バウンス
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− | '''バウンス'''(''Bounce'')とは、「跳ね返す」を意味する英語であり、[[戦場]]の[[パーマネント]] | + | '''バウンス'''(''Bounce'')とは、「跳ね返す」を意味する英語であり、[[戦場]]の[[パーマネント]](稀に[[スタック]]上の[[呪文]]も)を[[手札]](稀に[[ライブラリーの一番上]])に[[戻す]]こと。もしくはそのような[[効果]]を持つ[[カード]]。それらを主軸にした[[デッキ]]名として使われることもある。 |
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− | + | ==解説== | |
+ | [[フレイバー]]としてのイメージは「水流や突風による戦場からの一時的放逐」「目標の忘却」「時間操作による存在の抹消」など。バウンスは[[青]]の得意技([[色の役割]])の1つであり、同じく青お得意の[[打ち消す|打ち消し]]と組み合わせることで手間はかかるが土地以外のあらゆる[[パーマネント]]に対応できる。 | ||
− | 戦場から排除する点だけを見れば[[擬似除去]]として機能するが、手札に戻すだけでは簡単に[[唱える|唱え]] | + | 戦場から排除する点だけを見れば[[擬似除去]]として機能するが、手札に戻すだけでは簡単に[[唱える|唱え]]直せてしまうために時間稼ぎ([[タイム・デストラクション]])にしかならず、また基本的に[[カード・アドバンテージ]]を失ってしまう。そのため、[[対象]]にできるパーマネントの範囲が同等である他の[[除去]][[呪文]]に比べて、[[コスト]]が安い場合が多い(例:[[送還/Unsummon]]と[[終止/Terminate]]、[[ブーメラン/Boomerang]]と[[名誉回復/Vindicate]])。 |
除去として見ると力不足ではあるが、使い方次第では有効に働く場面も多い。例えば、相手の[[強化]]に[[対応して]]使って[[立ち消え]]させたり、[[オーラ]]付きパーマネントを戻して[[エンチャント]][[破壊]]のように使ったりすることで、カード・アドバンテージの損失を抑えられる。また、[[コスト]]が[[重い|重く]]唱え直しが困難なパーマネントを狙うことで[[テンポ・アドバンテージ]]を稼ぐのは常套手段であり、特に[[リアニメイト]]のように非常に重いパーマネントを使用する[[デッキ]]に対しては、実質的な除去になることもある。これらの大部分は除去や[[火力]]にも言える特徴だが、よりコストが[[軽い|軽く]]、[[タフネス]]や[[色]]などの[[除去耐性]]に関わらず対処できるバウンスのほうが、奇襲性や確実性が高い。 | 除去として見ると力不足ではあるが、使い方次第では有効に働く場面も多い。例えば、相手の[[強化]]に[[対応して]]使って[[立ち消え]]させたり、[[オーラ]]付きパーマネントを戻して[[エンチャント]][[破壊]]のように使ったりすることで、カード・アドバンテージの損失を抑えられる。また、[[コスト]]が[[重い|重く]]唱え直しが困難なパーマネントを狙うことで[[テンポ・アドバンテージ]]を稼ぐのは常套手段であり、特に[[リアニメイト]]のように非常に重いパーマネントを使用する[[デッキ]]に対しては、実質的な除去になることもある。これらの大部分は除去や[[火力]]にも言える特徴だが、よりコストが[[軽い|軽く]]、[[タフネス]]や[[色]]などの[[除去耐性]]に関わらず対処できるバウンスのほうが、奇襲性や確実性が高い。 | ||
− | + | ===救出のためのバウンス=== | |
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+ | [[対戦相手]]のものばかりでなく、自分のものを対象にすることも多い。相手の除去から守るために使ったり、対戦相手に[[コントロール (ルール用語)|コントロール]]を奪われたカードを取り返すために使ったりなどは、除去にはできないバウンスならではの仕事である。特に[[ETB]][[能力]]の再利用手段として使われることも多く、繰り返し使えるものならば[[アドバンテージ]]を稼ぐこともできる。他に何らかの効果が付加されているバウンスならば、[[永遠の証人/Eternal Witness]]のようにカードを[[回収]]できるETB能力を持ったパーマネントと組み合わせることで、非常に強力な[[シナジー]]を形成することもできる。自軍のパーマネントのみをバウンスする効果は「救出」を意味することが多く、青だけでなく[[白]]にも多い。(→ [[救出カード]]) | ||
+ | ===トークンのバウンス=== | ||
+ | {{#card:Perplexing Test}} | ||
[[トークン]]は戦場以外の[[領域]]に移動すると消滅するため、トークンに対しては除去として働く。[[環境]]にトークンがあふれてくると、通常の除去よりも[[コスト・パフォーマンス]]の良いバウンスが流行る(例:[[獣群の呼び声/Call of the Herd]]全盛期の[[排撃/Repulse]]など)。 | [[トークン]]は戦場以外の[[領域]]に移動すると消滅するため、トークンに対しては除去として働く。[[環境]]にトークンがあふれてくると、通常の除去よりも[[コスト・パフォーマンス]]の良いバウンスが流行る(例:[[獣群の呼び声/Call of the Herd]]全盛期の[[排撃/Repulse]]など)。 | ||
+ | ===呪文のバウンス=== | ||
+ | {{#card:Venser, Shaper Savant}} | ||
数は少ないが[[スタック]]上の呪文を手札に戻す効果([[造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant]]など)も存在し、これもバウンスと呼ばれる。これは打ち消すこととは異なるため、[[打ち消されない]]呪文にも(時間稼ぎではあるが)対応できるのが強み。 | 数は少ないが[[スタック]]上の呪文を手札に戻す効果([[造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant]]など)も存在し、これもバウンスと呼ばれる。これは打ち消すこととは異なるため、[[打ち消されない]]呪文にも(時間稼ぎではあるが)対応できるのが強み。 | ||
+ | ===バウンスを要求するカード=== | ||
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ペナルティやコストとして他のパーマネントのバウンスが要求されることもある([[バウンスランド]]、[[開門]]、[[神河ブロック]]の[[ムーンフォーク]]など)。基本的には[[テンポ・アドバンテージ]]を損するデメリットであるが、[[ETB]]能力の再利用、手札の水増しなどに利用できることもある。 | ペナルティやコストとして他のパーマネントのバウンスが要求されることもある([[バウンスランド]]、[[開門]]、[[神河ブロック]]の[[ムーンフォーク]]など)。基本的には[[テンポ・アドバンテージ]]を損するデメリットであるが、[[ETB]]能力の再利用、手札の水増しなどに利用できることもある。 | ||
− | + | ===バウンスを主軸にしたデッキ=== | |
+ | {{#card:Tradewind Rider}} | ||
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+ | 環境によっては、バウンスを繰り返して対戦相手のパーマネントをすべて手札に戻す[[デッキ]]が成立してしまうこともある(→ [[アウェイクニング]]、[[メダリオンブルー]]、[[トレードウィンド・サバイバル]]、[[ATS]]、[[エターナルウインド]])。 | ||
+ | [[激動/Upheaval]]はそれをたった1回の[[解決]]で達成してしまう[[リセット]]呪文であり、[[ゾンビ激動]]や[[激動サイカトグ]]といったデッキを成立させた[[キーカード]]となった。 | ||
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+ | バウンスすると対戦相手の手札の枚数が増えることを利用したデッキもある(→[[ハウリング・オウル]])。 | ||
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*まだ[[土地]]を[[プレイ]]していない[[ターン]]に、自分がコントロールしている土地を(あらかじめ[[マナ]]を出してから)戻して、その土地を出すことで擬似的な[[マナフィルター]]になる。[[色事故]]が少なくない[[リミテッド]]では、覚えておいて損はない[[プレイング]]である。 | *まだ[[土地]]を[[プレイ]]していない[[ターン]]に、自分がコントロールしている土地を(あらかじめ[[マナ]]を出してから)戻して、その土地を出すことで擬似的な[[マナフィルター]]になる。[[色事故]]が少なくない[[リミテッド]]では、覚えておいて損はない[[プレイング]]である。 | ||
**[[マナ加速]]にはならないが、土地を持っていなくても、土地を持っていたのと同じようにマナを生み出すことができる汎用性の高いテクニックと言える。[[2003年]]7月に[[ヴィンテージ]]での[[制限カード|制限]]が告知された時の[[噴出/Gush]]のコメントでは、このテクニックが頻繁に使われていたことを挙げている([http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/announce/dci20030529a 2003年6月禁止・制限告知]参照)。 | **[[マナ加速]]にはならないが、土地を持っていなくても、土地を持っていたのと同じようにマナを生み出すことができる汎用性の高いテクニックと言える。[[2003年]]7月に[[ヴィンテージ]]での[[制限カード|制限]]が告知された時の[[噴出/Gush]]のコメントでは、このテクニックが頻繁に使われていたことを挙げている([http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/announce/dci20030529a 2003年6月禁止・制限告知]参照)。 |
2023年9月25日 (月) 03:02時点における版
バウンス(Bounce)とは、「跳ね返す」を意味する英語であり、戦場のパーマネント(稀にスタック上の呪文も)を手札(稀にライブラリーの一番上)に戻すこと。もしくはそのような効果を持つカード。それらを主軸にしたデッキ名として使われることもある。
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解説
フレイバーとしてのイメージは「水流や突風による戦場からの一時的放逐」「目標の忘却」「時間操作による存在の抹消」など。バウンスは青の得意技(色の役割)の1つであり、同じく青お得意の打ち消しと組み合わせることで手間はかかるが土地以外のあらゆるパーマネントに対応できる。
戦場から排除する点だけを見れば擬似除去として機能するが、手札に戻すだけでは簡単に唱え直せてしまうために時間稼ぎ(タイム・デストラクション)にしかならず、また基本的にカード・アドバンテージを失ってしまう。そのため、対象にできるパーマネントの範囲が同等である他の除去呪文に比べて、コストが安い場合が多い(例:送還/Unsummonと終止/Terminate、ブーメラン/Boomerangと名誉回復/Vindicate)。
除去として見ると力不足ではあるが、使い方次第では有効に働く場面も多い。例えば、相手の強化に対応して使って立ち消えさせたり、オーラ付きパーマネントを戻してエンチャント破壊のように使ったりすることで、カード・アドバンテージの損失を抑えられる。また、コストが重く唱え直しが困難なパーマネントを狙うことでテンポ・アドバンテージを稼ぐのは常套手段であり、特にリアニメイトのように非常に重いパーマネントを使用するデッキに対しては、実質的な除去になることもある。これらの大部分は除去や火力にも言える特徴だが、よりコストが軽く、タフネスや色などの除去耐性に関わらず対処できるバウンスのほうが、奇襲性や確実性が高い。
救出のためのバウンス
対戦相手のものばかりでなく、自分のものを対象にすることも多い。相手の除去から守るために使ったり、対戦相手にコントロールを奪われたカードを取り返すために使ったりなどは、除去にはできないバウンスならではの仕事である。特にETB能力の再利用手段として使われることも多く、繰り返し使えるものならばアドバンテージを稼ぐこともできる。他に何らかの効果が付加されているバウンスならば、永遠の証人/Eternal Witnessのようにカードを回収できるETB能力を持ったパーマネントと組み合わせることで、非常に強力なシナジーを形成することもできる。自軍のパーマネントのみをバウンスする効果は「救出」を意味することが多く、青だけでなく白にも多い。(→ 救出カード)
トークンのバウンス
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・すべてのクリーチャー・トークンをオーナーの手札に戻す。
・トークンでないすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
トークンは戦場以外の領域に移動すると消滅するため、トークンに対しては除去として働く。環境にトークンがあふれてくると、通常の除去よりもコスト・パフォーマンスの良いバウンスが流行る(例:獣群の呼び声/Call of the Herd全盛期の排撃/Repulseなど)。
呪文のバウンス
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
瞬速
造物の学者、ヴェンセールが戦場に出たとき、呪文1つかパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
数は少ないがスタック上の呪文を手札に戻す効果(造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savantなど)も存在し、これもバウンスと呼ばれる。これは打ち消すこととは異なるため、打ち消されない呪文にも(時間稼ぎではあるが)対応できるのが強み。
バウンスを要求するカード
ペナルティやコストとして他のパーマネントのバウンスが要求されることもある(バウンスランド、開門、神河ブロックのムーンフォークなど)。基本的にはテンポ・アドバンテージを損するデメリットであるが、ETB能力の再利用、手札の水増しなどに利用できることもある。
バウンスを主軸にしたデッキ
クリーチャー — スピリット(Spirit)
飛行
(T),あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャー2体をタップする:パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
環境によっては、バウンスを繰り返して対戦相手のパーマネントをすべて手札に戻すデッキが成立してしまうこともある(→ アウェイクニング、メダリオンブルー、トレードウィンド・サバイバル、ATS、エターナルウインド)。
激動/Upheavalはそれをたった1回の解決で達成してしまうリセット呪文であり、ゾンビ激動や激動サイカトグといったデッキを成立させたキーカードとなった。
バウンスすると対戦相手の手札の枚数が増えることを利用したデッキもある(→ハウリング・オウル)。
その他
- まだ土地をプレイしていないターンに、自分がコントロールしている土地を(あらかじめマナを出してから)戻して、その土地を出すことで擬似的なマナフィルターになる。色事故が少なくないリミテッドでは、覚えておいて損はないプレイングである。
参考
- テンポ・アドバンテージ
- タイム・デストラクション
- 用語集
- ブーメラン/Boomerang - パーマネント全般を対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 分散/Disperse - 土地以外のパーマネントを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 送還/Unsummon - クリーチャーを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 再帰/Undo - 2つ以上のパーマネントを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 脱出/Evacuation - クリーチャーを全体バウンスする亜種のリスト。
- 激動/Upheaval - クリーチャー以外のパーマネントも含んで全体バウンスする亜種のリスト。
- 送還のシンボル/Symbol of Unsummoning - キャントリップまたはドローしつつバウンスする亜種のリスト。
- はね返り/Recoil - 手札破壊をしかけつつバウンスする亜種のリスト。
- 時の引き潮/Time Ebb - 手札でなく、ライブラリーの一番上に戻す亜種のリスト。
- 力の消滅/Disempower - クリーチャー以外のパーマネントをライブラリーに戻す亜種のリスト。
- 大クラゲ/Man-o'-War - ETB能力でバウンスが誘発するクリーチャー亜種のリスト。
- 造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant - 呪文を対象とし、バウンスする亜種のリスト。