再帰誘発型能力

提供:MTG Wiki

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
(解説)
 
16行: 16行:
 
呪文によって生成された再帰誘発型能力の[[発生源]]はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力の[[コントローラー]]は、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。
 
呪文によって生成された再帰誘発型能力の[[発生源]]はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力の[[コントローラー]]は、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。
  
*「そうしたなら、/If you do,」という[[ルール・テキスト]]の場合は再帰誘発型能力ではない。
+
*「そうしたなら、/If you do,」という[[ルール・テキスト]]は再帰誘発型能力ではない。
 
*再帰誘発型能力が誘発するかどうかは、誘発条件である[[イベント]]が実際に起きたかどうかを見る。結果が[[置換効果]]などによって変化した結果、再帰誘発型能力が誘発しなくなることがある。
 
*再帰誘発型能力が誘発するかどうかは、誘発条件である[[イベント]]が実際に起きたかどうかを見る。結果が[[置換効果]]などによって変化した結果、再帰誘発型能力が誘発しなくなることがある。
 
**例:[[王家の跡継ぎ/The Royal Scions]]の-8[[忠誠度能力]]の再帰誘発型能力は、[[覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils]]などにより[[カード]]を4枚[[引く]]ことができなかった場合誘発しない。
 
**例:[[王家の跡継ぎ/The Royal Scions]]の-8[[忠誠度能力]]の再帰誘発型能力は、[[覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils]]などにより[[カード]]を4枚[[引く]]ことができなかった場合誘発しない。
 +
 +
==利点==
 +
;前半の結果を見てから他のプレイヤーが対応できる
 +
:誘発型能力には、[[コスト]]を[[支払う|支払った]]場合のみ実際の効果が発生するようなものが一部存在する。古いカード(例:[[カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend]])ではコストを支払ったあと、続く効果の処理が即座に行われるため、他のプレイヤーはそのコストが支払われるかどうかを見てから[[対応して]]行動することはできず、解決前に行動しなければならなかった。再帰誘発型能力(例:[[心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore]])ではコストが支払われたあと各プレイヤーが[[優先権]]を得るため、コストを支払ったのを見てから行動できる。
 +
;前半の結果を見てから対象を選べる
 +
:対象を取る呪文や能力で、効果の量が解決中に決まるものがある。従来のカードでは量が決まる前に対象を選ばなければならなかったが(例:[[うつろう爆発/Erratic Explosion]])、再帰誘発型能力では前半の結果を見てから対象を選べる(例:[[計算された爆発/Calibrated Blast]])。
 +
;効果全体が解決失敗することを防ぐ
 +
:対象を取る呪文や能力は[[対象不適正]]になってしまうと、従来のカードでは対象がいなくても実行できる部分も実行できなくなっていたが(例:[[天才の煽り/Blast of Genius]])、再帰誘発型能力にすることで効果の前半部分は確実に効果を行えるようになった(例:[[高熱仮説/Hypothesizzle]])。
 +
;忠誠度以外のコストを持つ忠誠度能力
 +
:起動型能力であっても、忠誠度能力は書式の都合で忠誠度の増減以外のコストを持てず解決中に支払う形しか取れなかった(例:[[巧妙な偶像破壊者、ダレッティ/Daretti, Ingenious Iconoclast]])。再帰誘発型能力の導入によって、通常の起動型能力のようにコストを支払う場合のみ対象を選んだり、支払いのあと優先権を得るようになった(例:[[傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord]])。
 +
 +
*コストが必要な誘発型能力であっても[[向こう見ずな探偵/Reckless Detective]]のように、自分に恩恵を与えるだけ、かつ[[タフネス]]が上昇しない効果は基本的に再帰誘発型能力は使われていない。
 +
*[[甦りし悪夢、ブレイズ/Braids, Arisen Nightmare]]のように、再帰誘発型能力を使わず、コストの支払いからその効果の発揮まで相手に対応の隙を与えないことを強みとするカードも変わらずに印刷されている。
  
 
==その他==
 
==その他==
 
*「再帰/Reflexive」とは、記述の中で記述するもの自身を参照することをいう。[[遅延誘発型能力]]が効果がそれが誘発するために別の[[イベント]]を必要とするのに対し、生成する呪文や能力の最中にその誘発型能力が誘発させるイベントが含まれている事を示していると思われる。
 
*「再帰/Reflexive」とは、記述の中で記述するもの自身を参照することをいう。[[遅延誘発型能力]]が効果がそれが誘発するために別の[[イベント]]を必要とするのに対し、生成する呪文や能力の最中にその誘発型能力が誘発させるイベントが含まれている事を示していると思われる。
 
*[[アモンケット]]で制定され、[[心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore]]で初めて使用された。アモンケットよりも前の[[カード・セット]]においても再帰誘発型能力であるかのようなルール・テキストのカードが稀に存在するが、これらは[[誤訳]]である([[定命の者の強情/Mortal Obstinacy]]など)。
 
*[[アモンケット]]で制定され、[[心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore]]で初めて使用された。アモンケットよりも前の[[カード・セット]]においても再帰誘発型能力であるかのようなルール・テキストのカードが稀に存在するが、これらは[[誤訳]]である([[定命の者の強情/Mortal Obstinacy]]など)。
*[[開発部]]からデザイン意図についての解説は無いが、再帰誘発型能力が使用されているのは、「コストを支払った結果、対応を迫られる効果が発揮される」ものが多い。つまり、「コストを支払って[[除去]]する対象を定めた後に、対戦相手は対応して行動する機会を得る」という[[ゲーム]]上の[[プレイング]]を肯定したものと思われる。そのため[[向こう見ずな探偵/Reckless Detective]]のように、自分に恩恵を与えるだけの効果は基本的に再帰誘発型能力は使われていない。一方で[[甦りし悪夢、ブレイズ/Braids, Arisen Nightmare]]のように、再帰誘発型能力を使わず、コストの支払いからその効果の発揮まで相手に対応の隙を与えないことを強みとするカードも変わらずに印刷されている。
 
**再帰誘発型能力が実装される前のカードを挙げれば、[[盲目の盲信者/Blind Zealot]]は「盲目の盲信者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーがコントロールするクリーチャー1体を対象とする。あなたはこれを生け贄に捧げてもよい。そうした場合、それを破壊する。」という能力を持つ。これは誘発したときに破壊するクリーチャーを対象に選ぶ。対戦相手はそれに対応して、例えば対象に選ばれたクリーチャーに[[破壊不能]]を与えるという対応を取れる。そうした場合、あなたは盲目の教信者を生け贄に捧げない、という選択肢を取って[[アドバンテージ]]を得ることができる。また対応して対戦相手が対象となったクリーチャーを生け贄に捧げれば、能力そのものが[[立ち消え]]るためやはり盲目の盲信者を生け贄に捧げる必要は無い。もちろんこれらはルール上適正なメリットではあるが、[[ナイトメア能力]]がその悪用を好ましくないものとして[[放逐する僧侶/Banisher Priest]]に変えられていったように、コストの消費とそれに対応するアクションというプレイングを適正なものとして扱う意図があったものと思われる。
 
  
 
==参考==
 
==参考==

2024年7月5日 (金) 03:29時点における最新版

再帰誘発型能力/Reflexive Triggered Abilityは、誘発型能力の一種。


Cornered Crook / 追い詰められた曲者 (4)(赤)
クリーチャー — トカゲ(Lizard) 戦士(Warrior)

追い詰められた曲者が戦場に出たとき、アーティファクト1つを生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、1つを対象とする。追い詰められた曲者はそれに3点のダメージを与える。

5/4


Ill-Timed Explosion / 間の悪い爆発 (2)(青)(赤)
ソーサリー

カード2枚を引く。その後、カード2枚を捨ててもよい。そうしたとき、間の悪い爆発は各クリーチャーにそれぞれX点のダメージを与える。Xは、これにより捨てられたカードの中のマナ総量の最大値に等しい。


目次

[編集] 解説

呪文能力効果の中で、解決中に何らかの処理をさせ「そうしたとき/When [a player] does」、「そうしなかったとき/When [a player] doesn't」もしくは「これにより[○○した]とき/when [something happens] this way」という書式で、その呪文や能力の解決後に何かを行うよう指示しているものがある。これを再帰誘発型能力という。

例として、追い詰められた曲者/Cornered Crookの誘発型能力には、アーティファクト生け贄に捧げてもよいという効果と、それによって誘発する再帰誘発型能力(ダメージ与える能力)が書かれている。この2つの能力は以下の手順で誘発し、解決される。

  1. 追い詰められた曲者が戦場に出たとき、最初の能力が誘発する。それは対象を選ばない能力であり、単にスタックに置かれる。
  2. その解決時に、アーティファクトを生け贄に捧げるか否かを選択する。生け贄に捧げなかった場合は、再帰誘発型能力は誘発せず、スタックに置かれない。
  3. 「そうしたとき」(生け贄に捧げたとき)、再帰誘発型能力が誘発し、次にプレイヤー優先権を得る際、つまり元の能力の解決後にスタックに置かれる。この能力がスタックに置かれる際に、ダメージを与える1つの対象を選ぶ。プレイヤーはこれに対応することができる。
  4. 再帰誘発型能力が解決されれば、対象にダメージが与えられる。

呪文によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力のコントローラーは、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。

[編集] 利点

前半の結果を見てから他のプレイヤーが対応できる
誘発型能力には、コスト支払った場合のみ実際の効果が発生するようなものが一部存在する。古いカード(例:カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend)ではコストを支払ったあと、続く効果の処理が即座に行われるため、他のプレイヤーはそのコストが支払われるかどうかを見てから対応して行動することはできず、解決前に行動しなければならなかった。再帰誘発型能力(例:心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore)ではコストが支払われたあと各プレイヤーが優先権を得るため、コストを支払ったのを見てから行動できる。
前半の結果を見てから対象を選べる
対象を取る呪文や能力で、効果の量が解決中に決まるものがある。従来のカードでは量が決まる前に対象を選ばなければならなかったが(例:うつろう爆発/Erratic Explosion)、再帰誘発型能力では前半の結果を見てから対象を選べる(例:計算された爆発/Calibrated Blast)。
効果全体が解決失敗することを防ぐ
対象を取る呪文や能力は対象不適正になってしまうと、従来のカードでは対象がいなくても実行できる部分も実行できなくなっていたが(例:天才の煽り/Blast of Genius)、再帰誘発型能力にすることで効果の前半部分は確実に効果を行えるようになった(例:高熱仮説/Hypothesizzle)。
忠誠度以外のコストを持つ忠誠度能力
起動型能力であっても、忠誠度能力は書式の都合で忠誠度の増減以外のコストを持てず解決中に支払う形しか取れなかった(例:巧妙な偶像破壊者、ダレッティ/Daretti, Ingenious Iconoclast)。再帰誘発型能力の導入によって、通常の起動型能力のようにコストを支払う場合のみ対象を選んだり、支払いのあと優先権を得るようになった(例:傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord)。

[編集] その他

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

MOBILE