ストーム
提供:MTG Wiki
(28人の利用者による、間の45版が非表示) | |||
1行: | 1行: | ||
− | {{Otheruses|キーワード能力|デッキ|ストーム (デッキ)}} | + | {{Otheruses|[[キーワード能力]]|[[デッキ]]|ストーム (デッキ)|メカニズムの[[再録]]可能性を示す用語|ストーム値}} |
{{情報ボックス/キーワード能力 | {{情報ボックス/キーワード能力 | ||
|名前=ストーム | |名前=ストーム | ||
|英名=Storm | |英名=Storm | ||
|種別=[[誘発型能力]] | |種別=[[誘発型能力]] | ||
− | |登場セット=[[スカージ]]<br | + | |登場セット=[[スカージ]]<br>[[時のらせん]]<br>[[未来予知]]<br>[[統率者 (カードセット)|統率者]]<br>[[モダンホライゾン]]<br>[[統率者2021]]<br>[[モダンホライゾン2]]<br>[[ドクター・フー統率者デッキ]]<br>[[指輪物語:中つ国の伝承統率者デッキ]]<br>[[Fallout統率者デッキ]]<br>[[サンダー・ジャンクションの無法者統率者デッキ]]<br>[[モダンホライゾン3]]<br>[[ブルームバロウ]] |
|リーガル=legal | |リーガル=legal | ||
− | |||
}} | }} | ||
− | |||
− | {{#card: | + | '''ストーム'''/''Storm''は、[[スカージ]]で初登場した[[キーワード能力]]。この[[能力]]を持つ[[呪文]]を[[唱える|唱えた]]ときに[[誘発]]する[[誘発型能力]]である。 |
+ | |||
+ | {{#card:Tendrils of Agony}} | ||
==定義== | ==定義== | ||
− | '''ストーム'''/''Storm'' | + | '''ストーム'''/''Storm''は、「[[あなた]]がこの[[呪文]]を[[唱えた]]とき、この[[ターン]]にこの呪文より前に唱えられた呪文1つにつき1回、これを[[コピー]]する。この呪文が[[対象]]を取るなら、あなたは任意のコピーの新しい対象を選んでもよい。」を意味する。 |
==解説== | ==解説== | ||
ストームを持つ呪文が唱えられたとき、そのターンに、ストーム呪文より前に唱えられた呪文の数のコピーを生成する能力である。 | ストームを持つ呪文が唱えられたとき、そのターンに、ストーム呪文より前に唱えられた呪文の数のコピーを生成する能力である。 | ||
+ | |||
+ | スカージでは全[[色]]に存在する。[[時のらせん]]では[[赤]]の[[メカニズム]]として扱われた。モダンホライゾン2では[[リミテッド]]での[[赤緑]]のテーマとして取り上げられた。 | ||
+ | |||
+ | 他の呪文にストームを与えるカードとして[[弾ける呪文飛ばし/Crackling Spellslinger]]、[[轟く機知、ラル/Ral, Crackling Wit]]が存在する。 | ||
===ルール=== | ===ルール=== | ||
− | * | + | *呪文をコピーしスタックに置くことは「唱える」ことではない。ストームによりスタックに置かれた呪文のコピーは唱えられていないので、後にストームが誘発したときには唱えられた呪文の数としてカウントされない。 |
− | *ストームを持つ呪文が[[打ち消す|打ち消された]] | + | **[[等時の王笏/Isochron Scepter]]のように、カードのコピーを唱える能力との違いに注意。この場合は「唱える」ため、唱えられた呪文の数に考慮される。 |
− | + | *処理の順番としては、ストームを持つ呪文がスタックに乗る→コピーを作る能力が誘発し、スタックに乗る→誘発型能力が解決される→コピーが(複数)スタックに乗る→コピーが順次解決される→最後に本体の呪文が解決される、というものになる。 | |
− | * | + | **ストームを持つ呪文が[[打ち消す|打ち消された]]としても、誘発型能力は呪文を唱えた時点でスタックに乗っているので、それが解決された時点で[[最後の情報]]を参照してコピーが作られる。 |
+ | **[[もみ消し/Stifle]]などで誘発型能力を打ち消してしまえば、コピーの生成は根こそぎ阻止できる。ただし当然ながら、元の呪文には何も影響しないため、元の呪文はそのまま解決される。 | ||
*コピーの対象を選び直さないことにしてもよい(その場合、コピー元と同じ対象を取る)。また、複数のコピーが同じ対象を取ってもよい。 | *コピーの対象を選び直さないことにしてもよい(その場合、コピー元と同じ対象を取る)。また、複数のコピーが同じ対象を取ってもよい。 | ||
*カウントされるのはストームを持つ呪文よりも前に唱えられた呪文だけである。ストームが誘発した後、[[解決]]されるまでに他の呪文が唱えられたとしても、それはカウントされない。 | *カウントされるのはストームを持つ呪文よりも前に唱えられた呪文だけである。ストームが誘発した後、[[解決]]されるまでに他の呪文が唱えられたとしても、それはカウントされない。 | ||
+ | *カウントされる呪文の[[コントローラー]]は問わない。[[対戦相手]]の唱えた呪文もカウントされる。 | ||
+ | |||
+ | ===活躍=== | ||
+ | この能力が登場したことで、ただ[[マナ加速]]してみたり[[軽い]][[アーティファクト]]を並べてみたり[[戦場]]に何度も出入りさせてみたりといった「無駄な行為」が強烈な意味を持つようになった。また、それらをぐるぐる回す事は、俗に「'''ストームを稼ぐ'''」と呼ばれる。大量の複製がスタックに乗るため通常の[[打ち消す|カウンター]]では対処が難しく、[[精神壊しの罠/Mindbreak Trap]]や[[狼狽の嵐/Flusterstorm]]、[[対抗変転/Counterflux]]、[[時間停止/Time Stop]]などかなり尖ったカードでしか完全には止められない。 | ||
+ | |||
+ | このような対処のしづらさと、十分にストームが溜まった時の致命的な威力、コンボデッキの前準備としての[[軽い]][[マナ加速]]との噛み合いから、ストーム呪文が使える全ての環境でストーム呪文を[[エンドカード]]としたデッキが活躍している →[[ストーム (デッキ)]]。 | ||
+ | |||
+ | *もっとも有名な[[カード]]は[[精神の願望/Mind's Desire]]であり、[[オンスロート・ブロック]]当時の[[スタンダード]]や[[エクステンデッド]]で大活躍した。そのまま[[デッキ]]名にすらなっている(→[[デザイア]])。 | ||
+ | *[[ヴィンテージ]]([[タイプ1]])では、[[パワー9]]をはじめとする強力な軽い呪文が多いため、その効果を最大限に発揮できる。上記の精神の願望は[[トーナメント]]で使用可能となると同時に[[制限カード]]に指定された(これは史上最速の制限記録である)ものの、[[苦悶の触手/Tendrils of Agony]]を[[エンドカード]]に据えた[[ロング・デック]]やその後継デッキが[[環境]]をズタズタにし、多数の制限カードを生んだ。 | ||
+ | *[[レガシー]]にもヴィンテージほどではないが軽量優良呪文が多数存在するため、苦悶の触手をゴールにしたデッキが一時期の環境を支配してしまった。前述のストーム対策カードの登場や、[[神秘の教示者/Mystical Tutor]]の禁止指定などで支配率は大幅に抑えられたものの、常に油断ならないデッキタイプの一つである。 | ||
+ | *[[モダン]]においては[[青赤昇天]]と組み合わせたタイプがフォーマット創設期より存在している。[[プロツアーフィラデルフィア11]]で猛威を振るうも、[[炎の儀式/Rite of Flame]]や[[思案/Ponder]]、[[定業/Preordain]]を禁止指定されて大幅に弱体化した。その後も度々上位に顔を出すものの、その度に[[煮えたぎる歌/Seething Song]]や[[ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe]]といったパーツを禁止されている。 | ||
+ | *[[時のらせんブロック]]で再登場した際の[[スタンダード]]でも、[[ドラゴンストーム]]や[[ゴブリンストーム]]などが活躍した。 | ||
+ | *[[コモン]]限定[[構築]]である[[パウパー]]でも[[ぶどう弾/Grapeshot]]や[[巣穴からの総出/Empty the Warrens]]を軸にした[[ストーム (デッキ)#パウパー|青黒赤ストーム]]や、[[時間の亀裂/Temporal Fissure]]を軸にした[[テンポラル・ストーム]]、[[騒鳴の嵐/Chatterstorm]]を軸にした[[リスストーム]]などが一定の地位を占め、ぶどう弾や巣穴からの総出、時間の亀裂や騒鳴の嵐の禁止を招いた。 | ||
+ | *2021年に疑似ストームを持つ[[自身の誇示/Show of Confidence]]が登場し久々にスタンダードへ顔を出す。[[黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon]]との併用により[[ジェスカイ・ストーム]]で活躍した。 | ||
===その他=== | ===その他=== | ||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
*[[未来予知]]では、「唱えた呪文の数」の代わりに「[[墓地]]に置かれた[[パーマネント]]の数」を参照するキーワード能力の[[墓地ストーム]]が登場した。 | *[[未来予知]]では、「唱えた呪文の数」の代わりに「[[墓地]]に置かれた[[パーマネント]]の数」を参照するキーワード能力の[[墓地ストーム]]が登場した。 | ||
+ | *[[対戦相手]]の呪文の数も数えられることを忘れがちなので、呪文のカウントには[[マーカー]]を使ったり紙に記録するとよい。 | ||
+ | *[[あなた]]を対象とする場合限定であるため完全な対策にはならないが、[[金粉の光/Gilded Light]]を使って[[被覆]]によりまとめて[[不正な対象]]にしてしまうケースも見られる(→[[立ち消え]])。 | ||
+ | *対策カウンターを使う場合、時間停止のように呪文も能力もまとめて追放してしまうもの以外は、誘発型能力が解決してから唱えること。そうでなければ通常のカウンター同様、誘発型能力だけが残ってコピーが生成されてしまう。 | ||
+ | *各環境でのやらかしっぷりに[[壊れ]]た性能から、[[本流のセット]]での再登場がほぼ有り得ないメカニズムの代表格として挙げられており、'''[[ストーム値]]'''(''The Storm Scale'')の名前の由来にもなっている。一方で[[サプリメント・セット]]ではたびたび登場している。 | ||
==参考== | ==参考== | ||
43行: | 59行: | ||
{{#cr:{{キーワード能力のCR番号|ストーム}}}} | {{#cr:{{キーワード能力のCR番号|ストーム}}}} | ||
[[Category:キーワード能力|すとおむ]] | [[Category:キーワード能力|すとおむ]] | ||
− |
2024年7月20日 (土) 20:14時点における最新版
ストーム/Storm | |
---|---|
種別 | 誘発型能力 |
登場セット | スカージ 時のらせん 未来予知 統率者 モダンホライゾン 統率者2021 モダンホライゾン2 ドクター・フー統率者デッキ 指輪物語:中つ国の伝承統率者デッキ Fallout統率者デッキ サンダー・ジャンクションの無法者統率者デッキ モダンホライゾン3 ブルームバロウ |
CR | CR:702.40 |
ストーム/Stormは、スカージで初登場したキーワード能力。この能力を持つ呪文を唱えたときに誘発する誘発型能力である。
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
目次 |
[編集] 定義
ストーム/Stormは、「あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこの呪文より前に唱えられた呪文1つにつき1回、これをコピーする。この呪文が対象を取るなら、あなたは任意のコピーの新しい対象を選んでもよい。」を意味する。
[編集] 解説
ストームを持つ呪文が唱えられたとき、そのターンに、ストーム呪文より前に唱えられた呪文の数のコピーを生成する能力である。
スカージでは全色に存在する。時のらせんでは赤のメカニズムとして扱われた。モダンホライゾン2ではリミテッドでの赤緑のテーマとして取り上げられた。
他の呪文にストームを与えるカードとして弾ける呪文飛ばし/Crackling Spellslinger、轟く機知、ラル/Ral, Crackling Witが存在する。
[編集] ルール
- 呪文をコピーしスタックに置くことは「唱える」ことではない。ストームによりスタックに置かれた呪文のコピーは唱えられていないので、後にストームが誘発したときには唱えられた呪文の数としてカウントされない。
- 等時の王笏/Isochron Scepterのように、カードのコピーを唱える能力との違いに注意。この場合は「唱える」ため、唱えられた呪文の数に考慮される。
- 処理の順番としては、ストームを持つ呪文がスタックに乗る→コピーを作る能力が誘発し、スタックに乗る→誘発型能力が解決される→コピーが(複数)スタックに乗る→コピーが順次解決される→最後に本体の呪文が解決される、というものになる。
- ストームを持つ呪文が打ち消されたとしても、誘発型能力は呪文を唱えた時点でスタックに乗っているので、それが解決された時点で最後の情報を参照してコピーが作られる。
- もみ消し/Stifleなどで誘発型能力を打ち消してしまえば、コピーの生成は根こそぎ阻止できる。ただし当然ながら、元の呪文には何も影響しないため、元の呪文はそのまま解決される。
- コピーの対象を選び直さないことにしてもよい(その場合、コピー元と同じ対象を取る)。また、複数のコピーが同じ対象を取ってもよい。
- カウントされるのはストームを持つ呪文よりも前に唱えられた呪文だけである。ストームが誘発した後、解決されるまでに他の呪文が唱えられたとしても、それはカウントされない。
- カウントされる呪文のコントローラーは問わない。対戦相手の唱えた呪文もカウントされる。
[編集] 活躍
この能力が登場したことで、ただマナ加速してみたり軽いアーティファクトを並べてみたり戦場に何度も出入りさせてみたりといった「無駄な行為」が強烈な意味を持つようになった。また、それらをぐるぐる回す事は、俗に「ストームを稼ぐ」と呼ばれる。大量の複製がスタックに乗るため通常のカウンターでは対処が難しく、精神壊しの罠/Mindbreak Trapや狼狽の嵐/Flusterstorm、対抗変転/Counterflux、時間停止/Time Stopなどかなり尖ったカードでしか完全には止められない。
このような対処のしづらさと、十分にストームが溜まった時の致命的な威力、コンボデッキの前準備としての軽いマナ加速との噛み合いから、ストーム呪文が使える全ての環境でストーム呪文をエンドカードとしたデッキが活躍している →ストーム (デッキ)。
- もっとも有名なカードは精神の願望/Mind's Desireであり、オンスロート・ブロック当時のスタンダードやエクステンデッドで大活躍した。そのままデッキ名にすらなっている(→デザイア)。
- ヴィンテージ(タイプ1)では、パワー9をはじめとする強力な軽い呪文が多いため、その効果を最大限に発揮できる。上記の精神の願望はトーナメントで使用可能となると同時に制限カードに指定された(これは史上最速の制限記録である)ものの、苦悶の触手/Tendrils of Agonyをエンドカードに据えたロング・デックやその後継デッキが環境をズタズタにし、多数の制限カードを生んだ。
- レガシーにもヴィンテージほどではないが軽量優良呪文が多数存在するため、苦悶の触手をゴールにしたデッキが一時期の環境を支配してしまった。前述のストーム対策カードの登場や、神秘の教示者/Mystical Tutorの禁止指定などで支配率は大幅に抑えられたものの、常に油断ならないデッキタイプの一つである。
- モダンにおいては青赤昇天と組み合わせたタイプがフォーマット創設期より存在している。プロツアーフィラデルフィア11で猛威を振るうも、炎の儀式/Rite of Flameや思案/Ponder、定業/Preordainを禁止指定されて大幅に弱体化した。その後も度々上位に顔を出すものの、その度に煮えたぎる歌/Seething Songやギタクシア派の調査/Gitaxian Probeといったパーツを禁止されている。
- 時のらせんブロックで再登場した際のスタンダードでも、ドラゴンストームやゴブリンストームなどが活躍した。
- コモン限定構築であるパウパーでもぶどう弾/Grapeshotや巣穴からの総出/Empty the Warrensを軸にした青黒赤ストームや、時間の亀裂/Temporal Fissureを軸にしたテンポラル・ストーム、騒鳴の嵐/Chatterstormを軸にしたリスストームなどが一定の地位を占め、ぶどう弾や巣穴からの総出、時間の亀裂や騒鳴の嵐の禁止を招いた。
- 2021年に疑似ストームを持つ自身の誇示/Show of Confidenceが登場し久々にスタンダードへ顔を出す。黄金架のドラゴン/Goldspan Dragonとの併用によりジェスカイ・ストームで活躍した。
[編集] その他
- 未来予知では、「唱えた呪文の数」の代わりに「墓地に置かれたパーマネントの数」を参照するキーワード能力の墓地ストームが登場した。
- 対戦相手の呪文の数も数えられることを忘れがちなので、呪文のカウントにはマーカーを使ったり紙に記録するとよい。
- あなたを対象とする場合限定であるため完全な対策にはならないが、金粉の光/Gilded Lightを使って被覆によりまとめて不正な対象にしてしまうケースも見られる(→立ち消え)。
- 対策カウンターを使う場合、時間停止のように呪文も能力もまとめて追放してしまうもの以外は、誘発型能力が解決してから唱えること。そうでなければ通常のカウンター同様、誘発型能力だけが残ってコピーが生成されてしまう。
- 各環境でのやらかしっぷりに壊れた性能から、本流のセットでの再登場がほぼ有り得ないメカニズムの代表格として挙げられており、ストーム値(The Storm Scale)の名前の由来にもなっている。一方でサプリメント・セットではたびたび登場している。