変異
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変異/Morph | |
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種別 | 常在型能力 |
登場セット | 多数 |
CR | CR:702.37 |
変異(へんい)/Morphはオンスロート・ブロック初出のキーワード能力。それを持つカードをプレイできるときに機能する常在型能力であり、そのカードを本来の特性を隠して裏向きのクリーチャーとして唱えることを許可する。
クリーチャー — ビースト(Beast)
変異(4)(白)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。)
3/6土地
(T):(◇)を加える。
変異(2)(あなたはこのカードを、(3)を支払うことで2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。その変異コストを支払うことで、それをいつでも表向きにしてよい。)
定義
変異 [コスト]/Morph [コスト]は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく(3)を支払うことで、裏向きで2/2の、文章やカード名やクリーチャー・タイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」を意味する。
また、あなたが優先権を持っているとき(インスタント・タイミング)ならいつでも、その(表向きの時点での)変異コストを支払うことで表向きにすることができる。この処理は特別な処理であり、スタックを使用しない。
解説
ルール
裏向きの項も参照のこと。
- 裏向きにした時点でマナ・コストの無いカードになるが、「(3)を支払う」という部分が代替コストを意味するため、唱えることができる。その際の性質は、「点数で見たマナ・コストが0である、無色のクリーチャー呪文」である。打ち消しやコスト増加カード・コスト減少カードの影響は通常と同じく受ける。
- 代替コストは二重に適用できないため、裏向きに唱えるときに他の代替コストを適用することはできない。続唱や悪逆な富/Villainous Wealth等の「マナ・コストを支払うことなく唱える」ことは代替コストであるため、これらの方法では変異で唱えることはできない。
- 裏向きクリーチャーは「カード名を持たない」ので、例えば翻弄する魔道士/Meddling Mageなどで指名することはできないし、残響する真実/Echoing Truthや撲滅/Eradicateを食らってもほかのカードを巻き添えにしない(カード名がないのだから「同じカード名を持つカード」は存在しない)。
- クリーチャー・タイプも持たないので、旗印/Coat of Armsや仕組まれた疫病/Engineered Plagueなどのクリーチャー・タイプを参照するカードの影響も受けない。
- 変異コストを払って表向きになるのは優先権を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。起動型能力ではないので呪われたトーテム像/Cursed Totemなどで禁止できないし、対応してなにかすることもできない。逆に、何かされたことに対応して表向きになることはできる。特別な処理の項も参照。
- 表向きにしたときに変異コストを参照できない場合、変異コストは支払えないため、表向きになることに失敗する。このような状況は、戦場に謙虚/Humilityがある場合や変異を持たないクリーチャーが裏向きになっている場合などに起きる。ルール上厳密には、変異コストは少し未来の時点(表向きになったときの特性)を参照することになる。
- 裏向きのクリーチャーが表向きになることは、オブジェクトの位相が変化するだけで継続して同一のオブジェクトである。それは新たに戦場に出たわけではないし、裏向きの状態でつけられていたオーラ、置かれていたカウンター、適用されている継続的効果などは引き続き残る。新たに戦場に出たわけではないので「戦場に出たとき」の誘発型能力を誘発させることもない。
- 裏向きのクリーチャーをちらつき/Flickerなどを用いて一時的に追放すると、表向きで追放され、そのまま戦場に戻ってくる。これによって変異コストを踏み倒すテクニックが存在する。
- 裏向きのまま戦場を離れる場合、それはルールにより表を公開することになるが表向きになってから戦場を離れるわけではない。死亡誘発や戦場を離れることによる誘発型能力は、戦場を離れる直前の状態を見て誘発するか決まる(領域変更誘発)。
- 変異を持つカードが予示によって裏向きとなっている場合、そのカードのマナ・コストではなく変異コストを支払って表向きにしてもよい。
- 当然ながら、変異を持たないカードを裏向きクリーチャーとして唱えることは違反行為(イカサマ)である。これを防止するため、裏向きクリーチャーが戦場を離れるときやゲーム終了時には、カードの表をすべて公開して、適正なプレイであったことを証明しなければならない。
過去のルール
- かつては、エキスパンション・シンボルも特性の一つとして扱われていたため、変異で唱える際に定義される各種特性の中に「エキスパンション・シンボルを持たない」という記述も含まれていた。2013年7月13日の総合ルール更新で対エキスパンションカードのルールが変更されたことに伴い、この記述は削除された。対エキスパンションカードの項も参照。
その他
- オンスロート・ブロック初出で、時のらせんブロック、タルキール覇王譚、統率者2014、統率者2019で再登場している。
- オンスロート・ブロックの変異を持つカードはすべてクリーチャー・カードであるが、時のらせんブロックで復活した際にはクリーチャー以外のパーマネント・カードが複数登場した。
- 限られたカードでゲームを行うリミテッドでは、正体を巡る駆け引きが特に重要となり、プレイングの巧拙も問われる奥深いメカニズムとなっている(スカークの猛士/Skirk Commandoなどの項も参照)。その一方で、自由にカードを選べる構築ではデッキに採用される変異持ちは優秀なものに限られてしまうため、「正体がバレバレ」ということになりがち。
- オンスロート・ブロック当時のトーナメントシーンで使われた変異持ちは賛美されし天使/Exalted Angelや生命を破滅させるもの/Bane of the Livingなど限られた数枚だったため、デッキカラーからその正体が容易に推測できた。
- これを反省してか、時のらせんブロックやタルキール覇王譚ブロックで再登場した際はトーナメントレベルの変異持ちが増えており、複数種の変異持ちを同時に採用したデッキも現れるようになった(→セル、アブザン大変異など)。例えば前者の例では、クリーチャーに強いヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifterとインスタント・ソーサリーに強い意志を曲げる者/Willbenderの判別が重要になる。
- 公式記事の解説や多くの変異持ちのイラストによれば、変異クリーチャー/Morph Creatureは「粘土っぽい素材でできている、6本足の生物風の外殻」という状態である。これはオンスロートのエキスパンション・シンボルでもある。
- タルキール/Tarkirの変異クリーチャーは変異蜘蛛ではなく、火の玉のような形をしている。詳細は変異クリーチャー/Morph Creatureの項を参照。
- タルキール覇王譚以降のいくつかのセットには、裏向きのカードの上に置く目印として、変異クリーチャー用の注釈カードが収録されている。(→トークン・カード)
- タルキール龍紀伝では、変種として大変異が登場した。変異と大変異は「変異能力/Morph Ability」としてまとめられ、背教/Backslideなどの変異能力を参照するカードは両方を参照するようオラクルが改訂された。
開発秘話
オンスロート・ブロック
変異は、Illusionary MaskやCamouflageのような裏向きを扱うマジック黎明期のカードを、ルール的に整理する過程で誕生したメカニズムである。当時のルール・チームは、裏向きのカードの特性を不明とするのではなく、裏向きである限りルールで定められた特性を持つようにした。そしてこのルールを使えば、既存のカードの問題を解決できるだけでなく、新たなメカニズムを作れることに気づいたのだ。オンスロートのメカニズムを探していたMark Rosewaterはこれに興味を示し、2マナ1/1を十分な脅威となる3マナ2/2にするなど、いくつかの変更を加えて採用した[1][2]。
タルキール覇王譚ブロック
タルキール龍紀伝では変異の亜種として、様々なメカニズムが試された[3]。
- オーラ変異/Auramorph - オーラが持つ変異で、表向きになる際にクリーチャーにつけられる。
- 熊異/Borph - (2)を支払うことで、2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。2マナ2/2の俗称である熊(Bear)から。
- 超異/Smorph - (4)を支払うことで、+1/+1カウンターが1個置かれた2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。
最終的にこのメカニズムは大変異となったが、結果として大変異がプレイヤーに不評だったことから、Mark Rosewaterは超異をもっと推しておけばよかったと述べている[2][4]。
また熊異は、タルキール覇王譚ブロック全体で採用するべきか否かという議論にまで発展した。変異を丸ごと熊異に置き換えたタルキール覇王譚のコピーを作って変更とテストプレイを繰り返すという大実験の結果、環境が高速化する、裏向きのクリーチャーが表になることが少ない、氏族/Clanの独自性が減るなど多数の問題点があることが分かり、熊異は不採用になった[1]。
- 後の統率者2019で、オーラ変異と同じ働きをする破滅の贈り物/Gift of Doomが登場した。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 Phooey/フーイ(Making Magic 2015年5月11日 Mark Rosewater著)
- ↑ 2.0 2.1 Need I Say Morph/その話はこのヘン(イ)で(Making Magic 2019年8月5日 Mark Rosewater著)
- ↑ Imagine Dragons, Part 1/龍を描け その1(Making Magic 2015年3月2日 Mark Rosewater著)
- ↑ State of Design 2015/デザイン演説2015(Making Magic 2015年8月24日 Mark Rosewater著)
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.37 変異/Morph
- 702.37a 変異は、その能力を持つカードをプレイできるすべての領域で機能する常在型能力であり、その効果は、そのカードが裏向きであるならいつでも機能する。「変異 [[[コスト]]]/Morph [cost]」は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」を意味する。(rule 708〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。)
- 702.37b 大変異は、変異 能力の変種である。「大変異 [[[コスト]]]/Megamorph [cost]」は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」と「このパーマネントがオモテ向き になるに際し、オモテ向き になるためにこれの大変異 コストを支払っていたなら、+1/+1カウンター1個をこれの上に置く。」を意味する。大変異 コストは変異 コストである。
- 702.37c 変異 能力を使ってカードを唱えるには、それを裏向きにする。それは、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たない、2/2の裏向きのクリーチャー・カードとなる。(そのカードのオモテ向きの時の特性ではなく)それらの特性を持つカードを唱えることに適用される効果や禁止が、このカードを唱える際に適用される。これらの値はオブジェクトの特性のコピー可能な値である。(rule 613〔継続的効果の相互作用〕、rule 707〔オブジェクトのコピー〕参照。)それを(同じ特性を持つ裏向きの呪文として)スタックに積み、本来のマナ・コストではなく{3}を支払う。これは、代替コストのルールに則って処理される。通常そのカードをプレイできる領域ならどの領域からでも、変異 能力を使ってそのカードを唱えることができる。その呪文が解決されたとき、それは呪文のときと同じ特性を持って戦場に出る。変異の効果は、その裏向きのオブジェクトがどこにあっても適用され、オモテ向き になったときに終わる。
- 702.37d 通常、カードを裏向きに唱えることはできない。変異 能力があれば可能である。
- 702.37e あなたが優先権を持つときならいつでも、あなたは変異 能力を持つ裏向きのパーマネントをオモテ向きにしてよい。これは特別な処理であり、スタックを用いない(rule 116 参照)。そうするには、そのパーマネントがオモテ向き になった場合の変異 コストが何であるかをすべてのプレイヤーに示し、それを支払い、そのパーマネントをオモテ向きにする。(そのパーマネントがオモテ向き になった場合に変異 コストを持たない場合、この方法でオモテ向きにすることはできない。)変異の効果は終了し、そのパーマネントは通常の特性を取り戻す。そのパーマネントが戦場に出たときに誘発する能力は、オモテ向き になったときには誘発せず、効果を発揮しない。そのパーマネントはすでに戦場に出ているからである。
- 702.37f パーマネントの変異 コストがXを含み、そのパーマネントの他の能力もXを参照していることがある。それらの能力のXは、変異の特別な処理を行なった際に選ばれた値と等しい。
- 702.37g 変異 能力を持つカードを唱えることに関する詳細は、rule 708〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。
- 702.37 変異/Morph
- 702 キーワード能力