続唱

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==解説==
 
==解説==
続唱を持つ[[呪文]]を[[唱える]]ことで、[[ライブラリーの一番上]]の[[カード]]を、その呪文より[[点数で見たマナ・コスト]]が低い[[土地]]以外の[[カード]]が出るまで[[追放]]し、そのカードを[[マナ・コスト]]なしで[[唱える]]ことができる能力である。
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唱えると追加で1枚[[カード]]をただで唱えられるという豪快なメカニズム。
  
追放されたカードは、[[ライブラリーの一番下]]に'''無作為の順番'''で置かれる。これは、条件を満たすカードが[[ライブラリー]]に存在しない場合、ライブラリーを好きな順番に並び替えることを防ぐためである。
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[[カード]]単体での[[効果]]は同じ効果の続唱を持たない呪文に比べて大幅に[[重い|重く]]デザインされており、[[ライブラリー]]からどの呪文が出てくるかはわからないものの、[[デッキ]][[構築]]によってある程度唱える呪文をコントロールできる。元の呪文を[[打ち消す|打ち消され]]ても追加の呪文には影響しないため、[[パーミッション]]に対する耐性がある。
  
===ルール===
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収録がすべて[[多色カード]]で[[色拘束]]が強い代わりに点数で見たマナ・コストに比して強力なカードが多い[[アラーラ再誕]]で登場したこともあって、[[スタンダード]]では[[血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf]]から[[大渦の脈動/Maelstrom Pulse]]や[[荒廃稲妻/Blightning]]が飛び出してくる[[黒赤緑ビートダウン#アラーラの断片ブロック期|ジャンド続唱]]が大暴れした。また[[マナ・コストの無いカード]]を唱えられる点を悪用し、[[エクステンデッド]]では[[超起源]]・[[死せる生]]といった[[コンボデッキ]]を誕生させた。
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*続唱をもつカードはすべて[[多色カード]]かつ3[[マナ]]以上でデザインされている[[#マナ・コストの調整]]も参照。
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*「Cascade」とは「滝」あるいは「(滝のように)繋がったもの・流れるもの」のこと。「続唱」は呪文の詠唱が連なり続いていくような様からの命名だろう。
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*ストーリー掌編「The Day a Vedalken Exploded」<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/savor-flavor/day-vedalken-exploded-2009-05-05 The Day a Vedalken Exploded](Savor of Flavor 2009年5月5日)</ref>では、「続唱」は荒れ狂うむき出しのマナの流れである[[大渦/Maelstrom]]によって、魔法が影響を受けた現象として描かれている。このことから、「続唱」は大渦の一面を表現したメカニズムの1つであることが分かる。
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*[[プレインチェイス2012]]でデッキテーマの1つとして取り上げられ([[混沌の支配/Chaos Reigns]])、単独で2つ続唱を持つ[[大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer]]が登場した。
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==ルール==
 
*続唱[[能力]]は続唱を持つ呪文を唱えたときに[[誘発]]し、その呪文が[[解決]]される前に解決される。続唱能力によって唱えられたカードも同様である。続唱を持つ呪文を[[打ち消す|打ち消し]]ても、続唱能力は打ち消されない。
 
*続唱[[能力]]は続唱を持つ呪文を唱えたときに[[誘発]]し、その呪文が[[解決]]される前に解決される。続唱能力によって唱えられたカードも同様である。続唱を持つ呪文を[[打ち消す|打ち消し]]ても、続唱能力は打ち消されない。
 
*条件を満たすカードを追放した後、それを唱えないことを選んでもよい。唱えなかった(唱えられなかった)カードは、他のカードと同様にライブラリーの一番下に置かれる。
 
*条件を満たすカードを追放した後、それを唱えないことを選んでもよい。唱えなかった(唱えられなかった)カードは、他のカードと同様にライブラリーの一番下に置かれる。
 
*能力が[[解決]]中に唱えるよう指示している({{CR|608.2f}})ため、[[優先権]]や[[カード・タイプ]]による制約([[あなた|自分]]の[[メイン・フェイズ]]で[[スタック]]が空といった)とは関係なく唱える事ができる。
 
*能力が[[解決]]中に唱えるよう指示している({{CR|608.2f}})ため、[[優先権]]や[[カード・タイプ]]による制約([[あなた|自分]]の[[メイン・フェイズ]]で[[スタック]]が空といった)とは関係なく唱える事ができる。
 
*続唱能力によって唱えられるカードは、ライブラリーではなく、追放領域から唱えられる。
 
*続唱能力によって唱えられるカードは、ライブラリーではなく、追放領域から唱えられる。
*続唱能力によって唱えられるカードの[[X]]は0である。また、そのカードの任意の[[追加コスト]]を支払ってもよく、強制の追加コストは支払わなければいけない。
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*続唱能力によって唱えられるカードの[[マナ・コスト]]に[[X]]が含まれていた場合、適正なXの選択は0のみである。また、そのカードの任意の[[追加コスト]]を支払ってもよく、強制の追加コストは支払わなければいけない。
 
*続唱能力によって唱えられたカードの続唱能力も誘発する。
 
*続唱能力によって唱えられたカードの続唱能力も誘発する。
 
*[[分割カード]]が追放された場合、点数で見たマナ・コストは分割カードすべての合計となる。いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低くても、その合計が上回っているならばどのカードとしても唱えられない。
 
*[[分割カード]]が追放された場合、点数で見たマナ・コストは分割カードすべての合計となる。いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低くても、その合計が上回っているならばどのカードとしても唱えられない。
 
**[[アモンケット]]以前の分割カードのルールでは、いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低ければ、どちらのカードでも唱えられた。
 
**[[アモンケット]]以前の分割カードのルールでは、いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低ければ、どちらのカードでも唱えられた。
*[[マナ・コストの無いカード]]は続唱能力で唱えられる(点数で見たマナ・コストは未定義値のルールにより0として扱う)。→[[超起源]][[死せる生]]
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*[[マナ・コストの無いカード]]は続唱能力で唱えられる(点数で見たマナ・コストは未定義値のルールにより0として扱う)。
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*追放されたカードは、[[ライブラリーの一番下]]に'''無作為の順番'''で置かれる。これは、条件を満たすカードが[[ライブラリー]]に存在しない場合、ライブラリーを好きな順番に並び替えることを防ぐためである。
 
*条件を満たすカードがライブラリーに存在しなかった場合、結果としてライブラリーが無作為に並べ替えられるだけだが、これは「ライブラリーを[[切り直す]]」ではない。そのため、「ライブラリーを切り直すたび」に誘発する[[誘発型能力]]([[心因検査器/Psychogenic Probe]])は誘発しない。
 
*条件を満たすカードがライブラリーに存在しなかった場合、結果としてライブラリーが無作為に並べ替えられるだけだが、これは「ライブラリーを[[切り直す]]」ではない。そのため、「ライブラリーを切り直すたび」に誘発する[[誘発型能力]]([[心因検査器/Psychogenic Probe]])は誘発しない。
 
*続唱能力の解決の後に優先権を得るのは、[[アクティブ・プレイヤー]]である({{CR|116.3b}})。
 
*続唱能力の解決の後に優先権を得るのは、[[アクティブ・プレイヤー]]である({{CR|116.3b}})。
 
==特徴==
 
追加で1枚の[[カード]]を得るという事で一種の[[キャントリップ]]系の[[能力]]と言え、[[カード・アドバンテージ]]面で貢献してくれる。[[引く|ドロー]]では無く、「唱えてもよい」であるため、[[支払う]]はずだった分の[[マナ]]は得するが、適切な[[対象]]が存在しなかったり唱えると不利になったりするなどの理由で、唱えられない(唱えるべきでない)状況になり得るというリスクも孕んでいる。唱えられなかった場合、続唱を持つ呪文は[[コスト]]が割り増し気味のため、[[テンポ]]面で損をすることになる。
 
 
デッキの構築である程度結果を制御することも可能。例えば[[パーマネント・カード]]の含有率が高ければ不発に終わるリスクを抑えることもできるし、続唱のマナ域より下のカードを[[除去]]等特定の[[効果]]を発揮するカードに偏らせれば、公開されるカードは高確率で(もしくは確実に)その効果となる。
 
 
唱えたときに[[誘発]]して[[呪文]]を追加するという意味では、[[ストーム]]、[[複製]]、[[波及]]、[[共謀]]などに類似しており、特に[[ライブラリー]]から[[公開する|公開した]]条件付のカードをタダで唱えられると言う点で波及との類似性は高い。それらにも共通して言えることだが、元の呪文を[[打ち消す|打ち消され]]ても追加の呪文には影響しないため、[[パーミッション]]に対する耐性がある。
 
 
続唱呪文は、同じ効果の続唱を持たない呪文に比べて大幅に[[重い]]。
 
これは、例えば[[現実の否定/Deny Reality]]を例に挙げると、'''最大4マナまでの呪文に[[ブーメラン/Boomerang]]を付加したもの'''と考えられるためである。'''全ての続唱呪文(の単体効果)は、最低1マナ相当で唱えることが可能'''という表現もできる。
 
もし効果そのものもそのマナ域相当であった場合、あまりに[[カードパワー]]が高くなってしまうだろう。
 
*その実例が[[血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf]]である。クリーチャーとしての性能は[[ヴァルショクの狂戦士/Vulshok Berserker]]で4マナなのに、[[色拘束]]が増えただけで[[点数で見たマナ・コスト]]は変わっていない。
 
  
 
==開発秘話==
 
==開発秘話==
 
===スピンとシャッフル===
 
===スピンとシャッフル===
[[Mark Gottlieb]]がこの[[キーワード能力]]を提案したときの名称は「'''スピン'''/''Spin''」で、「ライブラリーから最初の[[コスト]]がN(そのカードの[[点数で見たマナ・コスト]]と同値)以下の[[土地]]でない[[カード]]を見つけ、それをこの呪文の代わりに[[唱える|唱え]]てもよい。」という[[能力]]であった。要するに、スピン呪文の代わりに別の呪文を唱えられる選択肢を与える能力である。
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[[Mark Gottlieb]]がこの[[キーワード能力]]を提案したときの名称は「'''スピン'''/''Spin''」で、「ライブラリーから最初の[[コスト]]がN(そのカードの[[点数で見たマナ・コスト]]と同値)以下の[[土地]]でない[[カード]]を見つけ、それをこの呪文の代わりに[[唱える|唱え]]てもよい。」という[[能力]]であった。要するに、スピン呪文の代わりに別の呪文を唱えられる選択肢を与える能力である<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/information-cascade-2009-04-17 Information Cascade](Latest Developments 2009年4月7日)</ref>。
  
 
[[Mike Turian]]は、スピン呪文は「いらだつような決定が生じる」欠点を持つと指摘した。スピン呪文はそうでない同じコストの呪文より弱くしなくてはならないが、そうすると見つけた別の呪文を選択する方が多くなり、これでは単に効果が不確定な呪文に過ぎなくなってしまう。さらに、[[公開する|公開]]されたのが元より低いコストの呪文であったら、どちらを選択しても支払ったコストに見合った効果が得られない。これを解決するため、両方の呪文を唱えるように提案し、「この呪文の代わりに唱える」が「コストを支払わずに唱えてもよい」に変更された。
 
[[Mike Turian]]は、スピン呪文は「いらだつような決定が生じる」欠点を持つと指摘した。スピン呪文はそうでない同じコストの呪文より弱くしなくてはならないが、そうすると見つけた別の呪文を選択する方が多くなり、これでは単に効果が不確定な呪文に過ぎなくなってしまう。さらに、[[公開する|公開]]されたのが元より低いコストの呪文であったら、どちらを選択しても支払ったコストに見合った効果が得られない。これを解決するため、両方の呪文を唱えるように提案し、「この呪文の代わりに唱える」が「コストを支払わずに唱えてもよい」に変更された。
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開発の終盤で、多くのテストプレイヤーが続唱で毎回ライブラリーの[[切り直す|切り直し]]を強制されることに不満を述べたことから、「公開する」が「[[追放]]してから[[ライブラリーの一番下]]に[[戻す]]」に変更された。しかし、先述の「好きな順番に並び替えられる」ことは好まれないため、「追放したカードを無作為の順番で戻す」という少し奇怪な文章となった。基本的に追放したカードの束を切り直すことになるが、ライブラリーを切り直すよりは悪くないという考えである。
 
開発の終盤で、多くのテストプレイヤーが続唱で毎回ライブラリーの[[切り直す|切り直し]]を強制されることに不満を述べたことから、「公開する」が「[[追放]]してから[[ライブラリーの一番下]]に[[戻す]]」に変更された。しかし、先述の「好きな順番に並び替えられる」ことは好まれないため、「追放したカードを無作為の順番で戻す」という少し奇怪な文章となった。基本的に追放したカードの束を切り直すことになるが、ライブラリーを切り直すよりは悪くないという考えである。
 
(→[http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/34 Information Cascade](邦訳:[http://www.wizards-jp.com/090420_3/index.html 情報続々])参照)
 
  
 
===マナ・コストの調整===
 
===マナ・コストの調整===
公式記事[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/37 Getting to Know Cascade]では、2マナの続唱カードがなぜ作成されなかったのかを解説するために「[[Waterfall]]」という架空のカードを提示して解説している。
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公式コラムでは、2マナの続唱カードがなぜ作成されなかったのかを解説するために「[[Waterfall]]」という架空のカードを提示して解説している<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/getting-know-cascade-2009-05-08 Getting to Know Cascade](Latest Developments 2009年5月8日)</ref>。
  
 
{{カードテキスト
 
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調整の結果、続唱の[[マナ・コスト]]は3以上に定められた。[[超起源]][[デッキ]]は依然としてポテンシャルを秘めているものの、1~2マナのカードなしにデッキ構築するにはリスクが高く、問題ないとされた(結局、この種の[[コンボデッキ]]は予想以上に猛威を振るい、[[超起源/Hypergenesis]]は[[エクステンデッド]]と[[モダン]]で[[禁止カード]]となったのだが)。
 
調整の結果、続唱の[[マナ・コスト]]は3以上に定められた。[[超起源]][[デッキ]]は依然としてポテンシャルを秘めているものの、1~2マナのカードなしにデッキ構築するにはリスクが高く、問題ないとされた(結局、この種の[[コンボデッキ]]は予想以上に猛威を振るい、[[超起源/Hypergenesis]]は[[エクステンデッド]]と[[モダン]]で[[禁止カード]]となったのだが)。
  
==その他==
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==脚注==
*「Cascade」とは「滝」あるいは「(滝のように)繋がったもの・流れるもの」のこと。「続唱」は呪文の詠唱が連なり続いていくような様からの命名だろう。
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<references />
*掌編[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/stf/37 The Day a Vedalken Exploded]では、「続唱」は荒れ狂うむき出しのマナの流れである[[大渦/Maelstrom]]によって、魔法が影響を受けた現象として描かれている。このことから、「続唱」は大渦の一面を表現したメカニズムの1つであることが分かる。
+
*[[プレインチェイス2012]]でデッキテーマの1つとして取り上げられ([[混沌の支配/Chaos Reigns]])、単独で2つ続唱を持つ[[大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer]]が登場した。
+
*現在、続唱をもつカードはすべて[[多色カード]]である。
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==参考==
 
==参考==
 
*{{WHISPER検索/カードテキスト|続唱}}
 
*{{WHISPER検索/カードテキスト|続唱}}
*[http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/mm/37 Kind Acts of Randomness] / [http://archive.mtg-jp.com/reading/translated/002238/ 無作為はともだち] ([[WotC]]、文:[[Mark Rosewater]])
+
*[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/kind-acts-randomness-2009-05-04 Kind Acts of Randomness] / [https://web.archive.org/web/20121030105127/http://archive.mtg-jp.com/reading/translated/002238/ 無作為はともだち(Web Archive)] ([[Making Magic]] 2009年5月4日 文:[[Mark Rosewater]])
 
*[[キーワード能力]]
 
*[[キーワード能力]]
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]

2019年4月22日 (月) 17:35時点における版

続唱/Cascade
種別 誘発型能力
登場セット アラーラ再誕
プレインチェイス2012
統率者2016
CR CR:702.85

続唱(ぞくしょう)/Cascadeは、アラーラ再誕で初登場し、プレインチェイス2012および統率者2016で再登場したキーワード能力。この能力を持つ呪文唱えたときに誘発する誘発型能力である。


Enlisted Wurm / 徴兵されたワーム (4)(緑)(白)
クリーチャー — ワーム(Wurm)

続唱(あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放されたカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。)

5/5


Yidris, Maelstrom Wielder / 大渦を操る者、イドリス (青)(黒)(赤)(緑)
伝説のクリーチャー — オーガ(Ogre) ウィザード(Wizard)

トランプル
大渦を操る者、イドリスがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、このターン、あなたがあなたの手札から呪文を唱えるに際し、それらは続唱を得る。(あなたがその呪文を唱えたとき、コストがそれより低い土地でないカードが追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚ずつ追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放したカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。)

5/4

定義

続唱/Cascadeは、「あなたがこの呪文唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上カードを、点数で見たマナ・コストがその呪文より低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、これにより追放されたすべてのカードを、あなたのライブラリーの一番下無作為の順番で置く。」を意味する。

解説

唱えると追加で1枚カードをただで唱えられるという豪快なメカニズム。

カード単体での効果は同じ効果の続唱を持たない呪文に比べて大幅に重くデザインされており、ライブラリーからどの呪文が出てくるかはわからないものの、デッキ構築によってある程度唱える呪文をコントロールできる。元の呪文を打ち消されても追加の呪文には影響しないため、パーミッションに対する耐性がある。

収録がすべて多色カード色拘束が強い代わりに点数で見たマナ・コストに比して強力なカードが多いアラーラ再誕で登場したこともあって、スタンダードでは血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elfから大渦の脈動/Maelstrom Pulse荒廃稲妻/Blightningが飛び出してくるジャンド続唱が大暴れした。またマナ・コストの無いカードを唱えられる点を悪用し、エクステンデッドでは超起源死せる生といったコンボデッキを誕生させた。

  • 続唱をもつカードはすべて多色カードかつ3マナ以上でデザインされている#マナ・コストの調整も参照。
  • 「Cascade」とは「滝」あるいは「(滝のように)繋がったもの・流れるもの」のこと。「続唱」は呪文の詠唱が連なり続いていくような様からの命名だろう。
  • ストーリー掌編「The Day a Vedalken Exploded」[1]では、「続唱」は荒れ狂うむき出しのマナの流れである大渦/Maelstromによって、魔法が影響を受けた現象として描かれている。このことから、「続唱」は大渦の一面を表現したメカニズムの1つであることが分かる。
  • プレインチェイス2012でデッキテーマの1つとして取り上げられ(混沌の支配/Chaos Reigns)、単独で2つ続唱を持つ大渦の放浪者/Maelstrom Wandererが登場した。

ルール

  • 続唱能力は続唱を持つ呪文を唱えたときに誘発し、その呪文が解決される前に解決される。続唱能力によって唱えられたカードも同様である。続唱を持つ呪文を打ち消しても、続唱能力は打ち消されない。
  • 条件を満たすカードを追放した後、それを唱えないことを選んでもよい。唱えなかった(唱えられなかった)カードは、他のカードと同様にライブラリーの一番下に置かれる。
  • 能力が解決中に唱えるよう指示している(CR:608.2f)ため、優先権カード・タイプによる制約(自分メイン・フェイズスタックが空といった)とは関係なく唱える事ができる。
  • 続唱能力によって唱えられるカードは、ライブラリーではなく、追放領域から唱えられる。
  • 続唱能力によって唱えられるカードのマナ・コストXが含まれていた場合、適正なXの選択は0のみである。また、そのカードの任意の追加コストを支払ってもよく、強制の追加コストは支払わなければいけない。
  • 続唱能力によって唱えられたカードの続唱能力も誘発する。
  • 分割カードが追放された場合、点数で見たマナ・コストは分割カードすべての合計となる。いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低くても、その合計が上回っているならばどのカードとしても唱えられない。
    • アモンケット以前の分割カードのルールでは、いずれかのカードの点数で見たマナ・コストが続唱を持つ呪文より低ければ、どちらのカードでも唱えられた。
  • マナ・コストの無いカードは続唱能力で唱えられる(点数で見たマナ・コストは未定義値のルールにより0として扱う)。
  • 追放されたカードは、ライブラリーの一番下無作為の順番で置かれる。これは、条件を満たすカードがライブラリーに存在しない場合、ライブラリーを好きな順番に並び替えることを防ぐためである。
  • 条件を満たすカードがライブラリーに存在しなかった場合、結果としてライブラリーが無作為に並べ替えられるだけだが、これは「ライブラリーを切り直す」ではない。そのため、「ライブラリーを切り直すたび」に誘発する誘発型能力心因検査器/Psychogenic Probe)は誘発しない。
  • 続唱能力の解決の後に優先権を得るのは、アクティブ・プレイヤーである(CR:116.3b)。

開発秘話

スピンとシャッフル

Mark Gottliebがこのキーワード能力を提案したときの名称は「スピン/Spin」で、「ライブラリーから最初のコストがN(そのカードの点数で見たマナ・コストと同値)以下の土地でないカードを見つけ、それをこの呪文の代わりに唱えてもよい。」という能力であった。要するに、スピン呪文の代わりに別の呪文を唱えられる選択肢を与える能力である[2]

Mike Turianは、スピン呪文は「いらだつような決定が生じる」欠点を持つと指摘した。スピン呪文はそうでない同じコストの呪文より弱くしなくてはならないが、そうすると見つけた別の呪文を選択する方が多くなり、これでは単に効果が不確定な呪文に過ぎなくなってしまう。さらに、公開されたのが元より低いコストの呪文であったら、どちらを選択しても支払ったコストに見合った効果が得られない。これを解決するため、両方の呪文を唱えるように提案し、「この呪文の代わりに唱える」が「コストを支払わずに唱えてもよい」に変更された。

その後、すべての呪文カードがスピン持ちで同じ点数で見たマナ・コストの場合、スピン呪文を1回唱えるだけで、すべてのスピン呪文が唱えられてしまう問題が発生したため、スピン能力の連発を防ぐため、誘発条件が「手札から唱えられたとき」に変更された。だが、スピン能力の連発は問題ではないと多くの主張があったことから、唱えられるカードの条件が「この呪文の点数で見たマナ・コストより低い土地でないカード」に変更され、「手札から唱えられたとき」の誘発条件は削除された。

開発の終盤で、多くのテストプレイヤーが続唱で毎回ライブラリーの切り直しを強制されることに不満を述べたことから、「公開する」が「追放してからライブラリーの一番下戻す」に変更された。しかし、先述の「好きな順番に並び替えられる」ことは好まれないため、「追放したカードを無作為の順番で戻す」という少し奇怪な文章となった。基本的に追放したカードの束を切り直すことになるが、ライブラリーを切り直すよりは悪くないという考えである。

マナ・コストの調整

公式コラムでは、2マナの続唱カードがなぜ作成されなかったのかを解説するために「Waterfall」という架空のカードを提示して解説している[3]


非公式/非実在カード

Waterfall (白)(青)
ソーサリー

続唱(あなたがこの呪文をプレイしたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが取り除かれるまでゲームから取り除く。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。取り除かれたカードを一番下に無作為の順番で置く。)


例えば、特定の1マナ以下のカード1種類しかデッキに採用していなかった場合には、Waterfallを唱えると必ずそのカードが唱えられることになる。続唱は無作為性・不確実性を特徴に織り込んでいるため、軽過ぎる続唱カードはデザイン意図に反することになる。

また、時のらせんマナ・コストの無い待機呪文は待機という制約が課せられているために非常に強力な効果を持たされている。しかし、Waterfallを経由すれば祖先の幻視/Ancestral Vision超起源/Hypergenesisといったカードが(白)(青)で即座に唱えることができてしまう。2マナでEurekaの効果が確実に得られるのは明らかに問題であった。

調整の結果、続唱のマナ・コストは3以上に定められた。超起源デッキは依然としてポテンシャルを秘めているものの、1~2マナのカードなしにデッキ構築するにはリスクが高く、問題ないとされた(結局、この種のコンボデッキは予想以上に猛威を振るい、超起源/Hypergenesisエクステンデッドモダン禁止カードとなったのだが)。

脚注

  1. The Day a Vedalken Exploded(Savor of Flavor 2009年5月5日)
  2. Information Cascade(Latest Developments 2009年4月7日)
  3. Getting to Know Cascade(Latest Developments 2009年5月8日)

参考

引用:総合ルール 20231117.0

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