ティムール境/The Temur Frontier

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囁く者たちは骨組みに龍の胸郭と頭蓋骨を、弦に撚り合わせた動物の腱を用いて巨大な竪琴に似た楽器を作り、それを龍の喉に設置した。風が通り抜けるとき、その巨大な竪琴は龍の声に自身の歌を重ねる。その不気味な音楽は何マイルも遠くまで響く。巫師たちは非常に強力な霊に囁くためにこの地を訪れる。
 
囁く者たちは骨組みに龍の胸郭と頭蓋骨を、弦に撚り合わせた動物の腱を用いて巨大な竪琴に似た楽器を作り、それを龍の喉に設置した。風が通り抜けるとき、その巨大な竪琴は龍の声に自身の歌を重ねる。その不気味な音楽は何マイルも遠くまで響く。巫師たちは非常に強力な霊に囁くためにこの地を訪れる。
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===カル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountains===
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 ティムールが居住する山脈は一つの山体というわけではない。この地域はむしろ、河に激しく侵食され、地震活動によって非常に高く隆起した台地と言った方が近い。その結果として孤立したぎざぎざの山頂と、深く皺が寄り、傷ついた――そこに住まう人々と同じように――風景が形成された。基盤岩の構造は古い花崗岩と、台地の多くを浅い海とともに覆っていた、間氷期に堆積した様々な厚い地層からなる。気候が再び寒冷化すると、水が退き地震活動は石化作用を加速させた。今やこの地域には石灰岩に覆われた洞窟が膨大な数で存在し、それらは崩落した岩で形成された奇観とともに時々避難所として活用され、もしくは巫術の崇拝と瞑想の場となる。
  
 
==1280年前==
 
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2015年5月23日 (土) 01:29時点における版

ティムール境/The Temur Frontierタルキール/Tarkirの5つの氏族/Clanの1つ。緑青赤で、中心色は

目次

解説

古のの「獰猛/Savagery[注釈 1]」の相を崇拝する氏族。龍爪/Claw of the Dragonを象徴とする(参考/翻訳)。

過酷なカル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountainsに住まうティムールは、強さと自給自足を尊ぶ放浪の民である。ティムールは一年の多くを、獲物となる獣を追い、他の氏族、特にマルドゥ族/The Mardu Hordeから略奪を行って過ごす。彼らは領土の拡大や征服の欲望はほとんど抱かないが、共同体に対する物理的・文化的な侵入に対しては激しく抵抗する。

放浪

放浪の民、ティムールは家族の一団で旅をし、獲物の群れを追いながら季節ごとに食物の豊富な地域(漿果の低木が生い茂る雑木林、魚でいっぱいの小川など)に一時的に居住する――まるで彼らが敬愛するのように。居住地に定められた場所ではかき集めた皮からなる軽量の避難所が素早く組み立てられ、風と雨雪を防ぐ。天幕の支えには容易に入手可能な龍の骨が用いられる。冬の最も過酷な時期にのみ、彼らは放浪を中断する(#カラキク谷/Karakyk Valley参照)。

ティムールは必要な物資をすべて持ち運ぶ。毛皮で縁取った上着、手袋、重い革のブーツは事実上、彼らが常に住まう「家」である。雪深い地域では、彼らはそりを使用する。そりには彼ら自身のほか、衣服の包み、予備の武器、罠、乾燥食品、その他の物資が載せられる。他に背負い装具が用いられることもある。また時折、信頼されているアイノク/Ainokがこれらの運搬を手伝う。

家族

ティムールの思想の中心にあるのは家族である。その重要度はアブザン家/The Abzan Housesにも引けを取らない。家族内の絆と、家長への忠誠は外部の指導者へのそれよりもずっと強い。それぞれの家族は他の家族を、共同体の中での兄弟と見なし、同じように助け合う(とはいえ、自分の家族が常に優先される)。

ティムールの成年は皆手強い戦士であり、子供も武器の扱いを幼い頃から学ぶ。乳幼児の養育中の母親でさえも、戦闘においては獰猛な――もしかしたら誰よりも獰猛な――敵となる。彼女たちは赤子を抱えながら、その子を守るために休みなく戦う。

過去とともに

ティムールの民は皆、祖先の日々と現在を同時に生きている。それぞれの役割(狩人、指導者、巫師、教育者、殺害者など)は永遠であり、新たな世代の者も皆、自分は昔から続く役割の現在を担っているのだと考えている。ティムールの伝説では名のある英雄よりも、むしろこれらの役割について語られることの方が多い。

葬送

雪山の過酷な環境と戦争により、ティムールの民の寿命は短い傾向にある。この山脈において、人生は険しいものであり、人々は頻繁に死ぬ。

しかし山脈の岩だらけの、特に冬場には凍りつくこともある大地への埋葬は難しい。燃料の乏しさゆえ、火葬も現実的でない。そのためティムールは実用的な解決法を開発した。死者の亡骸は洗われ(少なくとも雪で汚れを擦り落とされ)、葬送の布に包まれ、そして遺族によって運ばれる――凍りついた龍が眠る、巨大な氷河のクレバスへと。祈りと香の煙が捧げられる中、亡骸は裂け目の中へ下ろされ、永遠の氷の中で祖先とともに眠りにつく。

終わりなき沈黙/The Endless Silence

極稀に、戦闘で仲間を死に追いやる行為や裏切りといった、許されない罪を犯す者が現れる。そのような罪への罰は死では足りず、罪人は氏族の記憶から完全に消去される――すなわち、祖先とともに眠ることはない。その者は山の急流にて溺死させられ、亡骸はそのまま川に流されて野生の獣の餌となる。これは終わりなき沈黙/The Endless Silenceと呼ばれる。

爪の試練/Test of Claws

ティムールには伝統的な格闘戦、爪の試練/Test of Clawsが存在する。それは鬱憤を晴らすため、互いの力を比べるために行われる。冬の最も過酷な時期の、すべての家族が一箇所に集まるときに(#カラキク谷/Karakyk Valley参照)、その儀式的な戦いは娯楽のため、そして他の訓練が現実的でないときにも戦いの型を忘れないためによく行われる。

龍冬/The Dragonwinter

ティムールには龍冬/The Dragonwinterと呼ばれる伝説がある。それは以下のようなものである。

「『灰の包囲/The Siege of Ash』の間、空は龍で満ち、太陽を覆い隠すほどであった。その年も次の年も夏は訪れず、山から降りてきた氷があらゆる人間の都市を取り囲んだ。多くの者が死んだが、我らティムールは適応した。だからこそ我らは今も雪山に住まうのだ。龍たちが落ちたとき、彼らは自分自身が作り出した氷の中に葬られた。そしてそこで今も眠り続けている。」

魔術

囁き/Whispering

ティムールの魔術はエレメンタルの風味を強く帯びた、非常に巫術的なものである。巫師は自分たちの魔術を囁き/Whisperingと呼び、彼らは囁く者/Whispererと呼ばれる。囁く者は凍りついた記憶/The frozen memoriesや凍りついた祖先の霊について語る。またティムールの民の多くがエレメンタルとの親和性を持ち、石や氷を様々に形作ることができる。その技に最も長ける者は洞窟に避難所を構築し、また戦闘において敵を妨害し有利な位置を得るために、地形を操作する。

雪解け/The thaw

氷河、特に龍の残骸を含むものは最も神聖な場所であると考えられている。囁く者はそこで雪解け/The thawの儀式を行う。まずその巫師は儀式の頭飾りを残して衣服をすべて脱ぎ、祖先に対して瞑想する。その者が深いトランス状態に入ると、その身体は輝き出し熱を発する。肌は紅潮し、周囲の大気は揺らめく。巫師は融けた氷へと沈み始め、最終的に氷の中で空気の泡に包まれた状態になる。頭上の融けた氷は再凍結し、頭飾りだけがその上に残される。

凍りついた記憶としばし交感した後、その巫師は氷の殻をこじ開ける。中からは囁く者と、もう一人の者が出てくる――囁く者の身体を皮膚のように包む、透明の氷で作られたように見える、かろうじて視認できるその巫師の生き写しが。低体温で瀕死状態にある囁く者が震えながら素早く衣服を着る間、身体から分かれた氷の双子は見張りに立ち、その巫師の命令を待つ。氷の双子はその内に祖先の目覚めし記憶を秘めており、戦闘の際には砕けて戦士の霊を解き放つ。戦いが終わるとその霊は霧消し、山へ戻って再び眠りにつく。

広がる囁き/The Wide Whisper

巫師長は他の巫師すべてとともにトランス状態に入り、広がる囁き/The Wide Whisperと呼ばれる霊的交渉を行うことができる。これは、巫師長と各巫師との物理的な距離を問わず行える。これを通じて巫師長は情報をやり取りするほか、必要なときには巫師全体を巻き込んで特殊な「広がる囁き」を行うこともできる――この強力な儀式は古き祖先を目覚めさせ、強大なエレメンタルを呼び起こすものである。

熊の覚醒/Awakening the bear

ティムールの一部の戦士は熊の覚醒/Awakening the bearと呼ばれる戦闘の憤怒状態に入ることができる。この状態では敵も味方も区別できなくなるため、仲間は覚醒した熊からは離れる。この技は、カル・シスマ山脈のアイノクから学んだものだと考えられている。

種族

  • 人間/Human - ティムールの中心種族。
  • アイノク/Ainok - 犬人の種族。ティムールとの数度の小競り合いの末、互いを認め同盟を結ぶに至った。特に信頼されたアイノクは氏族の一員となる。
  • オーク/Orc - 大型の人型種族。時折、アブザンのクルーマ/Krumarとなったオークが追放されることがある。彼らは出身氏族マルドゥに戻ることを望まず、ティムールの家族の絆をこれまでの人生と重ね、ここで新たな目的意識を見つける。
  • エイヴン/Aven - 鳥人の種族。エイヴンが囁く者となる場合もある。
  • ロクソドン/Loxodon - 象人の種族。
  • ゴブリン/Goblin - 小柄な人型種族。寒冷な気候に適応したこの地のゴブリンは白く分厚い首毛を発達させ、放熱を抑えるため球形に近い姿になっている[注釈 2]。彼らは群れで動き、僅かな知性を持ち、爪が届くものは何でも食らう。
  • オーガ/Ogre - 大型の人型種族。ゴブリンの同類であり、同じ身体的特徴を持つ。時折ゴブリンの群れを率いて略奪を行う。ティムールはオーガとゴブリンを、限られた資源を奪い合う害獣、およびブーツの材料と見なして容赦なく狩る。
  • 風の民/Windfolk - 最も高い山にのみ住む、雪と大気のエレメンタル。僅かな衣服を纏う。ナマズの髭のような触手を持ち、この触手によって他者の思考を読み取る。時折ティムールの戦に協力するが、その真意は定かではない。
  • /Bear - ティムールと近しい関係にある動物。戦闘車を引いてもらう代わりに、彼らは熊に食物を贈り、感謝の儀式を行う。直立すれば肩の高さは10フィート(約3m)、重さは1tにもなる。

役割

龍爪/The Dragonclaw

ティムールにおいて、氏族の指導者たるカン/Khan龍爪/The Dragonclawの名で呼ばれる。これは主に武勲によって授けられる、公的な称号である。儀式的な挑戦――通常は格闘技の試合――によって得られる(もしくは防衛される)こともある。この称号は年齢や性別を問わず、誰でも得ることができる。

第一の父/First Father・第一の母/First Mother

ティムールの最高位の者は氏族員全員の親と考えられており、第一の父/First Fatherもしくは第一の母/First Motherと呼ばれる。第一の父/母は配偶者を持たないが、他の家族とともに旅をし、野営地を共にする。

常にではないが時折、龍爪がこの役割に就くことがある。

囁く者/Whisperer

囁く者は過去・現在(彼らの言葉では「まさに今/The now」)・未来(彼らの言葉では「書かれざる今/The unwritten now」)に言及することから三つの運命の織り手/Weavers of the three destiniesの名でも知られる。彼らは一般的なティムールの民よりも遥かに、時というものの継続的で重なり合う性質を意識している。彼らは過去と、起こり得た様々な現在を同時に見る。彼らは盲目であるが、決して無力ではない。方法は定かではないが、彼らは周囲の状況を完全に把握しているようであり、他者の助力なしに動き回ることができる。

彼らは巨大な頭飾りを身に付けており、顔の上半分はその陰となって見ることができない。頭飾りには彫られた骨、鹿の角、遺物などで作られた呪物や魔除けがぶら下げられている。それらは巫師が囁きに集中する助けとなり、呪物が多いほど儀式も強力なものとなる。最年長の囁く者の頭飾りには、重さで身体が曲がるほどの呪物が飾られている。

顔を隠す頭飾りと全身を覆う重い衣服のため、囁く者の性別は外見では判断できない。彼らは生殖に興味を示さない。彼らは発見されるのであって、生み出されるのではない。ティムール内のある子供が巫師としての才能を示すと、その子供は秘密の保育所に引き取られ、一般の人々から世話人と護衛を招いて巫師たちの中で育てられる。

二度囁く者/The One Who Whispers Twice

囁く者の中から、龍爪とともに旅をし、氏族を最良の道へと導く助言者となる者が選ばれる。その者はまず精霊に囁き、そして龍爪に囁くことから二度囁く者/The One Who Whispers Twiceと呼ばれる。二度囁く者は魔法的占術によって集められた軍事情報を提供し、霊と交信し、今後起こり得る襲撃を警告し、狩りや略奪に最も適した場所を予知し、大きな事態のときには召喚された祖先の霊の軍勢を率いる。必要な際には、広がる囁きによって他の巫師と相談することもできる。

この役に選ばれた者は、死ぬまでその地位を保持する。囁く者たちはこの地位を巡って競争することはない――むしろそれは純粋な人生を諦めなければならないことから、犠牲であると見なされている。二度囁く者を決める際には、彼らは龍の喉/The Dragon's Throatの聖なる会合場所に集まる。それぞれの巫師がエレメンタルか祖先か、一つの霊に囁く。そして霊たちは最も相応しい者を選び出す。選ばれた者は凍りつき眠る祖先たちと交信できるようになる。

狩猟の統率者/Hunt Caller

狩猟の統率者/Hunt Callerは狩りにおける責任者であり、各家族の担当地域を指示する。また近隣の氏族(主にマルドゥ)への略奪を指揮し、物資を手に入れる。この称号は誰でも得ることができる。それは授けられるというよりも獲得するものである。大いなる狩り/The Great Huntの夜に最も多くの獣を持ち帰った狩人、あるいは最も手強い敵を仕留めた狩人が、翌年のその称号を得る。通常、首領の統率者は人間だが、アイノクがこの地位に就くこともある。

地滑り/The landslide

ティムールが好む戦術は、地滑り/The landslideと呼ばれる滑降の突撃で幕を開けるものである。戦士たちは戦そりに乗って山腹を下る。このそりは4本か6本の両手曲刀を取り付けた足場から成る。

戦士たちは滑降しながら槍や火矢を放つ。他の者は骨や牙、龍の爪から作られたバグナクのような武器を振るう。敵との最初の衝突の後、戦士たちは飛び降り、そりを裏返し、素早く取り外せるようになっている曲刀を手にして乱戦へと突入する。一般的には龍爪の副官の長が戦長の隣でこの突撃を率いる。

重要人物

現在(歴史改変前)
  • スーラク/Surrak - ティムールのカン(龍爪)にして第一の父である人間男性。巨大な熊と戦って勝利したことで、氏族内での地位を確立した。
  • ニトゥラ/Nitula - 狩猟の統率者。女性。2体のオーガの攻撃をただ独りで防いだことで、この称号を手にした。
  • チアヌル/Chianul - 二度囁く者。男性。龍が人間の上に立つもう一つの「現在」を見てきた。若き日のサルカン/Sarkhanと出会ったこともある。
  • バイヒール/Baihir - アイノクの古参兵。女性。ティムールを人間が支配していることに密かに憤りを抱いており、スーラクの死を望んでいるが、積極的な行動に出ることはない。
  • カーケル/Kharkhel - 群れに見捨てられ、マルドゥのオークの中で育ったアイノク。男性。バイヒールとの間に1人の子供がおり、彼女とともにスーラクの転覆を望んでいる。
約1280年前
  • ヤソヴァ/Yasova - ティムールのカン(龍爪)である人間女性。強力な巫師であり、山のエレメンタルの軍勢を呼び起こす術や、敵の力を敵自身に返す術に長けている。
  • アンチン/Anchin - 常にヤソヴァとともに行動する巨大な剣歯虎

重要地点

カラキク谷/Karakyk Valley

ティムールでさえ、カル・シスマ山脈の冬の猛攻撃に耐えることはできない。彼らには山を降りるという選択肢もあるが、それは他の氏族との衝突を意味する――そして真っ当な理由のない戦いは、彼らにとって魅力的なものではない。したがって彼らはもう一つの選択肢を取る。それは彼らが敬愛する熊のように、「冬眠」することである。

一年で最も寒い二ヶ月の間、すべての家族がカラキク谷/Karakyk Valleyと呼ばれる圏谷へと集合する。伝説によればこの谷は全ての龍の終焉/The End of All Dragonsに、ある龍が地面に墜落して形成されたのだという。カラキク谷は山腹をすくい取られたような形状をしており、冬の猛烈な風を避けることができる。加えて、雪を避けるための張り出した縁もある。旅の月に使用する持ち運び可能な簡易住居とは対照的に、この地には冬を過ごすための永続的な住居が築かれている。これらの避難所は山腹の洞窟の中に、谷の地面から拾い集めた龍の骨を組み合わせて建てられる。彼らはエレメンタルの魔術で石を育て、水を凍らせて彫刻し、床には獣皮を敷き詰めて快適な避難所を作り上げる。

人々はこの期間の大半を寝て過ごし、身体の熱を保存し必要な食糧を最小限にする。起きている時間は多くの物語を語り、衣服と道具を手入れし新たに作り出すことに費やされる。また一箇所にすべての家族が集まるこの期間に、彼らは氏族の物事を取り扱うための話し合いを持つ。龍爪への挑戦もここで行われ、前回の集まり以降に生まれた子供が正式に氏族へと紹介される。彼らは第一の父/母から、その特権ある生まれを認定する特別な記念品を受け取る。

骨の階段/Staircase of Bones

ティムールは冬の時期の集まり以外にも、開戦を告げる龍爪の言葉を聞くために集まることがある。その知らせは広がる囁きを通して伝わり、多くの家族がある丘の上に集まる。その丘の円形の頂上が演壇となっている。その峰はあまり高くなく、斜面が比較的緩やかなために登るのも容易く、また龍爪が話す際の立ち座りも容易にできる。

この場所の名は、マルドゥとティムールのとある劇的な戦いに由来する。大群で襲撃してきたマルドゥの侵入者に対し、スーラクは戦士たちを率いてこれを壊滅させ、丘を隙間なく覆う屍の山を残した――まるで丘そのものが屍で作られたように見えるほどに。戦いの最後にスーラクは丘の頂上に立ち、ティムールは敵の骨の階段を上ったと宣言した。かくしてこの丘は、骨の階段/Staircase of Bonesの名で知られるようになった。

龍の喉/The Dragon's Throat

カル・シスマ山脈の奥地に、曲がりくねった深い谷がある。ほぼ常にその谷を風が吹き抜けており、風下側の幅は風上側の幅に比べてずっと狭くなっている。その結果、この地には龍の声/The Voice of Dragonsとして知られる絶え間ないむせび声が響き渡る。そのためこの谷は龍の喉/The Dragon's Throatと呼ばれる。

囁く者たちは骨組みに龍の胸郭と頭蓋骨を、弦に撚り合わせた動物の腱を用いて巨大な竪琴に似た楽器を作り、それを龍の喉に設置した。風が通り抜けるとき、その巨大な竪琴は龍の声に自身の歌を重ねる。その不気味な音楽は何マイルも遠くまで響く。巫師たちは非常に強力な霊に囁くためにこの地を訪れる。

カル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountains

 ティムールが居住する山脈は一つの山体というわけではない。この地域はむしろ、河に激しく侵食され、地震活動によって非常に高く隆起した台地と言った方が近い。その結果として孤立したぎざぎざの山頂と、深く皺が寄り、傷ついた――そこに住まう人々と同じように――風景が形成された。基盤岩の構造は古い花崗岩と、台地の多くを浅い海とともに覆っていた、間氷期に堆積した様々な厚い地層からなる。気候が再び寒冷化すると、水が退き地震活動は石化作用を加速させた。今やこの地域には石灰岩に覆われた洞窟が膨大な数で存在し、それらは崩落した岩で形成された奇観とともに時々避難所として活用され、もしくは巫術の崇拝と瞑想の場となる。

1280年前

1280年前のティムールは龍との戦いの中にある。獰猛を体現するアタルカ/Atarkaはティムールが唯一崇める龍であり、同時に彼らの最大の敵となっている。

ティムールは龍から自分たちの身を守らなければならないだけでなく、限られた食糧の備蓄をも守らなければならない。彼らは氷が張り出した深い洞窟に前哨地を設置し、巫師がエレメンタルの魔術で作り出したおびただしい数の棘によってそれをより強固なものにする。ティムールの龍戦士たちは龍と一対一で戦うことを好み、その桁外れの力としぶとさをもって敵と取っ組み合う。

ゲームでの特徴


Crater's Claws / 火口の爪 (X)(赤)
ソーサリー

クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。火口の爪はそれにX点のダメージを与える。
獰猛 ― あなたがパワーが4以上のクリーチャーをコントロールしているなら、火口の爪は代わりにXに2を足した点数のダメージを与える。



Yasova Dragonclaw / 龍爪のヤソヴァ (2)(緑)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)

トランプル
あなたのターンの戦闘の開始時に、龍爪のヤソヴァよりもパワーの小さい、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。あなたは(1)(青/赤)(青/赤)を支払ってもよい。そうしたなら、ターン終了時までそれのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時までそれは速攻を得る。

4/2

固有のメカニズムとして、能力語獰猛を有する。これはサイズの大きなクリーチャーによって対戦相手を圧倒する、ティムールの獰猛な側面を表している[1][2]。そのため大型クリーチャー頭でっかちなクリーチャー、自身のパワー強化する能力を持つクリーチャーが多数存在している。

ティムールの変異は、主として重い大型クリーチャーを早いターン展開するために使われる[2]

その他

  • 「冬には地面が凍りつくこともある」などの描写から、モチーフはシベリアを中心とするユーラシア大陸亜寒帯地域と思われる。
  • 名前の由来は「鉄」を意味する言葉で、中央アジアで人名として使われることが多い「ティムール(テムル)」だろう。著名な歴史上の人物としては大元ウルス(元)の第2代大ハーン、テムル(Temür)やティムール朝の建国者、ティムール(Timur)が挙げられる。

関連ページ

現在(歴史改変前)
約1280年前

脚注

注釈

  1. 記事によっては「残忍さ」「凶暴性」とも訳されている。特に前者はスゥルタイ群/The Sultai Broodの崇める龍の相と同じ訳語なので注意(savageryを残忍さと訳すこと自体は間違いではない)。
  2. これは実在する恒温動物にも見られる傾向であり、アレンの法則と呼ばれる。

出典

  1. Mechanics of Khans of Tarkir/『タルキール覇王譚』のメカニズム(Feature、文:Matt Tabak
  2. 2.0 2.1 Khan Do Attitude, Part 2/カンの強い姿勢 その2Daily MTG、Making Magic、文:Mark Rosewater、訳:米村薫

参考

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