対象
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対象/Targetとは、呪文や能力が影響を及ぼす、事前に選択されたオブジェクト、プレイヤーのこと。マジックにおいて「対象」は、ルール用語として一般的な意味と異なる特別な意味を持つ。ルールなどの説明でこの用語を用いるときは注意しなくてはならない。
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解説
このどちらでもない呪文や能力は対象をとらない。「あなた/You」は、そのオブジェクトのコントローラーを指す単語であり、対象をとるということではない。
対象は、呪文ならば唱える際に、起動型能力ならば起動する際に、誘発型能力ならば誘発してスタックに乗る際に決定する。不正な対象を選択することはできない。適正な対象を取ることができない場合には呪文を唱えたり能力を起動したりはできず、誘発してスタックに乗ってもスタックから取り除かれる。
対象が適正であるかどうかは解決時にもチェックされる。対象を必要とする呪文や能力は、その対象の一部が解決時に不適正になっていた場合、残った対象に効果を発生させる。解決時にその全ての対象が不適正になっていた場合、その呪文や能力は解決されない。(いわゆる「立ち消え」)
- 対象が適正かどうかのチェックは上記の時点でのみ行われる。これら以外の場合に対象として適正でなくなっても、そのことが原因で効果が生じなかったり終了したりすることはない。
- 一度選んだ対象は、不適正になっても勝手に変更することはできない。
- 0を含む可変個の対象を取ることのできる呪文や能力が存在する。その場合、1個以上の対象を選んでいるときのみ対象を取る。一方でその呪文や能力は実際の対象の数によらず「対象を取りうる」呪文や能力である。
- 対象を変更する効果がいくつか存在する。詳しくは対象の変更の項目を参照すること。
- スタック上にある呪文や能力は、自身を対象とすることはできない(CR:114.4)。よって「対抗呪文/Counterspellに分流/Shuntを使用して対象を対抗呪文自身に変更する」ということは不可能である。
- ただし、対象を分流に変更することは可能である。なぜなら、分流の解決中、まだ分流はスタック上に置かれているからである。
- 対象として適正であれば、解決の際の挙動は考慮する必要は無い。打ち消し呪文を打ち消されない呪文を対象に唱えることは適正である。このような場合、マジックの黄金律にあるとおり「できない」が勝り「実行不可能な指示は無視」されるために、単に解決時に何も起こらないだけである。
- 例えば、打ち消されない呪文を対象に放逐/Dismissを唱えてもよい。その場合、呪文は打ち消せないものの「カードを1枚引く」という処理は実行される。
- 盤面が複雑になると難しく感じてしまうが、「呪文や能力の対象がすべて不適正になっている」「呪文や能力が打ち消されている」「呪文や能力がスタックから直接取り除かれている」のいずれにも該当しない場合は、解決自体は実行されるということを念頭にいれておこう。
英語版でダメージを与える効果に「any target」や「another target」、「two targets」と書かれていた場合、これらの対象は、クリーチャーかプレイヤーかプレインズウォーカーである(任意の対象)。クリーチャーでないアーティファクトや呪文など、ダメージを与えられることのないオブジェクトは対象として選べない。日本語版ではそれらの文章は「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。」というような表現になっている。
複数の対象をとる場合
- オラクルで1つの「Target」を使って対象を取るオブジェクトを示している場合、同じオブジェクトを複数回対象として選んではいけない。(例:暴力的な根本原理/Violent Ultimatum)
- オラクルで複数の「Target」を使って対象を取るオブジェクトを示している場合、それぞれにおいて制限を満たした上で、同じものを複数回対象として選んでもよい。(例:大量破壊/Decimate)
- この方法で同じものを複数回選んだとしても、それは「単一の対象をとる」呪文ではない。
日本語のテキストは翻訳のテンプレートが逐一変更されており、上の違いが分かり難いカードがある。どちらか判断しづらい場合はオラクルを参照するように。
- 2014年11月(統率者2014)現在では、「「[性質]N個(または[性質]N個)」としてまとめられている中で、同じ対象を複数回選ぶことはできない。」が日本語訳のテンプレートである。
- 「クリーチャー2体を対象とする」は同じクリーチャーを対象に取れないが、「クリーチャー1体と、クリーチャー1体を対象とする」は同じクリーチャーを対象に取ることができる。
- 神河物語で現在のルールに変更される前は、どちらの場合であっても同じ対象を複数回選ぶことはできなかった。
対象になるたび
誘発条件として「○○が呪文や能力の対象になるたび」というものがある。
この誘発条件が満たされるのは
- ○○を対象とする呪文が唱えられたり能力が起動されたりしたとき。
- 対象を変更する効果によって呪文や能力の対象が○○に変更されたとき。
- ○○を対象とした呪文や能力のコピーがスタックに置かれその対象がそのままだったとき。
- 呪文や能力のコピーがスタックに置かれその対象が○○に変更されたとき。
のいずれかである。
カードによっては「対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび」「インスタント呪文かソーサリー呪文の対象になるたび」「能力の対象になるたび」のように条件がより限定されているので、その場合は適宜読み替えること。
訳語の変遷
「対象」の日本語訳のテンプレートは、オンスロート以降とドミナリア以降で二度大幅に変更されている。
オンスロートでの変更
例えば、ショック/Shockのルール文章(当時)は、英語では以下の通りであった。
旧オラクル
Shock (赤)Instant
Shock deals 2 damage to target creature or player.
これを、オデッセイ・ブロックまでは、以下のように訳していた。
旧オラクル
ショック / Shock (赤)インスタント
ショックは、対象のクリーチャー1体か対象のプレイヤー1人に、2点のダメージを与える。
すなわち、英語の「target」の部分をそのまま「対象の」と置き換えただけのものである。
ところが、この訳では「対象のクリーチャー(プレイヤー)」はあらかじめ決められているかのように読めてしまい、「好きなクリーチャー(プレイヤー)を選んで2点ダメージを与える」という意味であることが初心者にわかりづらいという問題が生じていた。
そのため、オンスロート・ブロック以降、訳語が以下のように改められた。
旧オラクル
ショック / Shock (赤)インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ショックはそれに2点のダメージを与える。
対象を先に宣言し、元の「target」の部分は「それ」と訳すようにすることで、何を対象とするのかが日本語でもわかりやすくなった。
以上の変更のため、複数の対象を取る場合に「その前者」「その後者」をつけるなど、複雑な変更がなされている場合がある。
クリーチャー — コー(Kor) 兵士(Soldier)
コーの装具役が戦場に出たとき、あなたがコントロールする装備品(Equipment)1つとあなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、その前者をその後者につけてもよい。
2/2インスタント
クリーチャー1体を対象とし、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、次にその前者に与えられるダメージをX点軽減する。Xは、あなたの白への信心である。これによりダメージが軽減されるなら、侍祭の報賞はその点数に等しい点数のダメージをその後者に与える。(あなたの白への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる(白)の数に等しい。)
以上のカードは、いずれもオラクルでは「target」が2回使われているが、日本語版ではコーの装具役に「対象」が1回しか使われていない。
また、この訳語では、超過の注釈文を「『対象の』を『各』に置き換える」と単純に訳すことができないという問題が生じた。よって、日本語版では、変更後のテキストをそのまま書くという対応になった。
ドミナリアでの変更
ドミナリアでのプレインズウォーカーへのダメージ移し替えルール廃止に伴って、英語版はそれまで「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする/target creature or player」としてきた文章を「any target(任意の対象)」に変更したが、日本語の対訳は作られておらず、「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。」という文章になった。任意の対象の項も参照。
*
Shock (赤)Instant
Shock deals 2 damage to any target.
その他
ラヴニカ:ギルドの都でディミーアの脳外科医、シアクー/Circu, Dimir Lobotomistのために対象として領域が追加されたが、その後領域を対象に選ぶカードは登場せず、2018年10月の総合ルール変更&オラクル変更でシアクーのオラクルが変更されることと合わせて領域は対象から外された。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 1 ゲームの考え方
- 114 紋章
- 114.1 効果によって、紋章が統率領域に置かれることがある。紋章とは、1つまたはそれ以上の能力を持つオブジェクトを表すマーカーであり、それ以外の特性は持たない。
- 114.2 紋章を生成する効果は「[[[プレイヤー]]]は[[[能力]]]を持つ紋章を得る。/[Player] gets an emblem with [ability]」と書かれる。これは、[[[プレイヤー]]]は[[[能力]]]を持つ紋章を統率領域に置くことを意味する。紋章のオーナーはそのプレイヤーであり、そのプレイヤーがその紋章をコントロールする。
- 114.3 紋章は、それを生成した効果によって定義された能力以外の特性を持たない。紋章はカード・タイプを持たず、マナ・コストを持たず、色を持たない。ほとんどの紋章は名前も持たない。
- 114.4 紋章の能力は統率領域で機能する。
- 114.5 紋章はカードでもパーマネントでもない。「紋章/emblem」はカード・タイプではない。
- 114 紋章