アン・ゲーム
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+ | |カード名=Urza, Academy Headmaster / アカデミーの頭、ウルザ | ||
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+ | カードの[[枠|外枠]]が銀色であるカード(→[[#銀枠]])や、カード下部にどんぐり状のシンボルかホログラムが押されているカード({{Gatherer|id=580730|カード画像}})が存在する。アン・セットや[[ホリデーギフトカード]]を含む一部の[[プロモーション・カード]]が該当する(→[[#アン・ゲーム用セット]])。これらは通常の[[マジック]]のルールで扱えない要素を含んでいる[[カジュアルプレイ]]専用のカードであり、カジュアルプレイあるいはカジュアルなイベントかつその[[フォーマット]]が明示的に許可している限り使用することができる。つまり、'''競技イベントでは使用できない'''。いずれかのプレイヤーがこれらのカードを用いている[[ゲーム]]を'''アン・ゲーム'''/''Un-game''と呼ぶ。 | ||
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+ | アン・ゲームでは、通常のルールではおよそ考えられないような状況を楽しむことができる。[[ピンク]]や[[金 (俗称)|金]]といった[[色]]が出てきたり、[[数]]に[[1/2]]や[[パイ投げ/Just Desserts|π]]や[[無限の精霊/Infinity Elemental|∞]]が使われたり、本来ゲームに影響しないはずの[[イラスト]]や[[フレイバー・テキスト]]が参照されたりといったことは当たり前。[[トレーディングカードゲーム]]の範疇に収まっているものならまだかわいいもので、[[Granny's Payback|年齢]]、[[大テント/The Big Top|ファッション]]、[[Goblin Sleigh Ride|器用さ]]、[[Cheatyface|したたかさ]]、[[Charm School|バランス感覚]]、[[Mouth to Mouth|肺活量]]、[[サイン帳/Autograph Book|人望]]、[[旧態依然の吸血鬼/Old-Fashioned Vampire|時刻]]、[[Spirit of the Season|季節]]、変な[[Knight of the Hokey Pokey|動作]]や[[Question Elemental?|喋り方]]、[[ゲーム外の人物]]の助け、[[Rarity|おもちゃのコレクションの披露]]、[[Richard Garfield, Ph.D.|メンタルマジックの腕前]]……などなど、様々なものが参照されたり要求されたりする。ありとあらゆるユーモアが詰まった、まさに「なんでもあり」の世界である。 | ||
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+ | *アン・ゲームの世界は通常の[[マジック]]の世界である[[多元宇宙/Multiverse]]とは隔てられており、'''[[Un-iverse]]'''(アン元宇宙)と呼ばれる。 | ||
+ | *アン・ゲームならではの不思議なメカニズムが、後に[[黒枠]]世界に[[リメイク]]される例ある。例えば[[予見]]能力は[[Infernal Spawn of Evil]]の能力が基になっているし、[[未来予知]]の[[契約]][[サイクル]]は[[アンヒンジド]]の[[Rocket-Powered Turbo Slug]]が持つ超速攻が基になっている。また、[[Bronze Calendar|特殊なしゃべり方を要求するカード]]なども、後の達成カード([[プレリリース・トーナメント]]などで参加者が挑戦できるアクティビティ)に応用されている。 | ||
+ | **逆に、黒枠では持て余していた特異なメカニズムや題材が、アン・ゲームで名物となった例もある([[サブゲーム]]、[[ビーブル]]など)。 | ||
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+ | アン・ゲームのルールは、アン・ルール・マネージャーたる[[Mark Rosewater]]が総括している。彼のブログ[[Blogatog]]では数々のアン・カードの裁定が出されている。 | ||
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+ | 銀枠およびどんぐりのカードは原則的に[[総合ルール]]ではサポートされていない(できない)要素を含んでいるため、処理やゲーム進行に窮した場合は[https://mtg-jp.com/gameplay/rules 公式サイトのリリースノートやFAQ]を参照するか、Markの下した個別裁定などに従って処理を進めることになる。が、当然全ての事例には対応していないため、問題を解決できないことも多々ある。そういった場合はカジュアルプレイらしく、全プレイヤーが最も楽しめる形で解決することが望ましい。 | ||
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+ | ===アン・黄金律=== | ||
+ | なんでもありのアン・ゲームにも、[[マジックの黄金律]]ならぬ「'''アン・黄金律'''/''Un-Golden Rule''」と呼ばれる大原則ルールが存在する<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/making-space-part-2-2022-09-26 Making Space, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0036349/ 宇宙を作る その2]([[Making Magic]] [[2022年]]9月27日 [[Mark Rosewater]]著)</ref><ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/unfinity-release-notes-2022-10-07 Unfinity Release Notes](Feature [[2022年]]10月7日 [[Mark Rosewater]] and [[Jess Dunks]]著)</ref>。それは「カードの特徴([[ルール・テキスト]]、[[絵|アート]]、[[枠]]、[[エキスパンション・シンボル]]、[[透かし]]、そのほか様々な状態)を参照する場合、現在のゲームで物理的に使われているカードそのものの特徴を参照する」というものである。[[エラーカード]]や[[誤植]]であってもこの黄金律が適用される。 | ||
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+ | これにより、通常のマジックのルールでは同じものとして扱われるカードでも、アン・ゲームでは差異が出る場合がある。例えば[[レアリティ]]を参照する[[Rare-B-Gone]]は[[第7版]]の[[セラの天使/Serra Angel]]には効くが、[[基本セット2010]]のセラの天使には効かない。 | ||
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+ | ===色=== | ||
+ | 通常のマジックのルールにおける[[色]]といえば[[白]]・[[青]]・[[黒]]・[[赤]]・[[緑]]の5色のみだが、アン・ゲームではそれ以外の色も認められており、[[ピンク]]や[[金 (俗称)|金]]、[[Avatar of Me|目の色]]などが登場している。[[マナのタイプ]]についても同様で、例えば[[大テント/The Big Top]]でターコイズ色のマナを生み出してもよい。 | ||
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+ | ==銀枠== | ||
+ | かつてアン・ゲーム用セットのカードはすべて銀色の[[枠|カード枠]]で印刷されており({{Gatherer|id=9764|カード画像}})、これによりそのカードが競技イベントでは使用できないことを表していた。これを'''銀枠'''/''Silver Border''と呼び、銀枠カードを用いたゲームは「'''銀枠ゲーム'''/''Silver-bordered game''」などと呼称された。[[Ass Whuppin']]など、銀枠カードを参照する効果も存在する。 | ||
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+ | [[Unfinity]]から銀枠は廃止され、[[黒枠]]で印刷されるようになった。代わりに、偽造防止ホログラムの位置にどんぐり状のシンボル([[アンコモン]]以下)またはどんぐり状のホログラム([[レア]]以上)が押されるようになった({{Gatherer|id=580730|カード画像}})。また、「銀枠ゲーム」は「'''アン・ゲーム'''/''Un-game''」と呼称されるようになった。これに伴う[[オラクル]]更新により、銀枠ゲームに言及した効果は「アン・ゲーム」に、銀枠カードを参照する効果は「銀枠かどんぐり」を参照するように改められた<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/unfinity-update-bulletin-2022-10-18 Unfinity Update Bulletin]/[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036416/ 『Unfinity』更新速報(総合ルール更新、オラクル更新)](News [[2022年]]10月18日 [[Jess Dunks]]著)</ref>。ただし、実際の枠の色を参照するカード([[枠の守護者/Border Guardian]]など)は変更を受けていない。 | ||
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+ | *銀枠廃止の経緯は次の通り。[[Mark Rosewater]]は銀枠セットとして開発が進められていたUnfinityを手掛けていた際、黒枠ルールでも機能するカードが多数存在することに気づき、それらが「収録セットが銀枠セットだから」という理由で使えなくしてしまうことに疑問を抱いた。そこで、すべて黒枠で印刷し、黒枠で扱えないカードにどんぐりシンボルを付けて区別する方法を発案した<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/unfinity-and-beyond-2021-11-29 To Unfinity and Beyond]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0035639/ 『Unfinity』とその向こう]([[Making Magic]] [[2021年]]11月29日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。 | ||
+ | **Unfinity以前にも黒枠然とした銀枠カードが存在するが(例:[[対象のミノタウルス/Target Minotaur]])、それらへの[[エラッタ]]等は出されておらず、依然としてトーナメントでは使用できない。 | ||
+ | *[[基本土地]]と[[蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss]]のように、[[黒枠]]セットが初出だが後に銀枠のアン・セットに収録されているカードは、アン・セット版も黒枠(あるいは銀枠でない特別なデザイン)で印刷されている。 | ||
+ | *[[新枠]]では[[アーティファクト]]の枠色が銀色であるが、それとは無関係である。 | ||
+ | *[[金枠]]のカードがすべて「真正カードの[[裏面]]と異なる」という理由で使用できないのに対し、銀枠は[[マジック・イベント規定]]で「銀枠を持つカードが特定のカジュアルイベントのみ使用できる」と定義されているために(競技イベントでは)使用できない。 | ||
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+ | ==アン・ゲーム用セット== | ||
+ | アン・ゲーム用の独立したセットはセット名が「Un-」の接頭辞で始まる単語で統一されており、まとめて'''アン・セット'''/''Un-set''と呼ばれる。 | ||
+ | *[[R&D Playtest cards]]はその性質上、「準アン・セット」と呼んで差し支えないカードばかりが揃っている。[[Heroes of the Realm]]にもそのようなカードがいくつか混ざっている。 | ||
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+ | ===[[アングルード]]=== | ||
+ | [[1998年]]8月発売。初の銀枠セット。[[6面ダイス]]を使ったり、次のゲームへ効果を持ち越すカード、果ては頭の上にカードを載せたりニワトリのように鳴いたり、マジックの枠を超えた遊び方ができるジョーク・セット。一方で[[勝利条件]]カード、[[チーム戦]]を意識したカード、[[トークン・カード]]やフルアート[[基本土地]]カードなど[[黒枠]]へと引き継がれた要素も数多く初登場している。 | ||
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+ | [[2004年]]11月19日発売。アン・セット第2弾。銀枠。アーティストを参照したり、分数を使うカードが多いことが特徴。 | ||
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+ | [[2017年]]9月8日~10日に開催されたHASBROのコンベンション・イベントで限定販売された。Hasbroのブランドである[[ダンジョンズ&ドラゴンズ]]、トランスフォーマー、ナーフとの[[コラボレーション]]・カード。銀枠。 | ||
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+ | [[2017年]]12月8日発売。アン・セット第3弾。銀枠。通常のマジックのセットと同様に[[ブースタードラフト]]で遊ぶことができるようバランス調整されている。新メカニズム[[拡張]]のほか、[[未来予知]]の幻のメカニズム、[[からくり]]が登場したことが話題を呼んだ。 | ||
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+ | ===[[Ponies: The Galloping]]=== | ||
+ | [[2019年]]10月22日発売。チャリティーイベント用の限定販売セット。マイリトルポニーとのコラボレーション・カード。銀枠。 | ||
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+ | ===[[Unsanctioned]]=== | ||
+ | [[2020年]]2月29日発売。アン・セット第4弾。銀枠。銀枠カードの[[再録]]も含んだ[[構築済みデッキ]]・セット。 | ||
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+ | ===[[Unfinity]]=== | ||
+ | [[2022年]]10月7日発売。アン・セット第5弾。[[アトラクション]]と[[ステッカー]]が登場。このセットから銀枠が廃止され黒枠で印刷されており、従来の銀枠に相当するカードには偽造防止ホログラムの位置にどんぐり状のマークが押されている。それ以外のカードは[[エターナル]]・[[フォーマット]]などで使用可能。 | ||
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+ | ==脚注== | ||
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+ | ==参考== | ||
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2022年11月17日 (木) 06:14時点における版
アン・ゲーム/Un-gameとは、カジュアルプレイ専用のカード・セット(→#アン・ゲーム用セット)のカードを用いたゲーム、およびそのルールのこと。
目次 |
概要
インスタント
封をされたままのマジックのブースターパックを1つ開け、それらのカードを公開し、その内の1枚をあなたの手札に加える。(次のゲームの前には、そのカードをデッキから取り除くこと。)
*
Urza, Academy Headmaster / アカデミーの頭、ウルザ (白)(青)(黒)(赤)(緑)伝説のプレインズウォーカー — ウルザ(Urza)
[+1]:AskUrza.comに行き、[+1]をクリックする。
[-1]:AskUrza.comに行き、[-1]をクリックする。
[-6]:AskUrza.comに行き、[-6]をクリックする。
カードの外枠が銀色であるカード(→#銀枠)や、カード下部にどんぐり状のシンボルかホログラムが押されているカード(カード画像)が存在する。アン・セットやホリデーギフトカードを含む一部のプロモーション・カードが該当する(→#アン・ゲーム用セット)。これらは通常のマジックのルールで扱えない要素を含んでいるカジュアルプレイ専用のカードであり、カジュアルプレイあるいはカジュアルなイベントかつそのフォーマットが明示的に許可している限り使用することができる。つまり、競技イベントでは使用できない。いずれかのプレイヤーがこれらのカードを用いているゲームをアン・ゲーム/Un-gameと呼ぶ。
アン・ゲームでは、通常のルールではおよそ考えられないような状況を楽しむことができる。ピンクや金といった色が出てきたり、数に1/2やπや∞が使われたり、本来ゲームに影響しないはずのイラストやフレイバー・テキストが参照されたりといったことは当たり前。トレーディングカードゲームの範疇に収まっているものならまだかわいいもので、年齢、ファッション、器用さ、したたかさ、バランス感覚、肺活量、人望、時刻、季節、変な動作や喋り方、ゲーム外の人物の助け、おもちゃのコレクションの披露、メンタルマジックの腕前……などなど、様々なものが参照されたり要求されたりする。ありとあらゆるユーモアが詰まった、まさに「なんでもあり」の世界である。
- アン・ゲームの世界は通常のマジックの世界である多元宇宙/Multiverseとは隔てられており、Un-iverse(アン元宇宙)と呼ばれる。
- アン・ゲームならではの不思議なメカニズムが、後に黒枠世界にリメイクされる例ある。例えば予見能力はInfernal Spawn of Evilの能力が基になっているし、未来予知の契約サイクルはアンヒンジドのRocket-Powered Turbo Slugが持つ超速攻が基になっている。また、特殊なしゃべり方を要求するカードなども、後の達成カード(プレリリース・トーナメントなどで参加者が挑戦できるアクティビティ)に応用されている。
ルール
アン・ゲームのルールは、アン・ルール・マネージャーたるMark Rosewaterが総括している。彼のブログBlogatogでは数々のアン・カードの裁定が出されている。
銀枠およびどんぐりのカードは原則的に総合ルールではサポートされていない(できない)要素を含んでいるため、処理やゲーム進行に窮した場合は公式サイトのリリースノートやFAQを参照するか、Markの下した個別裁定などに従って処理を進めることになる。が、当然全ての事例には対応していないため、問題を解決できないことも多々ある。そういった場合はカジュアルプレイらしく、全プレイヤーが最も楽しめる形で解決することが望ましい。
アン・黄金律
なんでもありのアン・ゲームにも、マジックの黄金律ならぬ「アン・黄金律/Un-Golden Rule」と呼ばれる大原則ルールが存在する[1][2]。それは「カードの特徴(ルール・テキスト、アート、枠、エキスパンション・シンボル、透かし、そのほか様々な状態)を参照する場合、現在のゲームで物理的に使われているカードそのものの特徴を参照する」というものである。エラーカードや誤植であってもこの黄金律が適用される。
これにより、通常のマジックのルールでは同じものとして扱われるカードでも、アン・ゲームでは差異が出る場合がある。例えばレアリティを参照するRare-B-Goneは第7版のセラの天使/Serra Angelには効くが、基本セット2010のセラの天使には効かない。
色
通常のマジックのルールにおける色といえば白・青・黒・赤・緑の5色のみだが、アン・ゲームではそれ以外の色も認められており、ピンクや金、目の色などが登場している。マナのタイプについても同様で、例えば大テント/The Big Topでターコイズ色のマナを生み出してもよい。
銀枠
かつてアン・ゲーム用セットのカードはすべて銀色のカード枠で印刷されており(カード画像)、これによりそのカードが競技イベントでは使用できないことを表していた。これを銀枠/Silver Borderと呼び、銀枠カードを用いたゲームは「銀枠ゲーム/Silver-bordered game」などと呼称された。Ass Whuppin'など、銀枠カードを参照する効果も存在する。
Unfinityから銀枠は廃止され、黒枠で印刷されるようになった。代わりに、偽造防止ホログラムの位置にどんぐり状のシンボル(アンコモン以下)またはどんぐり状のホログラム(レア以上)が押されるようになった(カード画像)。また、「銀枠ゲーム」は「アン・ゲーム/Un-game」と呼称されるようになった。これに伴うオラクル更新により、銀枠ゲームに言及した効果は「アン・ゲーム」に、銀枠カードを参照する効果は「銀枠かどんぐり」を参照するように改められた[3]。ただし、実際の枠の色を参照するカード(枠の守護者/Border Guardianなど)は変更を受けていない。
- 銀枠廃止の経緯は次の通り。Mark Rosewaterは銀枠セットとして開発が進められていたUnfinityを手掛けていた際、黒枠ルールでも機能するカードが多数存在することに気づき、それらが「収録セットが銀枠セットだから」という理由で使えなくしてしまうことに疑問を抱いた。そこで、すべて黒枠で印刷し、黒枠で扱えないカードにどんぐりシンボルを付けて区別する方法を発案した[4]。
- Unfinity以前にも黒枠然とした銀枠カードが存在するが(例:対象のミノタウルス/Target Minotaur)、それらへのエラッタ等は出されておらず、依然としてトーナメントでは使用できない。
- 基本土地と蒸気打ちの親分/Steamflogger Bossのように、黒枠セットが初出だが後に銀枠のアン・セットに収録されているカードは、アン・セット版も黒枠(あるいは銀枠でない特別なデザイン)で印刷されている。
- 新枠ではアーティファクトの枠色が銀色であるが、それとは無関係である。
- 金枠のカードがすべて「真正カードの裏面と異なる」という理由で使用できないのに対し、銀枠はマジック・イベント規定で「銀枠を持つカードが特定のカジュアルイベントのみ使用できる」と定義されているために(競技イベントでは)使用できない。
アン・ゲーム用セット
アン・ゲーム用の独立したセットはセット名が「Un-」の接頭辞で始まる単語で統一されており、まとめてアン・セット/Un-setと呼ばれる。
- R&D Playtest cardsはその性質上、「準アン・セット」と呼んで差し支えないカードばかりが揃っている。Heroes of the Realmにもそのようなカードがいくつか混ざっている。
アングルード
1998年8月発売。初の銀枠セット。6面ダイスを使ったり、次のゲームへ効果を持ち越すカード、果ては頭の上にカードを載せたりニワトリのように鳴いたり、マジックの枠を超えた遊び方ができるジョーク・セット。一方で勝利条件カード、チーム戦を意識したカード、トークン・カードやフルアート基本土地カードなど黒枠へと引き継がれた要素も数多く初登場している。
アンヒンジド
2004年11月19日発売。アン・セット第2弾。銀枠。アーティストを参照したり、分数を使うカードが多いことが特徴。
ホリデーギフトカード
2006年から始まった、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストが毎年年末に従業員やビジネス・パートナーなどに配布するプロモーション・カード。銀枠。
HASCON・プロモーション・カード
2017年9月8日~10日に開催されたHASBROのコンベンション・イベントで限定販売された。Hasbroのブランドであるダンジョンズ&ドラゴンズ、トランスフォーマー、ナーフとのコラボレーション・カード。銀枠。
Unstable
2017年12月8日発売。アン・セット第3弾。銀枠。通常のマジックのセットと同様にブースタードラフトで遊ぶことができるようバランス調整されている。新メカニズム拡張のほか、未来予知の幻のメカニズム、からくりが登場したことが話題を呼んだ。
Ponies: The Galloping
2019年10月22日発売。チャリティーイベント用の限定販売セット。マイリトルポニーとのコラボレーション・カード。銀枠。
Unsanctioned
2020年2月29日発売。アン・セット第4弾。銀枠。銀枠カードの再録も含んだ構築済みデッキ・セット。
Unfinity
2022年10月7日発売。アン・セット第5弾。アトラクションとステッカーが登場。このセットから銀枠が廃止され黒枠で印刷されており、従来の銀枠に相当するカードには偽造防止ホログラムの位置にどんぐり状のマークが押されている。それ以外のカードはエターナル・フォーマットなどで使用可能。
脚注
- ↑ Making Space, Part 2/宇宙を作る その2(Making Magic 2022年9月27日 Mark Rosewater著)
- ↑ Unfinity Release Notes(Feature 2022年10月7日 Mark Rosewater and Jess Dunks著)
- ↑ Unfinity Update Bulletin/『Unfinity』更新速報(総合ルール更新、オラクル更新)(News 2022年10月18日 Jess Dunks著)
- ↑ To Unfinity and Beyond/『Unfinity』とその向こう(Making Magic 2021年11月29日 Mark Rosewater著)