悪魔の契約/Demonic Pact
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リリアナ・ヴェス/Liliana Vessが行った「4体の悪魔との契約」がカード化。アップキープごとに様々な恩恵をもたらすが、4ターン目には自身の破滅が待っている。
効果はそれぞれ吸血の饗宴/Vampiric Feast(X=4の魂の消耗/Consume Spirit)、精神腐敗/Mind Rot、予言/Divination(ライフロスのない夜の囁き/Night's Whisper)とほぼ同等。4マナの初期投資だけで合計10マナ以上の効果と最大3~4枚分のカードアドバンテージを得られるとあって、コスト・パフォーマンスそのものはまさに破格と言える。
ただし、重さの割に報酬を得られるのは唱えた次のターンからというタイムラグがあり、長期戦向きの効果を各ターンにひとつずつという悠長さがタイムリミットを抱える性質と噛み合っていない。得られるアドバンテージの大きさを頼りに3ターン以内の勝利を目指すという率直な使い方の場合、仕留め損なった時のリスクも極大であるため、ビートダウン・コントロールを問わず、漫然と組み込んでも効果的に働くどころか自分の首を絞める可能性も高い。扱いには少々の工夫が必要な、黒らしく癖も強い一枚。
最も単純で確実な手段としては、破壊やバウンスを用いて敗北を踏み倒す、あわよくば再展開によって更なるアドバンテージを獲得するといった利用法が挙げられる。実際スタンダードにおいて、侵入する生物種/Invasive Speciesや分散/Disperseなどと組み合わせる事で、これをキーカードに据えた悪魔の契約デッキが登場している。
別軸の活用法としては、寄付/Donateのようなコントロールの譲渡効果を利用して対戦相手に押し付ける事で、これ自体を勝利手段にしてしまうコンボ的運用も成立し得る。寄付し損ねた際の敗北リスクはあるが、内蔵するドローや手札破壊によって単なる置物に留まらずコンボの完成をサポートしてくれるのはありがたいところ。当初のスタンダード環境では果敢な泥棒/Daring Thiefや変容する忠誠/Shifting Loyaltiesといった効率に欠ける候補しかなく現実味が薄かったものの、異界月で格段に手軽な無害な申し出/Harmless Offeringが登場した事で、上述デッキの派生であるキャット・パクトが成立した。ただし、約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised Endという天敵も同時に現れ、友情コンボの危険性も高まった(下記ルールの項を参照)。
- 「カードを作るのは君だ!」の第4回[1]にあったメカニズム案「Consuming Contract」が原案[2][3]。
- 対象を取る違いはあるが、ドローと手札破壊の両モードは屍賢者の助言/Consult the Necrosagesを髣髴とさせる。
- 未来予知の契約サイクルとは直接の関連は無いが、アップキープの選択次第でそのまま敗北に繋がる効果を有する点は共通している。
- 基本セット2019では、この契約を別の視点で表現したリリアナの契約/Liliana's Contractが登場した。そちらは打って変わって勝利条件カードとなっている。
ルール
- モードを選ぶのはこの能力がスタックに乗るとき、すなわちアップキープの開始時に誘発したときである。
- 一度選んだモードは選ぶことができない。これは各オブジェクトごとに適用される。選ぶプレイヤーは考慮されない。
- 「他のモードが選べなくなったとき敗北する」わけではなく、敗北もモードのひとつである。あえて先に敗北のモードを選んでよいし、一度選べばその後は選ぶ必要がなくなる。
- もみ消し/Stifleや天使の嗜み/Angel's Graceなど、敗北を回避できる手段があるなら、先に敗北のモードを消化してしまうのも手。
- 最悪の恐怖/Worst Fearsなどでプレイヤーのコントロールを奪われたときは、真っ先に敗北のモードが選ばれることになるだろう。
- (敗北のモードも含めて)いずれのモードも選ぶことができなくなった場合、誘発型能力は誘発はするが、そのままスタックから取り除かれる。その状態になれば事実上何もしない置物となる。
脚注
- ↑ You Make the Card 4 – Rules Bracket(Making Magic 2015年9月15日)
- ↑ The M Files: Magic Origins, Part 1/Mファイル『マジック・オリジン』編・パート1(Latest Developments 2015年7月24日)
- ↑ Original Spin/オリジンのスピン(Making Magic 2015年8月17日)