省略
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実際のゲームにおける省略では「このような省略を提案します」「それを受け入れます」という宣言を明示的に行うことはあまりなく、暗黙的に行うことがほとんどである。 | 実際のゲームにおける省略では「このような省略を提案します」「それを受け入れます」という宣言を明示的に行うことはあまりなく、暗黙的に行うことがほとんどである。 | ||
*「[[ゴー]]」や「[[ターン]]終了します」は、[[アクティブ・プレイヤー]]が、[[クリンナップ・ステップ]]の処理がないことを確認した上でこの[[ターン]]の全ての優先権を全員が放棄して次のプレイヤーのターンを始めることを提案している。 | *「[[ゴー]]」や「[[ターン]]終了します」は、[[アクティブ・プレイヤー]]が、[[クリンナップ・ステップ]]の処理がないことを確認した上でこの[[ターン]]の全ての優先権を全員が放棄して次のプレイヤーのターンを始めることを提案している。 | ||
+ | **非アクティブ・プレイヤーはそれを受けて、自身のターンを始めるか、[[終了ステップ]]に何らかの[[インスタント・タイミング]]で使える行動を取る。前者の場合は「省略の提案をすべて受け入れた」ということであり、後者の場合は「手順内で自分が優先権を持っている時を指定し、その時点で省略を中断させた」ということである。 | ||
*[[攻撃クリーチャー]]を指定した後の「[[アクティブ・プレイヤー]]:[[ブロック (ルール用語)|ブロック]]ありますか? [[防御プレイヤー]]:[[通し]]ます」というやりとりは、「ブロックありますか」が[[攻撃クリーチャー指定ステップ]]の優先権を互いに放棄して[[ブロック・クリーチャー指定ステップ]]に入る省略を提案しており、「通します」が攻撃クリーチャー指定ステップ中の防御プレイヤーが優先権を持っている時点でそれを一度中断し、そこから[[ブロック・クリーチャー]]を1体も指定せず[[ブロック・クリーチャー指定ステップ]]の優先権を互いに放棄して[[戦闘ダメージ・ステップ]]に入り[[プレイヤー]]と[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]への[[戦闘ダメージ]]を処理する新たな省略を提案している。 | *[[攻撃クリーチャー]]を指定した後の「[[アクティブ・プレイヤー]]:[[ブロック (ルール用語)|ブロック]]ありますか? [[防御プレイヤー]]:[[通し]]ます」というやりとりは、「ブロックありますか」が[[攻撃クリーチャー指定ステップ]]の優先権を互いに放棄して[[ブロック・クリーチャー指定ステップ]]に入る省略を提案しており、「通します」が攻撃クリーチャー指定ステップ中の防御プレイヤーが優先権を持っている時点でそれを一度中断し、そこから[[ブロック・クリーチャー]]を1体も指定せず[[ブロック・クリーチャー指定ステップ]]の優先権を互いに放棄して[[戦闘ダメージ・ステップ]]に入り[[プレイヤー]]と[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]への[[戦闘ダメージ]]を処理する新たな省略を提案している。 | ||
− | *[[ | + | *[[呪文]]や[[能力]]に対して[[対応して]]何らかの行動をすることがないとほぼわかりきっている場合、いちいち「対応してなにかありますか」などと確認を求めることはせず、唱えた/起動した直後に解決の処理に入ることが普通である。この場合ルール上は無言で「お互いに優先権を放棄する」の提案と承認を行っていると解釈できる。 |
+ | **逆に、何らかの行動をすることがありえる、とわかっている場合には、「何かありますか」というやり取りが頻繁に行われることになる。これが[[打ち消す|打ち消し]]を多用する[[コントロール (デッキ)|コントロールデッキ]]の通称「[[パーミッション]]」の由来である。 | ||
過度の無言省略は時にトラブルの元になるため、初対面の相手や初心者相手、[[ルール適用度]]の高い大会では[[遅いプレイ]]にならない程度にしっかり確認を取るのが無難である。 | 過度の無言省略は時にトラブルの元になるため、初対面の相手や初心者相手、[[ルール適用度]]の高い大会では[[遅いプレイ]]にならない程度にしっかり確認を取るのが無難である。 | ||
− | ==ループの省略== | + | ==実行されるべき手順の省略== |
+ | ===ループの省略=== | ||
省略の中に[[ループ]]が入っている場合であっても、その手順を各プレイヤーが理解しているならば、ループの回数を指定することで省略してよい。 | 省略の中に[[ループ]]が入っている場合であっても、その手順を各プレイヤーが理解しているならば、ループの回数を指定することで省略してよい。 | ||
− | + | ただし、回数を厳密に指定できない条件付きの省略や、結果が確定していない省略は提案できない。何らかの[[無作為に|無作為性]]のある手順(例えば[[ライブラリー]]内の順序や[[コイン投げ]]によって結果が左右されるなど)がループに含まれている場合がこれにあたる。実戦的にも[[無限ライブラリー破壊]]に対して[[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]が投入されている場合などはこのルールが勝敗を分ける問題になる。 | |
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+ | ===シャッフルなどの省略=== | ||
+ | まれにだが、一部の手順を(結果が変わらない限り)ひとまとめにして同時に処理してしまうこともある。特に多いのが、実行するのに手間がかかる[[探す|サーチ]]や[[切り直す|シャッフル]]の省略である。 | ||
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+ | 例えば[[緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith]]は厳密には2回[[ライブラリー]]を[[切り直す]]必要があるが、煩雑であるため、まとめて1回だけ切り直して済ませることが多い。同様に、例えば[[ドラゴンの嵐/Dragonstorm]]は一度に[[ストーム]]数ぶん一気に[[ドラゴン]]をまとめて[[探す|探し]]、同時に[[戦場に出す|戦場に出し]]、最後にまとめてライブラリーを切り直すことが多い。 | ||
+ | *ただし省略したからと言って手順が実行されていないわけではないので、例えば[[心因検査器/Psychogenic Probe]]は本来実行されているはずだったシャッフルの回数分だけ[[誘発]]する。 | ||
+ | *またドラゴンの嵐の例では、「同時に戦場に出す」場合と「1体ずつ順番に戦場に出す」場合で処理が変わってしまうことがありえる([[ヴァルカスの災い魔/Scourge of Valkas]]のページを参照)ため、「探す部分とシャッフル部分は1回にまとめるが、戦場に出す部分だけは丁寧に1体ずつ処理する」というように、状況に応じて省略する部分としない部分を組み合わせることもある。 | ||
==オンラインゲーム== | ==オンラインゲーム== |
2015年11月29日 (日) 22:38時点における版
マジックのゲームをプレイする時、誰でも処理や宣言の一部を、全てのプレイヤーが理解できる形で省略/Shortcutするものである。
目次 |
ルール
ルール上は以下の手順を踏んで省略を行う。
- プレイヤーは、優先権を持つ時ならいつでも省略を提案してよい。省略する手順の中にループが含まれていてもよい。
- 他のプレイヤーは、提案したプレイヤーの次からターン順に「その省略をすべて受け入れる」「その手順内で自分が優先権を持っている時を指定し、省略をその時点で中断させる」のどちらかを宣言する。中断する場合、いつ中断するかは厳密に指定する必要があるが、どのように介入するかを宣言する必要はない。
- 省略を実行する。すなわち、省略の終点(他のプレイヤーから中断が宣言された場合は、最も近い中断点)までの手順をまとめて行う。
- 中断が宣言されていた場合、最短の中断を宣言したプレイヤーが優先権を得るが、このとき元の提案と違う行動を取らなければならない(省略を提案したプレイヤーに対するブラフのためだけに中断を宣言することは認められない)。
実例
実際のゲームにおける省略では「このような省略を提案します」「それを受け入れます」という宣言を明示的に行うことはあまりなく、暗黙的に行うことがほとんどである。
- 「ゴー」や「ターン終了します」は、アクティブ・プレイヤーが、クリンナップ・ステップの処理がないことを確認した上でこのターンの全ての優先権を全員が放棄して次のプレイヤーのターンを始めることを提案している。
- 非アクティブ・プレイヤーはそれを受けて、自身のターンを始めるか、終了ステップに何らかのインスタント・タイミングで使える行動を取る。前者の場合は「省略の提案をすべて受け入れた」ということであり、後者の場合は「手順内で自分が優先権を持っている時を指定し、その時点で省略を中断させた」ということである。
- 攻撃クリーチャーを指定した後の「アクティブ・プレイヤー:ブロックありますか? 防御プレイヤー:通します」というやりとりは、「ブロックありますか」が攻撃クリーチャー指定ステップの優先権を互いに放棄してブロック・クリーチャー指定ステップに入る省略を提案しており、「通します」が攻撃クリーチャー指定ステップ中の防御プレイヤーが優先権を持っている時点でそれを一度中断し、そこからブロック・クリーチャーを1体も指定せずブロック・クリーチャー指定ステップの優先権を互いに放棄して戦闘ダメージ・ステップに入りプレイヤーとプレインズウォーカーへの戦闘ダメージを処理する新たな省略を提案している。
- 呪文や能力に対して対応して何らかの行動をすることがないとほぼわかりきっている場合、いちいち「対応してなにかありますか」などと確認を求めることはせず、唱えた/起動した直後に解決の処理に入ることが普通である。この場合ルール上は無言で「お互いに優先権を放棄する」の提案と承認を行っていると解釈できる。
過度の無言省略は時にトラブルの元になるため、初対面の相手や初心者相手、ルール適用度の高い大会では遅いプレイにならない程度にしっかり確認を取るのが無難である。
実行されるべき手順の省略
ループの省略
省略の中にループが入っている場合であっても、その手順を各プレイヤーが理解しているならば、ループの回数を指定することで省略してよい。
ただし、回数を厳密に指定できない条件付きの省略や、結果が確定していない省略は提案できない。何らかの無作為性のある手順(例えばライブラリー内の順序やコイン投げによって結果が左右されるなど)がループに含まれている場合がこれにあたる。実戦的にも無限ライブラリー破壊に対して引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornが投入されている場合などはこのルールが勝敗を分ける問題になる。
シャッフルなどの省略
まれにだが、一部の手順を(結果が変わらない限り)ひとまとめにして同時に処理してしまうこともある。特に多いのが、実行するのに手間がかかるサーチやシャッフルの省略である。
例えば緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenithは厳密には2回ライブラリーを切り直す必要があるが、煩雑であるため、まとめて1回だけ切り直して済ませることが多い。同様に、例えばドラゴンの嵐/Dragonstormは一度にストーム数ぶん一気にドラゴンをまとめて探し、同時に戦場に出し、最後にまとめてライブラリーを切り直すことが多い。
- ただし省略したからと言って手順が実行されていないわけではないので、例えば心因検査器/Psychogenic Probeは本来実行されているはずだったシャッフルの回数分だけ誘発する。
- またドラゴンの嵐の例では、「同時に戦場に出す」場合と「1体ずつ順番に戦場に出す」場合で処理が変わってしまうことがありえる(ヴァルカスの災い魔/Scourge of Valkasのページを参照)ため、「探す部分とシャッフル部分は1回にまとめるが、戦場に出す部分だけは丁寧に1体ずつ処理する」というように、状況に応じて省略する部分としない部分を組み合わせることもある。
オンラインゲーム
省略は口頭でのやりとりに大きく依存しているため、オンラインゲームでは問題になる。
Magic Onlineにおいては、優先権を放棄する/放棄しないフェイズ・ステップを対戦相手に非公開の形であらかじめ指定しておくことができ、ゲーム中もいつでも指定を切り替えられる。この場合対戦相手が優先権を放棄すると指定しているステップは自由にスキップできる。また、Magic Onlineではループ省略がサポートされていないため、コンボデッキを使うプレイヤーは持ち時間内に全ての手順を処理しなくてはならない。このとき対戦相手も優先権の確認と放棄に付き合わされることになる。
Magic Workstationなどの非公式対戦ソフトではその都度チャットで確認を行うしかなく、その際トラブルも起きうる。その代わり、お互いの理解があればループ省略も可能ではある。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 716 クラス・カード
- 716.1 各クラス・カードには、クラス・レベル棒2本を含む、表立てになった文章欄が存在する。絵はカードの左側に縦長に配置されており、タイプ行はカードの一番下にある。
- 716.2 クラス・レベル棒は、起動型能力1つと常在型能力1つを表すキーワード能力である。クラス・レベル棒は、その起動型能力の起動コストとレベル数を含む。クラス・レベル棒と同じ枠内に書かれている能力は、その常在型能力の一部である。
- 716.2a 「[[[コスト]]]:レベルN ― [[[能力]]]/[Cost]:Level N - [Abilities]」は、「[[[コスト]]]:このクラスのレベルはNになる。このクラスのレベルがN-1でなければ起動できず、ソーサリーとしてのみ起動できる。」と「このクラスのレベルがN以上であるかぎり、これは[[[能力]]]を持つ。」を意味する。
- 716.2b レベルは、すべてのパーマネントが持ちうる記号である。クラスは、クラスであることを止めたとしても、そのレベルを維持する。レベルはコピー可能な特性ではない。
- 716.2c 「クラス・レベルを得るため/to gain a Class level」とは、「クラス・レベル棒で示されている起動型能力を起動するため」という意味である。
- 716.2d ルールや効果がパーマネントのレベルを参照する場合、そのパーマネントがレベルを持っていなかったなら、そのレベルが1であるかのように扱う。
- 716.3 クラス・カードに記されている能力でクラス・レベル棒の後に書かれているもの以外は、通常通り扱う。特に、クラスは、文章欄の一番上の枠に書かれている能力を常に持っている。その能力が常在型能力であればゲームに影響を及ぼし、誘発型能力であれば誘発する可能性があり、起動型能力であれば起動することができる。
- 716.4 過去のクリーチャー・カードの中に、Lv系カードと呼ばれる、Lvカウンターを加えるLvアップ 能力を持つものがある。Lvカウンターはクラス・カードと相互作用せず、クラス・レベルはLv系カードと相互作用しない。rule 702.87〔Lvアップ〕、rule 711〔Lv系カード〕参照。
- 716 クラス・カード