グルール一族/The Gruul Clans
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2024年2月8日 (木) 01:20時点における最新版
グルール一族/The Gruul Clansは、ラヴニカ/Ravnicaにおける10のギルド/Guildの1つ。色は赤緑。
目次 |
[編集] 主義
グルール一族は「文明とは、欲望を抑圧し、弱者を強者であるかのように見せかける、一種のまやかしや檻だ」と感じている。彼らにとって、文明は彼らに対する侮辱に他ならない。グルールはその場その場の感情で生き、彼らは他のものにもそうであるよう「勧告」している。昔は強力なギルドであったが、今では物乞い、ならず者、そして略奪者の緩い集まりに成り下がっている。グルールのならず者達は、近辺の略奪と放火を行い、その廃墟と灰燼の上に居座ることで生き延びている[1]。そして、あらかた略奪が終わり、食料や資源が尽きると、また新たな略奪が始まるのである。
ギルドパクト/Guildpactが締結される前のグルールは今とは違い、都市の過度な拡大を憂い、野生生物達の住処となる原生地域の保護を謳う高貴なドルイドとシャーマンによるギルドであった。だが都市の進歩と発展、そして他の9つのギルドの伸張によって、彼らは都市の隅へと追いやられていった。シミックは自然の未来の管理者の役割を主張し、セレズニアはラヴニカに残された自然を自らの内に囲い込んだ。ギルドパクトが定める公務から彼らは遠ざけられた。役目がない彼らを他のギルドは野蛮な未開人とみなした。アゾリウスは法の制定や公的ギルド集会から彼らを締め出した。ボロスは自身の役割を固めるため彼らを扇動者とみなした。ラクドスは騒ぎに便乗して自分たちの祭典の標的、もしくは舞台にした。オルゾフは彼らの立場が危ういことを利用し多くを労働力や奴隷として扱った。彼らは新しい法から村八分にされ、散り散りとなっていった。いまや彼らはギルドと呼ぶにはあまりにバラバラだが、文明への報復という点ではどのギルドよりも一致団結する。
[編集] ラヴニカへの貢献
反体制組織ゆえに、ギルドとしての都市社会への貢献は皆無と言ってよい。しかし前述通り、他のギルドから「利用」されることで都市文明の一部を担うことがある。具体的には都市を創造・維持・あるいは破壊する労働力として利用されるなど。あるいは略奪者が横行する未開発地域を旅しなければならなくなった市民が案内役としてグルールの者を頼ることもある(もっとも案内者が略奪者に変貌することも珍しくないが)。また社会全体で見れば、社会や都市から弾き出された者たちの最後の受け皿としても機能している。その中には「お伽話」として信仰も憚られるような、グルール一族がなければ絶えていたような伝承を受け継ぐ者、語る者も属している。イルハグ/Ilharg、ネフィリムなどの伝承もその一例。
[編集] 組織
グルールは組織と呼べるほどの組織構造は持たないし、認めない。その構造は単純そのものであり、構成員が集まって部族となり、その中で強い者が族長となるだけである。そしてすべての部族の中でも最強の者は誰からも敬意を払われ、事実上リーダーとして全体を統率している。それが巨大なサイクロプス、腹音鳴らし/Borborygmosである。彼はグルール一族のパルンズ/Paruns(創始者)、Cisarzim の子孫を自称しているが、真偽のほどは明らかではない。ラヴニカへの回帰の時代でも彼はグルール最強の族長ではあるが、その強さには老いが見え始めている。
グルール内では戦闘が日常的に行われており、ほとんど慣習化してしまっている。弱肉強食こそグルールの信条であり、部族同士での闘争はもちろん、部族内部でも下克上や独立は常に起こっており、族長の入れ替わりや部族の新設や崩壊は決して珍しいことではない。そんな中でも下記の六部族はそれなりの期間に渡って安定して存在し続けており、グルールの主要部族と呼んで差し支えない。
ギルド門侵犯のプレリリースで配布されたギルド・プレリリース・パックに入っている「ギルドマスターの手紙」には絵が描いてあるだけである(参考)ため、グルール内には統一した言語がないか、もしくはそれを表記する文字文化がないものと思われる。一方でグルールのギルド門/Gruul Guildgateには来訪者にギルドの思想を伝える文句がしっかり刻まれていることから、ラヴニカの公用語を使用できないわけではないようなので、グルール内部では文字を用いないという風習があるのか、あるいは単に腹音鳴らしの語学能力が低いだけなのかもしれない。
獣使いの魔術師にしてプレインズウォーカー/Planeswalkerの少年、ドムリ・ラーデ/Domri Radeがこのギルドに属している。
[編集] 炎樹族/Burning Tree clan
腹音鳴らしが率いるグルール最大規模の部族。ラヴニカ各地に分派が存在している。一般市民が認識しているグルールのシンボルとは、実際は炎樹族のシンボルである。
登場カード
- 炎樹族の血鱗/Burning-Tree Bloodscale
- 炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman
- 炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary
- 炎樹族の蛮人/Burning-Tree Vandal
[編集] ゴーア族/Ghor clan
腹音鳴らしと戦って唯一生き残った戦士と自称する双頭のオーガ、ルーリク・サー/Ruric Tharを族長とする部族。彼らは最も頻繁に野蛮な襲撃を行う部族としてラヴニカ市民に知られている。よって彼らの宿営地は人口の多いラヴニカの近辺に存在することが多い。
登場カード
- ゴーア族の血鱗/Ghor-Clan Bloodscale
- ゴーア族の野人/Ghor-Clan Savage
- ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager
- 自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed
- ゴーア族の破壊者/Ghor-Clan Wrecker
[編集] 瘡蓋族/Scab clan
九本指のナーブルグ/Narbulg Nine Fingersを族長とする、ミノタウルスやケンタウルス、オーガ、ゴブリンを含む様々な種族から構成されている部族。その名の通り、残忍な傷痕と切断された身体部位から彼らは容易に見分けが付く。
登場カード
- 瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler
- 瘡蓋族の突撃者/Scab-Clan Charger
- 瘡蓋族の巨人/Scab-Clan Giant
- 瘡蓋族の狂戦士/Scab-Clan Berserker
[編集] ボーラク族/Bolrac clan
サイクロプス、オーガ、トロール、巨人族で構成されている部族。権力争いが激しく一定の指導者を持たない。ボーラクはラヴニカの古い言葉で「重い槌」を意味し、ボーラク族は巨大な構造物をハンマーや破城槌として使用し振り下ろすことに長けている。
登場カード
[編集] スリーツ族/Slizt clan
ヴィーアシーノで構成された部族だが、人間(彼らは『桃色肌』と呼ぶ)も受け入れることで知られている。瓦礫帯の中央に存在する廃墟の集合郡である鞘家/The Huskを根城にしている。
登場カード
[編集] ザル=ター族/Zhur-Taa clan
グルール本来の教義である「旧き道/The Old Ways」に従うと主張する唯一の部族。ケンタウルスの旧き道のニーキャ/Nikya of the Old Waysを族長とする。野生動物達を従え、戦いの相棒や乗騎として扱うことに長けた部族である。イルハグ/Ilhargやアンズラグ/Anzragといった、「地下深くの神々」ウトムングル/Utmungrを崇拝している。
ギルド門侵犯の時期には、ラクドス教団/The Cult of Rakdosが瓦礫帯で起こした虐殺で部族の赤ん坊を殺され、彼らに報復を始めた。
登場カード
- 旧き道の信奉者/Disciple of the Old Ways
- ザル=ターの豚/Zhur-Taa Swine
- ザル=ターのドルイド/Zhur-Taa Druid
- ザル=ターの古きもの/Zhur-Taa Ancient
- ザル=ターのゴブリン/Zhur-Taa Goblin
- 古き神々の咆哮、ヤラス/Yarus, Roar of the Old Gods
[編集] 拠点
各部族はそれぞれ、ラヴニカの各地に残された他ギルドの勢力や文明の影響が行き届かない廃墟や荒地で小集落を築いている。そういうグルール自体の性質もあって「グルールの支配が確立した地域」というものは少ないが、以下のような場所もある。
[編集] スカルグ/Skarrg
グルール一族の本拠地、あるいは聖地とも言える巨大な宮殿の残骸。グルールの各部族は定期的にスカルグへと足を延ばすが、休戦の場所というわけではなく、過去の遺恨によって血闘が起こることは珍しくない。それでもグルールはここで仲間意識とも呼べる何かを見つける。スカルガンの火の鳥/Skarrgan Firebirdやスカルグの大巨獣/Skarrg Goliathなど巨大生物も棲んでいる。
- Skarrganは「スカルグの」を意味する語だが、いくつかのカードでは「スカルガンの」と訳されている。
[編集] ウトヴァラ/Utvara
公的な所有権はオルゾフが主張しているが、管理が行き届いておらず未開発の地域も多く、グルールが実効支配している。大部分のギルドはこれを不法占拠と呼ぶが、当然グルールはその理屈には耳を貸さない。
[編集] 瓦礫帯/The Rubblebelt
ラヴニカの第10地区/The Tenth Districtの一部に広がるスラム。多くのグルールの部族が入植しており、この地の支配権を得ようとする他のギルドとの争いが絶えない。
- 一部の公式記事では「残骸地帯」とも訳されている。
[編集] その他
[編集] ラウク・シャウフ/Rauck-Chauv
グルール達の数少ない慣例的な伝統行事。これは数日に及ぶ暴動、饗宴、略奪、破壊が特徴の、不定期で暦を無視した祝祭である。
ラウク=シャウフは祝日みたいなもんさ! 違うのは、暦に載ってないことと、相手と踊る代わりに相手を叩きのめすことと、贈り物をする代わりに物をぶち壊すことだけだ。
[編集] 埋葬/the Burying
グルールに加わりたいと望む全ての者に訪れる通過儀礼。これを経た後は都市での生活を全て捨て、明確な目的を持ってグルール一族としての人生を始めるという。体験した者はその内容について口を閉ざすため、グルールの若者は皆埋葬に秘密と恐れを感じている。
- ドムリ・ラーデ/Domri Radeは、この儀式によりプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが目覚めた。
[編集] ゲームでの特徴
クリーチャー — ゴブリン(Goblin) ならず者(Rogue)
ブリキ通りの悪党が戦場に出たとき、それを唱えるために(緑)が支払われていたなら、アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
2/1伝説のクリーチャー — オーガ(Ogre) 戦士(Warrior)
警戒、到達
各戦闘で、自由なる者ルーリク・サーは可能なら攻撃する。
プレイヤー1人がクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、自由なる者ルーリク・サーはそのプレイヤーに6点のダメージを与える。
非常に攻撃的なギルド。クリーチャーも暴力的で攻撃に特化したような能力を持ったものが多い。同じく攻撃的なボロスやラクドスと比べると、ファッティが多いのが特徴。また、文明を忌み嫌うことから、アーティファクト破壊に長ける。
固有メカニズムとしてラヴニカ・ブロックでは狂喜、ラヴニカへの回帰ブロックでは湧血、ラヴニカの献身では暴動を有する。
[編集] 関連カード・関連デッキ
[編集] 伝説のクリーチャー
- 腹音鳴らし/Borborygmos(ギルドパクト)
- 憎悪の種、ウラシュト/Ulasht, the Hate Seed(ギルドパクト)
- 怒りの穴蔵、スカルグ/Skarrg, the Rage Pits(ギルドパクト)
- 怒れる腹音鳴らし/Borborygmos Enraged(ギルド門侵犯)
- 自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed(ドラゴンの迷路)
- 混沌をもたらす者、ドムリ/Domri, Chaos Bringer(ラヴニカの献身)
- 旧き道のニーキャ/Nikya of the Old Ways(ラヴニカの献身)
- 猪の祟神、イルハグ/Ilharg, the Raze-Boar(灯争大戦)
- ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas(灯争大戦)
- 議事会の流刑者、ギレッド/Ghired, Conclave Exile(統率者2019)
[編集] 構築済みデッキ
- グルール猛撃/Gruul Wilding(テーマデッキ)
- Gruul Goliaths(エントリーセット)
- 止まらない進化/Thrive and Thrash(イベントデッキ)
- ギルドキット
- 狂戦士の憤怒/Berserker Rage(デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013)
[編集] デッキ
[編集] 脚注
- ↑ 『マナバーン2019』(ホビージャパン、2018年12月26日初版)p.24 ISBN 9784798618388
[編集] 参考
- The Gruul(WotC ラヴニカ:ギルドの都特設サイト)
- グルール一族(WotC ラヴニカへの回帰特設サイト)
- Rage Against the Machine(Savor the Flavor 2006年2月1日 Matt Cavotta著 )
- Ravnica, Then and Now/ラヴニカ、その過去と現在(Feature Article 2012年8月29日 Adam Lee著)
- Planeswalker's Guide to Gatecrash: Part 2/プレインズウォーカーのための「ギルド門侵犯」案内 その2(Feature Article 2012年12月12日 The Magic Creative Team著 翻訳:若月繭子)
- ラヴニカ/Ravnica
- ギルド/Guild
- 背景世界/ストーリー用語