エキスパンション
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エキスパンション/Expansionは、マジックのカード・セットでスタンダードフォーマット用に発売される本流のセットのうち基本セット以外のものの呼称。
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解説
「拡張」が示すとおり、元来は基本セットを強化するためのセットである。基本セットと違い、ほぼ新録カードで構成され、そのセット独自のメカニズムを多数持ち、背景ストーリーが設定される。基本土地を含む250~270前後のカードが収録され、単独でリミテッドで遊ぶことができる。現在は春、秋、冬にそれぞれ発売され、秋のセットが発売すると同時に去年の夏までに発売されたセットがローテーションによりスタンダードで使用不能になる。
一覧
エキスパンションの変遷
1993年~1994年・エキスパンションの誕生
黎明期のエキスパンションは基本土地は収録されず、カード数もレジェンドを除き100枚程度で拡張の名の通り基本セットを強化する目的で作られていた。販売形態もブースターパックのみだった。
1995年~2003年・独立型エキスパンションとブロック
アイスエイジは、基本土地や各色の定番カードが再録され、トーナメントパックも販売されたマジック最初の単独で遊ぶことのできる独立型エキスパンション(後に大型エキスパンションという呼称が主流となった)であった。さらにホームランドを挟んだアライアンスはアイスエイジからの地続きのストーリーを描いたセットであった。ここから大型のエキスパンションをさらに拡張する2つの小型のエキスパンションの組み合わせというアイディアが生まれ、同時に開発していたミラージュ、ビジョンズにウェザーライトが加えられ、秋の大型セットに冬、春の小型セットが加えられるというブロック構成が始まった。テンペスト・ブロックは、初めからブロックとしてデザインされた初のエキスパンション群となった。大型・小型の収録カード枚数は大型が約350枚、小型約140枚強となっている。
スタンダードのメタゲームを新鮮に保つローテーションも考案され、スタンダードは基本セットとブロック2つによって構成され、新しいブロックの大型エキスパンションが発売するごとに最も古いブロックがスタンダードから使用不能になった。
2003年~2008年
第8版でカードのレイアウトデザインが新枠に変わったのと同時期に、エキスパンションも変化を迎えた。ミラディン・ブロックからは収録枚数が大型セットの枚数が約300枚、小型セットが約160枚と変化し、それまでドミナリア/Dominariaを中心としてきた背景ストーリーもミラディン/Mirrodin、神河/Kamigawaなど多元宇宙/Multiverseの個々の次元/Planeを印象付ける方向へ変化した。
小型セット単独でのスタンダード参入となるコールドスナップや、通常の収録カードとは別にタイムシフト枠が存在する時のらせん、大型と小型の2つの組み合わせをさらに組み合わせた4セット構成のローウィン=シャドウムーア・ブロックなど、変則的なエキスパンションが開発されるようになる。
2008年~2015年・変化の年
2008年からカード・セット全体に大きな変更が行われ、神話レアの導入や、基本セットの一新などが行われた[1]。エキスパンションはアラーラの断片ブロック以降収録カード枚数が大きく削減され、大型セットは約250枚、小型セットは140~170枚となっている。ミラディンの傷跡ブロックやラヴニカへの回帰ブロックなど、以前舞台として取り上げられた人気の次元に”回帰”するようになった。
変則的なブロック構成は引き続き試されている。
- ゼンディカー・ブロック、イニストラード・ブロックは第3セットが大型エキスパンションであり、リミテッドもこれ1つで行われるのが基本となっている。
- ラヴニカへの回帰ブロックでは、10のギルド/Guildを最初2つのエキスパンションに5-5で割り振るために、第1・第2エキスパンションが大型、第3エキスパンションが小型となった。またリミテッドでは最初2つの大型エキスパンションがそれ単体で行われるのに対し、第3エキスパンション導入後は3エキスパンションを1-1-1(ブースター・ドラフト時)、もしくは2-2-2(シールド時)と、大型エキスパンションを同時に使うという変則的な割り振りが行われた。
- タルキール覇王譚ブロックでは、次ブロック以降のブロック構成変更の影響に、第1・第3エキスパンションが大型、第2エキスパンションが小型となった。ブースター・ドラフトでは、第2エキスパンション導入時に「第2→第1→第1」、第3エキスパンション導入時に「第3→第3→第2」といる特殊な割り振りが行われた。また、このブロックの第3エキスパンションは、ローテーションにおいて第1・第2エキスパンションとは別ブロックとして扱われる。
2015年~2018年・2セット1ブロック構成と基本セットの廃止
1ブロック3セット制は3つのセットを繋がりを維持したまま新しいデザインを見せなければいけないことに問題があり、戦乱のゼンディカー・ブロックからは1ブロック2セットの構成となった。同時に基本セットの廃止、スタンダードのローテーションを1年に一度から半年に一度にするなど大きな変更が加えられた[2]。
この変更により、スタンダードは3つのブロックで構成され、秋と春に大型エキスパンション、冬と夏に小型エキスパンションが発売され、大型エキスパンションの発売ごとに最も古いブロックがローテーション落ちするというスケジュールとなった。だがプレイヤーからの反響の結果、ローテーションは1年に一度に戻されたため[3]、スタンダードは3~4つのブロックで構成されるようになった。
2018年~2021年・現在・ブロック制の廃止と基本セットの復活
2015年の大変化の後の試行錯誤を経て、小型セットそのものがデザインの弊害だったことや基本セットの欠如による問題点が見え、開発部はブロックという構成を止め今後はエキスパンションはそれまででいう大型エキスパンションのみとすることを発表した[4]。基本セットも復活し、エキスパンションがすべて大型となった以外は販売スケジュールやローテーションは2015年以前に戻ったといえる。
2021年~現在・発売スケジュールの変更
MTGアリーナや統率者戦用セットなど入門者の導線が変化してきたことを受け、基本セット2022はフォーゴトン・レルム探訪として発売され年4回の本流のセットがすべてエキスパンションとなった。また、後半発売するセットのスタンダードでの寿命を延ばすという方針からイニストラード:真夜中の狩り以降は発売間隔が従来の約3か月から約2か月になり、4月にはローテーションを同じくするセットが出そろうスケジュールになった[5]。
その他
- エクスパンション、エキスパッションは誤表記である。
- かつてはカード枚数の多い大型エキスパンションでは、ブースターパック以外に、基本土地や新ルール解説シートなどが含まれているトーナメントパックも発売されており、これを使用したリミテッドもあった。
- ブロック制だった当時、ローテーションは大型エキスパンションの発売時期にあわせて行われたため、後に発売される小型エキスパンションほどスタンダードなどで使用できる期間は短かった。そのため、ブロックの3つ目のエキスパンションはその分強力なカードが多く収録される、という説もある。実際にそんな方針で製作されているのかは全くの不明(→俗説#ブロックの最後のエキスパンションは強い)。
脚注
- ↑ 変化の年(Making Magic 2008年 6月 2日)
- ↑ 変身(Making Magic 2014年8月25日)
- ↑ スタンダード・ローテーションの見直しについて(News 2016年10月19日)
- ↑ 変身2.0(Making Magic 2016年6月12日)
- ↑ 『契り』から その1(Making Magic 2021年11月1日)