蒸気打ちの親分/Steamflogger Boss
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[[未来予知]]の未来予知たる所以、[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]そのものの未来を見通すようなデザインをされた[[カード]]の1つ。 | [[未来予知]]の未来予知たる所以、[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]そのものの未来を見通すようなデザインをされた[[カード]]の1つ。 | ||
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[[装具工]]という[[クリーチャー・タイプ]]の[[ロード (俗称)|ロード]]的存在なのだろうが、[[未来予知]]時点では装具工自体がこれ1体(と[[霧衣の究極体/Mistform Ultimus]])しか存在していなかった。[[ローウィン]]登場後、名前に「装具工」を持つ[[モリオックの装具工/Moriok Rigger]]が装具工になったほか、装具工でもある[[多相]]持ちが増えたので、ロードとして若干使いやすくなったと言える。 | [[装具工]]という[[クリーチャー・タイプ]]の[[ロード (俗称)|ロード]]的存在なのだろうが、[[未来予知]]時点では装具工自体がこれ1体(と[[霧衣の究極体/Mistform Ultimus]])しか存在していなかった。[[ローウィン]]登場後、名前に「装具工」を持つ[[モリオックの装具工/Moriok Rigger]]が装具工になったほか、装具工でもある[[多相]]持ちが増えたので、ロードとして若干使いやすくなったと言える。 | ||
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− | + | 実際のところ、デザイン時点では今後の[[マジック:ザ・ギャザリング]]で装具工というクリーチャー・タイプもからくりというアーティファクト・タイプも、組み立てるというルール用語も使用する予定が無かった一種のジョーク・カードである。「未来」を見せる1つの手法として、現在の視点では仕組みが全く分からない存在としてデザインされた<ref name="LD1">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/are-you-future-2007-05-04 Are You From the Future](Latest Developments 2007年5月4日)</ref>。 | |
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− | **[[Matt Place]] | + | [[Aaron Forsythe]]がその事実をコラムで発表した後、賛否含め多くの意見が寄せられた。「蒸気打ちの親分は印刷される値のある面白さか?」というウェブ上のアンケートでは、「面白い」に対して「面白くてもカード1枚を無駄にするほどではない」「面白くない」がやや上回る結果となった。特に目立ったのは「最初からジョーク・カードとしてデザインされたとネタばらしされるまでは許容できた」と「コンセプトは許容できるがレアで行われたことが腹立たしい」という意見であった<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/three-things-i-get-mail-about-2007-05-11-0 Three Things I Get Mail About]</ref>。 |
− | **[[The Great Designer Search 2]]の決勝戦では、このカードが不採用になったという設定の課題が与えられた。 | + | |
− | *San Diego Comic-Con 2017で、[[銀枠]]のジョーク・[[セット]]、[[Unstable]]に[[再録]] | + | [[開発部]]内でもデザイン中にこのカードについて何度も議論が紛糾した。 |
+ | *[[Mark Rosewater]]は反対派であり、プレイヤーはからくりの登場を期待し、実際に行われるまで不満に思い続けると主張した<ref name="LD1"/>。自身のコラムでも、このカードを嫌っていると明言し何度もセットから抹消しようと試みたと語っている<ref name="MM1">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/timeshift-after-timeshift-2007-04-30 Timeshift After Timeshift](Making Magic 2007年4月30日)</ref>。Markはからくりを待ち望むプレイヤーのために、引退前までにはからくり問題を解決することを誓っていた<ref>[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0016593/ おしえてあなたの望むこと](Making Magic 2016年3月7日)</ref>。 | ||
+ | *[[Devin Low]]は開発部の中でもこのカードを特に気に入っており、「強い感情を引き起こせるカードである」と収録を推し進めた<ref name="MM1" />。 | ||
+ | *[[Matt Place]]は後に興味を惹かせるデザインの代表的な失敗例の1つとしてこのカードを挙げ、「初見の笑いのためにゲームプレイを犠牲にするカードを作るべきでは無い」と述べている。<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/look-out-rd-its-trap-2009-11-27 Look Out, R&D! It's a Trap!](Latest Developments 2009年11月27日)</ref> | ||
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+ | 最初のデザインはジョークとして、存在しないクリーチャー・タイプを扱うカードであった。 | ||
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+ | *If a Splorg you control would erect a monument, it erects two monuments instead.(あなたのコントロールするSplorgが碑を建立する場合、それは代わりに2つの陽を建立する。) | ||
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+ | *Whenever another Splorg you control becomes self-aware, you may toggle any or all of its statuses. (The statuses are tapped/untapped, face up/face down, and unflipped/flipped.).(あなたのコントロールする他のSplorgが独立化するたび、あなたはそれらのいずれか、あるいはすべての[[位相]]を切り替えてよい。(位相とは[[タップ]]状態と[[アンタップ]]状態、[[表向き]]と[[裏向き]]、そして[[反転]]状態と非[[反転]]状態である)) | ||
+ | *Other Splorgs you control have "T, Devolve one level: Target player sacrifices a non-evolved permanent for each spell in his or her group memory.".(あなたのコントロールする他のSplorgは「(T)、レベルを1つ下げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自身の記憶群の呪文1つにつき、進化していないパーマネントを1つ生贄に捧げる。」を得る。) | ||
+ | *When CARDNAME is put into a graveyard from play, each Slorg card in Limbo is assigned a new variable evolution path.(このカードが[[戦場|場]]から墓地に置かれるたび、リンボの各Splorg・カードは新しい可変進化経路を割り振られる。) | ||
+ | *If another Splorg you control would molt, it molts tomorrow instead.(あなたのコントロールする他のSplorgが脱皮する場合、それは代わりに明日脱皮する。) | ||
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+ | *新しい[[カード・セット]](特にアーティファクトがテーマとなりそうなセット)が出る度に、「次こそからくりの時代が来るに違いない」と(冗談半分で)よく名前が挙がる。 | ||
+ | *[[The Great Designer Search 2]]の決勝戦では、このカードが不採用になったという設定の課題が与えられた。 | ||
+ | *San Diego Comic-Con 2017で、[[銀枠]]のジョーク・[[セット]]、[[Unstable]]に[[再録]]されることが発表された<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/daily-magic-update/update-2017-07-24 The July 24, 2017 Update](Daily Magic Update 2017年7月24日)</ref>。デザイン上は、Unstableからの逆再録としての未来予知での収録である。 | ||
==ストーリー== | ==ストーリー== | ||
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==参考== | ==参考== | ||
*[[カード個別評価:未来予知]] / [[カード個別評価:未来予知タイムシフト|タイムシフト]] - [[レア]] | *[[カード個別評価:未来予知]] / [[カード個別評価:未来予知タイムシフト|タイムシフト]] - [[レア]] | ||
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2017年7月28日 (金) 11:18時点における版
クリーチャー — ゴブリン(Goblin) 装具工(Rigger)
あなたがコントロールしている他の装具工(Rigger)クリーチャーは、+1/+0の修整を受けるとともに速攻を持つ。
あなたがコントロールする装具工がからくり(Contraption)を組み立てる場合、それは代わりに2個のからくりを組み立てる。
Whisperのテキストには誤りがあります。1番目の能力の影響を受けるのは、あなたがコントロールする装具工だけです。
未来予知の未来予知たる所以、マジックそのものの未来を見通すようなデザインをされたカードの1つ。
目次 |
評価
装具工というクリーチャー・タイプのロード的存在なのだろうが、未来予知時点では装具工自体がこれ1体(と霧衣の究極体/Mistform Ultimus)しか存在していなかった。ローウィン登場後、名前に「装具工」を持つモリオックの装具工/Moriok Riggerが装具工になったほか、装具工でもある多相持ちが増えたので、ロードとして若干使いやすくなったと言える。
さらに新種のアーティファクト・タイプである「からくり」への言及があるものの、からくりを持つアーティファクトも現時点では存在していない。「組み立てる/assemble」というルール用語も登場しているが、まだ意味が定義されていないため、現状では全くの無意味な文章でしかない。つまり現時点では、ロード能力以外何も持っていないのと同じ。将来きちんと用語の意味が定義されて、ようやく真っ当な動きができるようになる。時のらせんブロックには他にも前代未聞なカードが溢れているが、その中でもこれは一際異彩を放つカードである。
現時点での能力のみを見るならば、サイズの大きめな重いゴブリンでしかなく、構築で使うには厳しい。リミテッドでは、2体目以降を強化する丘巨人/Hill Giantなので悪くないが、レアなので2枚以上揃うことは滅多になく、コモンレベル止まりのハズレレアと言わざるを得ない。
デザインの意図と反響
実際のところ、デザイン時点では今後のマジック:ザ・ギャザリングで装具工というクリーチャー・タイプもからくりというアーティファクト・タイプも、組み立てるというルール用語も使用する予定が無かった一種のジョーク・カードである。「未来」を見せる1つの手法として、現在の視点では仕組みが全く分からない存在としてデザインされた[1]。
Aaron Forsytheがその事実をコラムで発表した後、賛否含め多くの意見が寄せられた。「蒸気打ちの親分は印刷される値のある面白さか?」というウェブ上のアンケートでは、「面白い」に対して「面白くてもカード1枚を無駄にするほどではない」「面白くない」がやや上回る結果となった。特に目立ったのは「最初からジョーク・カードとしてデザインされたとネタばらしされるまでは許容できた」と「コンセプトは許容できるがレアで行われたことが腹立たしい」という意見であった[2]。
開発部内でもデザイン中にこのカードについて何度も議論が紛糾した。
- Mark Rosewaterは反対派であり、プレイヤーはからくりの登場を期待し、実際に行われるまで不満に思い続けると主張した[1]。自身のコラムでも、このカードを嫌っていると明言し何度もセットから抹消しようと試みたと語っている[3]。Markはからくりを待ち望むプレイヤーのために、引退前までにはからくり問題を解決することを誓っていた[4]。
- Devin Lowは開発部の中でもこのカードを特に気に入っており、「強い感情を引き起こせるカードである」と収録を推し進めた[3]。
- Matt Placeは後に興味を惹かせるデザインの代表的な失敗例の1つとしてこのカードを挙げ、「初見の笑いのためにゲームプレイを犠牲にするカードを作るべきでは無い」と述べている。[5]
開発秘話
最初のデザインはジョークとして、存在しないクリーチャー・タイプを扱うカードであった。
非公式/非実在カード
Splorg Lord (2)(赤)(赤)クリーチャー─ゴブリン・Splorg
(赤)、ゴブリンを1体生贄に捧げる:ターン終了時まで、すべてのSplorgは二段攻撃を得る。
(赤)、Splorgを1体生贄に捧げる:ターン終了時まで、すべてのゴブリンは+2/+0の修整を受ける。
しかし存在しないクリーチャー・タイプを扱うカードは過去にも蜂の巣/The Hive(旧オラクル)や砂丘生みのネフィリム/Dune-Brood Nephilimなどが存在し、何より霧衣の究極体/Mistform Ultimusが存在しているという問題点があった。
次の案として現在のデザイン方向に変更され、慎重に現在では理解できない文章が検討された。
非公式/非実在カード
Splorg Lord (2)(赤)(赤)クリーチャー─ゴブリン・Splorg
すべてのSplorgは+1/+1の修整を受けるとともに島渡りを持つ。
If a Splorg you control would harvest a resource, you may have it erect a monument instead.(あなたのコントロールするSplorgが資源を収穫する場合、代わりにあなたは「それは碑を建立する」ことを選んでよい。)
その他の案は以下の通り:
- If a Splorg you control would erect a monument, it erects two monuments instead.(あなたのコントロールするSplorgが碑を建立する場合、それは代わりに2つの陽を建立する。)
- Other Splorgs you control may attack and block as if the "five-second rule" didn't apply to them.(あなたのコントロールする他のSplorgは「5秒ルール」が適用されないかのように攻撃やブロックしてもよい。)
- Whenever you activate a possess ability of a Splorg, you may ignore all Superstitions this turn.(あなたがSplorgの妄執能力を起動するたび、あなたはこのターン、すべての迷信を無視することを選んでもよい。)
- Splorg cards you own in Limbo can't reemerge with other cards.(リンボのあなたがオーナーであるSplorgカードは他のカードと再興できない。)
- Whenever another Splorg you control becomes self-aware, you may toggle any or all of its statuses. (The statuses are tapped/untapped, face up/face down, and unflipped/flipped.).(あなたのコントロールする他のSplorgが独立化するたび、あなたはそれらのいずれか、あるいはすべての位相を切り替えてよい。(位相とはタップ状態とアンタップ状態、表向きと裏向き、そして反転状態と非反転状態である))
- Other Splorgs you control have "T, Devolve one level: Target player sacrifices a non-evolved permanent for each spell in his or her group memory.".(あなたのコントロールする他のSplorgは「(T)、レベルを1つ下げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自身の記憶群の呪文1つにつき、進化していないパーマネントを1つ生贄に捧げる。」を得る。)
- When CARDNAME is put into a graveyard from play, each Slorg card in Limbo is assigned a new variable evolution path.(このカードが場から墓地に置かれるたび、リンボの各Splorg・カードは新しい可変進化経路を割り振られる。)
- If another Splorg you control would molt, it molts tomorrow instead.(あなたのコントロールする他のSplorgが脱皮する場合、それは代わりに明日脱皮する。)
- Splorgs you control have ideal traits. Splorg missions can't be aborted.(あなたのコントロールするSplorgは理想的な特徴を持つ。Splorgの作戦は中止されない。)
その他
- 新しいカード・セット(特にアーティファクトがテーマとなりそうなセット)が出る度に、「次こそからくりの時代が来るに違いない」と(冗談半分で)よく名前が挙がる。
- The Great Designer Search 2の決勝戦では、このカードが不採用になったという設定の課題が与えられた。
- San Diego Comic-Con 2017で、銀枠のジョーク・セット、Unstableに再録されることが発表された[6]。デザイン上は、Unstableからの逆再録としての未来予知での収録である。
ストーリー
蒸気打ちの親分/Steamflogger Bossは、蒸気打ち/Steamfloggerを操縦するゴブリン。
蒸気打ち/Steamfloggerとは、操縦者と同伴する装具工達をやる気にさせるために造られた、蒸気で動くアーティファクトのオンボロ乗り物のこと。鞭と爪状の2種類のやる気向上腕を備えており、これらの腕を使ってやる気を引き出している。
バツをブンと振れ! マルつまめ! 何作ってんだか、俺知らね!
イラストとフレイバー・テキストから、装具工には「バツ/X」と「マル/O」の2階級が存在しており、頭上にその階級が刻まれていることが分かる。親分は、バツ階級に対しては蒸気打ちの右腕で鞭で打つ(Whip the Xs!)、マル階級なら左腕の爪でつねる(Pinch the Os!)と、巧みに腕を使い分けてやる気を引き出している。こうして親分の周りの装具工は重い物を持ち運んでいるものの、実は彼らの誰も自分が何を作っているのかまったく分かっていない。
親分に注意すると、親分自身の頭とやる気向上機械の両方にもバツが刻まれている。彼がかつてのバツ階級から成り上がった人物なのか、あるいは親分の役目が輪番制なのか、どのような理由があるのか定かではない。(→Rigger Xs and Rigger Os参照)
- 「何作ってんだか、俺知らね!」というセリフはそのまま「からくり」が何なのか分からないというカードデザインと重なって取れる。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 Are You From the Future(Latest Developments 2007年5月4日)
- ↑ Three Things I Get Mail About
- ↑ 3.0 3.1 Timeshift After Timeshift(Making Magic 2007年4月30日)
- ↑ おしえてあなたの望むこと(Making Magic 2016年3月7日)
- ↑ Look Out, R&D! It's a Trap!(Latest Developments 2009年11月27日)
- ↑ The July 24, 2017 Update(Daily Magic Update 2017年7月24日)
参考
- カード個別評価:未来予知 / タイムシフト - レア