トップダウン・デザイン

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'''トップダウン・デザイン'''/''Top down design''とは、[[R&D]]が[[カード]]を作成する際、カードのフレイバー面(モチーフの特色や[[背景世界/ストーリー用語|背景ストーリー]]など)を重視してデザインすること。対義語は[[ボトムアップ・デザイン]]。
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'''トップダウン・デザイン'''/''Top down design''とは、[[R&D]]が[[カード]]を作成する際、カードのフレイバー面(モチーフの特色や[[背景世界/ストーリー用語|背景ストーリー]]など)を重視してデザインすること。
  
こういった手法は[[Timmy, Johnny, and Spike#ヴォーソスとメルヴィン|ヴォーソス]]を満足させるだけでなく、うまくデザインされていれば[[プレイヤー]]がカードの[[テキスト]]をより直感的に理解できるようになるという利点もある。
 
 
{{#card:Rescue from the Underworld}}
 
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{{#card:Chained to the Rocks}}
 
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==トップダウン・デザインによって作られたカードの一例==
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==解説==
*[[Rashka the Slayer]] - [[吸血鬼|ヴァンパイア]]・ハンターという設定を反映し、当時の吸血鬼の代表格たる[[センギアの吸血鬼/Sengir Vampire]]を一方的に倒せる。
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[[マジック:ザ・ギャザリング]][[アルファ版]]の時代より、[[ダンジョンズ&ドラゴンズ]]などに影響を受けたファンタジー世界を描いた[[トレーディングカードゲーム]]であるため、トップダウン・デザインの手法は切っても切り離せない関係にある。
*[[銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem]] - 生物を殺さないという[[カーン/Karn]]の信念を反映し、[[クリーチャー]]との[[戦闘]]時には[[パワー]]が0になる。
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*[[迷路の終わり/Maze's End]] - [[勝利]]条件が[[背景世界/ストーリー用語|背景ストーリー]]中の[[暗黙の迷路/The Implicit Maze]]を忠実に再現している。
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こういった手法は[[Timmy, Johnny, and Spike#ヴォーソスとメルヴィン|ヴォーソス]]を満足させるだけでなく、うまくデザインされていれば[[プレイヤー]]がカードの[[テキスト]]をより直感的に理解できるようになるという利点もある。
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近年は公式サイトで掌編小説を無料で閲覧できるようになったためストーリーの人気が増しているのに加え、[[統率者]]人気も相まって登場人物が[[伝説のクリーチャー]]としてカード化される頻度が増している。また[[注目のストーリー]]カードのような手法で重要シーンを描くことも多くなっており、よりトップダウン・デザインによる“芳醇さ”が重要視されるようになっている。
 
近年は公式サイトで掌編小説を無料で閲覧できるようになったためストーリーの人気が増しているのに加え、[[統率者]]人気も相まって登場人物が[[伝説のクリーチャー]]としてカード化される頻度が増している。また[[注目のストーリー]]カードのような手法で重要シーンを描くことも多くなっており、よりトップダウン・デザインによる“芳醇さ”が重要視されるようになっている。
  
==トップダウン・デザインによって作られたセットやブロックの歴史==
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*逆に、システム面(ゲーム上の動きや役割など)を重視してデザインすることを'''ボトムアップ・デザイン'''と言う。
[[マジック:ザ・ギャザリング]][[アルファ版]]の時代より、[[ダンジョンズ&ドラゴンズ]]などに影響を受けたファンタジー世界を描いた[[トレーディングカードゲーム]]であるため、トップダウン・デザインの手法は切っても切り離せない関係にある。
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**ただしあくまで創作手法の差であり、対立の関係にあるわけではない。トップダウン・デザインであってもゲームバランスのために修整は加えられるし、ボトムアップ・デザインであってもイラストや[[フレイバー・テキスト]]の設定でフレイバー性を与えられるため、完成したカードはどちらにせよフレイバー面・システム面の両方を兼ね備えた形となる。
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**元々はボトムアップ的に作成されたカードや[[次元/Plane]]であっても、その完成度からフレイバー面でも人気を得ることも少なくない。[[ラヴニカ/Ravnica]][[ゼンディカー/Zendikar]]がその好例だろう。
  
最初の[[エキスパンション]]である[[アラビアンナイト]]は、その名のとおり『千夜一夜物語』の世界を再現することを目的としていた。
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==トップダウン・デザインの歴史==
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[[アルファ版]]だけに目を向けても、「戦いをやめて農夫にする」[[剣を鍬に/Swords to Plowshares]]、「[[炎のブレス/Firebreathing|炎を吐いて]][[飛行|空を飛ぶ]][[ドラゴン]]」[[シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon]]と言った、フレイバー要素溢れるカードは数多い。また、[[カード名]]や[[フレイバーテキスト]]などに人名や地名と思われる単語がちりばめられており、背後に流れる壮大な物語を感じさせる作りになっている。これらをトップダウン・デザインと呼ぶかは微妙なところではあるが、当初から「フレイバーを強く含むデザイン」という概念があったということは間違いない。
  
[[1994年]]の[[ザ・ダーク]]はマジックの歴史上唯一[[絵|イラスト]]主導でデザインされており、[[1995年]]の[[ホームランド]]は新[[次元/Plane]][[ウルグローサ/Ulgrotha]]を舞台にし、背景世界や登場人物に焦点を当てている。
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最初の[[エキスパンション]]である[[アラビアンナイト]]は、その名のとおり『千夜一夜物語』の世界を再現することを目的としていた。続く[[アンティキティー]]では、断片的に登場していた[[ウルザ/Urza]]を主役に据えた[[ドミナリア/Dominaria]]のストーリーが本格的にスタート。翌[[1994年]]の[[ザ・ダーク]]でマジックの歴史上唯一[[絵|イラスト]]主導でのデザイン、[[1995年]]の[[ホームランド]]で新次元・[[ウルグローサ/Ulgrotha]]の登場、[[1997年]]の[[ウェザーライト]]からは4年間に渡る『ウェザーライト・サーガ』という長期的なストーリー展開など、様々な手法が試された。
  
[[1997年]]の[[ウェザーライト]]からは4年間に渡る『ウェザーライト・サーガ』として一層ストーリーを重要するようになり、個々のカードにもそれが反映されている。が、セット全体がトップダウンというわけではない。
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この時期は並行してコミックや小説も刊行されていた。ただし、小説などに手を出さない(あるいは欲しくとも国内で売っていない)ためにストーリー全体を把握できていないプレイヤーには、トップダウンすぎるカードは「何が面白いのかよくわからない」という評価を受けがちであった。この問題を解決する最適な手法を探して、開発部も試行錯誤を繰り返すことになる。
  
しばらくはボトムアップの時代が続いたが、[[2004年]]からの[[神河ブロック]]は[[ブロック (総称)|ブロック]]としては初めてのトップダウンとなった。しかし、独特すぎる世界設定への反応は賛否両論で、売り上げが振るわなかったため後に失敗談として挙げられることとなる。
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[[2004年]]からの[[神河ブロック]]は[[ブロック (総称)|ブロック]]としては初めてのトップダウンとなったが、独特すぎる世界設定への反応は賛否両論で、売り上げが振るわなかったため後に失敗談として挙げられることになる。その後、新次元のトップダウン・デザインは間が空くことになったが、[[2011年]]からの[[イニストラード・ブロック]]の成功を受けて以降は頻繁に行われるようになっている。
  
再び間を置き、[[2011年]]からの[[イニストラード・ブロック]]はトップダウンのブロックとして初めて成功。ユーザーに最も愛された次元のうちのひとつとなり、わずか5年後に[[イニストラードを覆う影ブロック]]として再訪されることになった。
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また並行し、[[ミラディンの傷跡ブロック]]では逆転の発想で「新しい次元を作るのではなく、既に人気がある世界や勢力を再訪する」という手法も確立した。
  
その後、[[2013年]][[テーロス・ブロック]]を経て、[[2017年]]には[[アモンケット・ブロック]]および、ブロック制としては最後となる[[イクサラン・ブロック]]と連続して新たなトップダウンの次元を発表。これらは長年ユーザーからの要望が高かった要素(ギリシャ神話風、エジプト神話風、海賊、恐竜)を扱っている。
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===トップダウン・デザインの一例===
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*[[Rashka the Slayer]] - [[吸血鬼|ヴァンパイア]]・ハンターという設定を反映し、当時の吸血鬼の代表格たる[[センギアの吸血鬼/Sengir Vampire]]を一方的に倒せる。
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*[[銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem]] - 生物を殺さないという[[カーン/Karn]]の信念を反映し、[[クリーチャー]]との[[戦闘]]時には[[パワー]]が0になる。
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*[[迷路の終わり/Maze's End]] - [[勝利]]条件が[[背景世界/ストーリー用語|背景ストーリー]]中の[[暗黙の迷路/The Implicit Maze]]を忠実に再現している。
  
 
===トップダウン・デザインによって生まれた次元===
 
===トップダウン・デザインによって生まれた次元===

2018年4月3日 (火) 07:53時点における版

トップダウン・デザイン/Top down designとは、R&Dカードを作成する際、カードのフレイバー面(モチーフの特色や背景ストーリーなど)を重視してデザインすること。


Rescue from the Underworld / 死の国からの救出 (4)(黒)
インスタント

この呪文を唱えるための追加コストとして、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。
あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。あなたの次のアップキープの開始時に、そのカードと生け贄に捧げられたカードをあなたのコントロール下で戦場に戻す。死の国からの救出を追放する。



Chained to the Rocks / 岩への繋ぎ止め (白)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(あなたがコントロールする山(Mountain))
岩への繋ぎ止めが戦場に出たとき、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。岩への繋ぎ止めが戦場を離れるまで、それを追放する。(そのクリーチャーはオーナーのコントロール下で戦場に戻る。)



Hedron Alignment / 面晶体の連結 (2)(青)
エンチャント

呪禁
あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたの手札を公開してもよい。そうしたなら、あなたがオーナーである《面晶体の連結/Hedron Alignment》という名前のカードが追放領域とあなたの手札とあなたの墓地と戦場のいずれにもあるなら、あなたはこのゲームに勝利する。
(1)(青):占術1を行う。


目次

解説

マジック:ザ・ギャザリングアルファ版の時代より、ダンジョンズ&ドラゴンズなどに影響を受けたファンタジー世界を描いたトレーディングカードゲームであるため、トップダウン・デザインの手法は切っても切り離せない関係にある。

こういった手法はヴォーソスを満足させるだけでなく、うまくデザインされていればプレイヤーがカードのテキストをより直感的に理解できるようになるという利点もある。

近年は公式サイトで掌編小説を無料で閲覧できるようになったためストーリーの人気が増しているのに加え、統率者人気も相まって登場人物が伝説のクリーチャーとしてカード化される頻度が増している。また注目のストーリーカードのような手法で重要シーンを描くことも多くなっており、よりトップダウン・デザインによる“芳醇さ”が重要視されるようになっている。

  • 逆に、システム面(ゲーム上の動きや役割など)を重視してデザインすることをボトムアップ・デザインと言う。
    • ただしあくまで創作手法の差であり、対立の関係にあるわけではない。トップダウン・デザインであってもゲームバランスのために修整は加えられるし、ボトムアップ・デザインであってもイラストやフレイバー・テキストの設定でフレイバー性を与えられるため、完成したカードはどちらにせよフレイバー面・システム面の両方を兼ね備えた形となる。
    • 元々はボトムアップ的に作成されたカードや次元/Planeであっても、その完成度からフレイバー面でも人気を得ることも少なくない。ラヴニカ/Ravnicaゼンディカー/Zendikarがその好例だろう。

トップダウン・デザインの歴史

アルファ版だけに目を向けても、「戦いをやめて農夫にする」剣を鍬に/Swords to Plowshares、「炎を吐いて空を飛ぶドラゴンシヴ山のドラゴン/Shivan Dragonと言った、フレイバー要素溢れるカードは数多い。また、カード名フレイバーテキストなどに人名や地名と思われる単語がちりばめられており、背後に流れる壮大な物語を感じさせる作りになっている。これらをトップダウン・デザインと呼ぶかは微妙なところではあるが、当初から「フレイバーを強く含むデザイン」という概念があったということは間違いない。

最初のエキスパンションであるアラビアンナイトは、その名のとおり『千夜一夜物語』の世界を再現することを目的としていた。続くアンティキティーでは、断片的に登場していたウルザ/Urzaを主役に据えたドミナリア/Dominariaのストーリーが本格的にスタート。翌1994年ザ・ダークでマジックの歴史上唯一イラスト主導でのデザイン、1995年ホームランドで新次元・ウルグローサ/Ulgrothaの登場、1997年ウェザーライトからは4年間に渡る『ウェザーライト・サーガ』という長期的なストーリー展開など、様々な手法が試された。

この時期は並行してコミックや小説も刊行されていた。ただし、小説などに手を出さない(あるいは欲しくとも国内で売っていない)ためにストーリー全体を把握できていないプレイヤーには、トップダウンすぎるカードは「何が面白いのかよくわからない」という評価を受けがちであった。この問題を解決する最適な手法を探して、開発部も試行錯誤を繰り返すことになる。

2004年からの神河ブロックブロックとしては初めてのトップダウンとなったが、独特すぎる世界設定への反応は賛否両論で、売り上げが振るわなかったため後に失敗談として挙げられることになる。その後、新次元のトップダウン・デザインは間が空くことになったが、2011年からのイニストラード・ブロックの成功を受けて以降は頻繁に行われるようになっている。

また並行し、ミラディンの傷跡ブロックでは逆転の発想で「新しい次元を作るのではなく、既に人気がある世界や勢力を再訪する」という手法も確立した。

トップダウン・デザインの一例

トップダウン・デザインによって生まれた次元

次元名 セット 題材
ラバイア/Rabiah アラビアンナイト 千夜一夜物語
ウルグローサ/Ulgrotha ホームランド センギア/Sengirなどのマジック用語
神河/Kamigawa 神河ブロック神河物語神河謀叛神河救済 日本風
イニストラード/Innistrad イニストラード・ブロックイニストラード闇の隆盛アヴァシンの帰還
イニストラードを覆う影ブロックイニストラードを覆う影異界月
ゴシックホラー
テーロス/Theros テーロス・ブロックテーロス神々の軍勢ニクスへの旅 ギリシャ神話風
アモンケット/Amonkhet アモンケット・ブロックアモンケット破滅の刻 古代エジプト風、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas
イクサラン/Ixalan イクサラン・ブロックイクサランイクサランの相克 大航海時代、恐竜

参考

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