ファイレクシアの油/Phyrexian oil
提供:MTG Wiki
ファイレクシアの油/Phyrexian oilとはファイレクシア/Phyrexiaによってもたらされる物質。
目次 |
解説
「油」と呼ばれる通り、黒くぎらつく油状の液体。その正体は、ファイレクシア人/Phyrexianの体内から分泌される黒い膿漿(Ichor)である。
触れるものを汚染し、ファイレクシア人に変化させる性質を持つ。ファイレクシアによる侵食・汚染の元凶。
油/oilという名称ゆえか、プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkの力に対してはその侵食力が弱まり、”灯を持つ者”即ちプレインズウォーカー/Planeswalkerやその素質を持つ者たちは油に対して抵抗力を持つ。トレイリア/Tolariaに出来た時の裂け目/Time Riftの修復の際、プレインズウォーカーの灯を失ってしまったカーン/Karnが後に油に侵されてしまった事象や、油に侵されたカーンがヴェンセール/Venserの灯の力をもって油の呪縛から解放されたのも、油の持つこの弱点が原因とされる。
特に大修復/The Mending以前におけるプレインズウォーカーはシェイプシフター/Shapeshifterの力を持つためファイレクシア化の影響を受けなかった。大修復によりプレインズウォーカーの在り方が変わって以降この法則は当てはまらなくなったが、それでも魂のないファイレクシア人は依然としてプレインズウォーカーになれず、プレインズウォーカーをファイレクシア化して魂を奪えばプレインズウォーカーとしての能力も失う……はずであった。
神河/Kamigawaでジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxiasが行った研究により、ついにファイレクシアはプレインズウォーカーをその灯を残したまま「完成/Compleat」させる術を身に着けてしまった。もはやプレインズウォーカーですら、油の侵食から逃れることはできないのだ。
汚染・浸食の力を持つ油とは対照的に、退魔・浄化・加護・癒し等の聖なる力を持つ白マナの力に対しては、その効力が弱まる。また、油を燃やす火の力を有した赤マナの力に対しても、侵食・汚染の進行速度が減速する。5色の太陽が輝くミラディン/Mirrodin次元/Planeに対するファイレクシアの侵略(ミラディンの傷跡ブロック)において、白と赤の2色に対するファイレクシア陣営の侵攻(※セット毎に増加していったΦマークの透かし入りカードの増加枚数)が、他の青黒緑の3色と比較して遅いものであったのも、この性質の為である。
- ファイレクシアの油の浸食力は強力だが、次元ごとに影響力に差がある。
- ミラディン/Mirrodinは次元全体で金属が多く、ファイレクシアの油による汚染が瞬く間に広がった。
- ドミナリア/Dominariaでは過去のファイレクシアの侵攻を経て、ファイレクシアの油への耐性を持つクリーチャーがアーボーグ/Urborgなどに存在する。
- テーロス/Therosでは信者を完成化させるという形で神すらファイレクシアの手に堕ちた。
- イニストラード/Innistradのゾンビは油による完成化の影響を受けない。
- イコリア/Ikoriaの怪物は水晶の汚染で多くが完成化すると思われたが、怪物が油に耐性を得る進化を果たした。
- メルカディア/Mercadiaにはファイレクシアで作られたドラゴン・エンジン/Dragon Engineのレイモス/Ramosがいるが、次元全体がファイレクシアに支配された描写はない。
- Doug Beyerは、黒い膿漿が目から溢れ頬を流れ落ちる様子を「ファイレクシアの涙/Phyrexian tears」と呼称している。この描写はファイレクシアによる汚染の象徴となっている。
- ヨーグモス/Yawgmothのシンボルである「苦痛の仮面」(アポカリプスのエキスパンション・シンボル)にもこの「ファイレクシアの涙」の意匠が現れている。→参考:ファイレクシアのアートは感染する
- ミラディン・ブロックにおいてメムナーク/Memnarchが乱心したのは、黒い油(=ファイレクシアの油)に侵されていたためである。続くミラディンの傷跡ブロックでは、ファイレクシアの油によりミラディン/Mirrodinが侵食されゆく様が描かれている。
- ファイレクシア:完全なる統一ではこれを表した油カウンターが登場した。
登場カード
イラスト
- ぎらつく油/Glistening Oil (イラスト)
- 汚れ/Befoul(ウルザズ・サーガ) (イラスト)
- 汚物の雨/Rain of Filth (イラスト)
- 汚染/Contamination (イラスト)
- 快活な守備兵/Sanguine Guard (目元から流れ落ちる黒い線)
- 汚れた一撃/Tainted Strike (イラスト)
- 着実な進歩/Steady Progress (イラスト)
- ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine (口元から飛ぶしぶき)
- 容赦無い潮流/Inexorable Tide (イラスト)
- 胆液の鼠/Ichor Rats (目から流れる黒い液体)
- モリオックの肉裂き/Moriok Reaver (目から流れる黒い液体)
- 嚢胞抱え/Cystbearer (口から滴る黒い液体)
- その他多数
フレイバー・テキスト
生暖かい油の雨が我が頬をつたう。もはや、ファイレクシアに入ったことは明白であろう。
― ジャーシルの日記(出典:Gate to Phyrexia)
雨が降ったと私は言ったが、小さな水の粒が落ちてきたという意味ではない。ベトベトに油っぽいよだれのようなものが、天から降り注いできたのだ。
― ウルザの日誌(出典:汚物の雨/Rain of Filth)
土地はそれに触れられるとたちまち腐り果てた。一瞬のうちに、油ぎった胆汁と化した。
― 大天使レイディアント
焚き火のそばへチータがくわえて運んできたギトギトした死骸を見て、スクイーは言った。「おいらたちに食べさせたいんじゃないかな」
(出典:有角チータ/Horned Cheetah)
その根は、清流の水を吸うのと同じように、ファイレクシア兵のどす黒い血を吸うことも好む。
油が一滴でもあるかぎり、喜びに満ちた業は続く。
ほんの一滴のぎらつく油は、ロクソドン並みの断固たる魂すら、救いようが無いほど汚してしまう。
「あの奇妙な油がまた……いや、何でもないな。」
遥か昔の侵略兵器であるぎらつく油は、数え切れない程の残虐行為の設計図を内に抱えている。
油はマイコシンスを生み出した。 マイコシンスは新ファイレクシアを生み出した。
「油と屍気の統合は数多くの喜ばしき反応を生み出している。」
― 囁く者、シェオルドレッド
オキシダ連峰がメフィドロスと混じりあう場所では、油の染みた金属が砕け、黒ずんだ壁の骨格だけを残す。
ヴォリンクレックスには大々的な計画など無かった。 生物を価値ある捕食者に進化させるのは、油がやってくれたことだ。
彼らがちらつき蛾から集めた血清は、魔女エンジンの継ぎ目の油になった。
(出典:血清掻き/Serum Raker)
ファイレクシアの油に耐えうるミラディンの生物にとっては、歯ごたえのある食べ物が大量に増えただけのことだ。
(出典:オオアゴザウルス/Gnathosaur)
参考
- The Terms of Engagement / 約束の時(Internet Archive) (Savor the Flavor 2010年9月22日 Doug Beyer著)
- Infectiously Phyrexian Art/ファイレクシアのアートは感染する(Internet Archive)(Savor The Flavor 2010年11月3日 Doug Beyer著)
- Will there be an explanation about how Phyrexians(Blogatog 2022年1月27日 Mark Rosewater著 プレインズウォーカーと油について)
- ファイレクシア/Phyrexia
- 背景世界/ストーリー用語