The Art of Magic: The Rath Cycle

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現在では絶版で入手困難なアート・オブ・マジック、テンペストのコンセプトスケッチを余すところなく収録し、カードイラストが大判かつフルカラーで収録されているこの本は、イラストレーターのファンなら大いに楽しめるし、バックストーリーの視覚化という意味でもバックストーリーを追う人にとっては貴重な資料だ。

ラース・サイクルは、いままで断片的であったデザインをひとつにまとめあげる作業から始まりました。ひとつの抒情詩を大勢のアーティストが手がけることになるため、骨子のコンセプト・デザインを決め、各アーティストに視覚化して伝えなければなりません。

そのため、ミラージュで行われていたよりもはるかに多くのコンセプト・スケッチが描かれ、コンテが組み立てられ、テンペストブロックは物語の1シーンをそのままカードにすることに成功しました。

この本は、それらデザイナーの努力の跡であり、作品として結実したアートであり、ゲームを盛り上げる欠片であるわけです。

チャズ・エリオット、ピート・ヴェンタース、スコット・ハンガーフォード、ジェスパー・ミアフォース、マット・ウィルソン、ダニエル・ジロン、ジェイムズ・デイヴィス、アンソン・マドックス、マーク・テディーン、アンソニー・ウォーターズ、スコット・マクガーフ、ロン・スピアーズらの力によって、この本は作られています。

みどころのひとつはやはりウェザーライト、プレデターの構造図。ブロックごとに分けられた内部スケッチや、操縦室のスケッチ、機関部の大きなスケッチは圧巻であり、ウェザーライトがブラックボックスの空飛ぶ船、というイメージから、もっと現実的な飛翔艦へと見かたを変えてくれます。

次に、各キャラクター、悪役のスタイルガイド。カードでは小さくて見られなかったり、普段見えない前後図や装備品のデザインなどが描かれていますが、キャラクターについてはイラストレーターによって服装に差異があり、絵師にいくらかの自由が与えられていたようです。

そして、物語の重要な舞台、ストロングホールド。この恐ろしい施設の概観や通路のスケッチ、そして施設のイラストなど、見たことも無い要塞の一面を見せてくれます。

テンペストのアートの魅力を余すところなく収録したこの本、絶版になったままは少々残念な気もします。

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