2#6 Deck Tech: Bant Auras! with David Ochoa](同上、[[グランプリアトランティックシティ13]]カバレージ、文:[[Jacob Van Lunen]]) | ||
+ | *[http://coverage.mtg-jp.com/finals11/article/002739/ Deck Tech: 呪禁バント by 増野 良輔 (モダン)]([http://mtg-jp.com/ mtg-jp.com]、[[The Finals11]]カバレージ、文:[[伊藤敦]]) | ||
+ | *[http://mtg-jp.com/reading/kajidigital/004198/ 第71回:グランプリ・アトランティックシティ優勝 Jon Sternのバント・オーラをリプレイ!](同上、鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」、文:[[鍛冶友浩]]) | ||
*[[緑白青ビートダウン]] | *[[緑白青ビートダウン]] | ||
*[[デッキ集]] | *[[デッキ集]] | ||
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2013年6月24日 (月) 08:16時点における版
呪禁バント(Bant Hexproof)は、呪禁クリーチャーと単体強化を中心とする緑白青のビートダウンデッキ。イニストラード参入後の各フォーマットに存在する。
目次 |
概要
呪禁を持つ聖トラフトの霊/Geist of Saint Traftや不可視の忍び寄り/Invisible StalkerはP/Tが低く、前者はブロッカーで止められやすいことが、後者はクロックとしての線が細いことが運用上のネックとなる。また、強化オーラはクリーチャー除去によってアドバンテージを失いやすいことが大きな弱点とされる。
しかし、呪禁クリーチャーに強化オーラをつけると互いの長所が互いの短所をカバーし合うため、単体除去で対処されない安定性と、高い打撃力を両立した強力なクロックを作り出すことができる。これを基本戦略に据えたデッキが呪禁バントである。
クリーチャーの攻撃によってライフを攻めるという点では紛うことなきビートダウンなのだが、2種類のカードを揃えることで大きな相乗効果を生み出すという点ではコンボデッキにも似た性質を持つ(実際、公式記事Ah Yes. Very Standard./まさしくスタンダードだにおけるアーキタイプ論では、このデッキをコンボに分類している)。引きが噛み合った時の高いクロックの質を大きな強みとする一方で、呪禁クリーチャーか強化手段のどちらかしか引けないと極端に動きが弱くなるという、一種の事故のリスクを抱えている。
イニストラード・ブロック+ラヴニカへの回帰ブロック期
ラヴニカへの回帰でオーラ特化戦略の核となる天上の鎧/Ethereal Armorが登場したことで成立。バント・オーラ(Bant Auras)とも呼ばれる。
呪禁を持つ不可視の忍び寄り/Invisible Stalkerと聖トラフトの霊/Geist of Saint Traftに天上の鎧や怨恨/Rancor、幽体の飛行/Spectral Flightなどの強化オーラをつけ、対戦相手を殴り倒すのが基本戦略。追加のクリーチャーとしては二段攻撃を持つ(付与する)剣術の名手/Fencing Aceや銀刃の聖騎士/Silverblade Paladin、ブロッカーとしても優秀な絡み根の霊/Strangleroot Geistやロクソドンの強打者/Loxodon Smiterなどがよく用いられる。
ローテーション直後は比較的マイナーなデッキタイプであったが、グランプリアトランティックシティ13をワンツーフィニッシュしたことでその実力が知れ渡ることとなり、メタの一角として定着。そのひと月後にギルド門侵犯が参入し、オルゾヴァの贈り物/Gift of Orzhovaや繁殖池/Breeding Poolを獲得したことで大きく強化された。ドラゴンの迷路からもひるまぬ勇気/Unflinching Courageや復活の声/Voice of Resurgenceを獲得し、さらに強化されている。
サンプルレシピ
- 備考
- グランプリアトランティックシティ13 優勝 (参考)
- 使用者:Jon Stern
- フォーマット
- 初期のタイプ。
イニストラード・ブロック構築
単体強化を軸とした緑青タッチ白のデッキが存在する。魂の洞窟/Cavern of Soulsの存在から一種の部族デッキとしての側面があり、プロツアー「アヴァシンの帰還」の公式カバレージ(参考/参考)ではスピリット(Spirits)やGeistsと表記された。
聖トラフトの霊/Geist of Saint Traftや不可視の忍び寄り/Invisible Stalkerといった除去耐性持ちのクリーチャーを幽体の飛行/Spectral Flightや高まる残虐性/Increasing Savageryで強化し、対処の難しいクロックを作り出す。
環境初期は決してメジャーな戦略ではなかったが、アヴァシンの帰還から高い爆発力を持つウルフィーの銀心/Wolfir Silverheartと、聖トラフトの霊・絡み根の霊/Strangleroot Geistの自然な両立を可能とする魂の洞窟を獲得したことで、メタに食い込めるまでになった。プロツアー「アヴァシンの帰還」ではTeam StarCityGames.comのメンバー数名がこれを持ち込み、準優勝を含む大きな成果を上げている。
サンプルレシピ
- 備考
- プロツアー「アヴァシンの帰還」 準優勝 (参考/参考)
- 使用者:Gaudenis Vidugiris
- フォーマット
GUw Geists [2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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- Jon Finkelもこれと75枚同じデッキを用いてTop8に入賞している。
モダン
モダンでは数は多くないが、稲妻/Lightning Boltや流刑への道/Path to Exileなどの単体除去が多いメタゲームの盲点を突くべく、呪禁クリーチャーを中心としたデッキが組まれることがある。
マナ・クリーチャーから聖トラフトの霊/Geist of Saint Traftやトロールの苦行者/Troll Ascetic、最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Trollを展開し、遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errantや天使の運命/Angelic Destinyで強化して攻める。
崇拝/Worshipを挿し、全体除去やエンチャント除去を持たないデッキを完封する戦略が取られることも多い。
参考
- Spectral Bant(Daily MTG、Daily Deck List、文:Gavin Verhey)
- Deck Tech: Bant Auras! with David Ochoa(同上、グランプリアトランティックシティ13カバレージ、文:Jacob Van Lunen)
- Deck Tech: 呪禁バント by 増野 良輔 (モダン)(mtg-jp.com、The Finals11カバレージ、文:伊藤敦)
- 第71回:グランプリ・アトランティックシティ優勝 Jon Sternのバント・オーラをリプレイ!(同上、鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」、文:鍛冶友浩)
- 緑白青ビートダウン
- デッキ集