ネクロポーテンス/Necropotence
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エンチャント
あなたのドロー・ステップを飛ばす。
あなたがカードを捨てるたび、あなたの墓地にあるそのカードを追放する。
1点のライフを支払う:あなたのライブラリーの一番上のカードを裏向きのまま追放する。あなたの次の終了ステップの開始時に、そのカードをあなたの手札に加える。
アイスエイジ初出、第5版に再録された、マジック史上でもトップクラスのドローエンジンの1つ。ライフ1点を手札1枚に変換する能力を持つ。
解説
手札に加えるタイミングが終了ステップに限られており、それゆえに引いたカードを即使用したり、また引いた内容を確認しながら枚数調整したりという柔軟性こそないものの、ハンド・アドバンテージ獲得の効率は非常に高い。マナ・コストも3マナと軽いことから、爆発力に優れている。
極めて強力だが通常のドローが止まるデメリットも大きく、手札とライフを使い切ってしまうとそのまま「ハマリ」になって自滅してしまうので、デッキ構成とプレイングによる運用の両面で気を遣ってやる必要がある。主に、
- このデメリットで勝てなくなる前に、対戦相手を倒せるデッキで使う(高速ビートダウンや瞬殺型コンボデッキなど)。
- バウンスや破壊などで、役目を終えたのちは処理できるようにする。
- ライフを継続的に得られるようにする。
といった手段が組み合わせられる。
これを対戦相手に出された時は、これを割るべきか否かの判断は重要である。割ろうとしたところで対応して起動できるので一定以上のアドバンテージを取られることは確定している(下記#ルールも参照)ため、ドローがなくなるデメリットをなくしてあげるだけに終わりかねない。パーミッションなどがこれを打ち消せなかった場合は、逆にネクロポーテンスを「守ってやる」ことでデメリットを継続させ、ライフ不足のハマリ状態に追い込んで勝つというプレイングが取られることも少なくない。
- 藤田剛史がグランプリ京都00をネクロ・ドネイトで優勝したとき、インタビューに「ネクロは実力を度外視したゲームを作り出す。禁止にするべき。」と答えている[1]。
- 第5版では「強欲/Greedと置き換える」という理由で収録された[2]。
利用
ドロー・ステップのスキップとライフの損失、ディスカード・フェイズ(現在は終了ステップの開始時に)にならないと手札に加えられないといったマイナス要素から、登場した当時はカスレア扱いされていた。当時は天敵の黒の万力/Black Viseが健在だったことも、使用されなかった理由の1つである。
後に登場したネクロディスクが、1996年の大会において凄まじい使用率と戦績を収めて以来、その強力な利用方法が広まり、名実共にトップレアの1つとなった。その年の夏が、後に"ネクロの夏"とまで呼ばれるようになる。ちなみにその夏を制したのは、ネクロデッキを徹底的にメタった白ウィニーの12Knightsだった。
その後も、環境を問わず様々なデッキに投入された。これによる、ライフ→ドローのリソース変換の強さが世に広まることになり、ネクロ・ドネイトなどのコンボデッキを生み出す一因ともなった。現在でも、ヴィンテージでストームデッキを中心に活躍している。
2000年10月1日より、タイプ1(現ヴィンテージ)で制限カード、タイプ1.5で禁止カードに指定される。2001年4月1日より、エクステンデッドでも禁止カード。2004年9月20日より、タイプ1.5から移行したレガシーでも続けて禁止カード。
ルール
- 多くのプレイヤーが、「アンタップ、アップキープ、ドロー」という一連の流れが身に染み付いてしまっているため、ネクロポーテンスをコントロールしていながらドロー・ステップに思わずカードを引いてしまうことも少なからずあった。もちろんペナルティの対象となる。
- 起動型能力によって追放したカードを終了ステップの開始時に手札に加えるのは、その起動型能力の効果として生成される遅延誘発型能力である。
- 終了ステップの開始時にネクロポーテンスが戦場からなくなっていたとしても、それらのカードを手札に加える能力は誘発する。
- 誘発型能力であるので、もみ消し/Stifleなどで打ち消すことができる。なお、この遅延誘発型能力は能力の起動1回につき1つ生成されるので、もみ消し1枚でカードを手札に加えるのを阻止できるのは1枚だけである。
- 時間停止/Time Stopなら、遅延誘発型能力がすべてスタックに乗ったのに対応して撃つことで、手札に加えるのをすべて阻止できる(誘発条件が「あなたの次の終了ステップの開始時」であるので、さらに次の終了ステップの開始時に手札に加えられることもない)。
- 初出時のテキスト(カード画像)では、追放したカードを手札に加えるのはディスカード・フェイズとなっていた。第6版におけるルール変更に合わせて変更された。
- 第6版でのルール改定前は、ネクロポーテンスの対策としてボガーダンの金床/Anvil of Bogardanが用いられることがあった。これは当時のボガーダンの金床は「ディスカード・フェイズを飛ばす」能力を持っていたため。第6版登場に合わせてネクロポーテンス・ボガーダンの金床ともに挙動が変更され、対策としては機能しなくなった。
- 第5版当時のルール(カード画像)では、カードを捨てたとき、誘発型能力としてそのカードを追放して(当時のルールでは「ゲームから取り除いて」)いた。その後一時(時期不詳)、捨てるカードを追放するのは誘発型能力ではなく置換効果によるものに変更されていたものの、2008年7月のオラクル改定で誘発型能力として行うよう戻された。
- また第5版当時のルールでは、カードを捨てたのであれば無条件にそのカードを追放していたものの、2007年2月のオラクル改定で、捨てるカードを追放するのは捨てたカードが本来墓地に置かれる場合に限定されるようになった。
- 何らかの別の効果により、カードを捨てることでそのカードを墓地以外に置く場合(例:マッドネス)、この能力でカードを追放することはしない。
その他
- アイスエイジ版(英語版)しか存在しなかった頃には、初心者泣かせのカードだった。とにかく物凄い長さのテキストで、文字数を詰め込むためにフォントサイズも小さくなっているため、虫眼鏡を使わないと読めないような大きさの英文とにらめっこするという苦行を強いられた。(カード画像)
- ネクロポーテンスには全身像があり、外見は骸骨の騎士で手にエネルギー球とエネルギーの剣を持っている(デュエリスト・ジャパン vol.6(P90)より)[3]。
- Necropotenceとは「死の力」という意味。
- From the Vault:Exiledに新規イラストで収録された。エターナルマスターズでもこのイラストで再録された。
- 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1995年を代表するカードとして展示された[4]。
関連カード
- 第6版に収録されずスタンダードから落ちた後も、ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargainやファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arenaといった類似カードが開発された。それらと見比べると、同じドローエンジンでありながらその役割は三種三様であり、どれも絶妙な持ち味を発揮している。
- ほかにも黒には古えの渇望/Ancient Cravingのようなライフを支払うドローカードが数多く、その大部分がライフ1点につきカード1枚という相場になっている。
- アンヒンジドのNecro-Impotenceはこれのパロディ。
参考
- ↑ チャンピオンインタビュー(WotC)
- ↑ Taming the Flames(Duelist誌17号の記事)
- ↑ Necro's Got Legs!(Arcana 2009年1月1日)
- ↑ ニコニコ超会議2 マジック:ザ・ギャザリング展示ブース(マジック日本公式Facebook)