トップダウン・デザイン

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マジックにおいては、「上」をフレイバー、「下」をシステムとして、フレイバーを起点としてそれに合う効果を考案することを'''トップダウン・デザイン'''、システム(ゲーム上の動きや役割など)を起点としてデザインし、その後でカードの能力に合うフレイバーを付加することを'''ボトムアップ・デザイン'''と言う。
 
マジックにおいては、「上」をフレイバー、「下」をシステムとして、フレイバーを起点としてそれに合う効果を考案することを'''トップダウン・デザイン'''、システム(ゲーム上の動きや役割など)を起点としてデザインし、その後でカードの能力に合うフレイバーを付加することを'''ボトムアップ・デザイン'''と言う。
  
いずれにせよ、カードはデザイン過程を経てフレイバー面・システム面の両方を兼ね備えた形となってから世に出るため、完成したカードをひと目見ただけでどちらが出発点となっているか断定できるものではない。
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いずれにせよ、カードやセットはデザイン過程を経てフレイバー面・システム面の両方を兼ね備えた形となってから世に出るため、完成したものをひと目見ただけでどちらが出発点となっているか断定できるものではない。また、セットはメカニズムではなくフレイバーを売り込む傾向にあるためどれもトップダウン・デザインに見えやすいという側面もある<ref name=>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/odds-and-ends-2024-part-1 Odds &Ends, 2024:Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0038171/ こぼれ話2024 その1]([[Making Magic]] [[2024年]]9月30日 文:[[Mark Rosewater]])</ref>。
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*例えば[[ブルームバロウ]]は擬人化動物のジャンルを中心に据えたトップダウン・デザインのセットに見えるが、実際は[[色の組み合わせ]]ごとの[[アーキタイプ]]に対し動物を割り当てたボトムアップ・デザインの側面が強い。
  
 
==トップダウン・デザインの歴史==
 
==トップダウン・デザインの歴史==
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====メカニズム====
 
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*[[忍術]]
 
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*[[罠]]、[[聖なる秘宝の探索/Quest for the Holy Relic|探索]]、[[同盟者]] - [[ゼンディカー]]はボトムアップのセットであったが、冒険世界を表すトップダウン要素「罠、地図、連中/''traps, maps, and chaps''」として<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/nuts-bolts-10-creative-elements-2018-03-26 NUTS & BOLTS #10: CREATIVE ELEMENTS]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0030457/ 基本根本:クリエイティブ要素](Making Magic -マジック開発秘話- [[2018年]]3月26日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>
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*[[罠]]、[[聖なる秘宝の探索/Quest for the Holy Relic|探索]]、[[同盟者]] - [[ゼンディカー]]はボトムアップのセットであったが、冒険世界を表すトップダウン要素「罠、地図、連中/''traps, maps, and chaps''」として<ref name="NB10">[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/nuts-bolts-10-creative-elements-2018-03-26 NUTS & BOLTS #10: CREATIVE ELEMENTS]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0030457/ 基本根本#10:クリエイティブ要素]([[Making Magic]] [[2018年]]3月26日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>
 
*[[窮地]] - 人間の絶望を表すメカニズムが必要だったため作られた。
 
*[[窮地]] - 人間の絶望を表すメカニズムが必要だったため作られた。
  
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|[[エルドレイン/Eldraine]]||アーサー王伝説、おとぎ話
 
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*[[ハダーナの登臨/Hadana's Climb]] - [[+1/+1カウンター]]<ref>[https://mtg-jp.com/reading/mm/0030146/ 他ならぬ『相克』 その2](Making Magic 2018年1月16日 文:Mark Rosewater)</ref>
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*[[不敬の行進/Profane Procession]] - [[白黒]]の[[リアニメイト]]を探索というフレイバーに関連付けたデザイン<ref>[https://mtg-jp.com/reading/mm/0030161/ 他ならぬ『相克』 その3](Making Magic [[2018年]]1月11日 文:Mark Rosewater)</ref>。
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*[[星座]]<ref>[https://mtg-jp.com/reading/mm/0008841/ きらきら星](Making Magic [[2014年]]4月28日 文:Mark Rosewater)</ref>
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|[[ラヴニカ/Ravnica]]<ref name="NB10" />||10の2色の陣営<ref name="ResSpn" />
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|[[カペナ/Capenna]]<ref name="NC1">[https://mtg-jp.com/reading/mm/0035942/ 『ニューカペナの街角』を狙え その1](Making Magic [[2022年]]4月7日 文:Mark Rosewater)</ref>||色に基づく陣営<ref name="NC1" />
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|[[カラデシュ/Kaladesh]]<ref name="ODK2">[https://mtg-jp.com/reading/mm/0017839/ こぼれ話:『カラデシュ』 その2](Making Magic [[2016年]]10月17日)</ref>||[[アーティファクト]]<ref name="ODK2" />
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|[[時のらせん]]<ref name="ResSpn" />||時間・郷愁<ref name="ResSpn" />
 
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==参考==
 
==参考==
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*[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/even-more-words-rd-2022-01-10 Even More Words with R&D]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0035710/ 開発部語辞典2022]([[Making Magic]] 2022年1月10日 文:Mark Rosewater)
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*[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/top-down-and-goal-2003-06-09 Top Down and Goal](2003年6月9日 文:Mark Rosewater)
 
*[[用語集]]
 
*[[用語集]]

2024年12月1日 (日) 20:33時点における最新版

トップダウン・デザイン/Top down designとは、開発部カードセットを作成する際、フレイバー面(モチーフの特色や背景ストーリーなど)を出発点としてデザインすること。


Screeching Bat / 金切り声のコウモリ (2)(黒)
クリーチャー — コウモリ(Bat)

飛行
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(2)(黒)(黒)を支払ってもよい。そうした場合、金切り声のコウモリを変身させる。

2/2
Stalking Vampire / 忍び寄る吸血鬼
〔黒〕 クリーチャー — 吸血鬼(Vampire)

あなたのアップキープの開始時に、あなたは(2)(黒)(黒)を支払ってもよい。そうした場合、忍び寄る吸血鬼を変身させる。

5/5


Hedron Alignment / 面晶体の連結 (2)(青)
エンチャント

呪禁
あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたの手札を公開してもよい。そうしたなら、あなたがオーナーである《面晶体の連結/Hedron Alignment》という名前のカードが追放領域とあなたの手札とあなたの墓地と戦場のいずれにもあるなら、あなたはこのゲームに勝利する。
(1)(青):占術1を行う。


目次

[編集] 解説

マジック:ザ・ギャザリングリミテッド・エディションの時代より、ダンジョンズ&ドラゴンズなどに影響を受けたファンタジー世界を描いたトレーディングカードゲームであるため、トップダウン・デザインの手法は切っても切り離せない関係にある。

こういった手法はヴォーソスを満足させるだけでなく、うまくデザインされていればプレイヤーがカードのテキストをより直感的に理解できるようになるという利点もある。

ただ単に何らかのフレイバー要素(“トップ”)を出発点にしていればいいわけではなく、それをシステム的要素を使って実現できていてこそ(“ダウン”)トップダウンと言える。例えばギトゥのジョイラ/Jhoira of the Ghitu時のらせんブロックの主要人物がカード化されたものであるが、ジョイラ/Jhoira工匠としての面でなく、ブロックのテーマ(待機)に焦点を当ててしまっている。

近年は公式サイトで掌編小説を無料で閲覧できるようになったためストーリーの人気が増しているのに加え、統率者戦の人気も相まって登場人物が伝説のクリーチャーとしてカード化される頻度が増している。また注目のストーリーカードのような手法で重要シーンを描くことも多くなっており、よりトップダウン・デザインによる“芳醇さ”が重要視されるようになっている。

  • あくまでデザインの出発点を見るものである。例えば穿孔の刃/Trepanation BladeRichard Garfieldチェーンソーとしてデザインしたものであるが、最終的にはチェーンソーではなくなっている。それでもチェーンソーのトップダウン・デザインであったことに変わりはない。
  • たとえ伝説のカードであっても、すべてがトップダウンというわけではない。バランスを取るために、ペナルティとして伝説性を付与する場合もあるからである。
  • かつてはフレイバーを意識するあまり、ルール文章が冗長になってしまっているカードも多く存在した。例えば空飛ぶ絨毯/Flying Carpet再録時に簡略化され、レジェンドのルール文章に書かれていたクリーチャー・タイプタイプ行に書かれるようになった。
    • 一方で、単純化しすぎてしまい「なぜにならないのか」などと疑問を生んでしまった羊術/Ovinizeのように、以降はよりフレイバーを意識するようになった例もある。

[編集] トップダウンとボトムアップ

「トップダウン/top-down」とは元々、上意下達(組織の上層部の命令で下層部が動く形式)という意味である。対義語は「ボトムアップ/bottom-up」。

マジックにおいては、「上」をフレイバー、「下」をシステムとして、フレイバーを起点としてそれに合う効果を考案することをトップダウン・デザイン、システム(ゲーム上の動きや役割など)を起点としてデザインし、その後でカードの能力に合うフレイバーを付加することをボトムアップ・デザインと言う。

いずれにせよ、カードやセットはデザイン過程を経てフレイバー面・システム面の両方を兼ね備えた形となってから世に出るため、完成したものをひと目見ただけでどちらが出発点となっているか断定できるものではない。また、セットはメカニズムではなくフレイバーを売り込む傾向にあるためどれもトップダウン・デザインに見えやすいという側面もある[1]

[編集] トップダウン・デザインの歴史

リミテッド・エディションだけに目を向けても、(ほとんどのカードはトップダウンかボトムアップか公表されていないとはいえ)「戦いをやめて農夫にする」剣を鍬に/Swords to Plowshares、「炎を吐いて空を飛ぶドラゴンシヴ山のドラゴン/Shivan Dragonと言った、フレイバー要素溢れるカードは数多い。

最初のエキスパンションであるアラビアンナイトは、その名のとおり『千夜一夜物語』の世界を再現することを目的としていた。続くアンティキティーでは、断片的に登場していたウルザ/Urzaを主役に据えたドミナリア/Dominariaのストーリーが本格的にスタート。翌1994年ザ・ダークでマジックの歴史上唯一イラスト主導でのデザイン、1995年ホームランドで新次元/Planeウルグローサ/Ulgrothaの登場、1997年ウェザーライトからは4年間に渡る『ウェザーライト・サーガ』という長期的なストーリー展開など、様々な手法が試された。

この時期は並行してコミックや小説も刊行されていた。ただし、小説などに手を出さない(あるいは欲しくとも国内で売っていない)ためにストーリー全体を把握できていないプレイヤーには、トップダウンすぎるカードは「何が魅力的なのかよくわからない」という評価を受けがちであった。この問題を解決する最適な手法を探して、開発部も試行錯誤を繰り返すことになる。

2004年からの神河ブロックブロックとしては初めてのトップダウンとなったが、独特すぎる世界設定への反応は賛否両論で、売り上げが振るわなかったため後に失敗談として挙げられることになる。その後、新次元のトップダウン・デザインは間が空くことになったが、2011年からのイニストラード・ブロックの成功を受けて以降は頻繁に行われるようになっている。

[編集] トップダウン・デザインの一例

[編集] カード

[編集] メカニズム

  • 忍術
  • 探索同盟者 - ゼンディカーはボトムアップのセットであったが、冒険世界を表すトップダウン要素「罠、地図、連中/traps, maps, and chaps」として[2]
  • 窮地 - 人間の絶望を表すメカニズムが必要だったため作られた。

[編集] 次元

次元名 題材
ラバイア/Rabiah 千夜一夜物語
ウルグローサ/Ulgrotha センギア/Sengirなどのマジック用語
神河/Kamigawa 古代日本
イニストラード/Innistrad ゴシック・ホラー
テーロス/Theros ギリシャ神話
アモンケット/Amonkhet 古代エジプト、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas
イクサラン/Ixalan 大航海時代、恐竜
エルドレイン/Eldraine アーサー王伝説、おとぎ話

[編集] ボトムアップ・デザインの一例

[編集] カード

[編集] メカニズム

[編集] 次元・セット

次元・セット名 題材
ゼンディカー/Zendikar[2] 土地のメカニズム[6]
ラヴニカ/Ravnica[2] 10の2色の陣営[6]
カペナ/Capenna[7] 色に基づく陣営[7]
カラデシュ/Kaladesh[8] アーティファクト[8]
時のらせん[6] 時間・郷愁[6]
  • 既に述べたように、トップダウン・デザインであるか否かはあくまで制作の起点にすぎない。ボトムアップ的に作成されたカードや次元であっても、最終的には芳醇なフレイバー要素を備えることになり、その完成度からフレイバー面でも人気を得ることも少なくない。そしてそうして得たフレイバー要素から、さらなるトップダウン・デザインが行われることがある。

[編集] 脚注

  1. Odds &Ends, 2024:Part 1/こぼれ話2024 その1(Making Magic 2024年9月30日 文:Mark Rosewater)
  2. 2.0 2.1 2.2 NUTS & BOLTS #10: CREATIVE ELEMENTS/基本根本#10:クリエイティブ要素Making Magic 2018年3月26日 Mark Rosewater著)
  3. 他ならぬ『相克』 その2(Making Magic 2018年1月16日 文:Mark Rosewater)
  4. 他ならぬ『相克』 その3(Making Magic 2018年1月11日 文:Mark Rosewater)
  5. きらきら星(Making Magic 2014年4月28日 文:Mark Rosewater)
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 Resonate Spinning(Internet Archive)/踊る芳醇さ(Making Magic 2019年3月18日 文:Mark Rosewater)
  7. 7.0 7.1 『ニューカペナの街角』を狙え その1(Making Magic 2022年4月7日 文:Mark Rosewater)
  8. 8.0 8.1 こぼれ話:『カラデシュ』 その2(Making Magic 2016年10月17日)

[編集] 参考

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