ティムール/The Temur
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{{情報ボックス/タルキールの氏族}}'''ティムール'''/''The Temur''は[[タルキール/Tarkir]]の[[氏族/Clan]]の一つ。[[色]]は[[緑青赤]]。 | {{情報ボックス/タルキールの氏族}}'''ティムール'''/''The Temur''は[[タルキール/Tarkir]]の[[氏族/Clan]]の一つ。[[色]]は[[緑青赤]]。 | ||
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+ | ==解説== | ||
+ | [[ドラゴン#タルキール/Tarkir|龍/Dragon]]の「'''獰猛'''/''Savagery''」の相を崇拝し、'''龍爪'''/''The claw of the dragon''を象徴とする[[氏族/Clan]]<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/a-dragonstorm-is-brewing-part-2 A Dragonstorm Is Brewing, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0038560/ 龍の嵐の兆し その2]([[Making Magic]] 2025年3月24日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。前身たる[[アタルカ氏族/The Atarka clan]]が、かつての名である「[[ティムール境/The Temur Frontier|ティムール/The Temur]]」を取り戻した姿である。 | ||
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+ | ティムールは北部の山岳地帯で力強く生きる民だ。彼らは半遊牧生活を営みながら環境と調和して暮らしている。ティムールの生活は凍りつくような長い冬に適応している。彼らは狩猟や採集や牧畜の達人であり、共に働く動物の相棒たちと密接な絆を築いている。尊敬を受けるティムールの囁く者は大地の精霊を呼び起こして未来を占い、氏族に導きと助力を与える。ティムールは基本的に孤立主義であり、他の氏族の侵入から自分たちの土地と生活を守ることを重要視している。 | ||
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+ | ティムールは領土である北方地域を断固として守り、常に戦士や狩人や龍が巡回を行っている。他氏族のよそ者が訪れたなら、ティムールはそれを自然の秩序に対する危険であると、自分たちの希少で貴重な資源が略奪される危機であるとみなす。ティムールにとって、土地の保護と管理は生活に不可欠なものだ。彼らは大地の精霊との良好な関係を維持し、将来の世代のために天然資源を保護することに重きをおいている。ティムールの中には、タルキール全土の土地を守ることが自分たちの責任であると考える者もおり、氏族がティムールの領土外で今よりも積極的な役割を果たすべきだと主張している。 | ||
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+ | ===ティムールの再興=== | ||
+ | [[アタルカ/Atarka]]の統治下においては、資源は減少を続けていた。群れの民の間に飢餓と病は絶えず、多くの人々が[[龍王/Dragonlord]]の圧政から逃れる方法を模索し、時とともに反乱軍の小集団が現れた。当初、反乱は小規模に留まっていた――群れの龍たちが獲物として彼らを狩るようになったため、生き延びることが第一だったのである。だが龍たちの多くは何世代にもわたって狩りをしておらず、鈍ってしまっていた。また反乱軍は地形を熟知しており、アタルカ自身から巧みに逃れることができた。反乱軍は飽くことのないアタルカの貪欲さに憤慨し、大地から生命力を奪うその支配は残酷かつ貪欲であるとみなしていた。 | ||
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+ | 小規模な反乱の噂が広まると、隠れて生き延びていた囁く者の多くが姿を現した。彼らはティムールについて、過去の伝統について、そして自分たちが再度ひとつとなって繁栄する未来について語り、反乱を活気づけた。恐れ知らずの狩人たちに率いられた反乱軍は、エレメンタルの魔法と熟練のサバイバル技術を活用して戦った。囁く者たちもその力となった。彼らは書かれざる今についての知識を提供して次の行動に指針を与え、アタルカの群れに先んじた。力を合わせた奮闘により、他の龍王たちと同様にアタルカも倒された。 | ||
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+ | ==文化== | ||
+ | ティムールは半遊牧生活を営んでおり、一年を通じて村と宿営地の間を移動している。冬、春、秋は大体を村で過ごすが、夏は一年で最も移動の機会が多くなる。単一地域での過剰な狩猟や放牧を避けるために、彼らはより小規模な宿営地を頻繁に移動する。 | ||
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+ | 氏族を率いるのは「龍爪/The Dragonclaw」と、囁く者の長である「二度囁く者/The Twice Whisperer」である。龍爪は尊敬される戦士であり、ティムールの氏族員によって選ばれる。一方、二度囁く者はティムールの囁く者全員の中から精霊によって選ばれる。両者が共同で氏族全体を統治する決定を下しており、龍爪は主に現実的な事柄を、二度囁く者は精神的及び抽象的な事柄を担当する。 | ||
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+ | 氏族全体を統括する指導者がいる一方、ティムールは小規模かつ緩やかな繋がりを持つ家族単位の集団で構成されている。小人数の集団が個別に活動するというこの性質は、他氏族から身を守り、資源の乏しい気候で生き延びる上で有効的である。家族集団においても指導者ふたりの構成を踏襲しており、世俗的指導者と霊的指導者が協力して集団のために決定を下す。 | ||
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+ | ティムールの多くが自衛と狩猟に長けているが、氏族の中には高度な訓練を受けて戦闘に特化した戦士もいる。彼らの多くは乗騎や動物の相棒と共に行動して広大で困難な地形を素早く移動し、敵を出し抜く。また彼らは厳しい気候を乗り切る達人であり、敵に対して環境を利用することで直接対決を避ける。 | ||
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+ | ティムールは動物の相棒たちを家族の一員とみなしており、敬意をもって大切に接する。動物の相棒は特定の個人と結びつき、共に生活し共に働く。両者は人同士と同等に互いを理解することができ、ティムールのほとんどは一度に一体の相棒しか持たない。様々な動物が相棒となるが、一般的には人型生物のパートナーという役割に適したものが選ばれる。中には乗騎としても働く動物もいる。 | ||
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+ | ===日々の生活=== | ||
+ | 民間人はティムールの中で多くの役割を担っている。氏族の幸福と生活様式を直接支える狩人や採集民、家畜飼いは最も一般的であり、食料と住居の確保に重点を置いている。彼らは土地の資源のバランスを崩さないよう必要なものだけを取り、狩猟または採集したものは余さず利用する。狩人と採集民の多くは斥候としても働き、地域の変化や他氏族の活動を観察する。芸術家や職人は氏族内で高く尊敬されている。 | ||
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+ | *レスリング - 運動競技はティムールで人気の娯楽だ。戦士や狩人は閑散期にレスリングの試合に参加することで繁忙期に備える。レスリングの優勝者は高く尊敬され、ティムール内でしばしば指導者の地位に就く。 | ||
+ | *狩猟、栽培、畜産 - 北部の気候は農業にあまり適していない。そのためティムールは畜産を営んでおり、移動の際には家畜を連れて行く。半恒久的な居住地の近くでは農業も行っており、将来の収穫を考えて既に成長しているものの採集と栽培に重点を置いている。加えてティムールは熟練の漁師たちでもあり、最も寒い季節には追加の食料源として凍った湖で魚を釣る。 | ||
+ | *物語り - ティムールの主要な娯楽であり、しばしば長い狩猟の後に共同体で集まり、祝ったり長い冬の夜を過ごしたりする。踊りや歌を通して表現されることが多く、最近の戦いや狩り、伝統的な物語がしばしば演じられる。これらの催しは競争的になることもあり、語り手たちは誰が最も面白いかを競い合う。 | ||
+ | *彫刻と手工芸品 - 半遊牧的な生活を営んでいるため、ティムールの芸術品のほとんどは小型で持ち運びやすいものだ。彼らは刺繍と精巧な金属細工を専門としており、飾りやすく持ち運びやすい絶妙な装飾品を製作している。とはいえもっと大規模な作品を好む芸術家もおり、氷やその他の自然素材から印象的かつ時とともに消える彫刻を制作している。 | ||
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+ | ===久遠の歌/The Endless Song=== | ||
+ | ティムールは「久遠の歌/The Endless Song」を信仰している――大地に満ち、過去、現在、未来のあらゆる存在を結びつけるエネルギーだ。この核となる信念は、精霊たちは大地に住まい、物質世界と共存しているというものである。精霊は定命の生物のように、時間と空間に縛られることはない。それらは過去と未来の両方に存在するかもしれず、あるいは起こらなかった過去や起こらないかもしれない未来にさえ存在する可能性もある。久遠の歌を、ティムールは慣習や義務ではなく生き方とみなしている――精霊は信じるべきものではない。ただ存在するのだ。 | ||
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+ | ===呼集の宴=== | ||
+ | 時に、囁く者は精霊を呼び出す儀式を主導する。囁く者だけが参加する内密の儀式もあれば、多くの氏族員が参加する大規模な行事もある。この宴には幾つかの共通要素がある――ハープのような弦楽器で演奏される律動的な音楽と組み合わせた祈りの歌、囁く者だけが知る特別な振り付けの舞踏、そして囁く者が必要に応じて精霊のエネルギーを導き、形を与えるための魔法が込められた炎だ。 | ||
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+ | ===季節の祝祭=== | ||
+ | ティムールの儀式の多くは季節に応じて行われる。秋から冬への移行と冬から春への移行は一年の歩調を定めるもので、特別な儀式が催される。 | ||
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+ | *霜駆け/Frostsweep - 夏から秋への移行を祝う厳粛な行事。ティムールの家族は共同体の仲間たちに食物やその他の物資を贈り、来たる冬を全員が乗り切るための準備をする。 | ||
+ | *雪解け/Thawflow - 冬から春への移行を祝う喜びの祝祭。ティムールの「新年」とみなされており、家々や共用空間の清掃、古いものの片付け、新しいものの導入を伴うことがしばしばある。 | ||
+ | *永夜/The Unbroken Night - 一年で最も夜が長い日であり、物語を語りながらの饗宴で祝う。地平線に太陽が初めて昇って永夜が終わるまで、ティムールの人々は昼夜を通して起き続ける。 | ||
+ | *天頂の日/The Zenith Day - 一年で最も昼が長い日であり、昼夜を通して踊りや集会で祝う。様々な競技や賑やかな活動が含まれることが多く、太陽が地平線に沈む様を見るために人々が集まる時にだけ中断される。 | ||
+ | |||
+ | ===ティムールの魔法=== | ||
+ | ティムールの魔法は氏族に力を与えて守るためのものであり、主として魔道士たちがエレメンタルのエネルギーを用いて展開する。ティムールの魔道士は大地や自然物を直接動かし、エレメンタルのエネルギーを吹き込み、具体的な用途のために有形の姿を作り出す。ティムールの魔法はしばしば、術者が大切にするあるいは馴染みある動物の形をとる。 | ||
+ | |||
+ | 囁く者は精霊によって土地の代言者として選ばれ、久遠の歌と直接繋がっている。そのため囁く者は高く尊敬され、重要な氏族員とみなされている。彼らのほとんどは青年期に選ばれ、先輩の囁く者と共に厳しい訓練を受け、魔法の技を磨き、能力を習得する。囁く者たちは共同体に深く溶け込んでいる――狩りや戦闘には参加しないものの、癒しや守りや予言を提供して仲間たちの力となる。ティムールの人々は定期的に囁く者へと指導と助力を求め、彼らとの交流は日常生活でも頻繁に行われる。 | ||
+ | |||
+ | ==ティムールと龍との、および龍の嵐との関係== | ||
+ | ===龍狩り=== | ||
+ | ティムールの囁く者は、来たる龍の嵐の時期と場所を予測することに長けている。これによりティムールは他のほとんどの氏族よりも早く嵐に到着し、新たに生まれた野生の龍をより多く仲間に加えることができる。 | ||
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+ | ===氏族の龍=== | ||
+ | ティムールと龍とは強い絆を成す――龍は氏族の戦士や狩人とともに訓練し、他の氏族員と同様にそれらの活動を手伝う。ティムールの龍は、家族にも似た小さな集団を成す傾向がある。各氏族の龍の中でもティムールの龍は最も力強く、最も恐れられている。彼らはティムールの領土の境界を防衛し、氏族員を熱烈に守る。北方地域に繁栄する彼らは概してずんぐりとした頑丈な体形であり、炎のブレス攻撃を用いて敵を焼き尽くす。 | ||
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+ | ===龍の嵐=== | ||
+ | ティムールの囁く者は、この次元におけるほとんどの龍の嵐の時期と場所を予測することができる。この知識と半遊牧的な生活様式のおかげで、ティムールは嵐から素早く避難したり隠れたりすることができる。またエレメンタル魔術の専門家は氏族を守るために嵐を操り、雪や雨の障壁を作り出して最悪の天候を防ぐこともできる。 | ||
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+ | ==重要地点== | ||
+ | ティムールの領土のほとんどは、雪と岩だらけの[[カル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountains]]とその麓にある。ティムールの土地は[[マルドゥ/The Mardu]]及び[[ジェスカイ/The Jeskai]]と接している。気候は亜寒帯性で気温はとても低く、大部分の土地は一年を通じて雪に覆われる。夏は短く、豊かな緑が芽生える。 | ||
+ | |||
+ | *カラキク氷河の居住地/Karakyk Glacial Settlement - 氷河の谷間に位置する村であり、氏族員が主に冬季に利用するふたつの恒久的居住地のうちのひとつ。幾つもの氷の洞窟が快適さと断熱性を提供しており、その入り口は加工した革と龍の骨で作られている。 | ||
+ | *夏の地/Summer Landing - 丘陵地帯を覆う高山林、その中に広がる空隙地。正式名称をアヤゴール/Ayagor(龍の鉢/dragon bowl)という。ティムールによって整地され、毎年の天頂の日の祝典に使用されている。ここでティムールは氏族として生き延びたことを祝い、アタルカの残虐によって亡くなった人々を追悼する。 | ||
+ | *[[湧霧の村/Mistrise Village]] - とある地熱蒸気孔を取り囲んで建てられた半恒久的な集落であり、季節の変わり目にはそれを用いて家々が暖められる。蒸気孔は春と秋に最も活発になり、その時期にはティムールの多くの家族が村に流れ込む。 | ||
+ | *永久氷/Eternal Ice - 神聖な山頂であり、堅固で安定した雪原が広がる。囁く者たちだけが通ることができ、重要な儀式のための特別な場所がある。 | ||
+ | *炎の縁、カダット/Qadat, the Fire Rim - ジェスカイとティムールの領土の間に位置し、活発な火山活動で知られている。以前はジェスカイに属していたが後にアタルカによって征服された。現在では暫定的協定が結ばれ、両氏族ともこの地域で狩猟や採集を行うことができるが居住地を建設することはできない。 | ||
+ | *龍の喉/The Dragon's Throat - 曲がりくねった深い谷であり、絶え間ない悲鳴が自然の音響効果により響き渡る。神聖な場所であり、囁く者だけが訪れる。 | ||
+ | *閃輝湖/Glintglaze Lake - 冬には凍るものの、一年を通して魚が豊富に採れる高山湖。冬には分厚い氷が張るため、ティムールはその上に宿営地を築く。 | ||
+ | *雨とばりの森/Rainveil Forest - 低山地帯の大部分を覆う緑豊かな森。動植物が最も豊富な夏にティムールが頻繁に訪れる。 | ||
+ | |||
+ | ==重要人物== | ||
+ | *[[エシュキ/Eshki]] - ティムールの龍爪であり[[カン/Khan]]。 | ||
+ | *アルニウル/Alniul - ティムールの二度囁く者。 | ||
+ | *[[ウレニ/Ureni]] - ティムールの精霊龍。 | ||
+ | *[[スーラク/Surrak]] - アタルカに仕えていた人間。 | ||
==関連ページ== | ==関連ページ== | ||
*[https://magic.wizards.com/en/news/feature/planeswalkers-guide-to-tarkir-dragonstorm-part-2 Planeswalker's Guide to Tarkir: Dragonstorm, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0038510/ プレインズウォーカーのための『タルキール:龍嵐録』案内 その2]([[Daily MTG]] [[2025年]]2月24日) | *[https://magic.wizards.com/en/news/feature/planeswalkers-guide-to-tarkir-dragonstorm-part-2 Planeswalker's Guide to Tarkir: Dragonstorm, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0038510/ プレインズウォーカーのための『タルキール:龍嵐録』案内 その2]([[Daily MTG]] [[2025年]]2月24日) | ||
*[https://magic.wizards.com/en/news/magic-story/tarkir-dragonstorm-temur-together-survives-the-pack Temur: Together Survives the Pack]/[https://mtg-jp.com/reading/ur/TDM/0038569/ サイドストーリー ティムール:共に生き抜く]([[Daily MTG]] [[2025年]]3月13日) | *[https://magic.wizards.com/en/news/magic-story/tarkir-dragonstorm-temur-together-survives-the-pack Temur: Together Survives the Pack]/[https://mtg-jp.com/reading/ur/TDM/0038569/ サイドストーリー ティムール:共に生き抜く]([[Daily MTG]] [[2025年]]3月13日) | ||
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+ | ==脚注== | ||
+ | <references /> | ||
==参考== | ==参考== | ||
*[[背景世界/ストーリー用語]] | *[[背景世界/ストーリー用語]] |
2025年4月21日 (月) 14:03時点における最新版
- アブザン家/The Abzan Houses(白黒緑)
- ジェスカイ道/The Jeskai Way(青赤白)
- スゥルタイ群/The Sultai Brood(黒緑青)
- マルドゥ族/The Mardu Horde(赤白黒)
- ティムール境/The Temur Frontier(緑青赤)
- ドロモカ氏族/The Dromoka clan(緑白)
- オジュタイ氏族/The Ojutai clan(白青)
- シルムガル氏族/The Silumgar clan(青黒)
- コラガン氏族/The Kolaghan clan(黒赤)
- アタルカ氏族/The Atarka clan(赤緑)
- アブザン/The Abzan(白黒緑)
- ジェスカイ/The Jeskai(青赤白)
- スゥルタイ/The Sultai(黒緑青)
- マルドゥ/The Mardu(赤白黒)
- ティムール/The Temur(緑青赤)
ティムール/The Temurはタルキール/Tarkirの氏族/Clanの一つ。色は緑青赤。
目次 |
[編集] 解説
龍/Dragonの「獰猛/Savagery」の相を崇拝し、龍爪/The claw of the dragonを象徴とする氏族/Clan[1]。前身たるアタルカ氏族/The Atarka clanが、かつての名である「ティムール/The Temur」を取り戻した姿である。
ティムールは北部の山岳地帯で力強く生きる民だ。彼らは半遊牧生活を営みながら環境と調和して暮らしている。ティムールの生活は凍りつくような長い冬に適応している。彼らは狩猟や採集や牧畜の達人であり、共に働く動物の相棒たちと密接な絆を築いている。尊敬を受けるティムールの囁く者は大地の精霊を呼び起こして未来を占い、氏族に導きと助力を与える。ティムールは基本的に孤立主義であり、他の氏族の侵入から自分たちの土地と生活を守ることを重要視している。
ティムールは領土である北方地域を断固として守り、常に戦士や狩人や龍が巡回を行っている。他氏族のよそ者が訪れたなら、ティムールはそれを自然の秩序に対する危険であると、自分たちの希少で貴重な資源が略奪される危機であるとみなす。ティムールにとって、土地の保護と管理は生活に不可欠なものだ。彼らは大地の精霊との良好な関係を維持し、将来の世代のために天然資源を保護することに重きをおいている。ティムールの中には、タルキール全土の土地を守ることが自分たちの責任であると考える者もおり、氏族がティムールの領土外で今よりも積極的な役割を果たすべきだと主張している。
[編集] ティムールの再興
アタルカ/Atarkaの統治下においては、資源は減少を続けていた。群れの民の間に飢餓と病は絶えず、多くの人々が龍王/Dragonlordの圧政から逃れる方法を模索し、時とともに反乱軍の小集団が現れた。当初、反乱は小規模に留まっていた――群れの龍たちが獲物として彼らを狩るようになったため、生き延びることが第一だったのである。だが龍たちの多くは何世代にもわたって狩りをしておらず、鈍ってしまっていた。また反乱軍は地形を熟知しており、アタルカ自身から巧みに逃れることができた。反乱軍は飽くことのないアタルカの貪欲さに憤慨し、大地から生命力を奪うその支配は残酷かつ貪欲であるとみなしていた。
小規模な反乱の噂が広まると、隠れて生き延びていた囁く者の多くが姿を現した。彼らはティムールについて、過去の伝統について、そして自分たちが再度ひとつとなって繁栄する未来について語り、反乱を活気づけた。恐れ知らずの狩人たちに率いられた反乱軍は、エレメンタルの魔法と熟練のサバイバル技術を活用して戦った。囁く者たちもその力となった。彼らは書かれざる今についての知識を提供して次の行動に指針を与え、アタルカの群れに先んじた。力を合わせた奮闘により、他の龍王たちと同様にアタルカも倒された。
[編集] 文化
ティムールは半遊牧生活を営んでおり、一年を通じて村と宿営地の間を移動している。冬、春、秋は大体を村で過ごすが、夏は一年で最も移動の機会が多くなる。単一地域での過剰な狩猟や放牧を避けるために、彼らはより小規模な宿営地を頻繁に移動する。
氏族を率いるのは「龍爪/The Dragonclaw」と、囁く者の長である「二度囁く者/The Twice Whisperer」である。龍爪は尊敬される戦士であり、ティムールの氏族員によって選ばれる。一方、二度囁く者はティムールの囁く者全員の中から精霊によって選ばれる。両者が共同で氏族全体を統治する決定を下しており、龍爪は主に現実的な事柄を、二度囁く者は精神的及び抽象的な事柄を担当する。
氏族全体を統括する指導者がいる一方、ティムールは小規模かつ緩やかな繋がりを持つ家族単位の集団で構成されている。小人数の集団が個別に活動するというこの性質は、他氏族から身を守り、資源の乏しい気候で生き延びる上で有効的である。家族集団においても指導者ふたりの構成を踏襲しており、世俗的指導者と霊的指導者が協力して集団のために決定を下す。
ティムールの多くが自衛と狩猟に長けているが、氏族の中には高度な訓練を受けて戦闘に特化した戦士もいる。彼らの多くは乗騎や動物の相棒と共に行動して広大で困難な地形を素早く移動し、敵を出し抜く。また彼らは厳しい気候を乗り切る達人であり、敵に対して環境を利用することで直接対決を避ける。
ティムールは動物の相棒たちを家族の一員とみなしており、敬意をもって大切に接する。動物の相棒は特定の個人と結びつき、共に生活し共に働く。両者は人同士と同等に互いを理解することができ、ティムールのほとんどは一度に一体の相棒しか持たない。様々な動物が相棒となるが、一般的には人型生物のパートナーという役割に適したものが選ばれる。中には乗騎としても働く動物もいる。
[編集] 日々の生活
民間人はティムールの中で多くの役割を担っている。氏族の幸福と生活様式を直接支える狩人や採集民、家畜飼いは最も一般的であり、食料と住居の確保に重点を置いている。彼らは土地の資源のバランスを崩さないよう必要なものだけを取り、狩猟または採集したものは余さず利用する。狩人と採集民の多くは斥候としても働き、地域の変化や他氏族の活動を観察する。芸術家や職人は氏族内で高く尊敬されている。
- レスリング - 運動競技はティムールで人気の娯楽だ。戦士や狩人は閑散期にレスリングの試合に参加することで繁忙期に備える。レスリングの優勝者は高く尊敬され、ティムール内でしばしば指導者の地位に就く。
- 狩猟、栽培、畜産 - 北部の気候は農業にあまり適していない。そのためティムールは畜産を営んでおり、移動の際には家畜を連れて行く。半恒久的な居住地の近くでは農業も行っており、将来の収穫を考えて既に成長しているものの採集と栽培に重点を置いている。加えてティムールは熟練の漁師たちでもあり、最も寒い季節には追加の食料源として凍った湖で魚を釣る。
- 物語り - ティムールの主要な娯楽であり、しばしば長い狩猟の後に共同体で集まり、祝ったり長い冬の夜を過ごしたりする。踊りや歌を通して表現されることが多く、最近の戦いや狩り、伝統的な物語がしばしば演じられる。これらの催しは競争的になることもあり、語り手たちは誰が最も面白いかを競い合う。
- 彫刻と手工芸品 - 半遊牧的な生活を営んでいるため、ティムールの芸術品のほとんどは小型で持ち運びやすいものだ。彼らは刺繍と精巧な金属細工を専門としており、飾りやすく持ち運びやすい絶妙な装飾品を製作している。とはいえもっと大規模な作品を好む芸術家もおり、氷やその他の自然素材から印象的かつ時とともに消える彫刻を制作している。
[編集] 久遠の歌/The Endless Song
ティムールは「久遠の歌/The Endless Song」を信仰している――大地に満ち、過去、現在、未来のあらゆる存在を結びつけるエネルギーだ。この核となる信念は、精霊たちは大地に住まい、物質世界と共存しているというものである。精霊は定命の生物のように、時間と空間に縛られることはない。それらは過去と未来の両方に存在するかもしれず、あるいは起こらなかった過去や起こらないかもしれない未来にさえ存在する可能性もある。久遠の歌を、ティムールは慣習や義務ではなく生き方とみなしている――精霊は信じるべきものではない。ただ存在するのだ。
[編集] 呼集の宴
時に、囁く者は精霊を呼び出す儀式を主導する。囁く者だけが参加する内密の儀式もあれば、多くの氏族員が参加する大規模な行事もある。この宴には幾つかの共通要素がある――ハープのような弦楽器で演奏される律動的な音楽と組み合わせた祈りの歌、囁く者だけが知る特別な振り付けの舞踏、そして囁く者が必要に応じて精霊のエネルギーを導き、形を与えるための魔法が込められた炎だ。
[編集] 季節の祝祭
ティムールの儀式の多くは季節に応じて行われる。秋から冬への移行と冬から春への移行は一年の歩調を定めるもので、特別な儀式が催される。
- 霜駆け/Frostsweep - 夏から秋への移行を祝う厳粛な行事。ティムールの家族は共同体の仲間たちに食物やその他の物資を贈り、来たる冬を全員が乗り切るための準備をする。
- 雪解け/Thawflow - 冬から春への移行を祝う喜びの祝祭。ティムールの「新年」とみなされており、家々や共用空間の清掃、古いものの片付け、新しいものの導入を伴うことがしばしばある。
- 永夜/The Unbroken Night - 一年で最も夜が長い日であり、物語を語りながらの饗宴で祝う。地平線に太陽が初めて昇って永夜が終わるまで、ティムールの人々は昼夜を通して起き続ける。
- 天頂の日/The Zenith Day - 一年で最も昼が長い日であり、昼夜を通して踊りや集会で祝う。様々な競技や賑やかな活動が含まれることが多く、太陽が地平線に沈む様を見るために人々が集まる時にだけ中断される。
[編集] ティムールの魔法
ティムールの魔法は氏族に力を与えて守るためのものであり、主として魔道士たちがエレメンタルのエネルギーを用いて展開する。ティムールの魔道士は大地や自然物を直接動かし、エレメンタルのエネルギーを吹き込み、具体的な用途のために有形の姿を作り出す。ティムールの魔法はしばしば、術者が大切にするあるいは馴染みある動物の形をとる。
囁く者は精霊によって土地の代言者として選ばれ、久遠の歌と直接繋がっている。そのため囁く者は高く尊敬され、重要な氏族員とみなされている。彼らのほとんどは青年期に選ばれ、先輩の囁く者と共に厳しい訓練を受け、魔法の技を磨き、能力を習得する。囁く者たちは共同体に深く溶け込んでいる――狩りや戦闘には参加しないものの、癒しや守りや予言を提供して仲間たちの力となる。ティムールの人々は定期的に囁く者へと指導と助力を求め、彼らとの交流は日常生活でも頻繁に行われる。
[編集] ティムールと龍との、および龍の嵐との関係
[編集] 龍狩り
ティムールの囁く者は、来たる龍の嵐の時期と場所を予測することに長けている。これによりティムールは他のほとんどの氏族よりも早く嵐に到着し、新たに生まれた野生の龍をより多く仲間に加えることができる。
[編集] 氏族の龍
ティムールと龍とは強い絆を成す――龍は氏族の戦士や狩人とともに訓練し、他の氏族員と同様にそれらの活動を手伝う。ティムールの龍は、家族にも似た小さな集団を成す傾向がある。各氏族の龍の中でもティムールの龍は最も力強く、最も恐れられている。彼らはティムールの領土の境界を防衛し、氏族員を熱烈に守る。北方地域に繁栄する彼らは概してずんぐりとした頑丈な体形であり、炎のブレス攻撃を用いて敵を焼き尽くす。
[編集] 龍の嵐
ティムールの囁く者は、この次元におけるほとんどの龍の嵐の時期と場所を予測することができる。この知識と半遊牧的な生活様式のおかげで、ティムールは嵐から素早く避難したり隠れたりすることができる。またエレメンタル魔術の専門家は氏族を守るために嵐を操り、雪や雨の障壁を作り出して最悪の天候を防ぐこともできる。
[編集] 重要地点
ティムールの領土のほとんどは、雪と岩だらけのカル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountainsとその麓にある。ティムールの土地はマルドゥ/The Mardu及びジェスカイ/The Jeskaiと接している。気候は亜寒帯性で気温はとても低く、大部分の土地は一年を通じて雪に覆われる。夏は短く、豊かな緑が芽生える。
- カラキク氷河の居住地/Karakyk Glacial Settlement - 氷河の谷間に位置する村であり、氏族員が主に冬季に利用するふたつの恒久的居住地のうちのひとつ。幾つもの氷の洞窟が快適さと断熱性を提供しており、その入り口は加工した革と龍の骨で作られている。
- 夏の地/Summer Landing - 丘陵地帯を覆う高山林、その中に広がる空隙地。正式名称をアヤゴール/Ayagor(龍の鉢/dragon bowl)という。ティムールによって整地され、毎年の天頂の日の祝典に使用されている。ここでティムールは氏族として生き延びたことを祝い、アタルカの残虐によって亡くなった人々を追悼する。
- 湧霧の村/Mistrise Village - とある地熱蒸気孔を取り囲んで建てられた半恒久的な集落であり、季節の変わり目にはそれを用いて家々が暖められる。蒸気孔は春と秋に最も活発になり、その時期にはティムールの多くの家族が村に流れ込む。
- 永久氷/Eternal Ice - 神聖な山頂であり、堅固で安定した雪原が広がる。囁く者たちだけが通ることができ、重要な儀式のための特別な場所がある。
- 炎の縁、カダット/Qadat, the Fire Rim - ジェスカイとティムールの領土の間に位置し、活発な火山活動で知られている。以前はジェスカイに属していたが後にアタルカによって征服された。現在では暫定的協定が結ばれ、両氏族ともこの地域で狩猟や採集を行うことができるが居住地を建設することはできない。
- 龍の喉/The Dragon's Throat - 曲がりくねった深い谷であり、絶え間ない悲鳴が自然の音響効果により響き渡る。神聖な場所であり、囁く者だけが訪れる。
- 閃輝湖/Glintglaze Lake - 冬には凍るものの、一年を通して魚が豊富に採れる高山湖。冬には分厚い氷が張るため、ティムールはその上に宿営地を築く。
- 雨とばりの森/Rainveil Forest - 低山地帯の大部分を覆う緑豊かな森。動植物が最も豊富な夏にティムールが頻繁に訪れる。
[編集] 重要人物
- エシュキ/Eshki - ティムールの龍爪でありカン/Khan。
- アルニウル/Alniul - ティムールの二度囁く者。
- ウレニ/Ureni - ティムールの精霊龍。
- スーラク/Surrak - アタルカに仕えていた人間。
[編集] 関連ページ
- Planeswalker's Guide to Tarkir: Dragonstorm, Part 2/プレインズウォーカーのための『タルキール:龍嵐録』案内 その2(Daily MTG 2025年2月24日)
- Temur: Together Survives the Pack/サイドストーリー ティムール:共に生き抜く(Daily MTG 2025年3月13日)