蜘蛛の女王、ロルス/Lolth, Spider Queen
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伝説のプレインズウォーカー — ロルス(Lolth)
あなたがコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、蜘蛛の女王、ロルスの上に忠誠(loyalty)カウンター1個を置く。
[0]:あなたはカード1枚を引き、1点のライフを失う。
[-3]:威迫と到達を持つ黒の2/1の蜘蛛(Spider)クリーチャー・トークン2体を生成する。
[-8]:あなたは「あなたがコントロールしている1体以上のクリーチャーが対戦相手1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーがこのターンに失ったライフが8点より少ない場合、そのプレイヤーは、その差に等しい点数のライフを失う。」を持つ紋章を得る。
伝説のプレインズウォーカーとしてカード化されたダンジョンズ&ドラゴンズの邪神。コストがプラスの忠誠度能力を持たないタイプのプレインズウォーカーで、代わりに自分のクリーチャーが死亡するたび忠誠度を上げる誘発型能力を持つ。忠誠度能力はライフロス付きのドロー、蜘蛛・クリーチャー・トークンの生成、クリーチャーの攻撃によって減らせるライフを8点分保証する紋章の獲得。
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[編集] 解説
- ±0能力
- ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arenaに近い、黒によくあるライフを代償にしたドロー。忠誠度こそ上がらないが、防御手段が確保できているなら相応に効率的なカード・アドバンテージをもたらす。
- -3能力
- 威迫と到達を持つ2/1の蜘蛛2体を生成する。
- 忠誠度の消費はやや大きいものの、攻防に役立つ能力を持つクリーチャーを2体も出せる。ロルス自身を守るのにもボード・アドバンテージ面からも重要な能力。
- 出した蜘蛛が死亡する予定ならば誘発型能力によって2点分の忠誠度が返ってくるため、実質的な忠誠度消費はそこまで大きくない。
- -8能力
- あまり類を見ない効果だが、要は「戦闘ダメージを1点でも与えさえすれば、ターン中の他効果での減少分と戦闘ダメージと合わせて合計8点に届くように対戦相手のライフを失わせる」というもの。例えば、1点の戦闘ダメージが通っただけならば7点、戦闘前に火力で2点のダメージを与えたのち2点の戦闘ダメージが通ったなら4点のライフを失わせる。
- 回避能力などで攻撃が通りさえすれば、小型クリーチャーであっても3ターンクロックに跳ね上がる。先制攻撃や二段攻撃と相性が良い。第1戦闘ダメージ・ステップのダメージ計算時に「8点保証」が行われたのち、第2戦闘ダメージ・ステップのダメージ計算が通常通り行われるためである。パワー2の二段攻撃持ち1体、あるいはパワー1~7の先制攻撃持ち1体と同じくパワー2のバニラとをあなたがコントロールしていた場合、一回の戦闘で対戦相手が失うライフは最大10点、2ターンで20点を奪える計算となる。
誘発能力の特性上、4体のクリーチャーとサクり台をコントロールしている場合は、戦場に出たターンに-8能力を使用できる。アタッカー兼忠誠度の補給手段として蜘蛛トークンを連続して出し続ける運用も可能なことから、サクリファイス系デッキとの相性は非常に良い。一方で、クリーチャートークン生産とドローエンジンとを兼用するプレインズウォーカーという点のみで5マナ域のパーマネントとして十二分なアドバンテージをもたらすため、無理をして-8能力を狙わなくとも盤面をじわじわと制圧してゆくパフォーマンスを持つ。よってミッドレンジやコントロールデッキでも運用に耐え得る、使い勝手の良いカードとなっている。
[編集] 活躍
- スタンダード(ローテーション前)
登場時のスタンダードはナヤ・ウィノータが全盛期であるなど非常に早い環境のため、じわじわとアドバンテージを重ねるこのカードにとっては強い逆風が吹いていた。
- スタンダード(イニストラード:真夜中の狩り参入直後)
ローテーションにより環境が低速化すると黒単コントロールおよび白黒コントロールで頭角を現し始めた。よろめく怪異/Shambling Ghast+命取りの論争/Deadly Disputeのギミックを使うことで重さはカバー可能。また、トークンの合計パワーが4なのでエシカの戦車/Esika's Chariotや黄金架のドラゴン/Goldspan Dragonに睨みを効かせることができるという環境的な強みも持っていた。
しかし、すぐさまイゼット天啓が出現しトップメタになると長期戦志向のコントロールデッキは苦境に立たされ、このカードも第一線からは遠ざかった。
- スタンダード(アールンドの天啓/Alrund's Epiphany禁止後)
ゲームにタイムリミットをもたらす天啓が退場したことにより、長期戦におけるリソース勝負に強いオルゾフ・ミッドレンジの立場が復権しこのカードも再び使われるようになった。トークンを婚礼の発表/Wedding Announcementで全体強化してクロックにしたり、威迫で相手のプレインズウォーカーを落としやすい点が評価されたりと以前に比べ攻撃的な活躍もするようになった。一方、神河:輝ける世界からは漆月魁渡/Kaito Shizukiという天敵も登場したため、場持ちについては信頼性が若干落ちたと言える。
[編集] ルール
- 誘発型能力
- -8能力
- ターン中でのライフの増減を参照する多くのカードと同じく、実際に失った値を参照し、加算値による修整は行われない。たとえば、このターン合計4点の戦闘ダメージを対戦相手に与え、その前後に対戦相手が4点のライフを得ていた場合、紋章によって追加されるライフの喪失は8-4=4点であり、8-4+4=8点とはならない。
- そのターン対戦相手がすでに8点以上のライフを失っている場合、紋章の効果は発生しない。このため、なんらかの手段で7点のライフを自ら支払うことで、前述した二段攻撃や先制攻撃と組み合わせてのダメージを抑える類の戦術も理論としては可能である。
- 通常なら、自ら支払うにせよライフが減る事にはかわらないため「相手に減らされる分のライフを別のリソースに変換する」程度だが、酒場の詐取師/Tavern Swindlerなど一旦ライフを失った後にライフを得るなら無駄がない。
- ライフの喪失は紋章によるので、戦闘ダメージを与えたのが絆魂持ちでも差分の数値ライフを得る訳ではない。
[編集] 関連カード
[編集] サイクル
フォーゴトン・レルム探訪のプレインズウォーカーサイクル。各色に1枚ずつ存在する。稀少度は神話レア。
- 花の大導師/Grand Master of Flowers
- モルデンカイネン/Mordenkainen
- 蜘蛛の女王、ロルス/Lolth, Spider Queen
- アヴェルナスの大公、ザリエル/Zariel, Archduke of Avernus
- エリーウィック・タンブルストロム/Ellywick Tumblestrum
いずれもダンジョンズ&ドラゴンズのキャラクターであり、背景設定上はプレインズウォーカー/Planeswalkerではない。
[編集] ストーリー
ロルス/Lolthはダンジョンズ&ドラゴンズのキャラクター。上級神。女性。エルフの姿、あるいはエルフの上半身と蜘蛛の下半身から成る姿で現れる(イラスト1、イラスト2)。属性は混沌にして悪。「デヴィル」であるアスモデウス/Asmodeusと対立する超存在「デーモン」であり、デーモンたちの拠点である外方次元界「アビス」第666層に棲まう。
ロルスは欺瞞の網を紡ぎ、破壊と混沌を喰らう古の女神だ。彼女はアンダーダーク/The Underdark(地下世界)に住むドラウ/Drow(ダークエルフ)の教団を世界の他のものから隔離し、支配し続けている。
何千年も昔、ロルスはエルフの神々の戦争を焚きつけ、エルフの民を永遠に分断した。それから彼女はドラウの集団を説き伏せ、アンダーダークへと連れてきた――今日に至っても、彼らはロルスの熱狂的な信者のままでいる。
蜘蛛の女王/The Spider Queen、あるいは蜘蛛のデーモンの女王/The Demon Queen of Spidersとしても知られるロルスは、信者たちの絶対的な忠誠心を集めている。彼女の要求が何であれ、彼らは従う。
彼女にとっては信者も生贄も等しく玩具に他ならない。特に気に入ったドラウを見つけると、ロルスは彼らをアビスにおける神殿たるデーモンウェブ・ピッツ/The Demonweb Pitsに呼び寄せ、その信仰と力量を試す(これには信徒同士での殺し合いも含まれる)。試練を乗り越えられなかった者は上半身がダークエルフ・下半身が蜘蛛のキメラ生物「ドライダー/Drider」へと変えられてしまう。
- このような残酷な行為で悪名を馳せる一方、フォーゴトン・レルム/Forgotten Realmsの舞台である次元/Plane「トリル/Toril」を他次元と行き来できるようにするなど、上級神としての彼女の功績は決して小さくない。
[編集] 登場作品・登場記事
- The Legends of Adventures in the Forgotten Realms/『フォーゴトン・レルム探訪』の伝説たち(Feature 2021年7月16日 James Wyatt著)